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世界平和統一家庭連合/log20230102

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世界平和統一家庭連合
ファイル:Family Federation for World Peace and Unification symbol.svg
略称 家庭連合
(旧略称は統一教会、統一協会)
設立 1954年
設立者 文鮮明
種類 宗教法人
目的 教会統一・統一韓国・世界平和[1]
本部 大韓民国の旗 韓国 京畿道加平郡
会長 田中富広(日本教会第14代会長)
重要人物 韓鶴子(総裁)
関連組織 韓日人教会、原理研究会、世界平和宗教連合、世界平和教授アカデミー、世界平和女性連合、世界平和青年連合、日本青少年純潔運動本部、真の家庭運動推進協議会、国際勝共連合世界日報社、光言社、一心病院、世一観光、一和[2]、トゥルー・ワールド・フーズ、ニューズ・ワールド・コミュニケーションズ、世日クラブ、清心国際中高等学校、仙和芸術高等学校、鮮文大学校、清心神学大学院
かつての呼び名
世界基督教統一神霊協会
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世界平和統一家庭連合
各種表記
ハングル 세계평화통일가정연합
漢字 世界平和統一家庭聯合
発音 セゲピョンファトンイルガジョンヨナプ
日本語読み: せかいへいわとういつかていれんごう
ローマ字 segye pyeonghwa tongil gajeong yeonhap
英語: Family Federation for World Peace and Unification
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世界平和統一家庭連合(せかいへいわとういつかていれんごう、英語: Family Federation for World Peace and Unification)は、朝鮮半島キリスト教の土壌から発生し、文鮮明によって1954年韓国で創設された新興宗教[3][4][5]宗教団体宗教法人
旧名称は世界基督教統一神霊協会(せかいキリストきょうとういつしんれいきょうかい、英語: Holy Spirit Association for the Unification of World Christianity)。
略称は家庭連合(かていれんごう 英語: Family Federation)、FFWPUで旧略称は統一教会統一協会[6][7][8](とういつきょうかい 英語: Unification Church[9])。

家庭連合(旧:統一教会)は宗教学ではキリスト教系の新宗教とされ、文化庁が発行している宗教年鑑ではキリスト教系の単立に分類されている[10][11][12]。また、欧米ではカルト宗教であるとされている[13]。1994年5月に名称が変更され[7]日本では遅れて、2015年8月26日に宗教法人名を管轄している文化庁から改称を認証された[14][15][16]

概説

日本は"エバ国家"で「サタン(悪魔)の国[17]」であるとの反日教義が教えられている[18][19]。また、エバ国家である日本のLGBT同性婚夫婦別姓は「共産主義」とされ、認めさせてはならないと説いている[19][20]。文鮮明の教え(教義)の一つとして、文教祖の恨(ハン)を晴らすのは「エバ国家日本をアダム国家韓国の植民地にすること」「天皇を自分(文鮮明)にひれ伏させること」としている[21][22][23][24]。また、文鮮明が同じく設立した関連団体の国際勝共連合では、「日本は生活水準を3分の1に減らし、税金を4倍、5倍にしてでも、軍事力を増強してゆかねばならない」とし、日本の国民に犠牲(生贄)になることを要求している[25]

1978年アメリカ合衆国下院の報告書では、教団は1961年大韓民国中央情報部(KCIA)部長の金鍾泌が政治的意図をもって組織し、アメリカや日本で政治工作を行っているとされる[26][27][28]

また、文鮮明は自由民主党安倍晋三元総理大臣の祖父である岸信介と盟友であり、1950年代から日本の政界と協力していた[19][20]。岸の自宅付近には統一教会の施設が存在し、そこで岸は交流会や講演会などを行っていた。岸内閣時代の首相公邸は統一教会本部として使用された[29]。同教団は現在に至るまで、国際勝共連合等の関連団体あるいはダミー団体を通じて、自由民主党等の保守政治家と密接な関係を保ち続けている[30]。政治家との密接な関係は、教団の宣伝・広報に利用されており、統一協会系月刊誌『世界思想』では、「戦後憲法の終焉」「今こそ日本を取り戻そう」等のフレーズが使われ、安倍晋三元総理大臣の写真が過去複数回にわたり表紙に使われていた。これは後述する「霊感商法」の被害拡大につながると懸念されている[31][32]

日本統一教会の初代会長は、反共産主義政治団体国際勝共連合の日本における初代会長久保木修己である[33]安倍晋三元総理大臣が説いていた国家像である「美しい国」と、久保木修己が説いた「美しい国」との共通点が指摘されている[34]

欧米ではカルト宗教とみなされており、韓国、日本、米国ウクライナなどに拠点が存在する[35][13][36][37][38][39]フランスソビエト連邦諸国などでも活動を広めようとしたが、フランスでは反セクト法により、ロシアではプーチン政権が定めたネオナチ勢力(セクト勢力)に対する対テロ法により、統一教会を安全保障上の問題があるとして規制と監視対象とした。また、ユダヤ人国家であるイスラエルでの反パレスチナ、パレスチナ弾圧派などのユダヤ教右派勢力に資金援助を行うなど、イスラエル政府にも長年関与している[40][41][42][43][44]

米国では、日本人信者を利用して水産会社を興し、全米の中・高級寿司屋向けの鮮魚流通の8割を占めて寿司を広めたりするなど多角的にビジネスを広げ[45]、韓国では財閥組織の扱いを受けており、その巨大な資金力を利用して国際的な政治力も獲得しているが[46]、教団の運営資金の7割は日本が担っており、その原資は深刻な社会問題となっている霊感商法と、法外な献金要求等の信者からの経済的搾取より得られた金である[47]。こうして集められた金は教団の勢力拡大のために日本から韓国やアメリカに送られ、1976年から2010年までの間に日本からアメリカに36億ドルが送金された[48]

1960年代後半から、学生を狙った反社会的な「原理運動」による家庭崩壊、学業放棄が社会問題となり、霊感商法が社会問題になった1980年代以降、朝日新聞社や『週刊文春』によって大々的な批判キャンペーンが展開されたが、教団側は激しく反発し、信者によるデモなどが行われた[49]1984年には、世界日報編集長の副島嘉和が教団の反日思想等の実態について、内部告発を行った後に、襲撃を受ける事件が発生。その他にも、教団を批判した人物・マスメディアへの嫌がらせや、教団に関連した不可解な事件が多数発生している。

統一教会は、霊感商法マインドコントロールを利用した高額な物販と献金に関する問題や、教団が結婚相手を決める合同結婚式麻薬関連のマネーロンダリング密輸統一教会信徒の拉致監禁問題反共産主義朝鮮半島の統一の支持、歴史修正主義反同性婚反夫婦別姓反ロシア思想、岸信介政権時代からの自由民主党との関係などの政治との関わりなど、様々な問題で物議を醸している[5][39][50][51]。特に統一教会の布教方法と、高額な献金や財物の購入を強いられることが問題とされ、統一教会を相手に元信者らが札幌地裁に提訴した「青春を返せ裁判」は1987年から2001年までの14年間に及んだ[52]

全国霊感商法対策弁護士連絡会によると、判明している分だけで、1987年から2021年までの「霊感商法」による「被害件数」は3万4537件で「被害総額」は約1237億円に上り[53]、物販には印鑑・多宝塔・朝鮮人参濃縮液などが用いられ[54]、その「被害」の高額さから社会問題化している[55]2000年(平成12年)の広島高裁岡山支部での控訴審では一審を破棄し、統一教会/統一協会の伝道の違法性を認定する全国初の判決が出た[52]。これは日本において、宗教団体による勧誘・教化行為の違法性を認めた全国初の判決となった[52]

教団は複数の関連団体や関連企業、ダミー団体を有しており、これも正体を隠して勧誘活動を行うのに役立っている。これらの団体は霊感商法等の教団の反社会性が明らかになった1980年代以降に、政治家との関係を秘密裏に保つことにも貢献した[56]

親世代が統一教会の信者である「2世信者」も社会問題となっている[57]。幼少期から信仰を強要されるなど、ドメスティック・バイオレンス(DV)の状態にあった当時の子供達は、信者や教会からの特定を恐れ、息をひそめ生活せざる得ない等の理由により散在状態になっており、弁護団が救済の為に活動している状態である[20][19]。「統一教会2世被害弁護団」は今も統一教会による被害は発生し続けているとしており、2022年(令和4年)7月8日に発生した安倍晋三銃殺事件の犯人の動機に関する弁明を行った統一教会による、「2009年以降は全く問題はおきていない」「犯人の母親の寄付額は把握できていない」等とした会見内容は虚偽だとしており、「統一教会と安倍晋三元総理は大して関係が無く、犯人は思い込んだだけである。」とするメディアの報道姿勢や内容も糾弾している[20][19]

2012年に亡くなった文鮮明と妻・韓鶴子の7男の韓国系アメリカ人である文亨進は、母親の韓鶴子が父親の教え以上に自らの立場を上位の物にしようとしたとして、韓鶴子との違いを明確に表明した事により対立、2013年には韓鶴子により教会の複数の立場から解任され、文亨進は分家組織である世界平和統一聖殿(通称:サンクチュアリ教会)を、アメリカ統一教会とは別にアメリカ国内にて立ち上げた[58]。統一教会は現在、文亨進のサンクチュアリ教会を「脱会組織」とみなしており、文亨進が主導した統一運動の変革のほとんどは、彼の解任後に却下された[59][60]。文亨進は有力なトランプ支持者であるとされ、AR-15を重要視する“Rod of Iron Ministries”を率いている事で知られ、2021年アメリカ合衆国議会議事堂襲撃事件にも参加した[61][62][63][64]

統一教会が大きく成長した最大の戦略的要因として、宗教学者北海道大学教授櫻井義秀は、統一教会が国別に機能を特化させる戦略をあげており、「宗教的競争力のなさを、政治・経済部門の事業多角化とグローバルな事業展開で乗り切ったこと」であると述べている[18]

歴史

文鮮明と妻の韓鶴子

朝鮮半島の平安北道定州出身の文鮮明[65][66](1920年 - 2012年)は、1945年に布教活動を始めた[67]。その後1950年に朝鮮戦争が勃発、1952年に経典の「原理原本」の草稿が完成した[68]

1954年5月韓国ソウルで、「世界基督教統一神霊協会」を創設した[68]。なお、名称の「神霊」は、主流派キリスト教における三位一体聖霊とは関係がない[69]

1955年、文鮮明が「梨花女子大事件」で逮捕される。韓国マスコミからの総批判を浴びる[70]

1961年頃、「反共主義」を強調して朴正煕政権との関係を深める。フレイザー委員会の調査によれば、大韓民国中央情報部(KCIA)により「韓国政府機関」として再編された[70]

1965年に文鮮明一家と幹部たちは、アメリカに宗教・政治的情宣活動の拠点を移し、世界宣教・経済活動を拡大し巨大な統一運動傘下の組織を創設した[71]。韓国の多くの少数派宗教団体とは異なり、朝鮮半島を超えて世界中に普及したという特異性を持つ[69]。世界193か国に支部がある。

日本では、1958年6月に崔奉春(チェ・ボンチュン。通称名西川勝[72])が密航し、統一教会を伝えた[73]。崔には立正佼成会が協力し、久保木修己ら約50名の青年信者が転向する[70]。1959年から1965年まで宣教が行われ、同年にアメリカ[69]、イギリスでも布教が行われた。近年は東ヨーロッパと南アメリカで拡大している[7]

1964年7月16日、日本で宗教法人の認可を受けた[74]。初代会長になったのは元立正佼成会信者の久保木修己だった[73]。同年、「原理研究会」が設立され全国の大学で学生伝道を開始した[73]。世界平和統一家庭連合の総裁は、文鮮明の妻である韓鶴子が就任している(2008年時点)[75]

公安調査庁幹部の菅沼光弘は、高橋浩祐の取材に対し、統一教会に入会した人の多くは民青出身だったとしている[76][77]

1968年4月、文鮮明岸信介らの協力を得て反共産主義政治団体「国際勝共連合」を日本に設立した[73]

1971年、文鮮明は大韓民国籍のまま米国に移住した。

1970年代には、1974年にニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで、1976年にはニューヨークのヤンキースタジアムで2回、そしてワシントンDCのワシントン記念塔の敷地内で30万人を前に「アメリカに対する神の希望」について講演するなど、米国で次々と公の場で演説を行った。

1973年、自由民主党の岸信介は統一教会開祖の文鮮明に朝鮮半島にて出会い、日本に統一教会を広める切っ掛けを生み出した[20][78]。文鮮明は岸信介と盟友であり、1950年代から日本の政界と協力していた[20][78]。岸信介が文鮮明握手した写真は統一教会で「世界でいかに統一教会が認知され、我々の理念が間もなく達成されようとしている。」 といった説明に使われている[20][78]

1990年代の前半に霊感商法や合同結婚式で話題になったが、この時代でさえもあまり信者を獲得できていなかった[79]。この合同結婚式によって家庭を持った日本人の信者数は10,000組を超え[18]、2004年時点で統一教会による合同結婚式で韓国人男性と結婚して韓国で暮らす日本人女性信者数も7,000人ほどいる[80]

1975年、統一教会は韓国の汝矣島で120万人を集めて史上最大の平和的集会を開催した[81]

1970年代、統一教会は他のいくつかの新宗教運動とともに、反カルト運動のターゲットとなった。活動家たちは、この運動が会員を「洗脳」していると非難した[82][83]

1978年、イギリスのタブロイド紙デイリー・メールは、「家庭を崩壊させる教会」という見出しの記事を掲載した[84][85]。その記事は、統一教会が家族を洗脳し、引き離していると非難するものであった。英国統一教会のデニス・オーム所長は、デイリー・メールとその親会社であるAssociated Newspapersを相手に名誉毀損訴訟を起こし、英国法史上最長となる6ヶ月の民事訴訟となった[86][87][88]。オーム所長と統一教会は、名誉毀損訴訟、控訴審で敗訴し、貴族院への提訴も拒否された[89]。元の裁判では、アメリカの反カルト精神科医マーガレット・ターラー・シンガーを含む117人の証人の話を聴取した[90]。原審では、統一教会はAssociated Newspapersに75万ポンドの費用を支払うよう命じられたが、これは控訴後も維持された[91]。原審の陪審員は関連新聞社に費用を与えただけでなく、法務長官に統一教会の慈善団体としての地位を再調査するよう要請し、1986年から1988年までの長期の調査の後も解任されなかった[92][93]。ジョージ・クリシデスによれば、英国にいた統一教会の500人のフルタイム信者の約半数が米国に移った[94]。統一教会は判決の後、12の主要な教会センターのうち7つを売却した[95]ドイツのような国の他の反カルト主義者は、ロンドン高裁の判決を法律に組み入れようとした[96]。統一教会は、デイリー・テレグラフ紙に対する同様の裁判を含め、英国で他の名誉毀損や誹謗中傷の裁判に勝利している[97]

1982年、文鮮明は米国で虚偽の連邦所得税申告と陰謀の罪で有罪判決を受けた:United States v. Sun Myung Moonを参照。彼はコネチカット州ダンベリー連邦刑務所で13ヵ月間服役した[98][99]。起訴・収監された際には、キリスト教右派団体やバプティスト教会、全米黒人カトリック聖職者会などの牧師が、文鮮明の無罪と釈放を要求するデモを行った[100]。この事件は、モラル・マジョリティー代表のジェリー・ファルエル、南部キリスト教指導者会議代表のジョセフ・ローリー、ハーバード大学神学教授のハーヴィ・コックス、アメリカ合衆国上院議員で元民主党大統領候補のユージン・マッカーシーなどから、選択的起訴であり信仰の自由への脅威であると抗議を受けた[101][102]

1980年代から、文鮮明は統一教会のメンバーに「家庭教会」と呼ばれるプログラムに参加するよう指示し、公共サービスを通じて隣人や地域住民に手を差し伸べるようにした[103]

1982年、文鮮明はアメリカ脱税の罪で懲役判決を受けた[104]

1984年、日本統一教会元幹部、副島嘉和と元営業局長井上博明が連名で、文藝春秋1984年7月号に「これが『統一教会』の秘部だ―世界日報事件で『追放』された側の告発」という18頁に渡る手記を暴露発表したことで、初めて日本国内の一部に統一教会の暗部が露見した[105]

1984年6月10日頃には全国の店舗に並んだが、その直前の1984年6月2日夜、副島が帰宅途中に何者かに襲撃され、全身を刺され瀕死の重傷を負った「副島襲撃事件」が発生した[106]。襲撃事件時、世界日報の元記者が副島の自宅に偶然おり、副島が瀕死の状態で自宅にたどりついた時の様子を証言している[107]。副島は全身を刺され、最も深い物で刃渡り15㎝まで到達していたが、心臓からわずかに2センチメートル外れており、また世界日報の別の記者が事件直後にたまたま副島の自宅を訪ねており、救急車に担ぎ込まれた事により副島は奇跡的に生還した[108][109]。副島らは、この襲撃事件前後の統一教会との確執に関して原稿を書き『週刊文春』に持ち込んだが採用されなかった[110]。また、マスコミも襲撃事件を言論事件として取り上げようとするところはなかった[110]。副島らは孤立無援の状態で統一教会の告発を続けたが、さまざまな事情によりグループから脱落者が出て、それを続けることは難しくなっていた[111]。偶然ではあるが、1984年秋から『朝日ジャーナル』が統一教会、霊感商法の批判キャンペーン記事を掲載しはじめたため、副島らが始めた統一教会批判は実質的には『朝日ジャーナル』へ引き継がれることになった[111]。この襲撃事件は殺人未遂事件としてではなく、傷害事件として捜査された[112]

1990年代、ソビエト連邦で活動を開始したが、ロシアを含む多くのポスト・ソビエト諸国の宗教当局は統一教会を安全保障上の問題があるとして規制と監視対象とした[43]

1991年、文鮮明は、統一教会員が故郷に戻り、そこで使徒的活動を行うべきであると発表した。新宗教運動の研究者であるマッシモ・イントロヴィーニュは、このことは運動のメンバーにとって、もはやフルタイムの信者が重要であるとは考えられないことを確認したと述べている[113]。同年6月2日、「副島襲撃事件」は犯人を特定できないまま公訴時効を迎えた[112]

世界平和統一家庭連合(1994–)

1994年5月1日(統一教会創立40周年)、文鮮明は統一教会の時代が終わったことを宣言し、新しい組織を発足させた。統一教会のメンバーと他の宗教団体のメンバーが共通の目標、特に性的道徳や異なる宗教、国家、人種の間の和解の問題に向けて働く「世界平和統一家庭連合」(FFWPU)であった。FFWPUは祝福式を共同主催し、他の教会や宗教の何千ものカップルに、以前は統一教会のメンバーだけに与えられていた結婚の祝福が与えられた[114][115]

