東急5000系電車 (2代)
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東急5000系電車 (共通事項) | |
---|---|
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基本情報 | |
運用者 | 東急電鉄 |
製造所 |
東急車輛製造 総合車両製作所横浜事業所 |
製造年 | 2002年 - |
運用開始 | 2002年5月2日[1] |
主要諸元 | |
軌間 | 1,067 mm(狭軌) |
電気方式 |
直流1,500V (架空電車線方式) |
最高運転速度 | 110 km/h |
設計最高速度 | 120 km/h |
起動加速度 | 3.3 km/h/s |
減速度(常用) | 3.5 km/h/s |
減速度(非常) | 4.5 km/h/s |
車両定員 | 本文参照 |
自重 | 本文参照 |
全長 |
先頭車 5000系:20,100 mm 5050系・5080系:20,200 mm 中間車:20,000 mm |
全幅 |
5000系・5080系:2,800 mm 5050系:2,820 mm |
全高 | 4,050 mm |
床面高さ | 1,130 mm |
台車 |
ボルスタレス方式空気ばね台車 TS-1019A・TS-1020A |
主電動機 |
かご形三相誘導電動機 TKM-98・99・16A |
主電動機出力 | 190 kW |
駆動方式 | TD平行カルダン駆動方式 |
歯車比 | 87:14 (6.21) |
制御方式 | IGBT素子VVVFインバータ制御 |
制動装置 | 回生併用電気指令式電磁直通ブレーキ(全電気/オール電気式) |
保安装置 | 本文参照 |
東急5000系電車(とうきゅう5000けいでんしゃ)は、2002年(平成14年)5月2日に営業運転を開始した[2]東急電鉄の通勤形電車。
本項では、田園都市線用の5000系のほか、東横線用の5050系および目黒線用の5080系についても記述する。また、編成単位で表記する必要がある場合は渋谷・目黒(小川町・飯能・久喜・南栗橋・西高島平・浦和美園)方先頭車の車両番号で代表する。
概要
東急の主力車両であった8000系および8500系は新造車が高額であったため、従来は製造後40年から50年程度の期間使用する予定であった。実際、製造から20年から30年を経過し老朽化および陳腐化が進み始めたため1992年(平成4年)から改修工事を行っていた。ところが8500系2両で制御装置および主電動機の改修を試験的に実施してみると、残存寿命を勘案した場合には改修は合理性に欠けると判断され、結局この2両のみで改修が打ち切られた。その際に問題となった他の観点には、改修工事のみでは設計の進歩を反映した軽量化が困難なこともあった。
当時JR東日本では日本国有鉄道(国鉄)から引き継ぎ老朽化の進んだ大量の車両を早急に取り替えるべく、『重量半分・価格半分・寿命半分[3]』を目標とした209系を東急グループの東急車輛製造などと共同で開発し、1993年から投入しはじめていた。一方、東急でも目黒線向けに1999年から投入した3000系では、車体構造など一部に209系を参考にした設計が取り入れられた。
本系列ではこれをさらに推し進め、209系の改良版であるE231系との間で、主に構体設計の共通化が図られた。
本系列を開発するにあたっては「人と環境にやさしい車両」をコンセプトとして、バリアフリー化のため、ホームと床面の段差を減らし[4]、一部の吊り手を低くするなどした[5][6]。環境への配慮としては、主要機器を3000系をベースに[7]大容量化することにより台数を削減し、騒音低減が図られた。消費電力量は8500系と比較して約4割削減された[8]。
E231系などと車体部材の共通化を行うことによって[9]、前述の3000系と比較して約3割のコストダウンが図られた[10]。なお、本系列の導入コストは従来車を改修すると仮定した場合のコストと比較しなお高額であるものの、その差額は約20年で回収可能であるとされるが、理由として機器の集約や車体の軽量化が図られており、改修の場合よりも保守費および電力費が削減され、地下区間では列車風の削減も可能であることなどが挙げられている。
本系列は東急電鉄における標準車両と位置づけられ、田園都市線への導入を皮切りに、2003年3月からは目黒線向けの5050系[4]、2004年4月からは東横線向けの5050系が導入された[8]。派生車種として東急多摩川線・池上線に7000系、大井町線に6000系、東急へ運行・整備を委託している横浜高速鉄道みなとみらい線にY500系が導入されている。
本系列導入に伴う旧型車両の代替が進捗した結果、保守費・電力費の削減と騒音低減の効果が得られた[11]。また、東横線では5050系の導入により2006年9月25日のダイヤ改正以降、中・高速域の性能に劣る8000系と8590系を日中運用から全廃し、スピードアップを実現した[12]。
車両概説
この項目では基本的に5101編成登場時について解説し、後に行われた設計変更については後述する。
車体
E231系を基本とした20m級車体4扉構造の軽量ステンレス車体であるが、車体幅は地下鉄乗り入れのため裾絞りなしの2,770mmとした[13]。また、車両床面高さを3000系の1,150mmよりも20mm低い1,130mmとしてプラットホームとの段差を解消した。
前面形状は運転台部分を車体中心部分まで拡大し、非常扉を前面向かって左側へオフセットした、9000系以来の左右非対称構造とされている。19mm厚の衝突柱および6mmまたは4.5mm厚のステンレスで構成し、これをFRP成形品で覆う構造である。前面隅柱部には後退角が設けられ、また前後方向に緩やかな傾斜を設けた構造を採用したことにより、前面が切妻であった従来の車両と比較して地下駅進入時の列車風を低減した。非常扉はプラグドア式で、車内側裏面に非常階段を設置している。
車体断面は車両限界、工法と広幅の雨樋の関係から台枠部から上に行くに従ってわずかに内側へ傾斜している。床下機器は基本的に車体横梁に直接吊り下げ、機器のつり枠を廃止して軽量化を図っている。一部車両の床下側面には非常用の折りたたみ式階段を設置した。
扉間隔は5101Fでは3,500mm(E231系は3,640mm)としたが、5102F以降は「通勤・近郊電車の標準仕様ガイドライン」に準拠した3,520mmに設計変更された[14]。車体幅は5101Fが3000系までの従来車と同じ2,770mmであるのに対して、5102F以降および5080系は2,778mm、さらに5050系は東横線において縮小限界を採用し、建築限界と車両限界の間隔を190mmとすることによって車両限界幅を2,820mmに拡大した上で[15]2,798mmとわずかではあるが拡大しており、定員も増加している。
車外の車両番号(以下「車番」と記す)表記および号車札は、従来車ではステンレスのエッチング板方式であったものをシール式に変更し、号車札受けも廃止された。5000系と5050系の車側灯は、1 - 5次車では当初2基の白熱電球を縦に並べた電球式であった。これはLEDの経年に伴う輝度低下を避けるための措置であったが、6次車以降と5080系ではLEDそのものの長寿命化が図られたことからLED式に変更されている。5次車以前の編成も2007年7月から同年9月にかけて車側表示灯のLED化が実施された。
車内
車内はE231系を基本としたオールロングシート仕様であるが、客室内装はE231系とは異なり、ペーパーハニカム材にアルミ板と高硬度アートテックやデコラ化粧板を貼り付けた複合材料を使用したものを新たに設計した。また、各系列で吊り手の高さや配色などが異なり、配色は5000系では青系、5050系ではパステル調、5080系では3000系から継承したローズ系とされた[16]。
客用扉鴨居部には東急初の液晶ディスプレイ式案内装置が設置され、TIP (Train Information system for Passenger) によって制御される。5101Fでは当初ディスプレイを1基のみ設置しており、走行中は風景画を、駅に接近すると到着駅と乗り換え案内を表示していた。5102F以降と5050系および5080系5183F以降ではディスプレイが2基に増設され、左側画面では「TOQビジョン」として通常はおもにCMを放映するほか、異常時には路線図で支障区間の表示も行い、右側画面では通常は次停車駅、乗り換え案内、ドア開閉方向、駅ホーム設備案内などを表示するほか、異常時には文章で情報を表示する。5101Fもその後の半蔵門線延伸と直通運転区間拡大時期の2003年2月から3月にかけてディスプレイの2基化が実施され、他編成と仕様が統一された。
側面客用扉は1 - 5次車ではE231系と同一の接着式単板窓扉を採用し、車内側はステンレス無塗装仕上げである。6次車以降では扉窓が複層化され、車内側は化粧板仕上げに変更された。両者は外観上窓周りの形状が異なる。ドアエンジンは3000系と同じベルト駆動による空気式であり、戸閉弱め機構を搭載する。連結面貫通扉はE231系と同一の傾斜式のものが採用された。ドアチャイムは、世田谷線用の300系で採用したものと類似した、開閉時に単音が2回鳴動するタイプである。なお、5080系5181F・5182Fのみ3000系と同一のドアチャイムを搭載する。
