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佐藤正彰

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佐藤 正彰(さとう まさあき、1905年12月12日 - 1975年11月1日)は、フランス文学者

生涯

東京府生まれ、父は戦前の漢文教科書を著した佐藤正範(山形出身で旧制高校教師)。東京帝国大学仏文科卒、辰野隆の門下生。友人に齋藤磯雄中村光夫小林秀雄河上徹太郎等がいる。

ポール・ヴァレリーマルセル・プルーストの最初期の紹介者であり、生涯にわたり『ヴァレリー全集』(筑摩書房)の編さん校訂、翻訳・監修を担当。ボードレールネルヴァルの翻訳研究でも著名。『マルドリュス版 千一夜物語』は、共訳版(岩波文庫)を経て、単独訳(筑摩書房)を行った。なお共訳版の全訳により、渡辺一夫らと読売文学賞(第11回)を受賞した。

1949年より明治大学教授、1956年に数年間パリ留学し現地でも講義した。1972年に紫綬褒章。『ボードレール雑話』により、2度目の読売文学賞(第26回、研究・翻訳賞)を受賞したが、同年秋に食道ガンで没した。直前にカトリック洗礼を受け、葬儀は自宅のある鎌倉の教会で行なわれた。没後に蔵書6000冊が明治大学図書館に収蔵された。

著書

主な単著訳

  • 『スワン家の方 失ひし時を索めて 1』(プルウスト淀野隆三共訳、武蔵野書院) 1931
  • 『ヴァリエテ I』(ポオル・ヴァレリイ、中島健蔵共訳、白水社) 1932
  • ゲエテ頌』(ポオル・ヴァレリイ、江川書房) 1933
    のち 野田書房 1935
  • 『文藝評論』 正・続(ジイド、共訳、芝書店) 1933
    のち『藝術の限界・その他』と改題(改造文庫) 1939
    のち『アンドレ・ジイド全集 第7巻 続プレテクスト』(建設社) 1934
    のち『ジイド全集 13』(新潮社) 1951
  • 『ボオドレエル藝術論集』(中島健蔵共訳、芝書店) 1934
    のち角川文庫 1953
    のち復刊 1989
  • 『精神の将来 欧羅巴精神の将来』(芝書店) 1936
  • 『現代人の建設』(知的協力国際協会編、創元社) 1937
  • 『夢と人生』(ネルヴァル岩波文庫) 1937
    のち筑摩書房 1948
    のち創元文庫 1952
  • 『文學史の方法』(ギュスターヴ・ランソン、白水社、佛蘭西文藝思潮叢書) 1939
  • ナポレオン伝』(スタンダール、竹村書房、スタンダール選集) 1937
    のち弘文堂書房、世界文庫 1940
    のち河出書房 1944
  • ラシーヌシェイクスピア』(スタンダール、青木書店) 1939
    のち高桐書院 1949
  • 『詩について』(ヴァレリイ、創元社、創元選書) 1940
  • 『ボオドレエル全集 第4巻 浪曼派芸術論』(河出書房) 1939
    のち『ボードレール全集 第6・7巻 ロマン派芸術』(河出書房) 1947 - 1948
  • 『佯りなき心』(ジョゼフ・ケッセル実業之日本社、佛蘭西文学賞叢書) 1941
  • 『ペローおとぎばなし』(ペロー、国立書院) 1947
    のち『世界少年少女文学全集』(創元社) 1954
    のち『おやゆびこぞう ペローどうわ』(筑摩書房) 1955
  • エドガア・ポオ』(ボードレール、小林秀雄共訳、角川書店、飛鳥新書) 1948
  • 『母への手紙』正・続(ボードレール、創元社、創元選書) 1949
  • 『私の見るところ ヴァリエテ V』(ポール・ヴァレリー、寺田透共訳、筑摩叢書) 1966
    のち復刊 1985
  • マルドリュス版 千一夜物語』(筑摩書房、世界文学大系73) 1964
    『千一夜物語』(筑摩書房、世界古典文学全集31・32・33・34) 1964 - 1970
    のち復刊 1982、2005ほか
    『千一夜物語 マルドリュス版』全8巻(筑摩書房) 1974
    『千一夜物語』全10巻(ちくま文庫) 1988 - 1989

主な共編訳

  • 『エチユード』(ジャック・リヴィエール、河上徹太郎・富永惣一・小林秀雄共訳、芝書店) 1933
    うち『ボオドレエル、クロオデル』を担当
  • 『アナトオル・フランス短篇小説全集』 第4・5・7巻(アナトール・フランス、白水社) 1939
    のち復刊 1950
    のち改訂新版『アナトール・フランス小説集』(白水社) 2000
    うち『9 クランクビーユ 短篇集』、『10 ジャック・トゥルヌブローシュのコント 短篇集』、『12 ジョカストとやせ猫 短篇集』を杉捷夫と共訳
  • 『ポオル・ヴアレリイ全集』(辰野隆落合太郎鈴木信太郎監修、筑摩書房) 1942 - 1947:9巻分を刊行
  • 『ポオル・ヴァレリイ全集』第7・10・11・16巻(筑摩書房) 1950 - 1951 :上記とは異なった版本
  • 『デカルト選集 第5・6巻』(デカルト、共訳、創元社) 1939 - 1940
    のち『デカルト書簡集』上・下(創元社、哲学叢書) 1947
  • 『千一夜物語』全26巻(豊島与志雄、渡辺一夫、岡部正孝と共訳、岩波文庫) 1940 - 1959
  • 『千一夜物語 改訂版』全13巻(岩波書店) 1982
    のち岩波文庫、1988
第11回読売文学賞受賞
  • 『ボードレール評論集』全3巻(創元文庫) 1953
  • 『ボオドレエル全集 第1巻 悪の華』(齋藤磯雄訳、注解担当、創元社) 1954 : 本巻のみ刊行
  • 『フランス文学史』上・下(アルベール・ティボーデ平岡昇鈴木力衛等と共訳、ダヴィッド社) 1954
    のち角川文庫(全3巻) 1960
  • 『ポール・ヴァレリー』(新潮社、現代世界文学全集25) 1955
  • 『ヴァリエテ』全2巻(ポール・ヴァレリー、鈴木信太郎と共編、人文書院) 1966 : 限定版
  • 『ヴァレリー全集』全12巻(筑摩書房) 1967 - 1968、補巻 1971
    のち新装版 1973 - 1974
    のち増補版+補巻2 1977 - 1978
  • 『ネルヴァル全集3 オーレリア』全3巻(筑摩書房) 1976
  • 『ヴァレリー全集 カイエ篇2 言語』全9巻 (寺田透と共訳、筑摩書房) 1982

参考文献

  • 『フランス文学雑話』(1997)  巻末収録の年譜