2000年、FFWPUは、ワシントンD.C.で行われた家族の結束と人種的・宗教的調和を祝う集会「100万家族行進」を、ネーション・オブ・イスラムとともに共催した[116]。2000年10月16日、同じくルイ・ファラカンが主催した100万人行進の5周年記念日に開催され、ファラカンがメインスピーカーとして登壇した[117]。FFWPUの指導者であるダン・フェファーマンは、ファラカンと文の見解は複数の問題で異なっているが、「神を中心とした家族」という見解は共有していることを認める手紙を同僚に送っている[118]

2003年、韓国のFFWPUのメンバーは、韓国で「神と平和と統一と家庭のための党」という政党を立ち上げた。新党の発足宣言では、神と平和について国民を教育することによって、朝鮮半島の統一を準備することに重点を置くと述べている。FFWPUのある幹部は、日本や米国でも同様の政党を立ち上げると述べた[119]。FFWPU関連の万国平和連合会の中東平和構想は2003年から、ユダヤ人、イスラム教徒、キリスト教徒の間の理解、尊敬、和解を促進するために、イスラエルパレスチナの団体ツアーを開催している[120][121]

2009年、コンプライアス宣言を行う。これは、印鑑販売会社「新世」の社長らが霊感商法で逮捕された事件の裁判のなかで、統一教会との関連性が一部認定されたことを受けたものである[122][123]

2012年2月の始め、旧ソビエト国家であるキルギスでは、キルギス国家保安委員会、キルギス検察庁、および州宗教問題局が、統一教会の活動が適切な登録なしに非伝統的な宗教的見解を強制的に広めることにより、キルギスの国家安全保障に脅威を与えたと主張[43]。裁判所に苦情を申し立てた[43]ビシュケク裁判所は、キルギスの領土での統一教会の活動を実質上不可能とする判決を下した[43]

2012年には開祖の文鮮明が死去し、妻の韓鶴子が組織全体の責任者となったが[124]、「家庭連合幹部と母親韓鶴子女史が、後継権を奪い、韓鶴子女史が自ら教主となり、相続権を奪われた」と主張する七男の文亨進派と分裂した。

その後、文亨進は、サンクチュアリ教会を設立した。そして、文亨進は家族連合(韓鶴子率いる統一教会)と裁判で争い(『統一マーク使用権訴訟』)、勝訴した[125]

サンクチュアリ教会の掲げる主張は統一教会とは異なり、「全能の神が与えた権利によって武器を持ち、民が互いと人類の繁栄を守ることのできる平和の警官、平和の兵士の王国」と銃賛美の宗教となっている[126]。同年には札幌地裁により、違法な布教活動、伝道や献金を強いたとして布教活動を違法とする判決が下された[127]

韓鶴子は、現在のこの運動のリーダーであり、公的なスポークスパーソンとして活動している。2019年、日本での集会で講演し、環太平洋諸国間の理解と協力の拡大を呼びかけた[128]。2020年、家族連合主催の朝鮮半島統一のための対面・仮想集会で講演し、約100万人の参加者を集めた[129]

2020年、潘基文国連事務総長鮮鶴平和賞を受賞し、100万米ドルの賞金を授与される[130][131]

2021年、統一教会の関連団体が主催するイベント「希望の結集(Rally of Hope)」でドナルド・トランプ安倍晋三が演説を行った[132][133][134][135]。統一教会は、安倍の祖父で元首相の岸信介や、安倍の父で元外相の安倍晋太郎と関係がある[136]

2022年2月24日からのウクライナ侵攻後、ウクライナの家庭連合会長アーニャ・カルマツカヤは、「ウクライナは人類の平和、自由、人権の為に戦っている」とメディアやSNS上などを通じてウクライナ愛国心反ロシア思想を世界へ向けて説いている[137]

2022年7月8日、安倍晋三元首相が奈良市で暗殺されたが、犯人は、安倍が統一教会と強い関係性があると主張し、統一教会への恨みを晴らすために安倍を銃撃したと動機を説明しているとされる[138][139]

政治思想・政治活動

オウム真理教などの宗教問題を専門とするジャーナリスト出身の有田芳生は、統一教会の本質について、「多国籍企業を上回る準軍事的な国際政党」「宗教という仮面をかぶった経済=政治複合組織である」との見解を示し、その活動は日本韓国アメリカ合衆国をはじめ、世界を股にかけるものとしている[140]

1978年に公表された米下院フレイザー委員会報告書では、「厳格な規律をもった国際政党の特徴を備えている」と評価されており、教団の最終目的を、教祖文鮮明を頂点とする「世界的な政教一致国家を樹立すること」だと断定している[140][141]。教祖の文鮮明本人は「現人神である自分を中心とする神国政治を創る」と言っていたとされる[142]

神田外語大学民族主義運動の専門家であるジェフリー・J・ホールは、統一教会は冷戦時代に後に安倍派となる岸派と協力していたことを指摘しており、無償のボランティアの提供は、選挙において価値を発揮したと述べている[143]

2022年7月8日に発生した安倍晋三銃撃事件後の同年7月19日、統一教会元会長郭錠煥は記者会見にて、「(創設者の故)文鮮明総裁は(安倍氏の祖父の)岸信介元首相と近かった。(父の)安倍晋太郎元外相とも近かったと承知している」と指摘した[144]

全国霊感商法対策弁護士連絡会事務局長代行を務める紀藤正樹によると、統一教会の信者は自民党の応援団として選挙活動などにも駆り出されているが[20][78][51]、2012年(平成24年)に発足した第二次安倍政権以降、国会議員が統一教会の行事へ公然と参加するようになった[20][51]。統一教会との関係を深めると大臣などへの出世が早まる事が認知され、自民党議員らは教会からの寵愛を受けるために統一教会のイベントに参加するなど関わりを深めていった[20][78][19]。統一教会との関係を問題視している自民党議員も一部存在はしたが、彼らは党内での発言権は弱く、出世コースからは事実上外されている[20][78][19]。信者は自由民主党への投票を求められる事を、統一教会2世の被害者が語っている[20][78][19]

統一教会2世被害者弁護団は「統一教会は自身らに都合のいい関係の議員を求めており、自由民主党の議員以外にも関係を持っているが、やはり大部分は自由民主党議員である」、と語っており、1990年代の時点で日本の国会議員の内、百数十名(多くは自民党)の秘書は統一教会の信者であり、議員たちの活動は統一教会へ報告され、指示を受けていた[19][145]。2018年、自民党代議士が統一教会青年イベントに連続出席[146]。来賓祝辞で教祖への感銘を鮮明語った[146]

教団は国会議員のみならず地方議員にも接近をはかっており、学生ボランティアなどを口実に議員に接近し、ビラ配りなどの活動を熱心に行うと言う。このときもダミー団体を表に出して、あくまで旧統一教会の信者であることは隠して接近する。ジャーナリストいのうえせつこによれば、教団が地方議員に接近する主な理由は、議員の支援者名簿の入手や、議員とつながりのある富裕層をリストアップして、教団のターゲットを洗い出すことだという[147]

2022年8月にTBSが教団との関係について、全国会議員に「旧統一教会の関連イベントに出席したり祝電を送ったりしたことがあるか」と調査を行った結果、「ある」と答えたのは、自民党が60人、日本維新の会が9人、立憲民主党が5人、公明党が1人、参政党が1人だった。選挙支援を受けたことが「ある」と答えたのは、自民党が14人だった。政治献金を受けたのは自民党議員4人と国民民主党玉木雄一郎だった(全国会議員中、回答率は76%)[148]

また、宗教ジャーナリストの鈴木エイトがまとめた資料によると、2022年7月の時点で、少なくとも112人の国会議員が教団と関与しているとされ、その内訳は自民党は98人、立憲民主党は6人、日本維新の会は5人、国民民主党は2人だった[149]

法学者南野森は、新興宗教を含め、一般論として政治家が宗教団体と関係を持つことは問題がないとしつつも、「不法行為を繰り返しているし、自分たちが宗教団体であることを隠してアプローチしてくるところが決定的に他の宗教団体と違う」として、旧統一教会は一般的な宗教団体とは区別して、交流を持つべきではないとしている[150]

元信者のジャーナリストである多田文明は、教団は否定しているものの、組織的な教団による政治家への投票指示があったとしている[151]

韓国を中心とする世界統一運動

反共主義

文鮮明は戦闘的な反共産主義者であり[152]、共産主義は神の摂理に基づく民主主義に対抗する悪魔によるものと主張していた[153]。韓国主導の南北統一を望む西側諸国、特に西側諸国の反共派から相互支持を獲得することで統一教会は規模を拡大した[154]

教団は共産主義革命の防止を主たる目的とし、日本においては岸信介らが中心となり、1968年(昭和42年)に韓国と日本で「国際勝共連合」(通称「勝共連合」)という政治団体を組織した。勝共連合では反共主義が徹底されており、共産主義は神を否定するサタンの思想であると説く「勝共思想(勝共理論)」[155] の啓蒙を運動方針の第一義に掲げ[156]、具体的にはスパイ防止法青少年健全育成法の制定運動、日本国憲法教育基本法改正の推進、性教育に関する教科書改訂や子宮頸がんワクチン撲滅キャンペーンなどに取り組む一方、選択的夫婦別姓制度やジェンダーフリー人権擁護法案外国人への参政権付与には反対する[157][158]。また専守防衛非核三原則武器輸出三原則の破棄などを提唱し[159]原子力発電所の必要性も唱えている。[要出典]

なお、教団では、LGBT同性婚夫婦別姓を、教義の中で「生活共産主義」と呼び、エバ国家日本には許されないとして認めさせてはならないと説いている[19][20][160]

1976年(昭和51年)の第78回国会外務委員会で、田英夫は、元在米韓国大使館付武官であった朴普煕と非常に親交のあったというロバート・ロランドというユナイテッド航空の人物が、1967年(昭和41年)に文鮮明が「世界反共連合を設立するために日本の山中湖畔で児玉譽士夫、笹川良一と会合をした」「この会合の結果、世界反共連合というものが1968年の1月に韓国に本部を持って発足をし、同年(68年)4月には日本支部が設立され岸信介氏がこれに加わった」と証言している、と述べている[161]

ことに自民党の「韓国ロビー」といわれる政治家と親密で[162]、古くは岸信介福田赳夫安倍晋太郎といった領袖が文鮮明主催のパーティーに参席したり、同僚議員を教義セミナーへ勧誘するなどして尽力[163]。1989年(平成元年)に東京で開かれた「勝共推進議員の集い」[注釈 1] には自民党・民社党を中心とする国会議員232名が一堂に会しており、近年でもシンパ議員は250人にのぼると漏れ伝わった[164]。自民党内には嘗て教団が支援する教育関係の議員連盟が設立されたこともあり[165]、地方議員が関連団体の地元支部で役職に就くことも珍しくない[注釈 2]

1977年(昭和52年)の第80回国会文教委員会で、政治家の大塚喬は、「1961年の朴政権発足とともに、その庇護のもとに急速に勢力を伸ばしてまいりました。」と述べている[162][166]。後に教団ナンバー2となる朴普煕を始めとした韓国軍の高級将校も入教しており、系列企業の「統一産業」が小銃工場を建設する際に、文鮮明の側近となった朴普煕朴正煕大統領(当時)が事業支援について協議したことや、公務員教育が国際勝共連合で行われたことなどが報じられた[167]。昭和53年の第84回国会予算委員会で、内藤功は「米国議会フレーザー委員会におきまして「米韓関係の調査」と題する報告書が公表された。その中で統一教会はKCIAが政治活動の目的のために組織したものだ、こういう米CIA資料を公開しております。」と述べ、園田直(当時国務大臣)は 「米国下院国際関係委員会の国際機構小委員会、いわゆるフレーザー委員会が米韓関係に関する調査との関連で先月開催した一連の公聴会の冒頭、韓国中央情報部長であった金鍾泌氏が統一教会を設立した旨の米政府部内資料が公開されたということは承知しており、すでにその資料の写しを取り寄せ済みでございます。ただ、同資料がどのような裏づけを持ってやられたものか等を含め、同資料の性格はまだ判明しておりません。なお、この公聴会では、後日、22日だと思いますが、公聴会で統一関係者が右資料の趣旨を否定する証言を行った旨、これまた報道で承知しております。」と述べている[168]

日本では、日本共産党をターゲットにさまざまな妨害工作を仕掛けていたとされる。有田芳生右翼の畑時夫から得た証言として、袴田里見副委員長が共産党を除名になった直後の1978年に、統一教会の久保木修己会長と国際勝共連合の梶栗玄太郎理事長が、京都市内のホテルで、袴田と面識があった畑時夫と面会し、「金はいくらかかってもいいから袴田をなんとか手に入れることができないか。共産党を攻撃する材料ができる」と相談したという[169]

ソ連では、共産主義が失速した後、西側から様々な新興宗教が進出していたが、文鮮明もソ連人を援助し、1990年4月にモスクワで開かれた統一教会の世界メディア会議の後、ゴルバチョフと個人的に面会し、日本の経済界に働きかけて対ソ投資について調査させることを約束した[152]

北朝鮮融和路線への転換

統一教会は共産主義国である北朝鮮と「宗教の自由を認めず、弾圧している」として長年敵対関係にあった。政治団体である「国際勝共連合」という「反共組織」を通じて、反共の先頭に立って「共産主義撲滅」「打倒金日成政権」の運動・活動を展開していた。文鮮明は、北朝鮮の金日成主席を「共産主義の悪魔」と攻撃し、1950年12月以降から韓国へ移住するまで北朝鮮部分に住んでいて拷問を受けたこと、3年近くの興南監獄で多くの罪なき囚人たちが死んでいくのを見たことで「反共思想」に至ったと述べている[170]。北朝鮮もまた文鮮明教祖を「反共の頭目」と痛烈に批判していたように統一教会と北朝鮮はまさに不俱戴天の間柄だった[171]

しかし、ベルリンの壁の崩壊と東欧社会主義諸国の瓦解後である1991年11月30日に、文は金日成による招聘を受けて北朝鮮を電撃訪問し、金日成主席と会談している。金日成は「連邦制による祖国統一実現のためには反共主義者とも手を握る必要がある」として、文をVIP待遇で「統一の使者」として受け入れるよう指示していた。これは、北朝鮮の党国際局・対韓担当の祖国平和統一委員会などの反対を押し切った判断であった[171]。教団系メディア『世界日報』によれば、金日成と文鮮明の会談では北朝鮮に対して教団が経済的支援を約束する合意がなされた。また『聯合通信』が報じたところによると、北朝鮮側は先立って原油輸入代金として1億5000万ドルの献金を求めた[172]

満40年10か月ぶりの北朝鮮訪問後の1991年12月7日に北京での声明文「北朝鮮から帰って」において、「北朝鮮に恨(ハン・恨み)が多いと言えば誰よりも多い人間です。」「過去40年の東西冷戦時代に誰よりも徹底した反共指導者であり、国際勝共連合の創始者として一生を勝共闘争に捧げてきたことは、世界がみな知っております」「冷戦時代の終焉とともに招来した平和の運勢を世界的に拡散させるために、私は「世界平和連合」を創設し、国際的平和運動を主導しています。」「統一祖国の明るい新世紀を迎える準備を急ぎましょう。」と冷戦崩壊後に対北朝鮮方針を転換した理由を述べている[170]

教団などは文鮮明が北朝鮮を訪問し、朝鮮半島の非核化宣言の合意形成に成功したお陰でこの時期の半島での戦争を避けられたと主張している[173]。訪朝後は経由地の北京で「私が過去40年の東西冷戦時代に誰よりも徹底した反共指導者であり、国際勝共連合の創始者として一生を勝共闘争に捧げてきたことは、世界がみな知っている」としつつ「しかし、私の勝共思想は共産主義を殺す思想ではなく、彼らを生かす思想、すなわち人類救済の思想」[174][175] とする声明文を発表した。

2012年9月3日に世界基督教統一神霊協会(統一教会)の創始者の文鮮明が死亡した際には、北朝鮮の金正恩第1書記は遺族に弔電を送り、「文鮮明先生は逝去したが、民族の和解と団結、国の統一と世界平和のために傾けた先生の努力と功績は末永く伝えられるだろう」との哀悼の意を表している[176]

2013年1月22日には北朝鮮と世界基督教統一神霊協会(統一教会)の合弁会社「平和自動車(Pyeonghwa Motors)」の最高経営責任者(CEO)で、米国市民権を持つ朴相権へ追加投資を引き出すために、北朝鮮から平壌市の名誉市民証を授与されている[177]

反日思想

日本は「サタン(悪魔)の国[17]」であるとの反日教義が教えられている[18][178]ほか、教祖の文鮮明日本民族天皇への侮辱的・差別的な発言を繰り返していたことでも知られる[21][22][23][24]

文鮮明は教義の一つとして、「日本の天皇と韓国の王とが交差結婚をしなければならない。」「日本の皇室と(文教祖の)孫たちが結婚する時が来て、すべての国の王権の代表者たちと結婚する時代に入る。」「韓国が支配された立場とは逆に日本を支配するところまでいかなければなりません。」と説いた[179][180][181]

統一教会の教典「原理講論」の韓国版には「日本はサタン(悪魔)の国」であるとしており、文鮮明教祖はイエス・キリストの再来と書かれており、日本支部会長扮する天皇陛下が文教祖一家にひざまずく儀式を行っている[182]

このほかにも、統一教会内部では「昭和天皇は霊界で、『原理講論』を一生懸命勉強している。そのことが、私たちのこの世での活動を助けてくれている」「天皇家には色情因縁があるから皇太子殿下は婚期が遅れている」と教えられている。文鮮明は、皇太子がまだ独身の時代に、「結婚相手を統一教会信者の中からあてがう」との趣旨の発言をしていた[183]ほか、「韓民族に重い原罪を負っている日本人の結婚相手は、動物でももったいないくらいだ」とも説いていた[184]

文鮮明はイエス・キリストの「再臨論」も説いており、「韓国のキリスト教を過酷に迫害した」「天照大神を崇拝してきた全体主義国家」と教会から批評される日本と、共産化した中国は「サタンの国」であるため、イエスが再臨する『東の国』とは韓国であるとしている[185]。また、「メシアを迎え得る国となるために我々は第三イスラエル選民となければならない」としている[185]

阪神淡路大震災について、教団内部では、日本での献金が滞ったことや、犯罪歴などを理由に教祖の文鮮明の入国を拒否したことへの「天罰」であるとの趣旨の教えが流布されていた[186]