側窓はE231系とほぼ共通の熱線吸収・UVカットガラスを使用し、カーテン設置を省略した。車端部は固定式の単窓、ドア間は下降窓と固定窓のユニット式である。コストダウン・騒音低減のために妻面窓は廃止した。
座席前のつり革の高さは3000系に引き続き、1,630mmを基本とし、一部(握り棒と握り棒の中間の位置)のものはユニバーサルデザインの一環として小柄な者がつかまりやすいように従来より設置位置を100mm低くした1,530mmとしたが、3000系と比較して本数も増やしている。優先席部のつり革は現在はオレンジ色のものへ交換され、この付近の壁にはオレンジ色のシールが貼られている。照明はカバーのない蛍光灯である。荷棚はE231系のパイプ構成と異なり、従来の東急の各系列と同様に金網で構成されている。設置高さは3000系よりも20mm低い1,730mmとして、荷物の上げ下ろしを容易にしている。
腰掛けは3000系と共通の1人の掛け幅を450mmとした片持ち式バケットシートであるが、2003年度以降に導入した車両はE231系[17]とほぼ共通の座面にSばねのクッションが入ったものとし、座り心地を改善した。7人掛け座席部ではスタンションポールを2本設置する。各系列とも編成中2箇所に車椅子スペースを設置し、この場所には壁面埋込暖房器と非常通報装置がある。
空調装置は、通勤用車両としては最大能力である61.05kW (52,500kcal/h) の集中式空調装置を搭載する。この装置は3000系3013Fで試験した装置を基にさらに改良したもので、ヒートポンプによる冷凍サイクルと電熱ヒーターにより暖房や除湿運転も可能なものである。空調装置は三菱電機製と日立製作所製のものが存在し、基本的に車番末尾が奇数の編成は三菱製、偶数編成は日立製とされていたが、一部には例外も生じている[18]。補助送風機は車内天井部のレール方向に1両当たり10台設置されている。
その他
2019年頃より、車内の防犯カメラ設置が行われており、本系列では、車内照明と一体型の防犯カメラが採用されている。なお、既存の車内照明が寒色系の色味なのに対し、防犯カメラ一体型の物は暖色系の色味になっている[19]。
- 定員一覧表
先頭車 | 中間車 | ||||
---|---|---|---|---|---|
標準 | 車椅子スペース 設置車(1箇所) |
標準 | 座席収納時 | 車椅子スペース 設置車(1・2箇所) | |
5000系1次車 | 140人 (座席48人) |
151人 (座席54人) |
152人 (座席51人・無し) | ||
5080系・ 5000系2次車以降 |
141人 (座席48人) |
152人 (座席54人) |
152人 (座席51人・48人) | ||
5000系6扉車 | 155人 (座席30人) |
154人 (座席0人) |
|||
5050系 | 142人 (座席48人) |
142人 (座席45人) |
153人 (座席54人) |
154人 (座席51人・48人) |
- 車内の様子
-
5000系車内
(2次車デハ5302) -
5050系車内
(4次車デハ5755) -
5080系車内
(1次車5181F) -
5000系車内
(後期製造車)
- 車内案内表示器
-
5000系の
LCD式案内表示器(旧ROM) -
5181Fの
LEDによる案内表示器 -
後期車となる5185Fの
LCD式案内表示器 -
車内照明一体型の防犯カメラと5000系のLCD
乗務員室
乗務員室内ならびに運転台パネルは3000系に準じており、いずれも濃い灰色の配色としている。奥行きは5000系では1,505mmであるが、5050系・5080系では1,605mmと100mm拡大されている。
マスター・コントローラーはデッドマン付のT字形ワンハンドル式で、指定の速度域では「P3」もしくは「P4」位置から「P2」(力行2ノッチ)位置にハンドルを戻すことで定速制御が可能である。その際は運転台モニタに「定速」と表示される。速度計はアナログ(白地)式で、120km/hフルスケール表示仕様である。
車掌スイッチは5000系5114Fまでは機械式であったが、5115F以降と5050系は当初から間接制御式(リレー式)、5080系では電気式で横に押すボタン(開扉は2ボタン・閉扉は1ボタン)である。5101F - 5114Fも後に間接制御式に改修された。
運転室と客室の仕切りには前面窓と同じ配置で左から大窓・乗務員室仕切扉窓・小窓がある。このうち左側2枚の窓には遮光幕[20]が設置されており、また乗務員室仕切扉窓は開閉可能な落とし窓となっている。なお、5080系では乗り入れ協定によって左側2枚の窓には遮光ガラスを使用しているほか、乗務員室仕切扉が電磁鎖錠対応となり、仕切扉の開く向きが5000系・5050系では客室から見て左開きであるのに対し、5080系では右開きとされている点が異なる。
-
5000系の
乗務員室背面仕切壁。
仕切扉は左に開く -
5080系の
乗務員室背面仕切壁。
仕切扉は右に開く -
東横線用5000系の運転台
(副都心線対応化改造前)
車内放送装置に目黒線と同様の音声の自動放送を採用した。
走行機器
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/e/ee/Truck_TS-1019A.jpg/250px-Truck_TS-1019A.jpg)
(6次車デハ5366)
制御装置は、5000系・5050系では主回路にIGBT素子(3300V/600A)を、5080系では高耐圧・低損失化を図ったIEGT素子(注入促進型ゲートトランジスタ:Injection Enhanced Gate Transistor、IGBTの一種、定格3,300V-1,200A)をそれぞれ使用したVVVFインバータ制御である。メーカーは系列によって異なり、5000系・5050系が日立製作所製VFI-HR2820B/L[21]。(1C4M2群制御仕様)またはVFI-HR1420H/W[21](同1群制御仕様)、5080系が東芝製SVF065-A0(1C4M2群制御仕様)またはSVF065-B0(同1群制御仕様)をそれぞれ搭載する。日立製は全電気ブレーキ機構を、東芝製はオール電気ブレーキ機構をそれぞれ搭載する[22]。
-
田園都市線5000系の
VVVF主制御器
(VFI-HR2820B) -
東横線5050系の
VVVF主制御器
(VFI-HR2820B) -
5000系の東芝製静止形インバータ装置
(INV146-B) -
5000系クハ5100形の
ATC-P装置/東武ATS装置
主電動機は、3000系と共通のTKM-98もしくはのTKM-99[23]で出力は190kW。起動加速度は3.3km/h/s(空車時約65km/hまで一定)、減速度は3.5km/h/s(常用最大)・4.5km/h/s(非常制動・初速120km/h時の最大減速度)。5000系東横線配属車・5050系(4000番台含む)・5080系はワンマン運転対応となっており、TASC(定位置停止支援システム)とATO(自動列車運転装置)を搭載した[24]。ブレーキは、ATOおよびTASC制御時に限り3000系と同じく15段制御[25]としている。
台車は軸箱支持装置が軸梁式のボルスタレス台車であり、3000系と同一のものを装備する。形式はTS-1019A(電動車用)、TS-1020A(制御車・付随車用)である。基礎ブレーキはユニットブレーキを使用している。
空気圧縮機 (CP) は低騒音で磨耗部分のないスクリュー式の装置を搭載、さらに箱に収めることで騒音を低減させている。補助電源装置はIGBT素子を用いた静止形インバータ (SIV) で、3000系の210kVAから250kVAと大容量化を図り、10両編成でも台数を2台に抑えた。6両編成の5080系では、ソフトウェア制御によって210kVAに出力を抑制している[10]。
搭載機器は車両情報装置 (TIS) によって集中管理・制御されており、故障時における乗務員への迅速な対応や、検修時における作業性の向上などを図り、メンテナンスフリー化を図れるものとした。また、制御伝送を行うことで車内配線の削減や軽量化などに貢献している。
いずれの系列も保安装置であるATC装置本体(5000系東横線配属車・5050系(4000番台含む)・5080系はATC/ATO装置)は上り方先頭車に搭載、下り方先頭車に増幅器を搭載して両先頭車間をTISで伝送するシステムを採用し、機器の集約化・軽量化を図っている。さらに5050系・5080系はATCの付加機能のために情報伝送装置を搭載し、両先頭車に戸閉制御切換装置を搭載している。
系列別概説
以下は2010年10月1日時点の状況である[26]。
5000系
概要
- 運用線区・所属:田園都市線(長津田検車区所属)、東横線(元住吉検車区所属)
- 営業運転開始日:2002年(平成14年)5月2日
- 在籍数:212両[27](10両編成18本、8両編成4本)
- 保安装置
- 営業最高速度:110km/h
- ラインカラー:田園都市線運用車■(ライトグリーン)、東横線運用車■(桜色)
- 種別表示器
- 5101F - 5106F・東横線用一部のサハ:幕式(現在はフルカラーLED式)
- 5107F - 5122F:フルカラーLED式
- 行先表示器
- 5102F - 5106F・東横線用一部のサハ:3色LED式