統一教会は韓国と日本では史観が違っており、韓国では献金などのノルマなどは厳しくないが、日本国内での統一教会の信仰者はまず始めに全財産の額の把握を教会にされる[20][78]。その後「地獄に行く、天国にいけない」と教えられ、莫大な献金を促される[20][78]。全財産を捧げる事を教義としており、破産しても借金する方法を教える事で貢がせ続ける[20][78]

日本統一教会は「先祖の罪業を辿って償わないと不幸になる」という論理を教義の一つとしており、人値の先祖辺り70万円以上の定額寄付を促される。最終的に信者の財産を絞りつくす為にも、定額寄付は信者の資産ごとにコミットメントされ、場合によって縄文時代にまで家系図を遡るように作成され恐怖を植え付けさせ続ける[20]。 統一協会の教義の確信は「堕落論」にあり、この教義を利用して霊感商法を行っている[47]。この教義の中の「万物復帰」という教えは、「全ての万物は神に捧げなければならない」という統一教会の集金システムであり、最終的に信者の全財産を捧げさせる為の物である[20][78]

統一教会の教義には、日本人女性をマインドコントロール(洗脳)し、韓国人男性と強制的に結婚させて韓国の血の入った子を産ませることで、「日本の穢れた血」を浄化するという教えもあり[20][19]、「合同結婚式」(信者は「祝福」と呼ぶ)と呼ばれる教団内婚制をとり、教祖のインスピレーションに従って信者同士で結婚する[18]。「合同結婚式」の参加費用でも日本人は差別されており、日本人は1人あたり50万円から150万円なのに対し、韓国人は5万円(25万ウォン)未満ほどだという(1988年当時)。小規模な閉鎖的コミュニティを除き、教団内婚制をとる巨大教団はほかには見られない[18]

慰安婦問題も罪悪感を植え付け、マインドコントロールするために利用されており[187]2012年当時、韓国では教団系の「韓日の歴史を克服し、友好を推進する会」が「慰安婦問題について、心よりお詫びします」と土下座するパフォーマンスを韓国各地で繰り返していた。メンバーは教団の合同結婚式で韓国に嫁いでいった日本人妻で、「日本人は植民地時代の罪を韓国人にあがない続けなければならない」と叩き込まれていたという[188]

世界で活動する教団の運営資金の7割は日本での「霊感商法」から得られたものであり[47]、日本は「金のなる木」、集金の場所として扱われた[18][51]

また韓国の系列企業のビジネスには、日本の献身(無給に近い待遇で、教団の指示のもと様々な活動に従事すること[189])した信者による物販で稼ぎ出された資金が使われていた[18]

学術界への浸透

教団は学術界への浸透も図っており、教団系の学者・文化人組織「世界平和教授アカデミー」等の団体を通じてシンパへの支援を続けていたとされる。特に教団と近いとされたのは、物理学者福田信之だった。1976年衆議院文教委員会では、当時筑波大学副学長だった福田の教団との密接な関係が政治的・宗教的中立性の観点から問題視された。福田は1983年11月に米国で開かれた統一教会教祖・文鮮明主宰の昼食会に参加していたほか、文鮮明が脱税により米国で逮捕されたことについて、教団や国際勝共連合の機関紙に「米国の歴史的な汚点」などと米当局を非難する談話を寄せていた。福田はたびたび韓国に渡航していたが、大学側はその目的について把握していなかった。また、福田が筑波大学学長を務めていた1984年に新設された「国際関係学類」について、教団系の「世界平和教授アカデミー」の会員や、改憲・核武装論者が多く「政治色が強い」「まるで政治団体のよう」として問題視された。朝日新聞は関係者の証言として、福田が「世界平和教授アカデミー」の活動を基盤に、右傾化自民党の政治路線への寄与を狙っている可能性について言及した[190][191]

各国政府・政党との関係

韓国

フレイザー委員会に関連して公開された、1963年から1965年にかけて作成された統一教会に関する米中央情報局(CIA)による3つの秘密報告書によれば、1954年文鮮明によって設立された統一教会は、1961年大韓民国中央情報部(KCIA)部長の金鍾泌の指示で「韓国政府機関」として再組織され、莫大な資金力を背景にアメリカや日本で秘密裏に政治活動を行っている。また教団は、米国で「韓国文化自由財団」というフロント組織を持ち、この組織の名目上のリーダーは梁裕燦だが、本当のリーダーは陸軍将校朴普煕であるという[192]

1977年5月5日、米ニューヨーク・タイムズ紙は、金炯旭を取材、「コリアゲート」に関与する朴東宣が、1960年からKCIAの工作員であるとの証言を得ている。この他、当時の韓国駐カナダ大使、統一教会教祖文鮮明と文鮮明の顧問・朴普煕もKCIAの工作員であることも明かしている[193]

1977年6月、早稲田大学で「在日韓国人政治犯救援会」が教団系の「原理研究会」と公開討論を行い、その中で原理研は、教団の活動が大韓民国中央情報部(KCIA)に好感を持たれていること、原理研が勧誘活動で入手した資料や写真がOBを通じて、KCIAに流出する可能性があることを認めている[192]

韓国では教団自ら政党を設立して政界進出を企図することもある。2008年4月に行われた総選挙では「平和統一家庭党」から全245地方区(選挙区)と13比例区に候補を立て臨むも全員落選。更に、政党得票率が全有効票の2%に満たなかったため、選挙法の規定により政党登録を抹消されることとなった[194][195]。こうした教団の動きに対し同選挙では、「統一教会対策協議会」を中心に全キリスト教派が連携し、統一家庭党候補への落選運動も展開された[196]

米国共和党

1970年代から文鮮明はアメリカに居を構えて、大規模な講演会を幾たびも開催した。日本から渡米した信者らも活発に伝道と経済活動をした。自ら創刊した保守系新聞『ワシントン・タイムズ』などのマスメディアで政治的に保守政党である共和党を一貫してバックアップしたほか、ニクソンなどの米国共和党政治家を支援し、関係を築いてきた[197][198][199]

その政治的・社会的影響力について、1976年のニューヨーク・タイムズ紙は、その活動を以下のように報じている[100]

急成長している文鮮明のグループは、米国内で韓国政府への支持を確立するため多くの努力を払っている[100]。これらは、議会での集中的なロビー活動、著名な政治家や実業家、地域リーダーへの働きかけ、韓国で戦争が起こった場合に参戦することを誓う熱心な信奉者の育成、共産主義を攻撃して、韓国とアメリカの愛国的テーマを結びつける入念なPRキャンペーンなどの形式を取っている[100]

アメリカ合衆国大統領ジョージ・H・W・ブッシュ1995年に日本で開催された教団系の「世界平和女性連合」で講演している。1996年には、アルゼンチンで創刊された教団系の新聞のパーティーでスピーチをしていた[200][201][202]。ブッシュはまた、教団系のワシントン・タイムズ紙について、「自分の政権はもちろん、アメリカの国益の推進のために計り知れない役割を果たしてくれた」と評価。同紙はレーガン政権時も旧ソ連への対抗政策「戦略防衛構想(SDI)」を擁護する役割を果たしている[56]有田芳生は、教団は米国共和党と密接な関係にあり、ブッシュの一連の言動は、その交際の一環とみるべき、としている[56]

息子のジョージ・W・ブッシュ2002年5月にワシントンで開かれたワシントン・タイムズ紙創刊20周年の集まりにメッセージを寄せている[200]

さらにブッシュ一族の中には統一教会の信者がいるとの噂もあった[200]

日本

日本での選挙の際にも信者を運動員として派遣し主に頑強な右派候補を積極的に支援することが知られ、1986年(昭和61年)のダブル選挙では教団が肩入れした候補150人のうち134人を当選させ、後にその全員が教義セミナーを受講したと勝共連合の機関紙が伝えた[203]。1978年(昭和53年)の第84回国会地方行政委員会で、政治家の正森成二は、勝共連合が「「やっぱり杉村氏は極秘党員か」、こういうビラを全戸に一斉に配布いたしました。」と述べている[204]

1977年7月、警視庁は、統一教会品川大田支部長の男(33)を選挙違反の疑いで逮捕した。男は都議選・永井辰男候補の運動員だった。別の信者に指示して、品川区内の50戸に同候補の推薦文の載せたはがきを配布させ、報酬として6万円を渡した疑い[205]

教団の日本の政治への影響力を高める方法として主流だったのは、信者を議員秘書に育成して国会議員のもとに派遣することだったとされる。

当時ジャーナリストとして活動していた有田芳生の調査によれば、1991年当時、自民党の新井将敬東力民社党菅原喜重郎公設秘書が統一教会の信者だったという。私設秘書はさらに多く、自民党の高橋一郎伊藤公介平沼赳夫原健三郎大塚雄司らの議員秘書が信者だったとされ、ある自民党大物議員も「こんなものじゃない。私設秘書だって数十人の規模でいる」と証言していたというほどだった。1990年2月の大塚の選挙活動には数十人規模の信者が関与していたとされ、カンパポスター貼り、他陣営候補者のポスター破り、推薦はがきの宛名書き、演説会の案内状書き、支持依頼の電話などを熱心に行ったという。教団は京都嵐山神戸須磨の関連施設を、信者を議員秘書とするための養成所とし、話し方、接待の仕方、お茶の出し方、受付や名刺交換、電話の応対の作法などを泊まりがけで叩きこんだとされる[206]。このほかにも、勝共連合では「まず秘書として食い込み議員の秘密を握り、次に自ら議員になれ」との指示が下されているという[163]

文鮮明本人がアメリカで行った演説の内容として「先生(文鮮明が使う一人称)は、上院議員一人あたり三人の若い夫人を割り当てるだろう。・・・・・上院議員を正道に戻すには、まずその助手たち、とくに秘書たちを友達にしなければならない」(1972年)「先生には、多数の美貌の女性たちが必要である。三百人ほど必要である。先生は上院議員一人あたり三人の若い夫人を割り当てるだろう。一人は選挙、一人は渉外、一人はパーティーを担当する。もし女性会員たちが多くの点で上院議員たちにまさっていれば、その上院議員はまさにわれわれの会員のとりこになるだろう」(1973年)とあり、同様の戦術を米国でも行っていたことを教祖自ら語っていたことになる[207]

政治家の中村敦夫は、1998年(平成10年)の第143回国会法務委員会で、国会議員に対して統一教会やその政治組織などから秘書が派遣されており、多い人は統一教会から一人の議員に、9人もの秘書がついているというようなこともあったと述べている[208]。在任中の法務大臣であった保岡興治が政策秘書として使う信者(1800双)[注釈 3][209]秘書官に登用したことが週刊誌で報じられ[210] 国会で追及を受けたこともある[211]。1992年(平成4年)3月には国会議員による法務大臣への働きかけが奏功し、本来であれば米国で1984年に受けた実刑判決の影響で日本へ入国できない文鮮明が、14年ぶりの来日を果たし各地で説教した[208][212]

また秘書となった信者が自ら選挙に立候補するケースもあり、例えば渡辺美智雄国会議員)の元秘書(6000双)で、霊感商法でトーカーと呼ばれる霊能師を担当していた者が衆院選候補に転身し、後に自民党が公認[213] している。2010年(平成22年)にも市議選への女性信者の出馬が発覚した[214]

弁護士の渡辺博は、安倍晋三への銃撃事件を受けて会見し、「二十数年前の調査では、統一教会の信者百数十人が自民党などの国会議員の秘書になっていた」と述べている[215]

有田芳生によれば、1980年代から始まった「スパイ防止法」の制定運動など、自民党の一部議員が推進する政策にも教団の思惑が反映されているという。また、「日韓トンネル」の建設推進運動の背後にも、教団関係者の暗躍がみられるとしている[216]

1987年(昭和62年)の第109回国会法務委員会で、政治家の安藤巖は「霊感商法をやっておる「世界のしあわせ」、「世界のしあわせ北海道」、「世界のしあわせ名古屋」あるいは「世界のしあわせ九州」、「(世界のしあわせ)広島」」といった団体から自民党の保岡興治議員、桜井新議員、亀井静香議員に政治献金がなされており、政治資金報告書によると、わかっている範囲で保岡が400万円、桜井が150万円、亀井が300万円、また自民党の中村文教部会長が国際勝共連合から10万円の政治献金を受け取っていると述べている[217]。 1977年(昭和52年)の第80回国会予算委員会で、政治家の石橋政嗣は、総理あてに原理運動被害者父母の会から出された陳情書の中に、「(真っ先に自民党に陳情したが)多くは儀礼的な挨拶だけで、中には『自民党では、この問題はタブーです』とハッキリ断られた人も居ります。」と書かれている、と述べている[218]

1987年8月には、「霊感商法」の卸元の1つだった「世界のしあわせ名古屋」が自民党の小島善吉・静岡県議とともに静岡県警を訪れ、「今後、誤解を招くような商法は一切しない」との説明をしていたことがわかった。県議は「国際勝共連合に頼まれた」としている[219]

有田芳生によれば、1992年3月の文鮮明来日時にも、自民党関係者との密接なつながりが見られたという。文鮮明は過去に二度来日したが、出入国管理法に違反して宗教活動を行なったため、1979年1981年1982年にわたり、入国を三度拒否されている。この異例の来日が実現した背景には自民党副総裁の金丸信の働きかけがあったとされる。来日した文鮮明は29日に中曽根康弘と会談し、30日夜には「北東アジアの平和を考える国会議員の会」が主催した晩餐会で、三十一人の国会議員の前で講演を行なった。31日には金丸信と密室で会談した。金丸との会談の内容は主に北朝鮮をめぐるものだったとされ、金日成の親書を金丸側に手渡したとの噂まであった[220]

韓国の統一教会で発行された『統一世界』1990年4月号では、文鮮明本人が日本の政治に対する影響力の大きさを自慢する演説の要旨を紹介している[221]

日本の今度の選挙だけでも、私たちが押してあげたのが、百八議席当選しました。今回、私たちが援助しなければ、無所属で出てきた中曽根なんか吹けば飛んだよ。また派閥で見れば、中曽根派は六十二議席にもなって、安倍派は八十三議席です。私がそういうふうに作ってあげたんですよ。この二派閥を合わせるといくつになりますか?それで安倍とか中曽根は、原理の御言を聞け!と言ったら聞きはじめました —  文鮮明の演説より抜粋『統一世界』1990年4月号[221]

1993年6月の東京都議選で立候補し落選した自民党の佐藤良平派による公選法違反(個別訪問)の捜査で、警視庁は教団系の政治団体「国際勝共連合」が組織的に関与したとして、渋谷区宇田川町の本部など数カ所の家宅捜索を行なった[222]

2003年当時、教団による政界との関係強化が下達され、関係の深い落選議員への支援が指示されている[200]

2009年第45回衆議院議員総選挙で落選した自民党の萩生田光一が、頻繁に八王子市の教団関連施設を訪れ、何度も挨拶をしていたとされる。萩生田は自身を「浪人生」として「政界に戻らせてください」と言っていたとされ、実際に教団からの萩生田への支援として、信者によるビラ配りやポスターの貼り付け、電話掛けなどが行われていたという。TBSの取材に答えた信者は、「萩生田さんを政界に戻すことが、神様の計画というか使命」と教えられていたと語る[223]

宗教ジャーナリストの鈴木エイトは、「政治家が教団に求めるのは『票集め』ではありません。選挙戦での運動員、事務所スタッフなどの『人的貢献』です。それは政治家が何よりほしがるもので、教団は無尽蔵に提供してくれるわけです。政治家と旧統一教会――その関係は、世間一般の人たちが思うよりも、ずっと深いものなのです」と語っている[224]

2022年1月、教団系の『世界日報』に、改憲派として、自民党の古屋圭司日本維新の会共同代表の馬場伸幸国民民主党榛葉賀津也の三人が共演した[225]

自民党所属の参議院議員である青山繁晴によると、2022年の参議院選に際して、ある派閥の長に対して党の候補が統一教会から支援を受けているか確認したところ、事実だと返答があったとしている[226][227]

弁護士の紀藤正樹は、安倍晋三銃撃事件を受けて、政治と教団の関係について「国会内に特別委員会を設置するなど、本気でやらなければ、何年か後に同じことが起きる。それは、国として大きすぎるダメージとなることでしょう」と語っている[228]

自民党幹事長との密接な関係

2002年4月、当時自民党幹事長であった山崎拓が統一教会信者の女性と不倫関係にあり、教団側に国家機密が漏れる危険性があったとされる。山崎と関係があった女性は東京の九段にあるマンションに住んでいたが、彼女は毎週末に八王子にあるアパートの1室に通っており、そこは信者が共同生活をする統一教会の関連施設そのものだったという。有田芳生はこの女性を、二十四時間教団の施設で生活する「献身者」ではなく、普段は働いて週末には施設に通い教義を学ぶ「勤労青年」と呼ばれる信者であり、この女性は自ら政治家に接近し、情報を引き出すための「特別な使命」が教団から課せられた人物であるとし、教団が北朝鮮に近い立場にあることから北朝鮮などに国家機密が流出する危険性を指摘した[229]

山崎は一連の不倫報道を名誉毀損とし、週刊文春に対し5000万円の損害賠償を請求する訴訟を提起したが、2003年9月、東京地裁は「記事は真実か真実と信じる相当の理由があった」と判断、山崎側の敗訴が確定した[230]

警察捜査への政治圧力

ジャーナリストで元参議院議員の有田芳生によると、有田は1995年警察庁関係者に警察庁幹部から依頼を受けて教団についての講義を行った。当時オウム真理教の次に摘発をしようとしていると聞かされていたが、結局摘発はなかった。その10年後、警視庁幹部二人から「政治の力」により摘発を阻まれたと聞かされたとしている[231][232]

上越教育大学教授の塚田穂高は、「旧統一教会の場合は、教団を追及や捜査から守ってもらうために政治に近づき続けた面も強い」とし、「政治家が『よくあるつきあい』で済ませてよい相手ではなかった」として、教団による政治家へのアプローチの背景には、捜査を回避する目的があるとの趣旨の発言をしている[228]

2012年には、元警察官僚の平沢勝栄が、この種のアプローチを受けたのではないかとの話があった。週刊新潮の報道によれば、平沢の発言を収録したテープが流出し、そのテープには平沢の声で「各地で今、5、6ヶ所警察とトラブってんだよ。それで結局、警察けしからんって言ってんだよなあ、統一教会は。それで私にそれをやってくれって…」などの発言が収録されていたという。この発言について、平沢が、統一教会から警察の捜査について相談され、警察との窓口役を務めざるを得なくなり、困惑したのではないかとの関係者の証言があった。なお、平沢は教団との関与を否定している[233]

全国霊感商法対策弁護士連絡会」のメンバーで弁護士の川井康雄は、第1次安倍政権終了後の2007年頃から、教団に関連した違法行為の刑事事件化が相次いでいた一方で、2012年第2次安倍政権発足後に再び刑事事件化することは少なくなったことを指摘した上で、教団と政治家の関係性は明らかであるとした。同じく弁護士の山口広は、教団は政治だけでなく、言論・学術界などにも食い込んでおり、違法な霊感商法の被害について警察や行政が積極的に取り組まないように、圧力をかけてもらうように働きかけていることを証言している[234]

また、2005年2006年公安調査庁の報告書で「特異集団」として位置づけられていた教団が、第1次安倍政権下の2007年で項目から外れていたことがわかっている。同報告書では教団について、「危機感や不安感をあおって勢力拡大を図り、不法事案を引き起こすことも懸念される」としていた。対象から外れた理由について、日本政府は「時々の公安情勢に応じて取り上げる必要性が高いと判断したものを掲載している」としている[235]

イスラエル

2001年、文鮮明はイスラエルの首相選挙でリクード党のシャロンに選挙資金の援助を行ってる[40]。2002年11月30日の放送では、イスラエルのアリエル・シャロンが、リクード党の党首選挙でのベンヤミン・ネタニヤフに勝った資金は、アメリカのシカゴを拠点とする文鮮明の統一協会から流れていると断言した[40]

イスラエルの首相選挙で、リクードのシャロン候補が勝利し、政権党が労働党からリクードに交代することになった[236]。これは、冷戦後の国際情勢の中でパレスチナ問題を解決しようとして1993年に締結された「オスロ合意」の体制が崩壊したことを意味している[236]。パレスチナ問題が中東情勢の中核をなしていることから考えて、中東地域では「冷戦後」という一つの時代が終わったことになる[236]。イスラエルでは、建国前のシオニズム運動発祥の時代から現在まで、右派と左派の2つの流れがある[236]。右派は、ユダヤ教をイスラエルの建国精神の中心に置き、パレスチナ人が住んでいるヨルダン川西岸地域までを含めた地域を「神から与えられたユダヤ人の故郷」であると考え、パレスチナ人を弾圧し、できれば西岸から出て行ってもらうことを究極の目標としている[236]

西岸は1967年の第3次中東戦争の大勝利でヨルダンから奪ったものだが、この大勝利こそ、神がユダヤ人に西岸を与えた証拠だと極右の人々は考えている[236]。彼らにとって、パレスチナ人とその背後にいるアラブ諸国は交渉相手ではなく、追い出すべき敵となっている[236]。首相選挙で勝利したシャロン氏が党首をしているリクードが、右派政党の代表的存在である[236]

一方、イスラエルの左派の考え方は社会主義に基づき、民族や宗教を越え、ユダヤ人とパレスチナ人が共存するイスラエルを作ろうとするものである[236]。イスラエル建国運動はもともと左派の考え方が発祥になっている[236]。左派政党の中核は労働党で、敗北したバラク氏が党首をしていた[236]

アメリカのクリントン前大統領が音頭をとって続いていた中東和平交渉は、左派的な和解の精神に立脚している[236]。この方向性は、1992年に労働党のラビン氏が政権を取った後、イスラエルとパレスチナがオスロ合意を締結したことで始まった[236]。この合意は、パレスチナ人が住んでいる西岸とガザ地区にパレスチナ人国家を作り、イスラエルとパレスチナを友好関係の兄弟国家にするシナリオである[236]

リクードはパレスチナ人とアラブ諸国を信頼しない立場にたち、イスラエルの安全保障のためにはパレスチナ人への寛容政策を取るべきではないと主張し、和平交渉に消極的だった(リクードは自由主義を信奉するタカ派の非宗教政党)[236]。また、極右派の宗教勢力は「神から約束の地として与えられた西岸地域にパレスチナ人が国家を建設することを許すのは神への冒涜だ」と考え、オスロ合意に反対した。ラビンは95年に暗殺されたが、極右イスラエル人の中には「神を冒涜したのだから殺されて当然だ」と考える人々が多い[236]

しかし2001年に文鮮明は中東和平を望まない政党を支持していながら、2003年シャロンの2次内閣が出発後、摂理と称して「エルサレム宣言」「中東和平イニシアチブ(ワシントン宣言)」とあたかも中東和平を推進している団体のように装っていた[40][236][237]

その他政治に関する一覧

  • 統一教会と実質一体で、仏教を装い霊感商法を行う[238] 霊石愛好会の主催にて各地で開かれた霊感商法を擁護する集会に、当時の国会議員らが祝電を寄せたことが批判を受けた[239][240]
  • 2006年(平成18年)5月に国内12カ所で開催された「天宙平和連合(UPF)‐祖国郷土還元日本大会」へ、現役閣僚をはじめ多数の政治家が祝電を送っていたことが露見し[241][242]、教団の活動に正当性を与える行為だとして批判された。なお大会の模様は教団公式サイトより動画配信された。
  • 2007年(平成19年)、千葉県流山市議選にて統一教会関係者が民主党公認で出馬していることが全国霊感商法対策弁護士連絡会の調査で判明した[243]
  • 2008年(平成20年)12月、教団関係者の運営するNPO法人「未来構想戦略フォーラム(JFFSI)」が中心となって開かれたシンポジウムを外務省が後援。他にも同フォーラム主催の会合や講演会では現職の大使や首長、官僚が講演している[244]
  • 2009年(平成21年)に霊感商法で初の懲役判決となった「新世」事件では、教団本部への捜索を阻止するために複数の自民党議員が司法当局に圧力をかけている[245]
  • 2009年9月、衆議院選挙で民主党から出馬した萩原仁を支援した教会(協会)関係者が公職選挙法違反で逮捕された[246]
  • 参院選間近の2010年(平成22年)5月、 山谷えり子への支援ならびに有田芳生への落選運動を通達する教団の内部文書が流出し物議を醸した[247]。翌月には信者による有田に対する選挙妨害が行われた[248]
  • 2010年11月6日に国際勝共連合が新宿で行った「沖縄・尖閣諸島をまもれ!緊急国民集会」では、中国の覇権主義への抗議と尖閣漁船衝突事件での国の対応を批判し打倒民主党も呼びかけられた[249]
  • 2011年(平成23年)に統一教会系団体が主催・後援し[注釈 4] 全国各地で開催した「アジアと日本の平和と安全を守る全国大会」に現職・元職の国会議員や地方議員が多数参加した[250]
  • 2013年(平成25年)3月7日、統一教会系団体が靖国神社で「戦没者と東日本大震災犠牲者」の慰霊祭を行った[251][252][253]。団体名は「宗教新聞社」および「平和大使協議会」であり、慰霊祭では靖国神社の元宮司・湯澤貞〔湯沢貞〕が「宗教新聞の立場から」と称して挨拶を行った[254]。この慰霊祭は、統一教会が安倍政権と自民党との関係を深める狙いの行動の一つであったと鈴木エイトは見ている[253]神社界創価学会とは異なり、集めることができる献金はごく少なかった[253]。そこで統一教会は、表向きはNPO法人を称して神社に献金(玉串料の納入)を行い、氏子への投票依頼・改憲賛同者署名・募金活動を行うことで、神社界への影響力を高めていったという[253]。なお、全国の神社を統括する神社本庁総長が二人いるなど、神社界には分裂が表れている[253]。神社本庁に詳しいジャーナリストは「神社本庁の事務局には、統一教会の隠れ信者がいると噂される。彼らの教義からすれば、サタンの宗教である神道を分裂させることは理にかなっている」と述べている[253]
  • 2021年9月12日(日本時間)に開催された天宙平和連合主催のイベント『THINK TANK 2022 希望前進大会』に安倍晋三がビデオメッセージを寄せた[255][256][257]。天宙平和連合の関連組織であるUPFインターナショナルとワシントン・タイムズの依頼に安倍晋三が応じたことで実現した[256][258]。全国霊感商法対策弁護士連絡会は9月17日、ビデオメッセージを寄せた安倍晋三に対し抗議文を送付、同日開かれた記者会見で抗議文を公開した[259][260]
  • 警察組織を統括する立場にある国家公安委員長二之湯智2021年4月に京都市国立京都国際会館で開催される予定だった教団系のイベント『新型コロナ終息を願う京都1万人祈りの集い』の『呼びかけ人』に、田中英之木村弥生繁本護とともに名を連ねていたことが判明している[224]

名称

以前のシンボルマーク

1954年の設立当時の名称である世界基督教統一神霊協会は「全キリスト教会を霊的に統合させる協会」を意味する[69]。英語名の「神霊」の部分には Holy Spirit が充てられ、Holy Spirit Association for the Unification of World Christianityとなっているが、これは命名当時に他に適切な訳語が思いつかなかったためであるという[69]

統一教会は、社会における家族の重要性を強調しており[7]、それを反映して1994年5月に名称が世界平和統一家庭連合に変更された。日本で、2015年6月2日に所管する文化庁に変更申請書を提出し、同年8月26日付で名称変更が認証された[14][15][注釈 5][注釈 6]

教団の名称変更について、政治的な力が働いているとの指摘がある。当時の文化庁宗務課長だった前川喜平は、教団から最初の名称変更申請があった1997年当時、「実態が変わっていないのに、名前だけ変えることはできない」として、認証できないとして、申請しないよう教団に要請したことを明かした上で、2015年に実現した名称変更について、「当時の文科相(下村博文)の意思が働いていたのは100%間違いない」と指摘。さらに名称変更の申請について、日本共産党宮本徹衆議院議員文化庁に情報開示を請求したところ、文書は名称の変更理由の部分が黒塗りとなっており、教団が提出した文書はすべてが黒塗りになっていた[263][264]

教団は、政治介入の指摘に対し、2015年当時、「主務官庁が拒否するならば訴訟もやむを得ない」として意見書を提出したことを明かした上で、「純粋な法律問題」として、政治的介入や不正の存在を否定した[265]

韓国では統一教[266][65]、日本では旧称の略称の統一教会、またキリスト教会側からはキリスト教の教会と混同されないよう統一協会と記載され、英語ではUnification Church(統一教会)[7]Unificationism(統一主義)、開祖の姓から俗にMoonies(ムーニーズ)の名で知られる[267]。ただし、信者はムーニーズを蔑称と考えており、自らそう名乗ることはない[267]。文鮮明が率いる組織の集合体は統一運動と呼ばれる[268]。今は、「天の父母様聖会」と、呼ばれている。

教理

文鮮明(1982年)

教典

統一教会の教典は1966年に初版が刊行された『原理講論』(原理講話)とされる[269]。日本語版は1967年に刊行され、日本の統一教会信者は長らく教典として重視しており、これを基に信仰心を形成してきた[269]。日本の教団幹部や彼らに教化された教団信者の世界観・信仰観を知るための、検討の対象となる文献である[269]文鮮明の『原理原本』をもとに、劉孝元(ユ・ヒョウォン)が『原理講論』をまとめ、表向きは「聖書の解説書」と称するが、実質的教典として扱われている[270]

原理講論』は、文鮮明の高弟である劉孝元(教会長、1970年死去)が、文鮮明の『原理原本』を増補し、彼の説教を整理したものである[270]

『原理原本』(1952年発行)は、韓国の神秘主義的キリスト教改革運動の流れを汲む「イスラエル修道院」の金百文朝鮮語版[271](キム・ベンムン。キリストの親臨を主張した、柳明花の信奉者のひとり白南柱の弟子[65])の著作『基督教根本原理』[272](1946年3月2日起草、1958年3月2日発行)の執筆中に文鮮明が盗作したという証言がある[注釈 7]

それに対し統一教会側は「金百文の著作が世に出る前に、『原理原本』そして『原理解説』(1957年発行)が作成された」と主張している。

原理講論』は初版以降数度改版され、新しい部分も追加されている[269]。初版には、メシアが文鮮明であること、メシアが誕生する国が、韓国であることの論証部分はないが、第3版には追加されている[269]

原理講論』のはしがきには、本書が完成版ではなく、編者により適時増補、または加筆修正される可能性のあることが説明されている[269]。『原理講論』の言葉を勝手に解釈したり、自分の言葉を付け加えることは、分派発生の原因になるとして信者には禁止されている[274]

ハンガリー人のカトリック神学者神父上智大学神学部教授であったネメシェギ・ペトロハンガリー語版は、『原理講論』では、神は「ゲルマン民族を新しい選民として立て」たという主張を基に、古代末期以後の歴史はすべてゲルマン民族に集中して語られていて、カトリック教会はキリスト教の堕落したものとして描かれており、ルターが新しい福音の光をもたらした存在とされるなど、韓民族を現在の選民であるとする最後の唐突な飛躍を除き、ゲルマン・アングロサクソン系のプロテスタンティズムの立場で書かれていると述べている[153]。(日本語版では削除されているが、英語版『原理講論』には、「韓国の民が神によって選ばれた第三のイスラエルとなる」と書かれている[153]。)

聖書に預言された再臨のキリストが文鮮明であるとすることから、エホバの証人モルモン教末日聖徒イエス・キリスト教会)と共に全てのキリスト教会から異端と見なされている[266][275]

弟子がまとめた教説よりも、生きている文鮮明が直接語った言葉こそが神の教えと考えられるため、初期の説教内容をまとめた『原理講論』だけでなく、教祖の言葉をまとめた『文鮮明先生御言選集』(360巻以上)、『御旨と世界』(1985年)などの説教集、信者の規律についての『御旨の道』なども併せて教義体系を構成しており、近年では説教集『天聖経』(2003年編纂)が『原理講論』以上に重視されるようになっているといわれる[269]

教義・教説

統一教会で「原理」とは、文鮮明が霊的体験や独学によって与えられた啓示とされる。他方で文鮮明は1945年に妻の崔先吉と共にイスラエル修道院に通い金百文朝鮮語版の教え[272]を学んで盗作したという証言がある[276]。 統一教会の信者は「原理」は旧約聖書新約聖書の解釈であり、究極的、決定的な真実であると信じている[277]

「原理」は主に「創造」、「堕落」、「復帰」の3つの部分からなる[278]。『原理講論』は文鮮明の啓示の様々な解釈を書いたもので、「原理」とは厳密に区別されている[277]。1954年に統一教会が創立されて以降、一貫して、聖書よりも『原理講論』が重要視されており[270]、現存する聖書によるキリスト教の正典を超越すると考えられている[277]。この節は本書の内容を中心に述べる。

原理講論』の「堕落論」には、「人間始祖の堕落によって、その子孫が、一人残らず、神の血統を受け継ぐことができず、サタンの血統を受け継いでしまった」と記され、「真の父母として降臨されるイエスのみがこれを知り、清算することができる」とする一説が記されている[279]

プロテスタントの日本基督教団牧師・宗教研究者の石井智恵美は、教義内に明確な記述はないが、信徒にとって教祖の文が「再臨のイエス」=「人類と霊界を結ぶ比類ない存在」であることが信仰の前提であると述べている[270]。神の愛を中心に結婚し、完全な子供を産み、真実の家族を作ることで、地上の楽園(地上天国)を建設することが目指される[280]

ネメシェギは、『原理講論』の思想の特徴として、朝鮮半島の陰陽説、文鮮明が受けたキリスト教的教育に由来する一神論と旧・新約聖書の権威の容認、根本主義的な聖書解釈、象徴的聖書解釈、科学性の主張、終末論的歴史神学、神との「霊交」で得られたという「啓示」を挙げ、『原理講論』の教えの根拠は、実際には哲学・自然科学・客観的な聖書解釈・キリスト教会の教えのいずれでもなく、真の根拠は著者が述べているように、文鮮明が受けたという「啓示」であると述べている[153]

統一教会ではキリスト教における「再臨論」も説いており、韓国を蕩減復帰の民族的な基台を立て、第三イスラエル選民となければならないとしている[281]

信徒は「ムーニー(Moonie、Moonies)」と称される[282][283][284]

神の世界創造の目的

神はこの世からの刺激によって、はじめて喜びに満たされるとされている[280]。旧約聖書の創世記第1章28節「生めよ、増えよ、地を従わせよ」から、神の創造の目的は3つあるとされ、統一教会では三大祝福と呼ばれている。

  1. 「生めよ(פרו)」を、人格完成、個性完成せよと解釈する[285]。但しヘブライ語「פרו(ペルー)」にはそのような意味はない。また神は人が創造される前、全ての生き物に対しても与えている[286]
  2. 「増えよ(ורבו)」子供を産み増やせ[285]を、家庭完成せよと解釈する。但し神は人が創造される前、全ての生き物に対しても与えている[286]。「神の二性性相が各々個性を完成した実体対象として分立されたアダムとエバが夫婦となり、合体一体化して子女を生み殖やし、神を中心として家庭的な四位基台をつくらなければならないのである」とされる[287]
  3. 「地を従わせよ(ומלאו )」を、万物を主管せよと解釈する。これが神が人間にだけ与えたもの。神、人類、その他の生物の調和のとれた理想的な世界を創造することを意味する[285]。「万物世界に対する人間の主管性の完成を意味する」とされる[288]。人間は完全な家庭を築くことで、完全な社会、国家、世界を実現するために「増殖」できるのである[285]。統一教会が説く神の目的には、「人間の個性完成」という、近代主義的な発想が持ち込まれている[289]。また、家庭形成という「アジア的家族主義を織り込んだ人間論」(櫻井)も神の創造目的に取り入れられている[289]

楽園追放と原罪

『旧約聖書』の「創世記」には、神が創造した最初の人類であるアダムとエバが、罪を犯し楽園を追放される逸話がある。エバが蛇にそそのかされて、次にアダムがエバにそそのかされて、食べることを禁じられていた知恵の樹の実を食べた。この蛇はしばしば悪魔であると解釈される。この罪のために、二人は神に罰せられて、人間は死や労働、出産の痛みといったあらゆる生の苦しみを持つようになり、この世に罪と死とのろいが入り込んだとされる。西方教会では、これがアダムとエバから全人類に「原罪」(ラテン語: peccatum originale)として受け継がれていると考えられている。神学者の宮本久雄は、統一教会における原罪とは、狭義には人間の神との関係の破綻、神と人間との生命的な関係の虚無化を意味しており、従って本来は、モラル規範への単なる違反や男女の性的欲求とは直接関係がないと述べている[290]。(詳細は「原罪」を参照)