- 5101F・5107F - 5122F:白色LED式
- 案内表示:17インチLCD (TIP)[注 1] を各ドア上に2台搭載。
- 3・9号車に車椅子スペース、2・4 - 8号車にフリースペース[30]を設置。
- 東京地下鉄(東京メトロ)半蔵門線、東武鉄道伊勢崎線・日光線乗り入れ対応
- 乗り入れ先の東京メトロ半蔵門線および東武線でも自動案内放送を使用している。
- 製造当初より東武形ATSや東武線用の種別・行先表示を備えており、東武線への直通運転の用意はなされていた。
- 本系列は2007年度以降の約3年間で田園都市線に250両を順次導入する予定であったが[31]、車両計画の変更により2006年度以前に就役した車両を含めても田園都市線向け導入分は180両に留まった。その後、残存する8500系の代替は2020系導入に計画が変更された[32]。
-
行先表示器(5101F・フルカラー化後)
編成図
← 南栗橋・久喜・押上・渋谷 中央林間 →
| |||||||||||
号車 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
形式 | 5100 | 5200 | 5300 | 5400 | 5500 | 5600 | 5700 | 5800 | 5900 | 5000 | |
田園都市線 車種構成 |
5101F | Tc2 | M3 | T3 | M2 | M1 | T2 | T1 | M2 | M1 | Tc1 |
5102F以降 | Tc2 | M2 | M1 | T3N 6ドア |
T2N 6ドア |
M2 | M1 | T1N 6ドア |
M3 | Tc1 | |
東横線 車種構成 |
10両 | Tc2 | M2 | M1 | T | T | M | T | M2 | M1 | Tc1 |
8両 | Tc2 | M2 | M1 | T | T | M2 | M1 | Tc1 | - | - |
6扉車について
田園都市線では、乗降時間の短縮と混雑緩和を図るため、2005年(平成17年)2月14日より5104Fを皮切りに、6扉・座席格納車両を導入し、混雑の激しい朝ラッシュ時の急行に投入した。6扉車の連結位置は、渋谷駅の階段やエスカレーター位置の関係で特に混雑が激しい5・8号車の2両である。
2008(平成20)年度までに、5000系編成のうち17本に6扉車を組み込み、朝ラッシュ時の急行・準急15本に6扉車を投入した。ダイヤ面でも2007年(平成19年)4月5日から朝ラッシュ時の急行の一部を準急に変更し、急行への乗客集中を緩和するなどの対策を行なった。
2009年(平成21年)4月以降、6扉車を4号車にも連結し、1編成あたり3両に増やした編成を順次導入した。その後6月のダイヤ改正で6扉車連結列車は急行・準急14本となった。同年10月23日時点では、そのうち12本が6扉車3両連結編成で運行されている[33]。同年12月までにすべての6扉車連結編成を1編成あたり3両にする予定であったが、12月25日時点では5105F - 5117F・5120Fの14本が6扉車3両連結、5121Fが6扉車2両連結となっている[34]。また、5102F - 5104Fの3本は全車4扉車に組成変更された[34]。
2010年(平成22年)6月には15本が6扉車3両連結とされたが、5121Fは6扉車を抜いた8両編成として2010年(平成22年)6月20日に東横線に転出した[27]。その後、5104Fは5121Fから抜かれた6扉車2両と新製された1両(初代サハ5404)と共に6扉車3両連結に変更されている。なお、この変更で余剰となった4扉車は東横線用に転用された[26]。
6扉車の座席は折り畳み式になっているため、中央林間駅から半蔵門駅までは座席を格納して運行し、同駅を発車した時点でロックが解除され、座席を引き出して使用できるようになっている[35]。6扉車を組み込んだ編成には6扉車組み込みの旨を示すステッカー (6DOORS) を先頭車の前面と当該6扉車の客用扉上部に貼付している。このステッカーは、JR東日本からの使用承諾を得て205系などの6扉車に貼付されているステッカーと同一デザインのものを採用した。
6扉車の車内は標準の4扉車両と大きく異なる。客用扉間の側窓は縦長の開閉可能窓であり、荷棚は座席収納時にも立ち客が頭をぶつけないよう約1.9 mと高めの位置にある。また、座席数の減少に伴う座席下ヒーター数減少を補うため床暖房システムを採用している。その他つり革が増設され、座席前の通路中央には緩衝用ゴムパッドの巻かれたスタンションポール(握り棒)が5本設置されている。
6扉車導入に伴い一部車両を改番するとともに編成替えを実施し、編成から外れた4扉車は新製した編成に組み込まれた。そのため、種別・行先表示が種別表示幕式/行先表示3色LED式の車両と、種別表示フルカラーLED式/行先表示白色LED式の車両がそれぞれ混在する編成が存在する。後年編成内の6扉車を3両に増結したことに伴い、再び編成替えが実施された結果、混在編成は東横線転出分にのみ存在する。
東急では2020年(令和2年)までに東横線・田園都市線・大井町線の各駅に可動式ホーム柵を設置すると発表した。ホーム柵と扉の位置が合わない田園都市線の6扉車を廃止し、従来の4扉車に置き換えることも発表した[36]。これに伴い2016年から6扉車45両の置き換えが順次行われた。車両に関しては6扉車を除籍したうえで、代替となる4扉車を同番号で新造し差し替える形態がとられている[37]。2017(平成29)年度中に全編成が4扉編成となり、6扉車は全車廃車が完了した。
-
6扉車の車内。
中央に立つのはスタンションポール -
収納式の座席
-
JR東日本の6扉車には優先席が設定されていなかったが、本系列では車端部からドアを跨いだ最初の座席までが優先席エリアとなっていた。
写真は渋谷方の同エリアを示す。
編成表
落成当初の編成形態
- この形態で落成したのは5101 - 5106Fのみである。5102 - 5106Fは次に述べる編成替えにより、2010年7月1日現在は5101Fのみこの形態。
形式 | ← 南栗橋・久喜・押上・渋谷 中央林間 →
| |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
クハ5100形 (Tc2) |
< デハ5200形 (M) |
サハ5300形 (T3) |
デハ5400形 (M2) |
< > デハ5500形 (M1) |
サハ5600形 (T2) |
サハ5700形 (T1) |
デハ5800形 (M2) |
< > デハ5900形 (M1) |
クハ5000形 (Tc2) | |
機器配置 | VVVF | CP | SIV, BT | VVVF | CP | CP, BT | SIV, BT | VVVF | ||
車両重量 | 25.9t | 30.9t | 24.4t | 32.0t | 32.9t | 24.4t | 25.0t | 32.0t | 32.9t | 26.0t |
車両番号 (落成時点) |
5101 : 5106 |
5201 : 5206 |
5301 : 5306 |
5401 : 5406 |
5501 : 5506 |
5601 : 5606 |
5701 : 5706 |
5801 : 5806 |
5901 : 5906 |
5001 : 5006 |
- 凡例 <:パンタグラフ、VVVF:VVVFインバータ装置、SIV:補助電源装置(静止形インバータ)、CP:空気圧縮機、BT:蓄電池
- なお、凡例は各系列共通である。各系列の車両重量は最初の編成が落成した時点のものである。
6扉車組み込み後の編成形態
- 5107F以降で田園都市線用として製造された車両はこの編成形態である。5102F - 5106Fは、6扉車組み込み後はこの編成形態となる。
- 6扉車組み込み後、全4扉車編成に戻された5102F・5103Fもこの編成形態である。
- 6扉車の組み込み位置は当初サハ5500形・サハ5800形であったが、後にサハ5400形も6扉車が組まれた。
- 6扉車の車種表記はTの後にNを追加している(T3N・T2N・T1N)。
形式 | ← 南栗橋・久喜・押上・渋谷 中央林間 →
| |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
クハ5100形 (Tc2) |
デハ5200形 (M2) |
< > デハ5300形 (M1) |
サハ5400形 (T3) |
サハ5500形 (T2) |
デハ5600形 (M2) |
< > デハ5700形 (M1) |
サハ5800形 (T1) |
< デハ5900形 (M) |
クハ5000形 (Tc2) | |
機器配置 | SIV, BT | VVVF | CP | CP | SIV, BT | VVVF | CP, BT | VVVF | ||
車両番号 |
5102 : 5117 5120 |
5202 : 5217 5220 |
5302 : 5317 5320 |
5402 : 5417 5420 |
5502 : 5517 5520 |
5602 : 5617 5620 |
5702 : 5717 5720 |
5802 : 5817 5820 |
5902 : 5917 5920 |
5002 : 5017 5020 |
東横線用
- 東横線用として運用されている5118・5119・5121・5122Fは同線用の5050系に合わせた編成形態となっている。
- 5121Fは2010年6月20日に田園都市線から東横線に転配された[27]。
- 太字は3色LED車
形式 | ← 志木・飯能・和光市・渋谷 元町・中華街 →
| |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
クハ5100形 (Tc2) |
デハ5200形 (M2) |
< > デハ5300形 (M1) |
サハ5400形 (T2) |
サハ5500形 (T1) |
デハ5600形 (M2) |
< > デハ5700形 (M1) |
クハ5800形 (Tc1) | |
機器配置 | SIV, BT | VVVF | CP | CP | SIV, BT | VVVF | ||
車両番号 | 5118 5119 5121 5122 |
5218 5219 5221 5222 |
5318 5319 5321 5322 |
5418 5419 5421 5422 |
5518 5519 5521 5522 |
5618 5619 5621 5622 |
5718 5719 5721 5722 |
5818 5819 5821 5822 |
-
東横線で運用されている5000系5122編成
(2019年8月 多摩川駅) -
東横線用の5050系5178編成
(2021年3月 多摩川駅)
5050系
- 運用線区・所属:東横線(元住吉検車区所属)
- 営業運転開始日:2004年(平成16年)4月1日[38]
- 在籍数:8両編成26本(208両)[26]
- 保安装置:ATC-P、新CS-ATC、T-DATC、ATO、西武ATS、東武ATS(TSP)
- 営業最高速度:110km/h
- ラインカラー:■(桜色)
- 種別表示器:フルカラーLED式(鉄道車両としては世界初(参考文献の「車両総説」参照))
- 行先表示器:白色LED式(旅客営業車両としては日本初)
- 種別・行先表示は日本語と大文字表記の英語を交互に表示。
- 案内表示:15インチ(一部17インチ)LCD (TIP) を各ドア上に2台搭載。
- 左側はおもにCMを放映するTOQビジョン、右側は次駅・乗り換え案内・ドア開閉方向などを表示。
- 2・7号車に車椅子スペースを設置。
- 「クハ5150形」は2代目5000系と初代5000系の両方に存在する唯一の形式である。
5050系4000番台
東横線用5050系の10両貫通編成のグループで、8両編成と区別をするために新たに4000番台に区分された[39]。落成当初より東京メトロ副都心線・有楽町線[40]・東武東上本線・西武池袋線への直通運転に対応している。
なお、本番台区分公表前の文献では本グループを「4000系」と称した記述があったが[41]、番台区分公表後は「5050系」または「5050系4000番台」と記載されている。東急電鉄では本グループを「5050系(4000番台)車両」と称している[42]ほか、東急電鉄からの資料を基にした雑誌記事では東急5050系4000番台(鉄道ファン2011年7月号)または東京急行電鉄5050系4000番代(鉄道ピクトリアル、レイルマガジン2011年7月号)と記載されている。
運転台は副都心線内で使用するATO運転に対応しており、マスコン周囲にはATO出発ボタン、ドア開閉スイッチ等が配置され、運転台上部には車上ITV(ホーム監視用モニター)が設置された[39]。保安装置はATC-P/S装置に変更となり、従来のATC-P装置機能に加え、東武ATS装置・西武ATS装置の機能が追加されている[39]。無線装置は空間波無線装置に加え、東京地下鉄線内で使用する誘導無線装置が追加された[39]。
- 第1編成は2011年4月に落成。当初は田園都市線で試運転を実施していたが[43]、8両編成に組み替えられて同年9月に営業運転を開始した[44]。
- 第2編成は2011年8月に東武東上線で試運転が行われ[45]、9月には西武池袋線で試運転を実施した[46]。その後、8両編成に組み替えられている[47]。なお、この第2編成は2013年5月に通常は運用に就かない西武池袋線の飯能以西および西武秩父線で試運転を行なった[48]。
- 第3編成・第4編成は2012年5月より東京メトロ有楽町線で試運転が実施され[49][50]、その後第3編成については8両編成に組み替えられ[47]、第4編成については同年9月10日より副都心線・西武線での先行営業運転を開始した[51]。また、第5編成・第6編成も落成し[52][53]、第5編成は同日より有楽町線・東武東上線での先行営業運転を開始している[54]。
- 第1編成 - 第4編成は編成中9両が新製車両であるが、中間車のデハ4601 - 4604は前述したサハ5469、サハ5473、サハ5474、サハ5472を改番・編入したものである。
- 第10編成は、渋谷ヒカリエ開業1周年記念特別列車「Shibuya Hikarie号」であり、1周年にあたる2013年4月26日から営業運転を開始した[56]。編成は、従来の5050系4000番台と同じであるが、車体断面幅は、従来の5050系4000番台から20mm狭い2,800mmとして5000系・5080系と同一としており、田園都市線をはじめとした東急線内への乗り入れが可能となっている。カラーリングは「渋谷ヒカリエ」をイメージしたゴールドをメインカラーとし、「渋谷ヒカリエ」など、渋谷を代表するビルの外観をデザインしたラッピングを施している。腰掛のモケットにランダムストライプとカラフルな矩形模様が散りばめられ、床敷物は、キラキラと光る粒子を練りこんだ多様性を表現した切り替えパターンのある床敷物を採用し、吊手は、従来車と異なる丸形吊手を「クリア」・「シック」・「アクティブ」の3パターン用意した上で、「クリア」は、紺と白を交互に配置し、「シック」は紺一色とし、「アクティブ」においては、萌黄色・茶・黒・グレー・緑・紺・白・赤を配置し、側天上部に色とりどりの板を取り付け、にぎやかなデザインとしている。また、乗客を楽しませる要素として、編成に1箇所の手すりだけにキラリと光るハートマークを刻印し、「見付けると幸せになれるかもしれない」というメッセージをこめて乗客に対するエンタテインメント性を持たせている。これらの違いから通常車両とは大きく異なり異彩を放っている[57][58]。
-
Shibuya Hikarie号の車内(クハ4110)
編成表
5050系(2019年8月27日現在)
- 2010年度製造分のうち、5170F・5171Fの4・5号車、5172Fの4号車に連結されている付随車(サハ)は、田園都市線用5000系編成への6扉車連結により余剰となった車両を改番して組み込んだ[26]。
- 当初、田園都市線用5000系編成への6扉車連結による組み換えにより東横線に転属になった、5000系から外れたデハ5900(1M車)をパンタグラフを撤去して使用していたサハ5469、サハ5473、サハ5474、サハ5472はそれぞれデハ4601 - デハ4604に再改造(後述)。
- 2013年度製造分のうち、5176Fの5号車(サハ5576)は、東急電鉄と総合車両製作所が共同で開発した次世代ステンレス車両「sustina」(サスティナ)の日本国内向け第1号車として製造されたものである[59]。
- 元住吉駅での追突事故のため、5155Fは編成ごと廃車となった。
- 5155編成代替のため、2017年に5177Fが製造された。また、2019年には5178Fが製造された[60]。
- 上記事故で追突され、廃車となったY516Fの代替として5156Fが譲渡された。但し所属基地と運用の変更はない。
形式 | ← 志木・飯能・和光市・(東横線)渋谷 (副都心線)渋谷・元町・中華街 →
| |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
クハ5150形 (Tc2) |
デハ5250形 (M2) |
< > デハ5350形 (M1) |
サハ5450形 (T2) |
サハ5550形 (T1) |
デハ5650形 (M2) |
< > デハ5750形 (M1) |
クハ5850形 (Tc1) | |
機器配置 | SIV, BT | VVVF | CP | CP | SIV, BT | VVVF | ||
車両重量 | 26.3t | 32.1t | 32.8t | 24.7t | 24.7t | 32.1t | 32.8t | 26.4t |
車両番号 | 5151
: 5154 5157 |
5251
: 5254 5257 |
5351
: 5354 5357 |
5451
: 5454 5457 |
5551
: 5554 5557 |
5651
: 5654 5657 |
5751
: 5754 5757 |
5851
: 5854 5857 |
5050系4000番台(2020年4月1日現在)[61]
形式 | ← 小川町・和光市/飯能・(東横線)渋谷 (副都心線)渋谷/(有楽町線)新木場・元町・中華街 →
| |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
クハ5150形 (Tc2) |
デハ5250形 (M2') |
< > デハ5350形 (M1) |
サハ5450形 (T3) |
サハ5550形 (T2) |
< デハ5350形 (M) |