原理講論』の著者は、文鮮明の説教からルシファー(『原理講論』では「ルーシェル」。「Lucifer」の北朝鮮式発音。魔王サタンが堕落する前の天使の頭の呼称)の堕落を次のように説明している。ルシファーは元々神に最も近い大天使で[291]、神の愛を独占するような位置にいたが、神が人間を創造した後はその愛が減少したと感じた[292]。ルシファーは嫉妬に駆られてエバを誘惑し[291]、エバは10代の処女であったが[293]、「神のように目が開けることを望み、時ならぬときに、時ならぬものを願」い、両者には授受作用(相互作用)が生じ、「不倫なる霊的性関係」を結んだ[292]。統一教会ではこれを「霊的堕落」と呼ぶ[292]。天使は肉体を持たないため、これは肉体的な交わりではなく、霊的交わりであった[293]

ことの重大さに気が付いたエバは、罪悪感から神の元に戻りたいと願い、神が定めた配偶者であるアダムと結ばれようと、彼をそそのかし性的関係を結んだ[293][292]。エバは神の元に戻れたと思ったが、ルシファーとの「授受」は真の配偶者との「授受」だけでは回復されず、さらにエバとアダムが性的関係を持つことは神の意志ではなく、神の祝福を受けていなかった[293]。エバは3重に罪を犯しており、神に従うべきであり、婚約者を裏切るべきではなく、婚約者と共に完全に精神が成長してから性的関係を持つべきだった[293]。アダムとエバは、自らの個性を完成する前に時期尚早な夫婦関係を結び、それは神ではなくルシファーを中心としたものであったため[294]、人間は家庭形成に失敗したのである[289]。これは「肉的堕落」と呼ばれる[292]

以降すべての人間は、善と悪、神の要素と堕天使の要素を併せ持つ存在になった[294]。アダムはエバと性的関係を結ぶことで、エバがルシファーから受け継いだすべての要素を受けつぎ、子々孫々にもサタン(ルシファー)の血統が継承されているという[295]。これが統一教会における「原罪」である[295]。原罪は遺伝によって伝わるようなものとされている[153]。アダムとエバはその罪によって、人類を偽りの主、サタンに仕えさせることになった[296]

イエス・キリストと再臨のメシア

統一教会では、イエス・キリストは既成神学における三位一体の存在ではなく[65]、霊的な三位一体と解釈する[297]。心情的には神と一体であるが[65]、イエスを神と言えるのは「すべての完成した人間は神と一体である」という意味においてのみであり[153]、「創造理想を体現した男性」としてその価値は認められる[153]。この点が、主流派キリスト教と最も異なる点である[153]。イエスは、司祭ザカリヤマリアの間に生まれた原罪のない人間であると考えられている[65]

イエス・キリストは、サタンが不当に奪った神の「主管性」を回復し、堕落した人類を原罪のない善の人類に産み直し、神を中心に据えた新し人間の血統を築き、地上天国を築くために来たとされている[294][298][299]聖霊は女性神であり、真の母でありエバであるとされる[153][299]。神はユダヤ民族をはじめとする全人類を救うための代償として、イエスの肉体をサタンに引き渡さざるをえず、イエスの肉体はサタンの侵入を受け虐殺されたとしている[153]。そのためイエスの肉体が復活することはなく、今は霊人間として神のもとに生きているという[153]

イエスは十字架上で死に、それは人類の霊的救済のための蕩減条件(代償)になり[300]、霊的救いが達成されたが、新しい血統を築くことはできなかったため、救いの摂理は完成されていないと考えられている[300][301]

イエスの死はイエス自身の失敗によるものではなく、洗礼者ヨハネや弟子たちといったほかの人間がイエスを裏切り、見捨て、ユダヤ人が彼を受け入れなかったためであると考えられている[298][301]。統一教会の信者たちは、神はイエスの死を「神の国」を築くための手段にしようとはしなかったことを強調する[298]

宗教史学者の古田富建は、統一教会の教理の核心は、神、イエスの「(ハン)」を解くこと、つまり「恨解(ハンプリ)」[要出典]であると述べている[65]。「恨」とは、朝鮮文化を語るときにクリシェとして用いられる言葉で、その意味合いには幅があるが、韓国近代宗教史の研究者の川瀬貴也は「様々な要因で叶えられなかった思いが、澱のように沈んでいる状態」と表現している[302]

韓国の民族的な霊魂観においては、夭折者・横死者は成仏できず、怨みを抱いた「怨魂」となって彷徨うとされており、特に無念を抱えた者、子孫を残さずに死んだ者の恨みは強く、生者に災いをもたらすとされる[302]。こうした死者の恨みを鎮める儀礼が「恨解」である[302]

統一教会では、人間の堕落のために神の創造目的を果たすことができず、神に「恨」を作ったと考えており、神はこの「恨」を解くためにメシアとしてのイエスを遣わしたが、人間が「責任分担」(5%の責任)を果たせずイエスを殺してしまったため、神の「恨」はさらに大きなものになったとされている、と説明している[65]

1960~70年代の韓国のキリスト教の一部では、「恨」を教義に取り入れている[303]李龍道はイエスを人間として理解しようとし、三位一体を否定していた[65]

古田富建は、李龍道らはイエスを悲しみや痛みを抱える人間としてとらえ、その孤独や悲しみを理解し共感しようとする姿勢が、聖主教ではシャーマナイズ化された「恨解」の儀礼となっていき、統一教会では教義の根幹になっていると述べている[65]。1965年ごろに、「恨」という言葉が文鮮明の説教に定着した[303]

イエス・キリストを救世主として崇める一方、イエスがやり残した多くのことを成就するために、「再臨のイエス」が韓国に生まれると主張している[270]。それは、地上に戻ったイエス・キリストではなく、イエスが霊界から支援する、聖書に示されている普通の人間であるとしている[300]

文鮮明はメシアが、出生する時期や場所といった条件を示しているが、メシアが生まれる地とは韓国であり、示された条件には文鮮明自身が適合する[300]。神学的には、メシアは一組の男女である[7]

文鮮明は1960年に、23歳若い17歳の信者韓鶴子と結婚し、メシア的使命の一環として14人の子供をもうけた[304]

文鮮明は1992年に自身と妻が全人類の真の父母であり、救世主で、再臨の主であり、メシアであることを宣言した[300]。この宣言の前が「新約の時代」、以降が「成約の時代」であるとされる[300]新宗教ニューエイジなどを研究し、統一運動を肯定的にとらえるウェールズ大学のサラ・ルイスは、この宣言以降、信者自身がメシアになりうるというように強調されるようになり、文鮮明がメシアであるということへの言及は減ってきていると述べている[7]

メシアを受け入れることができなければ、ユダヤ人やローマ時代のキリスト教徒、江戸時代のキリシタンのような受難を罰として与えられると考えられている[301]

人間における神の要素とサタンの要素の戦い

人間の堕落は、上記の神と人間の関係を損なったという縦の軸(信仰基台)だけでなく、もうひとつ人間を人間性自体から引き離したという横の軸(実体基台)があるとされる[294]。横の軸の堕落は、旧約聖書におけるアダムとエバの息子カインとアベルの、兄カインが弟アベルを殺したという逸話に基づいている。この人類最初の殺人によって、人間における神の要素とサタンの要素が分離し、互いに争うことになり、横の軸の堕落が起こったとされる[294]

「最初の兄弟」の間の敵意は、歴史を通して民族、国内・国際的レベルで繰り返されており、20世紀における無神論的共産主義(カインの勢力)と神を畏れる民主主義(アベルの勢力)の衝突に明らかに見られるという[294]

世界中に民主主義が現れたのは神の復帰摂理によるもので、共産主義の専制政治はそれに対抗する悪魔によるものである[153]。従って、第三次宗教改革によって、理念的に共産主義勢力を屈服させ、世界を一つの地上的な「神の国」に統一することが目指される。

文鮮明は、もし理念的戦いに勝利、つまり共産主義のイデオロギーが敗北しなければ、第三次世界大戦が起こり、サタン側の共産主義が敗北するだろうとしている[153][294]。そして原子力による第三次産業革命がおこり、幸福で理想的な社会環境が世界的に建設される[153]。その時全人類はキリスト教(統一教会)を受け入れ、最後に神を中心とした、神主義が現れなければならない、という[153]

二性性相(陰陽二元論)

初期には、『原理講論』で説かれた統一原理は宗教と科学を統一する原理であると考えられていた[305]。神の存在の弁証も自然科学的な因果論的推測に基づき、結果から原因を探ろうとしている[305]。被造世界を観察することで、神の神性を知ることができると考え、観察によって知れることは、被造物がすべて陽性と陰性の二性による授受作用(相互作用)により存在するということであり、存在というものは性相(内性[306]、性質を示す内性)と形状(外形[306]、内性が現れた外形)の二相を持つとしている[305]

神は霊とエネルギーという二重の性質からなるとされ、この2つによってあらゆるものが生まれるとされる[7]。神はエデンの園でアダムとエバを作り、神自身の二重性を反映させた[7]。人間には外形である肉体と、内性である精神が備わっているとされる[306]

神の内性の本質は心とも呼ばれ、神がどのように人間の復活を達成しようとしているかを理解するには、神の心にある愛、喜び、悲しみといった、もっとも奥深い神の感情を理解することが重要であると考えられている[306]。人間は神の似姿として想像されたのだから、神は男性的な面と女性的な面の両方を持つと考えられているが、習慣的に神は男性として「父」と呼ばれている[307]

被造物がすべて陽性と陰性の二性を持つという考え方は陰陽二元論であり、宗教社会学者の櫻井義秀は、「この発想は統一教会が人間を男性性と女性性において理解し、双方の性質が合体した時に繁栄・繁殖がもたらされるという基本的なモチーフから出てきている」と述べ、極めて民族的、東アジア的な感覚に根差したものであり、イスラエル・アラブの民の神の理解と著しく異なることを指摘している[308]。内と外、男性と女性は対極にあるのではなく、それぞれがもう一方の要素を内在していると考えられている[307]

四位基台

四位基台という概念は、神と、神の二性性相から生まれた男性(主体)、女性(客体)、男女の相互作用(授受作用)で生まれた子(合性体)が、それぞれほかの3つの対象と相互作用を持ち、「主体と合性一体化をなすという菱型モデル」である。

祝福

合同結婚式(1982年)

イエス・キリストによる救済は霊的救済のみに留まり、子孫を残さず天に上げられたため、肉的救済はメシヤに託され、文鮮明夫妻が人類の真の父母として信者に「祝福」を与えなければならないとしている[266][309]。祝福は、鮮明夫妻司式の合同結婚式で教祖に配偶者を決めてもらう信者同士の結婚である[266]。結婚したカップルだけが天の御国に入ることができ[310]、祝福を受けた家庭からは原罪のない子供が生まれるとされており[266]、特に重要な儀式である[310]。祝福は象徴的な堕落の撤回のプロセスであり、これによってサタンの血統から自由になり、メシアの血統に結び付けられる。無原罪の子をなし、神を中心とする家庭を完成させることが目的であるとされる[311]

祝福では、メシアとの一体化による「血統転換」を象徴する秘儀ともとることができる「聖酒式」が行われていた。初期の合同結婚式では、新婦が「聖酒」を半分飲み、残りを新郎が飲み干す儀式が行われていた[312]。儀式に使われるワインには、文鮮明と韓鶴子の結婚式で使われたワインがわずかに含まれ、受け手の血統を転換する力があるとされる[310]

1992年時点では聖酒式ではなく、文夫妻が参加者一人一人に水滴をかける「聖水儀式」が行われていた。また祝福を受ける前には、すべての罪を贖い合うことを象徴する、結婚する男女が互いにバットのような棒で互いの臀部を3回たたく「蕩減棒」という儀式も行われた[312]。挙式後は家庭生活に入る前に、最低40日間の「聖別期間」という心身を清める準備期間があり、夫婦の性交はその後に行われる。最初の性交には詳細な手順が決められている[312]

カップルのマッチングの権威は、文鮮明から各国の祝福委員会に次第に移譲された[313]。祝福を受けた妻たちがスタッフとして入るなどしているこの委員会が、資格を持った候補者たちを、相手の好みのデータを基に組み合わせる[313]。相手が気に入らなければ、断って次の紹介を頼む人もいる[314]

現在では、40日間の分離期間を除く蕩減条件は削除されている[313]。いずれにしても、過去から現在に至るまで教団で祝福する男女のカップルのマッチングは、女性(妻)の方が1〜4歳程度年長である「姉さん女房」となるように組み合わせられる場合が多い。教祖一家である文一族や既成祝福の場合を除き、男性(夫)が年長者であるカップルは稀である。

宗教学者のダグラス・E・コーワン英語版、宗教社会学者のデイヴィッド・G・ブロムリー英語版 は、初期には祝福を受けるために多くの奉仕が求められたが、現在は候補者は24歳以上で3年以上会員であることが求められ、儀式も簡素化されていると述べている[313]

1992年には、祝福には非会員も候補に入れられるようになり、90年代半ばには、存命中の信者と亡くなった配偶者との再結合、信者の先祖も祝福の候補に含まれるようになった[313]。2016年の合同結婚式には、主催者によると62カ国から約3000組が参加し、うち日本からは778人、オンラインでも世界から1万2000組が参加したという[315][316]。会場で結婚した3000組のうち1000組は新規の結婚で、残りの2000組は入信前に結婚しており、改めて祝福を受けるために出席した[316]

ジャーナリストの鶴野充茂は、統一教会によると、コミュニティ内の出生率は第二次ベビーブーム時並みの2.1人、基本的には結婚率100%で、離婚率は1.7%と非常に低いと述べている[315]

2016年5月、フジテレビの番組「みんなのニュース」の中で、合同結婚式が取り上げられており、かつては直接会ったことがない信者同士を文鮮明氏が“組み合わせ”ていたが、現在は、教団のマッチングサポーターと呼ばれる仲人が、信者から希望をヒアリングして、信者の相手探しを手伝うことになっている、と報道されている[要出典]

同性愛

統一教会は祝福による男女の結婚・家族形成による救いを主張しているので、それに反する同性愛は「創造の原理に反する不自然な関係」であるとして否定・批判している[317][318]。統一教会は「同性愛は倫理道徳の問題であり、人権問題ではない」、「キリスト教はもちろんのこと、同性愛を“罪”とみなすのは、古今東西の主要な宗教で共通している」と述べている[319]。同性婚を認めれば、「不倫はもちろんのこと、一夫多妻や近親相姦などの“権利”を主張することも可能となる。さらには、文字にするのもおぞましいが、『獣婚』(獣姦、動物とセックスすること)も論理的には認めざるを得なくなる」と、国や時代でも大きく異なる複婚・ポリアモリーや近親婚などへの偏見や蔑視を交えて主張している[319]

霊魂観

統一原理では、アジア的な霊魂観が説かれている[288]。被造世界は神に似た人間を標本に創造されたため、あらゆる存在は心と体からなる人間に似ているとされ、独特な霊界、霊人間の存在が説かれる[288]。霊界は霊的な五官で知覚される実在世界であるという[288]。霊人間は現実の人間の合わせ鏡のようなものであり、霊魂を浄化するには身体の浄化や贖罪が必要であり、それをしなければ地獄行きであるとされる[288]。天国には地上に建設される地上天国と、その建設に伴ってできる霊界の天国があり、死後に霊界天国で安らぐために地上天国の建設が目指される[288]

終末観

現在は、サタンの支配する罪悪世界から、神が支配する創造理想世界に転換される終末(末世)であるとされる[320]

復活
復活とは、サタンの支配圏に堕ちた立場から、神の支配圏内に復帰するその過程を意味するとされる[301]。統一教会では、イエスが埋葬された3日後に弟子たちの前に現れた復活など、キリスト教の伝統的な復活論は全く顧みられていない[301]。聖徒、善霊、悪霊といった霊界をさまよう霊は、地上の人間に憑依して思いを遂げるとされ、霊たちの助けで摂理が進むとされる[321]

蕩減(とうげん)

原義(朝鮮起源の漢字語
借金を全部帳消しにすること。借債を悉く免除してやること。remission(ゆるし)。[322][323][324][325][326] 「蕩」の字義は「すっかり無くする。『蕩尽/掃蕩』」[327]
 韓国では一般に金融用語として「債務の減免」の意味で使われ[328]、頻繁にマスコミに登場する[329]。また韓国語聖書で負債や罪の「ゆるし」の訳に用いられており[注釈 8][330]、韓国のキリスト教会の説教でも頻繁に用いられる[331]
原理用語
統一教会の教義「統一原理」の中核にあたる救済観を「蕩減復帰原理」という。文鮮明教祖が「蕩減」と言う時、99%は統一教会独自の用語である「蕩減条件」「蕩減復帰」「蕩減復帰原理」いずれかの略語で、原義で言うことは1%未満[332]。文鮮明教祖の原義の解釈は「小さな条件で大きな負債を赦すこと」[333]であるのに対し、劉孝元著「原理講論」では「本来の位置と状態を復帰するために必要な条件を立てる(満たす)こと」[334]、崔元福による英訳では「indemnity(賠償)」[335][336]と異なる定義をしている。[337]これを読んだ金東俊神田外語大名誉教授は「これは間違い」と明言している[338]。この教会自ら陥った誤認によって国内外のキリスト教会からの批判を招いている[339][340][341]
教会内部では無原罪で生まれた再臨のキリストとされる文鮮明(今それは否定され再臨のキリストは妻韓鶴子[342])が生誕した韓国を最も迫害したとする日本が支払うべき「賠償(indemnity)」の意味で使われることが多い。[343]
信者達の認識
救済、正確には復帰のプロセスは、神と人間の関係という縦の次元と、人間同士の関係という横の次元がある[294]。復帰は、信心や行いではなく、蕩減(とうげん。償いの意)によって得られるとされる[344]。人類はメシアが出現できるだけの「基台」を築くように務めなければならない[344]。救済の摂理において、神の責任分担は95%、人類の自己責任分が5%であるとされる[345]。神が求めるのは、人間の罪を償いうるに足る以下のものだが、その正確な量は神によって決められるとされる[344]。摂理の成就は、信者の信仰と働き次第であり、よって完全な献身を求められる[345]
日本「エバ」論

日本のセミナー等で、『原理講論』で説かれる堕落の経緯と復帰の歴史を説明される際に、韓国は「アダム国家」、日本は「エバ国家」とされ、先に堕落したエバがアダムに侍ることは当然であると説かれている[345]

朝鮮を植民地支配し民族の尊厳を踏みにじった日本はエバと同じであり、韓国に贖罪しなければならないとされているのである[346]。合同結婚式では、日本人女性・韓国人男性のカップルが多く生み出されており、結婚した日本人女性は韓国人の夫や家族に尽くすことが求められる[346]。サタンと姦淫したエバである日本とアダムとされる韓国という構図で規定される[347]