サハ5550形 (T1) |
デハ5650形 (M2) |
< > デハ5750形 (M1') |
クハ5850形 (Tc1) | |
機器配置 | SIV, BT | VVVF | CP | CP | VVVF | CP,BT | SIV, BT | VVVF | ||
車両重量 | 27.8t | 32.7t | 33.6t | 26.3t | 26.1t | 33.5t | 26.5t | 32.7t | 33.5t | 27.6t |
車両番号 | 4101 : 4110 |
4201 : 4210 |
4301 : 4310 |
4401 : 4410 |
4501 : 4510 |
4601 : 4610 |
4701 : 4710 |
4801 : 4810 |
4901 : 4910 |
4001 : 4010 |
5080系
- 運用線区・所属:目黒線(元住吉検車区所属)
- 営業運転開始日:2003年(平成15年)3月13日
- 在籍数:6両編成10本(60両)(増結2両対応)
- 保安装置:ATC-P・新CS-ATC・ATO
- 営業最高速度:110km/h
- ラインカラー:■(紺)
- 種別・行先表示器
- 種別:フルカラーLED式、行先:白色LED式(以前は5181F・5182Fは前面の種別は幕式、行先は白色LED式となっていた。 側面…3色LED式(種別と行先は一体))
- 前面の種別表示は、2006年9月24日までは目黒線上りのみ乗り入れ先の路線名(「三田線」もしくは「南北線埼玉線」/「南北線」)を目黒到着時まで表示し[62]、下りは無表示としていたが、翌25日の急行運転開始以降は目黒線内での乗り入れ先の路線名の表記をやめ、代わりに列車種別を表示している。「各停」表示は当初は緑色の背景に白文字となっていたが現在は■青色の背景となっている。ただし、フルカラーLED搭載編成が「各停」の表示を行う場合、5183Fは背景色が■黄緑色なのに対し、5184F以降は背景色が■エメラルドグリーンであった。なお、白金高輪始発の三田線内発着・南北線埼玉線内発着の場合は種別表示を行わない。
- 前面と側面の行先は、ともに一定間隔で日本語表記と交互にローマ字表記を表示する。
- 案内表示
- 15(一部は17)インチLCD (TIP) を各ドア上に2台(左側は広告表示)搭載
- 2・5号車に車椅子スペースを設置。
- 以前はドアチャイムは、5181F・5182Fは3000系、5183F - 5190Fは5000系・5050系とそれぞれ同様のものであったが、現在はすべて5000系のドアチャイムに統一してある。
- 東京メトロ南北線・埼玉高速鉄道線・都営三田線乗り入れ対応
- 室内側面側の化粧板(柄)や座席(濃いピンク系統)や座席袖仕切り(薄いピンク色)は暖色系であるのに対し、妻面化粧板(柄)や案内表示器などは薄い青系統の色である。床は青色である。
-
5080系5190編成。
(2019年8月 多摩川駅)
編成表
形式 | ← 浦和美園・赤羽岩淵/西高島平・目黒 日吉 →
| |||||
---|---|---|---|---|---|---|
クハ5180形 (Tc2) |
< デハ5280形 (M) |
サハ5380形 (T) |
デハ5480形 (M2) |
< > デハ5580形 (M1) |
クハ5680形 (Tc1) | |
機器配置 | VVVF | SIV, CP, BT | SIV, CP, BT | VVVF | ||
車両重量 | 26.3t | 30.9t | 28.2t | 33.3t | 32.9t | 26.4t |
車両番号 | 5181 : 5190 |
5281 : 5290 |
5381 : 5390 |
5481 : 5490 |
5581 : 5590 |
5681 : 5690 |
年表
2001年度
5000系10両編成1本が量産先行車的な意味合いで田園都市線に導入された。
2002年度
2003年3月19日の東武線直通運転開始までに、5000系10両編成5本が田園都市線に導入された。これにより、田園都市線の既存車両の一部が廃車または他線区へ転属となった。具体的には、8500系初期車2本が同系列初の廃車となったほか、8500系後期車4本が大井町線へ、8590系2本が東横線へ転属し、大井町線・東横線の8000系を置き換えた。
また、東急他3者が制定した「相互直通運転における目黒線・南北線・三田線・埼玉高速鉄道線との直通車両申し合わせ事項」を満たした、目黒線仕様の5080系が登場し、2003年3月19日ダイヤ改正による朝ラッシュ時の増発に合わせて、6両編成1本が導入された。
2003年度
東横線仕様の5050系が登場し8両編成3本が導入された。導入の目的には東横線の競争力アップという目的も含まれている。5050系の導入により8000系2本が廃車となった。
なお、5050系登場の2か月前から、5000系をベースに設計されたみなとみらい線Y500系電車が東横線へ乗り入れている。
また、3000系の検査入場に伴う予備車確保を目的として、目黒線に5080系6両編成1本が導入された。
本年度は田園都市線用の5000系の導入は行なわれなかった。
2004年度
田園都市線の朝ラッシュ時の混雑を緩和するため6扉車が導入されることになり、5000系の既存編成の1本 (5104F) に新造した6扉車2両が組み込まれた。また、新たに6扉車2両を組み込んだ5000系1本が導入された。この編成には5104Fで余剰となった通常の4扉車1両が転用されている。
5104Fで余剰となったもう1両の4扉車は2006年度に導入された5000系に転用された。以降、2008年度までに導入された5000系の新造編成には、既存の編成に対する6扉車組み込みで余剰になった4扉車が1両ずつ組み込まれている。
東横線には5050系8両編成5本が導入された。これにより、8000系5本が廃車になったほか、8590系1本が大井町線に転属し同線の8000系1本が廃車になった。
2006年度
田園都市線に5000系3本が導入された。2004年度の6扉車導入実績を鑑みて、本年度も引き続き6扉車の増備が実施されている。また、既存編成の1本に対しても6扉車の組み込みが行なわれた。
東横線には5050系8両編成7本が導入された。これにより、5050系は15本になり東横線用車両(日比谷線直通用を除く)としては9000系を超え最大勢力になった。また、8000系2本が廃車、8590系が東横線から撤退し大井町線・田園都市線に転属した。8590系が撤退、8000系が3本までに淘汰されたため、2006年9月25日のダイヤ改正で日中のスピードアップが実現した。
目黒線には、2006年9月25日のダイヤ改正(急行運転開始)に伴う増発用として5080系6両編成2本が導入された。
2007年度
田園都市線に5000系10両編成4本、東横線に5050系8両編成3本が導入された。これにより、田園都市線では一部の8500系が廃車となったほか、6扉車が組み込まれた5000系を導入することにより、朝ラッシュ時の混雑緩和が図られた。また、東横線では8000系3本が廃車となり、東横線の8000系は全廃となった。
本年度はこのほかに5000系をベースにした6000系が大井町線に、7000系が東急多摩川線・池上線に導入された。詳細は東急6000系電車 (2代)・東急7000系電車 (2代)を参照。
2008年度
田園都市線に5000系10両編成4本(編成中に6扉車2両組み込み)が導入された。このうち5115F・5116Fの2編成は既存の5102Fへの6扉車組み込みにより余剰となった4扉車が1両ずつ組み込まれている。一方、5117F・5120Fは5106F以来の完全な10両新製編成となった[63]。これにより、本年度も8500系の廃車が発生した。
目黒線には、2008年6月22日の武蔵小杉駅 - 日吉駅間延伸開業に伴う増発用として5080系6両編成6本が増備された。
2009年度
田園都市線に5000系10両編成1本が導入されたほか、田園都市線用5000系の6扉車を1編成中2両から3両に増結するため、5000系の6扉車が8両新製された。また、従来5050系が導入されてきた東横線に初めて5000系が8両編成3本導入された[64]。
6扉車の増結は、これまで6扉車が組み込まれた5号車と8号車に次いで混雑の激しい4号車の混雑緩和のために行なわれ、従来6扉車が2両組み込まれていた17本のうち14本に6扉車が増結された一方で、5102Fから5104Fの3本は全車両4扉車に戻された[64]。なお、1本 (5121F) の6扉車は2両のままで、増結は行われていない。
具体的には2008年度末の時点では田園都市線用の5000系は18本あり、そのうち全車両4扉車の編成が1本、6扉車が2両組み込まれた編成が17本であった。これが、6扉車の増結が終わった2009年12月の時点では、全車両4扉車の編成が4本、6扉車が3両組み込まれた編成が14本、6扉車が2両組み込まれた編成が1本となった[64]。
東横線へ導入された8両編成3本(5118F・5119F・5122F)には、前述の6扉車増結にともなう編成替えで余剰となった4扉車8両のうち、5両が中間に組み込まれた[64]。
- 5000系 2009年度以降の動き
路線・両数・扉数 | 2008年度末 | 2009年12月 | 2010年7月 | |
---|---|---|---|---|
田園都市線用 10両編成 |
全車4扉車 | 1本 (5101F) | 4本 (5101F - 5104F) | 3本 (5101F・5102F・5103F) |
6扉車 2両組込 | 17本 (5102F - 5117F・5120F) | 1本 (5121F) | ||
6扉車 3両組込 | 14本 (5105F - 5117F・5120F) | 15本 (5104F - 5117F・5120F) | ||
東横線用8両編成(全車4扉車) | 3本 (5118F・5119F・5122F) | 4本(5121Fが追加転入) |
2010年度
東横線へは5169F - 5174Fまでの8両編成6本が導入された。このうち5169・5173・5174Fは8両編成で投入されたが、5170 - 5172Fは中間のサハ5450形・5550形を抜いた6両編成で新製し、田園都市線における6扉車3両増結に伴う編成替えで余剰となった4扉車をサハ5450形・5550形として組み込んで8両編成化した[65]。
田園都市線では、唯一6扉車2両組込み編成であった5121Fからデハ5921号と6扉車サハ5521号・5821号を抜いた7両編成とし、前年度の編成替えで余剰となっていた4扉車1両を組み込んだ8両編成として東横線に転属した。
また、全車両4扉車編成となっていた5104Fには先述した5121Fから捻出した6扉車2両と、新製した6扉車5404号車を組み込んで再度6扉車組み込み編成化した。この編成替えにより、田園都市線の5000系はすべて6扉車3両組み込み編成となった[65]。なお、これらの編成替えで余剰となった5000系中間車4両も同年度新製の5050系中間車へと転用された。
2011年度
東横線用に4000番台含め68両が導入された[42][66]。
2012年度
東横線用に30両が導入された[67]。この導入により、東急の総車両数の約半数が環境配慮型車両となった。
2013年度
東横線用に5050系5176編成(サハ5576はsustina)と4110編成「Shibuya Hikarie号」の、合計18両が導入された[68]。この車両よりハイバック座席にヘッドレスト装着され、窓下に「TOKYU corporation」が貼られている。
2015年度
2015年5月13日に発表された東急電鉄の2015年度設備投資計画において、5000系6扉車45両の4ドア車への置き換えに着手する予定であることが盛り込まれている[69]。
2016年度
2016年5月13日に発表された東急電鉄の2016年度設備投資計画においても、引き続き5000系6扉車の4扉車への置き換えを進めるとしている[70]。また、東横線向けの5050系5177Fが同年9月に製造された[71]。この車両より全車に車椅子スペースが設置され、2号車は2箇所設置された。
2017年度
2017年5月をもって、5000系6扉車の4扉車への置き換えが完了した[72]。また、2014年2月15日に発生した東急東横線元住吉駅追突事故で廃車となった横浜高速鉄道Y500系Y516Fの代替として、2018年3月に5050系5156FをY517Fに改造(塗装変更)した上で譲渡された[73]。ただし、所属は元住吉検車区のまま引き続き移籍前の運用に就いている。なお、書類上は2017年5月31日付で譲渡[74]、同日付で横浜高速に入籍している[75]。同じく元住吉の事故で被災した5155Fは、2017年7月28日付で廃車となっている[74]。
2019年度
2019年8月に5178Fとデハ4611・サハ4711が製造され、同月27日に踏切事故で損傷していたサハ5518の11両が総合車両製作所横浜事業所から出場した[76][60]。この車両より、2020系の意匠を取り入れ、ハイバック座席は継続するものの、ヘッドレストは整髪料で汚れると言う理由で未装着になり、窓下の「TOKYU corporation」ロゴも外されている。なお、4611と4711は営業運転しておらず、緊急予備車となっていたが[77]、4611と4711はその後5173Fに組み込まれる形で、5173Fは同時に4111Fに改番され、2020年7月から営業運転を開始している。
設計変更一覧
- 各次車の車両番号は入籍当初を記載しており、5000系は6扉車導入に伴い、一部で車両番号の変更が実施されている。
2次車
- 5102F - 5106F、5181F[78]
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/8/88/Tokyu5000roof.jpg/240px-Tokyu5000roof.jpg)
手前がフラット屋根の7号車、
奥がビード屋根の8号車(鷺沼駅)
- 目黒線仕様(5080系)の設定
- 車体幅の拡大、客用扉間隔の変更[79]、客用扉下部へのスロープの設置[80]、ジャンクションボックス形状の変更
- 前面非常扉の窓を拡大[81]、ワイパー形状を変更[81]、側面の種別表示器の大きさを拡大[82]、車外の幕板部のラインカラーを車側灯部で切らずに1本で通し[83]、車端部のラインをやや延長[84]
- 屋根の水はけの比較試験のため5101Fでビード屋根を基本として4・5・7・9号車ではフラット屋根を採用したが、2次車からビード屋根を採用した。
- フリースペースの設置[85]、客用扉上部LCDモニタの増設(1台→2台)[86]、車内消火器格納方法の変更(室内側が出っ張る)、車内広告枠レールの変更(視認性向上)、ATC/ATS非常運転スイッチの変更
- 運転台へのDoPaアンテナの取り付け、日立製VVVFインバータ装置の筐体変更
- 5101Fも後に非常扉の交換やフリースペースの設置、モニタの2画面化などの改造を実施した。
- 5000系の補助電源装置 (SIV) を5080系と同一の出力210/250kVA兼用のものに変更
3次車
- 5151F - 5153F、5182F
- 東横線仕様(5050系)の設定
- 座席下の暖房器を斜め吊りに変更(暖房効率向上)、車内消火器格納方法の変更(5101F同様に室内側をフラット化)
- 前面のFRP成形品部を金色から銀色に変更
- 前面車番表記に路線ラインカラーの■を追加(2次車までの車両も貼り付けを実施)
4次車
- 5107F(9両編成)、サハ5504・5804号(組替え用6扉車)、5154F - 5158F
- 下り方先頭車の排障器(スカート)の変更、奇数編成の三菱製冷房装置を小型化した新型に変更、5000系の車外行先表示器を5050系と同じフルカラーLED式に変更
- 5000系の車内床を5050系と同デザインに変更、5000系の側窓内側キセ(窓枠)を5050系と同じつやありに変更、5000系の座席を5050系と同じ形状に変更、5050系妻鴨居部分のカラー変更、正面非常用貫通扉への遮光カーテンの取り付け、運転台座席の変更、ラインデリア整風板をポリカーボネートからアルミに変更(火災対策対応)、吊り手のうち短いもののネジ止め方法の変更
- 5000系2次車は6扉車の組み込みに伴う編成位置の入れ替えに伴って車内の改造が施工されている。車椅子用車両として3・9号車が指定されていることから、車椅子スペースを持つ5300形(3号車)は5400形(4号車)への改番に伴って同部分のフリースペース化、フリースペースを持つ5200形(2号車)は5900形(9号車)への改番に伴って同部分の車椅子スペース化がそれぞれ実施されている。なお、5900形(9号車)は5300形(3号車)への改番に伴う改造は行われていない。
- この編成替えでサハ5300形に設置していた半蔵門線用の誘導無線アンテナをサハ5400形への設置に変更した。このアンテナは2010年7月現在、5101Fは5300形、それ以外は5400形に設置されている。
5次車
- 5108F - 5110F(9両編成)、サハ5506・5806号(組替え用6扉車)、5159F - 5165F、5183F・5184F
- 車内貫通扉を自動で閉まる傾斜式に変更(火災対策対応)、ラインデリア整風板の変更(2度目)、吊り輪の変更、吊り手のうち短いもののネジ止め方法の変更(2度目)、優先席へのつかみ棒[87]の設置と握り棒をカーブを帯びたものに変更、5080系へのTIPモニター搭載、5080系のドアチャイム変更(5000系・5050系と同一となる)、荷棚端部の握り棒処理変更、消火器変更
- 6扉車は荷棚の幅をドアの手前まで拡大し、物を載せやすくした。
- 5080系5183F以降は同系列で初めて転落防止幌を装着。
- 5000系5106Fは6ドア車に仕様を合わせていずれも傾斜レール機構付の貫通扉に変更。なお、5次車に組み込まれた5409・5410号も同様の改造が実施された。
6次車
- 5111F - 5114F(9両編成)、サハ5503・5803・5505・5805号(組替え用6扉車)、5166F - 5168F、5185F - 5187F
- 客用扉窓が複層化され、窓周りの凹面がなくなる。客用扉内側が化粧板仕上げとなり、戸当たり部分にはJRE233系と同様に黄色のマーキング、クツ摺り部に黄色のマーキングを貼り付け、連結面貫通扉も同様に化粧板仕上げに変更。また5167F以降では客用扉内部に号車番号が表記された点字ステッカーが貼付された[88]。
- 車側灯を電球2個からLEDに変更(Y500系を含む5次車以前の車両も交換)。