朝鮮半島男性器、日本は女性の陰部といった比喩も存在する[348]

信徒数

2008年時点で統一教会は世界の200近い国で活動しており、日本と韓国を中心に300万人といわれるが、研究者たちは、事実上の会員はアメリカの数千人の信者を含め、数万人程度と考えている[349]

1995年12月31日現在の文化庁宗教団体信者数統計によれば日本の信徒数は477,000人だが、これは各教団からの申告に拠るもので、統計の全信者数を合計すると全人口を超えてしまい、実際の信者数とはズレがあるため、統一教会の477,000人という数字も実際とは異なると考えられる。

マスメディアによる批判報道(特に『朝日新聞』と『文藝春秋』)や度重なる多額の献金要求の影響もあって、信者数は減少したといわれる。ジャーナリストの米本和宏は、1992年以降の激しい批判報道やその後の貨幣復帰疲れ(献金疲れ)で退会した信者は相当に多く、累計の入会数56万人に対し現在(2009年時点)で活動している信者は推定6万人、残り50万人は退会したか退会同然の状態であると述べている[350]

批判

多額の献金要求

1988年5月、献金名目で土地や建物を安く売却させたとして、都内の無職女性(67)と千葉県の会社員(37)が教団に対し、約7500万円の損害賠償請求訴訟を東京地裁に起こしている。訴状によると、無職女性の土地やアパートを9400万円で売却させ、うち5400万円を献金させた。会社員は、高額な多宝塔や羽毛布団などを買わされたとしている[351]

1992年4月、男性(58)ら一家4人が、「詐欺的な説得で多額の資金を提供させられた」として、約19億3000万円の損害賠償請求訴訟を東京地裁に起こした。訴状によると、教団関係者が男性の農地を担保に借金をさせ、16億4000万円を教団に貸金名目で提供させたとしている[352]

1996年6月、関東地方在住の女性(67)ら3人が、教団に13億2800万円の損害賠償請求訴訟を起こした。訴状によれば、1989年5月から12月にかけて、土地を担保にノンバンクに借金をさせ、約13億を献金させた[353]

1998年頃、統一教会の元信者の男性が教団に対し、19億円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に提起した。男性は栃木県の資産家の家に生まれたが、大学在学中に入信、以後、多額の献金を求められ、1986年から1991年までに総額32億を寄付し、先祖代々の土地の大半を失ってしまった。教団は当初争う構えを見せたが、最終的に19億の支払いを認める形で和解した。弁護団は判決回避のためとみている[354]

朝日放送の取材に答えた大阪府在住の元信者は、三男の自殺による精神的ショックから入信に至り、1993年から2006年の13年のあいだに、三男の生命保険金など3000万円近い金額を教団に献金したと語った[355]

2005年から2010年にかけて、警察による霊感商法の摘発が相次いだことから、不特定多数を狙った霊感商法は下火になり、集金方法は「狭く、深く」少数の信者から大金を搾取するようになっているという[184]

2006年10月3日、「家計が途絶える」と脅すなどの教団信者による違法な勧誘の結果、多額の献金をさせられたとして足立区の資産家女性(68)が教団と信者4人を訴えていた裁判で、東京地裁は教団の使用者責任を認めた上で、約2億8900万円の支払いを命じた[356]

2008年4月10日、「先祖が地獄で苦しんでる」などと信者に脅され、約2億2000万円を献金させられたとして教団に損害賠償請求訴訟を起こしていた千葉県の女性(70)に対し、教団側は2億3000万円を支払う示談に応じた。教団は「教団は関与せず信者間の和解である」とした[357]

2012年7月3日、元信者の女性(37)が、教団と国に対し、約4300万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に提起した。教団に対しては、不安を煽られ、献金や「献身」と呼ばれる労働行為を強いられたこと、国に対しては是正措置を講じる義務があったのに放置した責任があったとした[358]

2014年3月24日、元信者ら40人が、違法な布教活動で献金や宝石購入を強いられたとして、教団に合計1億990万円の損害賠償を求めていた裁判で、札幌地裁は、元信者3人の請求を一部認める形で、合計3850万円の支払いを命じた。判決では布教活動を「経済的利益を獲得する目的」とし「信教の自由を侵害する行為」と認定した[359]

2016年6月28日、東京高裁は、教団の指示で元妻が多額の献金をしていたとして、60代男性に対して3428万円の損害賠償の支払いを教団に命じた裁判の控訴審で、組織的な関与を認めた上で賠償金を3789万円に増額した。教団は献金は信者の自由意志によるものと主張したが、裁判では、献金をしないと不幸になるとして、夫の預金を献金するように指示したと認定された[360]

2020年2月28日、東京地裁は、教団に対し、違法な勧誘で多額の献金をさせられたとして520万円の損害賠償請求訴訟を提起していた60代の元信者女性に対しての、470万円の損害賠償支払いを命じた[361]

2022年7月、教団による被害の救済に取り組む「全国霊感商法対策弁護士連絡会」は、毎日新聞の取材に対し、献金の違法性を認定し、返金を命じる民事裁判の判決が近年も相次いでおり、教団は現在でも信者に献金や奉仕を強要している、と強調した[362]

原理研問題

統一教会系の学生組織『原理研究会』は、1960年代以降社会問題になり、複数の事件・訴訟が発生。原理研に加入した学生は学業を放棄して活動に熱中し、帰宅せず教団関連施設に泊まり続けるようになった。さらには親に「金を出さなければ親子の縁を切る」「遺産の前渡しだ」などと寄付金を要求し、要求が受け入れられないと断食をしたり、「サタン」と親を罵ったり、「殉教する」と自殺をほのめかしたりと、異常な言動をするようになり、「家庭破壊」の被害が続出した。原理研の活動は、路上での布教や募金活動を不眠不休で行うなどの重労働で、過労で入院する学生も多かったという。原理研の運動が盛んだった早稲田大学では、大学側は学生に対し学業に復帰するように要請するも、布教に専念するために退学に至る学生も現れた[363][364][365]。原理研による家庭崩壊の被害に遭った親らは、「原理運動対策全国父母の会」を結成、渋谷にある統一教会本部前で「わが子を家庭、学校に返せ」などのプラカードを掲げてデモ行進を行った[366]

1967年12月には、教団信者2人が大分県内の滝壺で溺死、原理運動の修練活動中だったと見られる[367]

1968年9月、「原理運動対策全国父母の会」は教団会長の久保木修己刑事告訴した。告訴状によると、神奈川県厚木市に総工費7億円で「修練所」を建設すると称し、学生の親から寄付金を募ったが、募金終了後1年以上たっても着工せず、経理報告もしなかったため、寄付金詐欺であるとした[368]

1970年8月、原理研の修練会に参加していた学生が、全身打撲による衰弱で死亡した。原理研の幹部らが不法に監禁し医師にも診察させなかったことが原因として、関係者7人が書類送検されている[369]

1976年には、フランスの「原理運動」パリ本部で手製の爆弾が爆発、教団関係者2人が重傷を負った。原理運動はフランス国内でも社会問題化しており、「子供を取り戻す会」が全国で3つもつくられていた[370]

1976年9月ごろ、米国の移民局は、「原理運動」に関与する統一教会の信者約700人を不法滞在者として国外追放する手続きを指示した。これらの信者の多くは、日本人と韓国人で、連邦判事が「宣教師見習」としての資格を認めないと裁定していた[371]

1977年2月、原理運動に反対する「原理被害者更生会」の顧問が男女2人に鉄パイプで襲撃される事件が発生。顧問は統一教会に一時入信した経験から、原理運動の被害者を社会復帰させる活動をしており、これまで約100人を更生させたと話していた。教団側は関与を否定[372]

1977年4月、渋谷署は統一教会保安係の男(31)を傷害、暴行の疑いで逮捕した。男は、教団に入信した長男、長女と面会に来た「原理運動対策全国父母の会」のメンバーに対し、「不法侵入で110番するぞ。帰れ、帰れ」と恫喝し、二人を手をつかんで押し出し、壁に体を押し付けるなどの暴行を加えた。また、別の日に教団責任者に面会を求めてきた「父母の会」のメンバーにも暴行、全治5日のけがをさせた[373]

1978年6月、青山学院大学で、原理研究会と対立する「反原理共闘」のメンバーら合わせて約20人で乱闘騒ぎが発生。1人が全治5日のけが[374]

1982年11月、東京大学駒場北寮で、反原理運動サークル「文理研」の寮生3人がいる部屋に、約10人の男が乱入し殴る蹴るの暴行を加えた。駆けつけた警察官に対して、一部学生らがスクラムを組んで立ち入りを拒んだために、機動隊が出動し4人が公務執行妨害で逮捕された[375]

1983年には、徳島県で原理研に加入した娘を家に連れ帰った親を相手取って、原理研側が人身保護請求訴訟を提起した。徳島地裁は「娘の幸福を願った親の愛情に基づく正当な親権の行使」として請求を棄却している[376]

1988年12月、「原理研究会」の指示に従って就職した元信者が、理由もなく給料を天引きされ、1日あたり1100円の賃金しか支給されず、毎日15時間から21時間にわたる長時間労働も強いられ「タコ部屋同様の生活を強いられた」として、元勤務先の「セイロジャパン」に対して未払いの賃金や慰謝料を求める訴訟を東京地裁に提起した[377]

現在でも多くの大学は「原理研究会」への注意喚起を公式に発信している。特に、上智大学青山学院大学同志社大学明治学院大学等のミッション系大学は、教団を名指しで批判しており、上智大学は「キリスト教の名を語って人を惑わす新興宗教」として、「巧妙な手段を使ってキリスト教の学校や諸機関にまぎれこみ、騙された人を引きずりこんで、あちこちに被害が出ています」としており、青山学院大学は「サークルのふりをした危険な宗教団体」として、一般的なキリスト教の教えと大きな隔たりがあると、警告を発している。同志社大学も、教団を「破壊的カルト」として、「不安や恐怖をあおり、日本や世界が滅びるなどと脅かし、お金をたくさん取る団体」と厳しく批判し、明治学院大学も「多くの被害者を出してきた宗教団体」として、教団への注意を呼びかけている[378][379][380][381]

散弾空気銃問題

1968年秋頃から、原理運動の関係者の間で、韓国製の散弾空気銃が出回っていることが判明し、問題となった。この銃は全国の原理運動関係者に市販され、1969年2月1日までに793丁の所持申請が警察に出された。63丁は年齢などの問題で受理されなかったが、446丁は猟銃扱いで許可された。この空気銃は通常よりも威力が高く、散弾銃に近い性能をもっていることから、禁止の方向で検討が始められた[382]

2世信者問題

両親が教団の信者である「2世信者」も深刻な社会問題になっている。幼少期から信仰を強要される、教義に従う生き方を強制される心理的虐待を受けてきた、献金のために貧困に苦しんだ、との証言が多数報告されている。自分も「元2世信者」であると語る20代の女性は、日本テレビの取材に答え、「2世信者」の苦しみを語った。女性は幼い頃から親に従い信仰をしてきたが、徐々に違和感を感じたという。小学生の時に、教祖文鮮明の血が入っているとされる赤ワインを飲まされると「まずくて、気持ち悪かった」と感じたといい。中学生くらいから、信仰を拒否するようになった。親は給料の大半を教団への献金に費やしてきたといい。狭いアパートで高価な統一教会の「聖本」や「」に囲まれて生活をしていたという[383][384][385][386]

別の「2世信者」女性は『週刊文春』の取材に答え、「絶対に異性を好きになってはいけない」と恋愛を厳しく制限されていたことを明かした。恋愛に興味を持たないように、本や漫画、テレビ番組も厳しく制限された。20代になって恋人ができ、そのことを親に打ち明けると「お前はサタンだろう!」と相手を脅迫しにいき、破局に至った。女性の弟は「合同結婚式」に頼らず、自分で相手を見つけて結婚したが、弟がそのことを打ち明けると、親が「殺しに行く」と言ったため、警察沙汰になった。弟は親と絶縁したという[387]

合同結婚式」で出会った両親の元に生まれた別の30代女性は、毎日新聞の取材に対し、両親は布教活動などに熱心で家を留守にすることが多く、夕食は一人で食べることがほとんどだったと語る。両親は給料の大半を教団への献金に費やしてきたため、生活は貧しく、小石や虫が混じる「くず米」を食べていたという。やはり家にはや印鑑、多宝塔が置かれ、文鮮明の写真が飾られていた[388]

小学館週刊ポスト』の取材に答えた別の20代後半の「2世信者」女性も、幼少期から貧困に悩まされてきたという。小遣いは1円ももらえず、親戚からもらったお年玉も献金のため没収された。服もボロボロで、集団登校では『くさいから来るな』といじめにも遭った。高校生ではじめたコンビニアルバイトで稼いだお金も、全額両親に渡していたという[389]

40代の「2世信者」女性は「親孝行になるんだ」と親に従い高校生のころに入信した。21歳の時に「合同結婚式」に参加、結婚前に一度も会ったこともない当時19歳の韓国人と結婚した。夫は無職で気に入らないことがあると度々暴力を振るった。しかし、教団に相談すると「あなたの信仰が足りない」と言われただけだった。男性とは離婚に至り、教団が紹介した別の男性と再婚したが、男性は女性のクレジットカードを使い込み、女性は自己破産に至った[390]

2022年8月23日、立憲民主党は国会内で元信者からヒアリングを行った。夫と子供と共に出席した「元2世信者」女性は、両親が高額な献金をしたために家庭環境は貧しくそれが原因でいじめを受けたこともあり、高校生の頃からアルバイトをしていたが200万円あまりの給与はすべて献金のために両親に没収されたと証言した。両親は現在も熱心な信者で、父は教会長を務めていたことがあり、母は婦人部長などを請け負い政治の面でも選挙活動を手伝いやウグイス嬢をしたりしていたという。また女性は結婚前に参加が義務付けられている修練会において公職者からセクハラを受け、韓国にある教団施設では精神が崩壊した信者を数多く目の当たりにするなどし、2016年頃に脱会した[391]

規制論

教団が長期にわたって深刻な社会問題を引き起こしてきたことから、教団に対する規制を求める声も根強い。弁護士紀藤正樹は「旧統一教会は、本人の財産状況を確認して、ギリギリまでお金を出させる手法で、過去30年余りで1230億円以上の被害が確認されている。行政側は、宗教団体による霊感商法には、信教の自由などからタッチできないという認識があり、問題の根深さにつながっている」とした上で、オウム真理教事件を契機に欧米でカルト対策が進んだ一方、日本では手付かずである現状を指摘した[392]

国民民主党玉木雄一郎は、「今問われているのは政治とカルトの問題だ。宗教をまといながら、反社会的な行動を行うことはあってならない。場合によっては法整備も必要だ」として、フランスなど他国の法規制を参考にし、法整備も含めた対策を検討するとして、党内に調査会を設ける方針を明らかにした[393]。また2022年8月21日の記者会見で、一般の宗教法人と反社会的な団体を区別するための法案提出を検討していることを明らかにした。「反社会的行為を、政治のみならず社会が排除できる仕組みを整えたい」と述べ、秋の臨時国会を視野に策定を進めると同時に「わが党としては、旧統一教会と決別することを徹底したい」と強調した[394]

社会心理学者の西田公昭は、「海外では特定の団体をカルトと認定し、その思想を子どもに教えること自体を違法とする国もある」として、教団に対する規制を国が実行する必要性を説いているほか、「宗教」と「カルト団体」と一緒にしてはいけないとして、旧統一教会と他宗教団体を同等に扱うことに否定的な見解を示した[395][396]

教団による選挙妨害を経験した元足利市長の大豆生田実は、「消費者問題にとどめるのではなく、統一教会が大手を振って活動できる土壌を整えてしまっている日本の政治環境や法制度の問題に切り込むべき」として、課税の強化などを含む宗教法人法の改正を主張しているほか[397]宗教学者島薗進は、旧統一教会が多くの被害者を生んできたとして、反社会的な問題を繰り返し起こす団体の宗教法人認証取り消しを可能とする宗教法人法の改正を検討すべきとの見解を示した[398]

法学者中島宏は、フランスの反セクト法に触れ、制定をめぐって信教の自由を侵害するとの懸念が示されたことから、違法行為に着目して規制するようになったことを指摘した。その上で、「日本が学ぶべきは、法規制とあわせたセクトを巡る情報提供や注意喚起、未成年者保護、宗教が絡む問題に対処するための公務員研修などだ」との見解を示した[398]

一方で、弁護士タレント橋下徹は、日本テレビ系の『ミヤネ屋』で「反カルト法のような法律を導入すべき」と主張した共演者の紀藤正樹に対し、「教義内容や内心に踏み込むのは危険」と否定的な見解を示している。すると、紀藤は「70年から80年代で欧米で議論されていた、40年前の議論を蒸し返している」と反論、さらに「基本的には信教の自由には立ち入らない。諸外国の常識で、カルト規制法もそう。そしてカルト規制法は団体規制なので、宗教団体に限らない」と橋下の見解を否定した[399]

勧誘活動批判

統一教会の勧誘の手法は厳しい批判の対象となっている。

教義・教説

宗教社会学者の櫻井義秀は、ルシファーとエバが「不倫なる霊的性関係」を結んだという聖書における根拠はないと指摘している[292]。アダムとエバが楽園追放前に性的関係を結んだという聖書の根拠はなく、『旧約聖書』「創世記」四章一節では、実際に二人が夫婦になったのは楽園の外であることが明言されている[400]。また、霊的堕落・肉的堕落が不倫の性関係であるという根拠は聖書にはない[400]

現在の聖書学では、旧約の諸文書には原罪の観念はないと理解されている[401]。櫻井は、統一原理では、「仮説を公理として議論を進めていって、議論に必要な概念(二性性相、四位基台、肉身と霊人など)もまた直感・霊感的に想定可能な準公理として用いながら、すべての議論を展開していく」と述べている[402]

カトリック神学者のネメシェギ・ペトロは、『原理講論』を対象とした論文において、この書において哲学、自然科学、歴史、聖書解釈学、神学等においての主張は、完全に確信のあるものとして羅列されているが、その裏付けは非常に弱いか全くないと述べている[153]。文鮮明の理性は鋭く、思弁を好んで入るが、思惟方法は全く独特で、教育を受けているが狭い分野に限られており、独学者であることは明白であるという[153]。文鮮明の思考の特徴は、ミシェル・フーコーが前近代的な思考方法の特徴として明らかにした類似に基づく考え方(呪術的思考の一種)であり、『原理講論』の歴史神学の論証の多くはこのタイプであり、この思考方法は近代以後の思想界では通用しないと述べている[153]