- 編成替えを実施した5105F・5103Fも化粧板付で自動閉機構付の貫通扉に交換(ただし、クハ5000形のみ扉の交換は実施せず)、側引戸の戸当たり部とクツ摺り部に黄色のマーキング追加を実施。なお、6次車に組み込まれたサハ5411 - 5414も同様の改造が実施された。
-
5080系6次車、5185Fの車内
-
5185Fの優先席部
7次車
- 5115F・5116F(9両編成)、5117F・5120F(10両編成)、サハ5502・5802号(組替え用6扉車)、5188F - 5190F
- 客用扉鴨居下部にドア開閉表示灯の設置
- 編成替えを実施した5102Fも前述した5105F・5103Fの改造に加え、ドア開閉表示灯の設置が実施されている。なお、7次車に組み込まれたサハ5415・5416も同様の改造が施工されている。
- 排障器(スカート)を強化型に変更
- 電動空気圧縮機を、スクリュー式からスクロール式に変更
- 座席横の仕切り板形状を、6000系と同等品の物に変更
- 一般席部の座席周りの手すりを、優先席部同様にカーブを帯びた形状に変更
- 座席前の低い方のつり革高さを、床面上1,530mmから1,580mmに変更
- 非常用梯子の小型化
- 5000系の車掌スイッチをリレー式に変更(その後、全編成でリレー式への改修を実施)
- TIPカバーの形状変更(表面の段差をなくす)
-
5000系7次車(デハ5216号)の車内
袖仕切の変更やつり革高さの変更が見られる
8次車
- 5118F・5119F(6両編成)、5121F(10両編成)、5122F(7両編成)、サハ5405 - 5410・5417・5420号(組替え用6扉車)
- 7次車からの大きな仕様変更はない。
- 東横線用の5000系は余剰となった5000系中間車を組み込むため、新製車は8両以下となっている。
2010年度製造分
- サハ5404号、5169F・5173F・5174F(8両編成)、5170F - 5172F(6両編成)[65]
- 5050系では2013年3月16日から開始された東京メトロ副都心線への乗り入れのため、同線へのワンマン運転対応機器が追加されている。
- 運転台に車上ITVモニター画面の設置、ワンマン運転対応機器の設置などレイアウトの大幅な変更を実施。
- 車上ITVモニター設置に伴い先頭車前面窓上部に遮光フィルムを貼り付け[65]。
- 乗務員室仕切りの大窓と扉窓が5080系と同じ遮光ガラスに変更された。
-
副都心線対応となった運転台
(画像は改造で対応となった編成の同一品) -
運転台上部に取り付けられた車上ITVモニター
2011年度製造分
2015年度製造分
以下は東横線在籍の5177編成(2017年度製造)独自の変更点である。
- 主電動機が全密閉式に変更(TKM-16A)
- 先頭車に排障器一体型の雪かきを設置
-
ヘッドレストを装備したハイバックシート
sustina試験車
2013年度製造分の中のうちサハ5576号は、東急電鉄と総合車両製作所(J-TREC)が共同開発した次世代ステンレス車両「sustina」を採用した第1号車両である[59]。2013年5月中旬に東横線に導入された。
車体
従来の軽量ステンレス構造を基本にしながら、構体構造の見直しや妻面(妻構体)にビード付き外板の採用、室内艤装構造の見直しにより、車両重量を0.5t軽量化(従来の26.0tから25.5tに)しており、アルミニウム合金車体並みの軽量化を達成している[90][91]。
従来、ステンレス車両の組み立てにはスポット溶接が使用されてきており、外板同士の接合には外板同士を重ねてスポット溶接を行うため、「せぎり」とよばれる継ぎ目が多数存在した。しかし、「sustina」では外板同士をレーザー溶接によって すべて連続溶接することで、継ぎ目のないフラットな外板となっている。
外板同士の継ぎ目個所には、雨水などが侵入するのを防ぐため、シーリング処置を行っていたが、シーリング材は経年によって劣化するため、定期的に補修が必要であった。しかし、外板同士を連続溶接することで継ぎ目がないため、このような作業が不要となるため、メンテナンス性が大幅に向上している。また、車体の凹凸が少ないことから、外観見付けの向上も図られている。
レーザー溶接は側面外板全体(車体長19.5m)、側窓枠および側出入口フレーム、妻面外板(従来3枚の板から構成を1枚の板化)、妻面外板と幌枠(連結幌取り付け枠)の接合に使用されている。また、従来工法では雨樋を車両限界内に収めるため、側構体を車体中央に向けて1度傾斜させた台形断面構造となっていたが、「sustina」では側構体と屋根構体の接合方法の見直しにより、側構体を垂直に立ち上げることで室内スペースの拡大が図られている(車両定員1名増加)。
内装
客室内は構体の剛性向上と万が一の側面衝突事故発生時における乗客の安全性を確保するため「内装ロールバー構造」を採用した[90][91]。これは左右の側構体間を連結する補剛材に袖仕切板、スタンションポール(縦握り棒)荷棚受けなどに曲面を描いたポール(補強棒)で結んだもので、万が一の衝突事故時の安全性向上と内装デザインとの調和を図っている。
袖仕切板などの内装品の取り付けには、つり溝を利用したボルトナット固定方式やネジ座が動くフローティングボルト・ナット方式を採用し、作業性の向上を図るとともに車内での穴開け作業を不要とすることで、切り粉の発生をなくしている[90][91]。天井ダクトや天井部、妻面、配線類は現車組立てとせず、あらかじめ外部で製作を行った後、車体に取付ける形で組立てるモジュール化を採用しており、作業の効率化が図られている。
荷棚上の側面天井部は、開閉可能な構造としており、組み立て時における作業性の向上や将来の配線追加工事が行われる場合にも容易に対応できる構造となっている。内装デザイン向上のため、荷棚受け、つり手棒受けなどの内装品はビスの頭が乗客から極力見えない構造としている。荷棚高さは使いやすさの向上のため、床面高さ1,748mmから53mm低くした1,695mmに変更した。
客室照明にはLED照明を採用しており、消費電力を従来に比べて約40%削減している。以前は中間車1両につき灯具が24灯設置されていたが、22灯に減らされている。車内照度は従来と同等となっており、省エネルギー化が図られている。連結面貫通扉は従来、傾斜式戸閉装置を採用してきたが、乗客から操作が重いとの意見があったことから、ばねの巻き取り力で動作する水平式戸閉装置を採用している[90][91]。
-
「sustina」を採用したサハ5576号。
(2013年9月29日 自由が丘) -
サハ5576号の車内、左側の袖仕切り板から左右の荷物棚を経由して、右側の袖仕切り板に繋がっているのが内装ロールバーであり、左右の荷物棚付近で、その一部が車体側面に繋がっている。
-
サハ5576号の車内の妻面の上には、車両番号の表示の下にsustinaの表示がある。
特殊運用・ラッピング
- 田園都市線用の5101Fの運用開始から1か月間は「Series 5000 Debut!」とデザインされたヘッドマークを装着して運用された[2][92]。
- 東横線においては5050系5151F・5152Fが運用開始から1か月間「5050系 デビュー」と表記された2編成で異なるデザインのヘッドマークを装着して運用された[38]。
- 2007年7月12日から翌2008年6月30日まで、5050系5159Fが「東横線開業80周年記念電車」として運転された。この編成には先頭車の前面にヘッドマークが装着され、ドアと窓の間には東横線各駅の周辺の風景イラストのステッカーが貼付された。なお、運転開始初日には渋谷から元住吉まで招待制の記念列車に充当された。
- さらに同年7月21日から8月31日まで「仮面ライダー電王スタンプラリー」が開催されたことに伴い、5050系5160Fが「仮面ライダー電王ラッピングトレイン」として運転された。
- 同年11月15日から12月20日まで5050系5165Fがアニメーション映画『えいがでとーじょー! たまごっち ドキドキ! うちゅーのまいごっち!?』の広告車両となった。
- 2007年7月15日運転分からの「みなとみらい号」(埼玉高速鉄道浦和美園駅発着列車)では、埼玉高速鉄道2000系に代わって5080系で運用されている。ただし、同日分の「みなとみらい号」は台風の接近により運転中止となったため、実際に運用されたのは同年10月27日からである。前面のヘッドマークは車内側から掲出されていた。種別・行先表示器の表示は復路は「急行 浦和美園」となっていたが、往路は「急行 元町・中華街」ではなく「臨時」であった。
-
「みなとみらい号」の運用に就く5080系
(2007年12月24日 新高島駅)
脚注
注釈
- ^ 運用開始当初は15インチ
出典
- ^ 編集部「5月のメモ帳」『鉄道ピクトリアル』第52巻第8号(通巻720号)、電気車研究会、2002年8月1日、118頁、ISSN 0040-4047。
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- ^ TOKYU NEWS 2002/05/10 2002年度の鉄軌道事業設備投資計画は総額364億円
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- ^ 5000系1次車の数値。5000系2次車以降および5080系、5050系4000番台の4110Fは2,778mm、5050系は2,798mmと異なる。
- ^ ただし、両先頭車の運転席寄り扉とその隣の扉間は3,500mmのままである。
- ^ ただし、この車両限界は左右動を抑えた車両にのみ適用可能とされている。
- ^ 5080系特集! その6。(レールファン東急)(インターネットアーカイブ・2004年時点の版)
- ^ 2004年度以降に新製した近郊タイプ。
- ^ 2007年度製造の5112Fと5166Fは偶数編成であるのにも関わらず三菱製の空調装置を搭載する。また、5000系では後述の6扉車組み込みに伴う編成替えによって編成内に2社の空調装置が混在する編成も存在する。
- ^ 鉄道業界初!ソフトバンクの4Gデータ通信に対応した LED蛍光灯一体型の防犯カメラを東急電鉄所属の全車両へ導入完了! - 東京急行電鉄ニュースリリース 2020年7月27日
- ^ 大窓は下降式の遮光板、仕切扉窓はロールカーテン式。
- ^ a b 2011年度増備車以降で採用。スペクトラム拡散により磁励音が従来車に比べ静粛化されている。「東京急行電鉄5050系『Shibuya Hikarie号』」『鉄道ピクトリアル』2014年2月号(通巻886号)
- ^ 基本的な原理は同じだがメーカーによる名称の違いによる。
- ^ 相互に互換性があり、検査の際に相互に入れ替わる場合もある。
- ^ 実際の東急目黒線内ではATO装置の駅停車制御機能(TASC機能)のみを使用している。
- ^ 手動制御時は7段。TASC制御中のブレーキ段数は運転台モニタに表示(ATO時も運転台左のブレーキ段数表示器が表示される)。
- ^ a b c d 交通新聞社『鉄道ダイヤ情報』2011年1月号「私鉄DATA FILE」
- ^ a b c d 交通新聞社『鉄道ダイヤ情報』2010年10月号「私鉄DATA FILE」
- ^ 東急5000系5122編成が東横線で営業運転を開始(railf.jp)
- ^ 東急5000系5118編成が東横線で運用開始(同上)
- ^ 車椅子スペース同様に座席のない場所。違いは窓下の手すり、埋込ヒーター、非常通報器の有無などがある。朝ラッシュ時には混雑緩和として、日中はベビーカーや大きな荷物を持った人への配慮とされている。
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- ^ 2018年春、田園都市線に新型車両「2020系」を導入します (PDF) - 東京急行電鉄ニュースリリース 2017年3月17日
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- ^ これは平日の朝ラッシュ時の運行時のみで、日中および土休日は始発駅から座席が引き出された状態で運行する。
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- ^ 有楽町線小竹向原駅 - 新木場駅間での定期運用は2013年3月16日以降は設定されていないが、直通開始前に東武・西武に貸し出された際には定期運用で乗り入れており、それ以後も稀にダイヤが乱れた際に新木場発着となることがある。
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- ^ ジェー・アール・アール編『私鉄車両編成表 2018』交通新聞社、2018年、198頁。
- ^ 【東急】5050系5178編成ほか11両が甲種輸送される|2nd-train
- ^ 鉄道ファン2020年8月号・「私鉄車両編成表」・「私鉄車両の動き」より
- ^ 各次車分類区分についてはJTBパブリッシング「東急ステンレスカーのあゆみ」を参照
- ^ 5000系2次車特集! その4。(レールファン東急)(インターネットアーカイブ・2004年時点の版)
- ^ 5000系2次車特集! その3。(レールファン東急)(インターネットアーカイブ・2004年時点の版)
- ^ a b 5000系2次車特集!。(レールファン東急)(インターネットアーカイブ・2004年時点の版)
- ^ 5000系2次車特集! その8。(レールファン東急)(インターネットアーカイブ・2004年時点の版)
- ^ 5000系2次車特集! その9。(レールファン東急)(インターネットアーカイブ・2004年時点の版)
- ^ 5000系2次車特集! その7。(レールファン東急)(インターネットアーカイブ・2004年時点の版)
- ^ 5000系2次車特集! その5。(レールファン東急)(インターネットアーカイブ・2004年時点の版)
- ^ 5000系2次車特集! その6。(レールファン東急)(インターネットアーカイブ・2004年時点の版)
- ^ 鉄道総合技術研究所と東急車輛の共同研究によるユニバーサルデザイン。東急車輛製造社内報:東急車輛ニュースADVANCE NO.239 2006年7月号 p10 (PDF)
- ^ Y500系のものとは異なる。後に既存編成にも貼付された。
- ^ a b c 鉄道ファン通算665号付録「新車カタログ2016」
- ^ a b c d いずれも日本鉄道車両工業会「車両技術」246号「東京急行電鉄 5050系5576号車 次世代ステンレス車両sustina」13-22頁。
- ^ a b c d いずれも日本鉄道技術協会「JREA」2013年11月号「次世代国内向けステンレス車両(東急電鉄5576号車)の概要」35-38頁記事。
- ^ 5000系特集! vol.9 その2。(レールファン東急トピックス)(インターネットアーカイブ・2004年時点の版)
参考文献
- 5050系・5080系
- 市川裕幸 「新車ガイド 東京急行電鉄5000系」『鉄道ファン』2002年6月号(通巻494号)、交友社。
- 水田大地 「東京急行電鉄5000系」『鉄道ピクトリアル』2002年7月号(通巻719号)、鉄道図書刊行会。
- 交友社編集部 「CAR INFO 東急電鉄 目黒線用5080系」『鉄道ファン』2003年3月号(通巻503号)、交友社。
- 神尾純一 「東京急行電鉄5000系・5080系」『鉄道ピクトリアル』2003年10月臨時増刊号(通巻738号)特集・鉄道車両年鑑2003年版、鉄道図書刊行会。
- 今野雅夫 「東京急行電鉄5000系の概要」『鉄道ピクトリアル』2003年12月号(通巻740号)、鉄道図書刊行会。
- 神尾純一 「東京急行電鉄 5000系電車」『車両技術』2002年9月号(通巻224号)、日本鉄道車輌工業会。
- 5050系
- 交友社編集部 「CAR INFO 東京急行電鉄5050系」『鉄道ファン』2004年5月号(通巻517号)、交友社。
- 望月利明 「東京急行電鉄5050系」『鉄道ピクトリアル』2004年10月臨時増刊号(通巻753号)特集・鉄道車両年鑑2004年版、鉄道図書刊行会。
- 5000系6扉車
- 望月利明 「新車ガイド 東京急行電鉄5000系6扉車」『鉄道ファン』2005年5月号(通巻529号)、交友社。
- 望月利明 「東京急行電鉄5000系6ドア車」『鉄道ピクトリアル』2005年10月臨時増刊号(通巻767号)特集・鉄道車両年鑑2005年版、鉄道図書刊行会。
- 全般
- 神尾純一 「車両総説」『鉄道ピクトリアル』2004年7月臨時増刊号(通巻749号)特集・東京急行電鉄、鉄道図書刊行会。
- 山口雄二 「東急8000系ファミリーの記録3」『鉄道ファン』2006年11月号(通巻547号)、交友社。
- 5050系4000番台
- 交友社「鉄道ファン」2011年7月号CAR INFO「東急5050系4000番台」(資料提供・取材協力:東京急行電鉄)
- 鉄道図書刊行会「鉄道ピクトリアル」2011年7月号記事「東京急行電鉄5050系4000番代」
- ネコ・パブリッシング「レイルマガジン」2011年7月号HOT NEWS「東京急行電鉄5050系4000番代」(取材協力:東京急行電鉄)
- sustina
- 日本鉄道車両工業会「車両技術」246号「東京急行電鉄 5050系5576号車 次世代ステンレス車両sustina」(真鍋宏嗣 東京急行電鉄(株)鉄道事業本部運転車両部車両課)
- 日本鉄道技術協会「JREA」2013年11月号「次世代国内向けステンレス車両(東急電鉄5576号車)の概要」(浅賀哲也 株式会社総合車両製作所生産本部技術部主任技師)
関連項目
- のるるん - 本系列をモチーフとした東京急行電鉄のマスコットキャラクター。
- 横浜高速鉄道Y500系電車 - 本系列と共通設計の横浜高速鉄道の車両。
外部リンク
- 新形式車両「5000系」導入(東京急行電鉄ニューリリース) (PDF) (インターネットアーカイブ・2021年時点の版)
- 編集長敬白:Shibuya Hikarie号まもなくデビュー。 - 鉄道ホビダス(インターネットアーカイブ)
- 編集長敬白:「sustina」第1号車登場。 - 鉄道ホビダス(インターネットアーカイブ)
- 総合車両製作所『総合車両製作所技報』
- 第2号(2013年12月)特集寄稿「sustina第1号車両完成記念」 (PDF) (pp.4-41)
- 第2号(2013年12月)製品紹介「東急電鉄 5050系4000番台 Shibuya Hikarie号」 (PDF) (pp.94-97)
- 第6号(2017年12月)製品紹介「東急電鉄 5000系6扉車置換え4扉車」 (PDF) (pp.106-109)