ネメシェギは、人間は皆悪魔の血を引いているとされるが、統一教会の楽園追放の話においても、人類はサタン(ルシファー)とエバの子孫ではなく、アダムとエバの子孫とされており、そうであるなら、統一教会の原罪を遺伝的にとらえる考え方と統一教会の楽園追放の話は合致しないと述べている[153]

イエスの死が、罪深い人類を正当な理由で虜にしていた悪魔に支払われた身代金のようなものであったという説は、古代に幾人かの教父が唱えていたが、これには聖書的な根拠はなく、キリスト教神学では中世には捨てられている[153]。また、人類の歴史を神とサタンに分け、人々を恣意的(この分別の基準は、良識や常識の判断と必ずしも一致しないとされる)に神の側、悪魔の側に分けることは、狂信的で極めて危険であると指摘している[153]。ある宗教が天の側により近い宗教の邪魔をする場合、それはサタンに属するとされ、『原理講論』の倫理観では、それを滅ぼすためにはあらゆる行動が許され、善とされることになる[153]

また、ネメシェギは次のことを指摘している。『原理講論』では、旧約聖書に書かれた様々な出来ごとを文字通りに受け取り、その年代も書かれたとおりであるとする根本主義的な聖書解釈(現代聖書学の立場では支持されない)と、聖書の表現を字義通りにではなく象徴的に解釈する象徴的聖書解釈が混在している[153]

ネメシェギは、歴史学から否定されていることを事実とする一方、他のことを単なる象徴としているが、どちらの解釈を用いるかの判断基準はなく、文鮮明の独断にしか思われない[153]

科学と宗教とを混合するような考え方は、現代のキリスト教哲学の認識論ではすでに排除されているが、『原理講論』には認識論が全くない[153]。世界の終末を計算するための歴史観は、非神学的、非学問的であり、その歴史観には驚くほど空白が多く、ギリシア・シリア・ロシア等の東方、ラテン系、アジア・アフリカ系諸民族は全く無視されている[153]

神に二性性相があるとし、それを性的にとらえることは極めて危険であり、このような神理解から、統一教会の思想で性が過度に大きな位置を占め、結婚が絶対視されているのであろうと述べている[153]。独身性・童貞性に対する評価が全くないという点でも、世界三大宗教のどれとも区別される[153]。神の永遠の幸せがこの世なしにはあり得ず、初めてこの世から得られるという考え方は、キリスト教的な神信仰ではなく、神を進化するもののように考える汎神論の系統のものであるという[153]

諸問題との関連

宗教学者島薗進は新宗教における「隔離型教団」の代表的な例としてオウム真理教エホバの証人幸福会ヤマギシ会と共に統一教会をあげている[403]

櫻井義秀は、万物復帰の教えが教団の資金調達と密接に関連することを指摘している[288]

「霊的な子ども」を生み出すことと考えられていた「勧誘活動」と共に、「資金調達」はサタンの領域から神の領域への合法的な金銭の移動と考えられ重視された[404]。勧誘活動と資金調達は、共に非常に儀式的な活動であり、たとえその活動で敵意にさらされようと、愛を与え、多くの人に復帰に関わる機会を与える活動と考えられていた[404]。多くの信者は、寄付した人がその行為の霊的意義を認識しているか否かに関わらず、神の領域へ資金を移動することで利益を得ると信じている[404]。宗教学者のダグラス・E・コーワン英語版、宗教社会学者のデイヴィッド・G・ブロムリー英語版 は、これが一部の資金調達チームの「聖なる詐欺」の実践、寄付の見込みのある人からさらにお金をだまし取ることに結びついたと述べている[404]

合同結婚式も統一教会がカルト視される一因となっている。教団内婚制で世代が再生産されるため、ピークを越えたとはいえ教団の持続力は強い。教団内婚制も、カルト視されたりマインド・コントロール疑惑が持ち上がる一因になっている[18]

日本では1992年には、歌手で女優の桜田淳子(当時34歳)、元新体操選手の山崎浩子(やまさきひろこ、当時32歳)、元バドミントンの世界チャンピオンの徳田敦子(当時36歳)ら有名人が韓国ソウルのオリンピック・スタジアムで行われる「3万組国際合同祝福結婚式」(前年までに12回行われ、計2万組の夫婦が誕生していたとされる)に参加することが公になり、マスコミでスクープとして飛びつき、過熱気味な報道が繰り広げられた[405]。次第に霊感商法被害や、見知らぬ異性同士が教祖のマッチングで結婚するのは不気味だと、激しいバッシングに変わった[406]

1993年には前年の合同結婚式に参加した山崎が突如行方不明になり、統一教会側は拉致監禁であると記者発表してデモ行進を行った[406]。1か月後、週刊文春の独占で山崎の動静が伝えられ、その後山崎はテレビで婚約破棄と脱会宣言した[406]。1990年代以降、元信者が結婚無効を求める裁判も相次いでいる[312]

「血分け」批判と諸見解

カトリック神学者のネメシェギ・ペトロは、神に陰陽説を当てはめるという考え方から性が過度に大きく扱われているが、性的乱交のような腐敗は今のところ見られないと述べている[153]。櫻井義秀は、統一教会の布教当初、血分けの疑惑が持ち上がったが、それは未確認のまま終わっていることを紹介している[407]

1955年の梨花女子大事件の時も、「血分け」と称して淫行が行われているのではないかという疑いがもたれたが、文鮮明の容疑は兵役法違反及び不法監禁であり、無罪となっている[408]

韓国では、統一教会は数ある異端の一つと認識されているが、単に宗教団体というよりある種の財閥と認識されている[409]。日本ほど反社会的宗教団体とは見なされておらず、韓国ではむしろ、日本で「摂理」と呼ばれるキリスト教福音宣教会が教祖による女性信者への性的暴行などで社会問題となっている[408]

櫻井義秀は、文鮮明が初期の信者たちと「血統転換」をどのようにやったかは伝聞でしかないと述べており、統一教会の血分け疑惑に関して著書でさらなる論考はしていない[407]。そして文鮮明が、北朝鮮の興南牢獄に収監され国連軍の進攻で解放された経験や「血分け」スキャンダル等の迫害を受けたことを受難として、メシアにふさわしい聖痕として教説化したことを指摘している[410]

ポリテクニック・サウスウェストの哲学科助教授・バーミンガム市のセリーオーク・カレッジ新宗教運動センター理事のジョージ・D・クリサイディス英語版は、統一教会は血分け教、セックス教であるという主張には裏付けがなく、想像の域を出ていないと述べ[411]、次のように解説している。

統一教会の初期には、夜遅くまで講話が行われることがあり、その際は夜間外出禁止令のために信者たちは朝まで帰宅できなかったが[69]、敵対者はこれを不道徳な性的行為、乱交パーティーであると批判し噂が広まった[412]。官憲が1954年に文鮮明と信者四人を逮捕し、罪状には姦通罪も含まれていた[69]。しばらくして徴兵拒否以外のすべての罪状は取り除かれ、徴兵拒否も無罪となり3か月後に釈放された[69][413]。キリスト教主流派や統一教会の批判者は、統一教会は批判者が血分けと呼ぶ性の入会式を行っており、救世主的教祖が女性の新入団者と性行為を行って女性を浄化し、その上で夫と性行為を行い夫の浄化と子孫の浄化を復帰するということを行っていると主張している[414]

しかし、クリサイディスは、統一教会がこれらを実践しているという情報は、いずれも間接的なものにとどまっており、統一教会と性の儀式を結びつける証言はごくわずかしかないとのべている[411]。統一教会の信者であるユー・ヒョーウォン夫人は、歴史的に統一教会と関係のある聖主教で裸体儀式(楽園で人間が裸体であったことにちなむもので、性儀式ではない)が行われていたため、統一教会もその槍玉に挙げられると述べている。

ヨン・ポクチョンによる、文鮮明がキリスト教主流派から「血分け教」の開祖とも呼ばれる李龍道に出会い傾倒していたという証言は、年代が史実と合致しない[415]。クリサイディスは、ユー夫人の見解の方がヨンの証言より問題が少ないと述べている[416]。またクリサイディスは、現実問題として、教祖が合同結婚式に参加する8,000人もの花嫁と性交渉を行うことは不可能であると述べている[417]

クリサイディスは反カルト派や主流キリスト教の論者で、統一教会は血分け教、セックス教であると批判する論者は、「血」は実物なのか象徴なのか、性行為の相手は救世主である教祖なのか配偶者なのか、後者の場合、集会で行われるのか非公開であるのかを論じることもなく、出どころの不確かな引用、さらなる孫引きを行っていると述べている[413]

クリサイディスは、「血分け」(ピガルム)というハングルが存在するのだから、その言葉が指す何らかの宗教儀式(乱交パーティーではない)は朝鮮半島にあっただろうと推測することはできる[417]が、正確にどの新キリスト教集団が血分けを実践していたかはわからず、統一教会が行っていたことを裏付けるだけの証拠はないと述べている[417]

統一教会が元々「セックス教団だ」、「入会した女性信者は儀式と称する教祖との性行為を強いられる」、「血分け教である」、というバッシングは、1995年の文鮮明の逮捕に関する噂が元になっていると思われるが[413]、その後の無罪放免になった顛末は無視されているという[413]

クリサイディスは、統一教会に血分けの疑惑がかかるのは、同会が婚姻外の性交渉を厳しく戒めていること、血統の復帰の過程は婚姻関係の中だけで「原理的」性交渉として行われること点から見ても筋が通っていないと論じている[417]。クリサイディスは、このような主張が行われるのは、糾弾する側が悪意を持っているということか、より寛容に解釈するならば、血分けの実践と「祝福」(合同結婚式)の後の夫婦間の決められた手順の性行為を混同したのだろう、と述べている[418]

キリスト教主流派によるもの

異端・カルト110番によると異端・カルトである[419]。また日本カトリック司教団が1985年6月22日に出した世界基督教統一神霊協会に関する声明では、キリスト教ではなく、ましてやカトリックでもないことを示し、キリスト教一致運動としてのエキュメニズムの対象にもなり得ないことを明確に宣言とある[420]

キリスト教は世界中に布教されたが、その過程で様々に変質し、伝道する国の文化に順応してきた[421]。世界の新宗教の多くはキリスト教の伝道活動の影響を受けて発生している[421]。キリスト教の他文化への順応は、1世紀におけるヘレニズム化のように容認される場合もあれば、認められない場合もある[421]

キリスト教が土着の宗教と混合して生まれた宗教が、キリスト教の主流派から認められず、その宗教がキリスト教であると主張した場合、モルモン教のように主流の教会から異議を申し立てられたり、ラスタファリアンのように独立した宗教を形成することもあった[421]

櫻井義秀は、統一教会は独特の聖書解釈が見られる『原論講論』を教典とし、教祖・文鮮明が再臨主であると主張していることから、キリスト教の主流派からは異端と見なされていると述べている[266]。統一教会側は、キリスト教の主流ではないが、その教えは韓国に伝来したキリスト教の土着化による正当なものだと主張している[421]

文鮮明はプロテスタント的なキリスト教の影響を受けており、聖書の正典を知るために教会の伝承が必要であるとは考えない[153]。しかし、キリスト教の最大会派であるカトリック教会では、エキュメニズムの対象にもなり得ないため、キリスト教ではない宗教であると宣言している[422]

ジョージ・D・クリサイディスは、統一教会を研究する際は、キリスト教の主流の信仰・実践と比較して「逸脱したキリスト教徒」とするのは単純に過ぎ、キリスト教だけでなく韓国の宗教と文化的背景を考慮し[421]、韓国の伝統的な宗教とキリスト教宣教師の到来と活動の結果生まれた新キリスト教集団にルーツを探り研究する必要があると指摘している[421]。独自の神学は仏教、儒教、道教、シャーマニズム等の土着の諸宗教の影響も受けている[7]

宗教社会学者のマーク・マリンズ(Mark R. Mullins)は日本のキリストの幕屋イエス之御霊教会を「メイド・イン・ジャパンのキリスト教」と名付けて、キリスト教の土着化の例として欧米に紹介した[423]。死者にを授け仏弟子とする日本の仏教が「仏教の土着化」であるなら、先祖に洗礼を授けることも「キリスト教の土着化」になるかもしれないが、これはバプテスマや自発的信仰を重視するプロテスタントとの根幹にかかわることであり、異論もある[423]

櫻井義秀は、こうした日本のキリスト教のマイノリティ教派を土着化の事例として認めるならば、韓国におけるキリスト教系新宗教も土着化の事例に相当するかもしれないと述べてる[423]。宗教社会学的には、どちらも外来宗教の土着化と見なせる[423]。櫻井は、但し、十字架上のイエス・キリストの血による贖罪を最終的な救済として認めるか否かでキリスト教と異端を分けることは、教派の神学としてはあり得るだろうと述べている[423]

統一教会は、イエス・キリストは霊的救済のみに成功し、肉的救済はメシヤに託されたとしており、十字架上のイエス・キリストの死を最終的な救済とは考えない[424]

統一教会は、アメリカの保守的な宗教指導者・政治的指導者たちと連携を築き、これによって社会的存在感を確固たるものにしてきた[425]。文鮮明は、アメリカのキリスト教根本主義ジェリー・ファルエル牧師が設立した私立のクリスチャン大学であるリバティ大学が経済的危機に直面した際に多額の資金援助をするなど、多くの保守派の活動に援助を行った[426]

発生の背景には、1930年代の韓国のキリスト教における神秘主義的な運動があり、独立後の朝鮮戦争を経た1950年代以降の韓国において生まれた、新宗教運動の潮流の一つである[7]。その神学は、仏教、儒教、道教、シャーマニズム、さらに韓国のキリスト教の影響を受けており、西洋的文脈になじまない信念も見られる[7]。宗教的コミュニオンへの家族的没入が統一教会の実践的規律になっている[427]

カトリックの聖職者の減少を憂慮していたザンビア出身の大司教エマニュエル・ミリンゴ英語版は、2001年に韓国人鍼灸医師マリア・スンと合同結婚式で結婚し破門されかかった[428]。ミリンゴはスンと別れて静かに暮らしてたが、2006年にワシントンでスンと共にカトリック教会における聖職者妻帯の認可を求め、4人の妻帯司祭を司教に任命し、自動的に破門された[428]

カトリック神学者のネメシェギ・ペトロは、統一教会はキリスト教、特にカトリック的キリスト教とは本質的に異なる宗教であり、キリスト教に属する諸教会・教団の再統合を目指すエキュメニカル運動の対象外であると述べている[153]。また、統一教会はキリスト教との関係という点で、マニ教と非常によく似ているという[153]。(マニ教はサーサーン朝ペルシャマニ(3世紀)を開祖とする二元論的な宗教で、統一教会と異なり性を忌むべき悪と見なしていたが、イエスを高く評価し、開祖マニこそが最終的な真理をもたらすものであり、自説が宗教・哲学・科学全ての問題を理性的に解決する真理であると主張し、人類の最終的な唯一の宗教にならなければならないと考え、信徒は世界的な布教を行い、強固な宗教組織を作り、社会生活においても互いに連帯していた[153]。)

ネメシェギは、人間と悪魔が性交できるといった神話的な思想は絶対に排除しなければならないものであり、原罪の教えは人間の悪魔化についての教えではなく、この世の一切の悪いことは神の意志に適うものではなく、神との調和を取り戻すことで、神の助けによってそれらの一切を取り除くことができるという希望を抱かせる教えであると述べている[153]。統一教会は、イエスの復活を認めないからこそ、その死の理解が間違っているという[153]

またネメシェギは、次のように批判している。『原理講論』は文鮮明が受けたという啓示を根拠にしているが、啓示の客観的根拠は本書では述べられておらず、その教説には誤りが多く、実際に神の啓示であるとは思われず、文鮮明が啓示であると思い込んだのは、若い時からかかわっていた神霊主義的現象や、朝鮮半島のシャーマニズムの影響であったかもしれない[153]。また陰陽論を神に当てはめるやり方は、キリスト教神学と哲学が初めから支持してきた神の絶対的超越性、独立、自己充足性、純一性、自由についての教説とは一致しておらず、神の絶対的超越性を十分理解できていないからこそ、被造世界にみられる特徴をそのまま神に当てはめてしまっているという[153]

日本では、日本カトリック司教団がカトリック信者向けに、「私たちは、一つの人間家族をつくり上げることの意義を否定するものではありませんが、この世界基督教統一神霊協会がキリスト教ではなく、ましてやカトリックでもないことを示し、キリスト教一致運動としてのエキュメニズムの対象にもなり得ない」ことを宣言し、その教えはカトリックの教えと明確に相反するため、統一教会のいかなる運動や会合などにも関与しないように注意を喚起している[429]

プロテスタントの日本基督教団牧師・宗教研究者の石井智恵美は、キリスト教を名乗ることについては、正統派キリスト教による根強い批判が見られると述べている[270]

キリスト教の主流派における公式の教会会議や委員会の中には、統一教会の統一思想に反対し、キリスト教であるという主張に異議を表明したり[421]、危険性を警告するものもある。

1975年には、フランスのカトリック司教協議会が統一教会の危険性について警告書を出している[430]。パナマの司教会議も、同一の立場から統一教会の実態について述べる司牧書簡を発表した[430]

1976年には、ニューヨーク大司教区が、アメリカのユダヤ系委員会、全米教会会議と共に、統一教会は反キリスト教的・反民主的であるという共同声明を出した[430]

プロテスタントの日本基督教団は、教団として統一教会対策に取り組んでおり[430]、ジャーナリストの米本和広は、日本基督教団は総会で「統一教会を潰す」という決議を採択したと述べている[406]

日本福音同盟は統一教会はキリスト教ではないと表明し、様々な姿と紛らわしい組織体を持ち、それらを通じて多くの人々を勧誘し「マインドコントロール」していると断じ、その活動に憂慮を示している[431]

統一教会に対するこれらの動きは日本基督教団だけでは限界があると考えられたため、キリスト教諸教派に協力が呼びかけられ、2004年「統一教会問題キリスト教連絡会」が発足した[430]。そこに、カトリック中央協議会在日大韓基督教会日本聖公会日本バプテスト連盟日本福音ルーテル教会が新たに加わり、日本のキリスト教エキュメニカル運動団体・日本キリスト教協議会オブザーバーとして参加した。そして、定期的に会合を開いて情報交換を行い、統一教会問題の啓発冊子『これが素顔!』を作成、「連絡会」所属の司祭、牧師と「霊感商法対策弁護士連絡会」の弁護士、「全国統一教会被害者家族の会」の有志メンバーが訪韓し、韓国のキリスト教諸派に日本における統一教会の実態を伝えた[430]

統一教会などのカルト視される新宗教の信者に対する脱会カウンセリング(特定教団に入信した信者はマインドコントロールされているために信者であり続けるとみなし、家族とカウンセラーが積極的に信者当人の信仰問題に介入することでマインドコントロールを解き、教団から脱会させようという特殊なカウンセリング)には、信教の自由などの面から問題視する向きもあり、強制棄教であるというジャーナリストによる批判もある[432]

この脱会カウンセリングに関わるキリスト教関係者もおり、1998年以降、統一教会信者とエホバの証人の信者が、違法に脱会・棄教を強要されたとして、家族や関係者、脱会カウンセリングに関わった牧師が相次いで提訴されている[432]。このような裁判は2005年時点で5件あり、2件が信者の請求を全て棄却し、3件が一部に違法行為があったとして損害賠償の請求を認めた(うち1件はエホバの証人)[432]

統一教会が聖酒には「父母の愛の象徴が入っている」と表現したせいか、聖酒には「精液」が混入されていると報道されたこともあったが、統一教会側は事実無根であると述べている[312]

同性愛者の信者は、当然同性愛を「克服」しなければ教会に残ることはできない[317](同性を愛するのは倫理道徳に問題があるから、同性愛者が人種のマイノリティのように権利を求めることは間違いとされるため)。

渋谷区で同性パートナーシップ制度の条例案が提出され、これに反対するチラシが組織的にポスティングされた。チラシでは、条例でエイズが蔓延する、言論の自由を侵害する、伝統的な家族制度に混乱をもたらし、学校教育や子供の躾にも悪影響を及ぼすなどと主張されていた。チラシの連絡先は、統一教会の関連組織として知られるpure love allianceである[433]

2008年に大阪府の堺市立図書館で、男性同士の愛や絆を扱う女性向けのジャンル「ボーイズラブ」小説が収蔵・貸出されていることを非難する「市民の声」によって廃棄が要求され、ボーイズラブとされた5,500冊の本が開架から除去される「堺市立図書館「BL」本排除事件」が起きたが、これに統一教会の関連会社「世界日報社」が関与していたのではないかと指摘されている[434][435]

2012年の設立者の文の死後に組織は分裂したため、韓国でも脱会者が相次いでいるが、まだ地方の不動産を保有しているため韓国内では影響力は残している[436][出典無効][437][要ページ番号]

日本共産党の政党機関紙「しんぶん赤旗」を刊行する「赤旗」は、文鮮明は若い時「混淫派」とよばれる血分け(ピガルム、「血の浄化」を意味する[414])教の信者であり、血分け教とはセックス教であると主張した[438]。また、統一教会の教義は「文鮮明との血分け(セックス)によって人間は清められ、無原罪の子を産むことができる」というものであると断じ、激しく批判している[439](「赤旗」の主張の情報源は、上記批判を掲載した書籍『赤旗―統一教会元会員の証言』には記載されていない)。統一教会に対する通俗的なバッシングには、しばしばこのような主張が見られる。

また、ワシントン市の統一教会所属の「ユニヴァーサル・バレエ団」とレニングラード市のキーロフ・バレエ団は公式に関係を結び、1990年代初頭には統一教会のロック・グループ「オリジナル・マインド・バンド」が、ブルガリア、ルーマニア、ハンガリー、チェコスロバキアで演奏するなど、東欧で活発に活動した[152]

関連事件

赤報隊事件の関与疑惑

2人の朝日新聞社所属の記者が殺傷され、2人の首相が脅迫された言論弾圧テロ事件である赤報隊事件について、教団の関与が疑われ捜査の対象となった[440][441]。朝日新聞社の発行する『朝日ジャーナル』などが統一教会を批判していたこと[442]や、教団系の国際勝共連合街宣車を繰り出し朝日新聞批判の街頭演説を繰り返していたこと、霊感商法批判を繰り返していた『朝日ジャーナル』編集部宛てに「社員のガキをひき殺す」などの脅迫状が送付されていたこと[443]、「とういつきょうかいの わるくちをいうやつは みなごろしだ」との統一教会の名前を使った脅迫状が事件後に送付されたこと[444]が指摘されている。

副島嘉和襲撃事件

統一教会系新聞世界日報1980年代初頭赤字経営だったが、編集長として統一教会幹部の役職が与えられてた副島嘉和が、独立可能なほど興隆させる[445]。それを乗っ取りと見た統一教会は、渋谷のビルを勝共連合信者約百人で占拠監禁暴行し、福島を強制解任した[445]副島嘉和と元営業局長井上博明は、連名で文藝春秋1984年7月号に「これが『統一教会』の秘部だ―世界日報事件で『追放』された側の告発」という18頁に渡る手記を暴露発表した事で、1970年代の10年間で日本から韓国へ約2000億円が送金された事など、初めて日本国内の一部に統一教会の内情が露見した[105][30]。1984年6月10日頃には全国の店舗に並んだが、その直前の1984年6月2日夜、副島が帰宅途中に何者かに襲撃され、全身を刺され瀕死の重傷を負った「副島襲撃事件」が発生[106]。この襲撃事件時、世界日報の元社会部記者が副島の自宅に偶然おり、副島が瀕死の状態で自宅にたどりついた時の様子を証言している[107]。副島は全身を刺され、最も深い物で刃渡り15㎝まで到達していたが、心臓からわずかに2センチメートル外れており、また世界日報の別の記者が事件直後にたまたま副島の自宅を訪ねており、救急車に担ぎ込まれた事により副島は奇跡的に生還した[108][109]

この事件の後、統一教会は「副島は闇の世界と深い付き合いがあった。闇の世界のプロの刺客に襲われたようだ」との風説を盛んに流している[446]

副島らは、この襲撃事件前後の統一教会との確執に関して原稿を書き『週刊文春』に持ち込んだが採用されなかった[110]。また、マスコミも襲撃事件を言論事件として取り上げようとするところはなかった[110]。副島らは孤立無援の状態で統一教会の告発を続けたが、さまざまな事情によりグループから脱落者が出て、それを続けることは難しくなっていた[111]。偶然ではあるが、1984年秋から『朝日ジャーナル』が統一教会、霊感商法の批判キャンペーン記事を掲載しはじめたため、副島らが始めた統一教会批判は実質的には『朝日ジャーナル』へ引き継がれることになった[111]。この襲撃事件は殺人未遂事件としてではなく、傷害事件として捜査された[112]。しかし、犯人を特定できないまま、1991年6月2日に公訴時効を迎えた[112]

カリフォルニア女性信者強姦殺人事件

1985年4月、アメリカ合衆国カリフォルニア州の住宅街で訪問販売活動中の信者女性(22)が、住人の男に強姦・殺害された事件が発生している。女性は1984年8月に「布教のためアメリカに行く」と告げて、渡米していた。事件後、女性の遺族は教団関係者ら5者を相手取り、総額3900万円の損害賠償請求訴訟を提起。治安の悪い危険地域で、1人で訪問販売をさせていたことで、安全を指導し、危険を防止する義務を怠ったとして責任を追及した。裁判は教団側が2000万円を支払うことで和解に至った[447]

ウルグアイ女性信者自殺事件

1996年12月2日、南米ウルグアイで教団の信者女性が宿泊先のホテルから投身自殺している。女性は教団の布教活動のために、3人の子供と夫を残し単身で11月中旬から渡航、首都モンテビデオで研修を受けた後、ブラジルで1年の布教活動に従事する予定だった。夫は現地の警察に対し、妻は文化の違いなどから「精神的にまいっていたようだ」と説明。女性は自殺直前にもコーヒーカップを床に叩きつけるなどの異常行動をとり、「精神的にとっても疲れている」「日本が恋しい、子供たちが恋しい」と語っていた[448]

東大生男女刺傷事件

1999年1月19日、東京大学教養学部2年の男子生徒(19)が、同級生の女子(20)を刃物で刺し、全治1か月の重傷を負わせる事件が発生した。女子生徒は統一教会信者で、「原理研究会」の勧誘のために男子生徒に信者であることを明かさずに接近したが、これをきっかけに男子生徒がストーカーと化したという。男子生徒はPHSに1日何十回も脅迫電話をかける、待ち伏せする、寮に押し寄せるなどのつきまとい行為を繰り返していた。さらに女子生徒に信仰をやめさせるために、セミナーに通いはじめていたが、女子生徒が合同結婚式に参加していたことを知り、精神的に追い詰められ、凶行に及んだとみられている。男子生徒は逮捕後、何度も『彼女に騙された』と語っていた[449]

海上自衛官による北朝鮮無断渡航事件

2006年海上自衛隊岩国基地所属の3等海佐(42)が、統一教会のツアーで宗教行事に参加するために北朝鮮に渡航していたことが判明し、減給2ヶ月の処分を受けている[450]

麻薬関連のマネーロンダリングと密輸

2020年1月20日、統一教会の南米代表(総裁:ハク・ジャハン)が麻薬関連のマネーロンダリングと密輸で米国連邦捜査局(FBI)に逮捕・起訴された事実が遅ればせながら明らかになり、被告人と教会幹部との接点が疑われている[451]

同年20日、米司法省によると、米司法省は世界平和統一連盟の政治団体である国際平和議員連盟(IAPP)の会長シンシア・エリザベス・タラゴ・ディアスらパラグアイ国籍の3人を起訴した。FFWPU)は、2019年11月21日(現地時間)、FBIの捜査結果に基づき、マネーロンダリングとドラッグ密輸の容疑でニュージャージー州地方裁判所に提訴した[451]。タラゴはパラグアイの元国会議員(MP)で、他に夫のレイモン・ヴァと両替商の幹部ロドリゴ・アルバレンガ・パレデスが共にに起訴された[451]

タラゴとヴァの夫婦はマネーロンダリングにより空港に到着した直後の同日にニューアーク・リバティ空港近くのホテルで逮捕され、現在はニュージャージー州モンマス郡の連邦刑務所に収監された[451]。共犯者のAlvarengaは未逮捕であるが、国際刑事警察機構(インターポール)に指名手配されていおり、パラグアイに潜伏しているとみられる[451]

その他

1976年5月、ニューヨーク・ブルックリンで日本人の青年信者が布教活動中に強盗に襲われ死亡[452][448]

1976年6月、教団系のホテル「ニューヨーカー・ホテル」で、手動式エレベーターの20階からアメリカ人青年(21)が転落死[452]

1976年8月、ニューヨークで日本人の青年信者(23)が教団系のホテル「ニューヨーカー・ホテル」の22階から転落死。ニューヨーク市警の調べによると自殺とみられる。読売新聞は、統一教会の秘密的な活動状況から、すんなりと「自殺」と受け取れないとしている。また、当時ニューヨークでは、観光ビザで米国を訪れ、日本料理店で不法就労し、移民局から摘発される信者が増えていたという[452][448]

1980年12月、タンザニアで統一教会の信者が闇ドル売買のおとり捜査に引っ掛かり、逃げようとして射殺される事件が発生。タンザニアでは布教が禁止されていた[453]

2013年8月、韓国北部の統一教会関連施設で、日本人信者とみられる女性がほかの日本人2人を巻き添えに焼身自殺を図り、大やけどの重体[454]

各国での活動

1970年代中盤から80年代中盤までに日本での霊感商法で稼いだ資金のうち、8億ドルはアメリカに送金され、統一教会のアメリカでの大規模な布教活動やロビイング活動に利用された。この資金源はアメリカの信者には秘密であった[47]。それらの資金を利用して、韓国、日本、米国で保守系日刊紙を刊行しており、文鮮明が推進した事業には、日本では1975年創刊の保守系新聞世界日報[455]、1982年に文鮮明はアメリカの保守系新聞であるワシントン・タイムズ[456]、国際ニュースメディア企業「ニューズ・ワールド・コミュニケーションズ」、などがあり、特に財閥組織である「トンイル・グループ(世界基督教統一神霊協会維持財団)」はその代表格である[457][458][459]

日本

東京都渋谷区松濤の日本本部(2017年9月10日撮影)

1958年、当時まだ国交のなかった日本での伝道のため崔奉春(日本名:西川勝)を密入国させ[72]1959年[460] 10月[72] に日本統一教会を立ち上げ、1964年には東京都知事の認証で宗教法人となった[72][460]。1960年代初めには立正佼成会庭野日敬会長(当時)の指示で統一教会の教えを学んでいた立正佼成会の青年部の信者50名ほどが統一教会に転じ、2年後に日本の会長になった久保木修己をはじめ、後に教団幹部となる者が出た。

戦後の外来宗教としては古い部類であり、ミッション(伝道団)であると考えるならば、その中では日本で最も勢力を拡大している[461]

日本では多くの社会問題を起こしたことから、社会的評価は低いが、政治家との強い関係や経済組織を持ち[461]、数十万の日本人を活動に巻き込み[461]、現在も数万人の熱心な日本人信者を持つなど[461]、社会的影響力は弱いものではない[461]

日本において最初に問題になったのは「原理研究会」であった。大学生の子どもの様子がおかしい、ホームや教会に寝泊まりしながら販売活動や募金活動や布教活動に奔走しており、家に戻れと言っても言うことを聞かず、原理研究会や統一教会の批判をすると血走った尋常ではない目で反論して来る、果ては大学を中退し、合同結婚式に参加する[462]。これを朝日新聞が1965年7月7日に「親泣かせの原理運動」と報じた[463] のが皮切りである。

1960・70年代には、統一教会の学生組織である「原理研究会」が大学構内で示威的な布教活動を行い、大学を中退して統一教会に献身する学生が問題となった[464]。現在も大学では学生を守るための対策が講じられている[465]

統一教会は、霊障や祟りを強調し、占いや先祖祭祀の観念を利用するなど、日本の宗教文化を偽装した布教を行い、違法な物品販売活動で資金集めをした。

1980年代には姓名判断や印相鑑定と絡めたいわゆる「霊感商法」が大きな社会問題となり[80]、1989年には霊感商法被害対策弁護師団が結成された[80]

統一教会がらみの訴訟が1986年以降100件を超え、献金勧誘行為の違法性と賠償責任を認める判決が複数ある[466]。また、金銭トラブルや教義の妥当性だけでなく、「人生の目的」「生そのものをより良くする」「自分らしく生きる」「幸せな家庭、家族」を望む志向性そのものの侵害、すなわちスピリチュアリティを巡るトラブルという点も注目された[467]

日本では2008年の特定商取引法の改正以来、統一教会の物販の販社にも司法の手が及ぶようになってきたため、集金が困難になってきている。浅見定雄は、日本からの資金を命綱とするとするこれまでの在り方に、大きな転換を迫られていると述べている[468]

1967年9月[462] には、自分の子供は洗脳を受けたから家出したと考える親たちが「原理運動対策全国父母の会」を結成[462][463] し、教団本部に対し

  • 原理運動のために家出する者を「すばらしい」とほめて、家庭を破壊するような指導をやめる[462]
  • 学業を続ける者を「罪悪なり」とする大学の原理研内の風潮を改める[462]
  • 子女に無理な献金を強要し、無報酬労働をさせない[462]

などの9項目を申し入れた[462] が効果はまるでなかった[462]

1977年6月に早稲田大学で反原理運動が始まり、全国に広がった[463]

統一教会は、他のキリスト教や新宗教の団体には見られない特異な勧誘方法(統一教会所属していた鄭明析による新宗教団体・摂理は同様の手法を使っている[469])と、教化システムを確立している。

統一教会では、入信、回心を経てしばらくすると教団に献身することが求められるが、青年信者のうち一定の割合が献身してしまうことから[470]、一般にはこのような急激な態度変化は洗脳マインド・コントロールであるという認識が少なくなかった[470]。しかし、宗教研究宗教社会学では、統一教会の事例であっても自発的な入信、回心であると理解されており[470]、マインド・コントロールされたという臨床心理社会心理学の立場と、学問や法廷で20年以上論争が続いてきた[470]

日本では、当初は自覚的な参画者からなる宗教運動だったが[80]、1980年代に大きな路線転換があり[80]、以降、教団名や活動内容を説明した上での布教活動を30年近く行っていない[471]

統一教会の「新規の入り口」は文化系サークルや教養講座、鑑定所等に擬態したものであったため[471]、日本の統一教会には、宗教団体とは自ら信じて集まった人の団体であるという「宗教」の前提が通用しない[471]。信仰とは自発的なものであるはずだが、日本の統一教会の信仰には、そうとも言い切れない複雑さがある[471]。韓国では正体を隠した勧誘は行われていない[409]

1980年代からは印鑑、壷、多宝塔、高麗人参濃縮液等の販売の比重が高まり[463]、「マインドコントロールで一般の人を信者とし、霊感商法などで金をだまし取る」と批判を浴びて社会問題化し有名になった。

統一教会の宣教活動には社会の規範意識や法律と軋轢のある部分が多く、宗教学者の櫻井義秀は、「教説の創唱性、教祖のカリスマ、教団内婚制という点だけを取り上げても、宗教学的には新宗教と定義して構わないし、再臨主を称する教祖を信奉する少数者の集団という意味では宗教社会学的にはカルトと類型化される」述べている[266]

韓国では異端、偽宗教といわれることもあるが、霊感商法や正体を隠した勧誘といった日本のような社会問題化する教団活動を行っておらず、献身(後述)や布教の強要もなく[472]、祝福献金の金額は日本よりはるかに安いといわれており[472]、日本のような特異な信仰になっていない[472][409]。このように被害者がおらず、日本での被害の実態もあまり報道されていないことから、韓国ではあまりカルトとは見なされていない[409][473]

1992年に芸能人の桜田淳子・元新体操選手の山崎浩子が合同結婚式に参加したことが報道され、翌年、 山崎浩子が脱会し記者会見で「私はマインド・コントロールされていました」と述べて自らの体験を語ったことからマインド・コントロール・洗脳であるという批判が高まり、1980年代末まで盛り上がっていた活動は以降停滞した[189][468]

日本統一教会は資金面でも人材面でも世界の統一教会の供給源になっている[72]

また日本の信者から徹底的に集めた金銭をアメリカでの事業立ち上げに使用されたと報道され[474]、多額の献金によって崩壊した家庭が多いとされている[475][476][477][478][479]

赤旗は、経済活動で得た金の大半を文鮮明に送金、その額は一時年間約1億ドル(当時のレートで約240億円)に達してその私腹を肥やした他、その反共右翼政治活動の資金源となっていたと述べている[72]。また赤旗は、信者は言葉も分からないまま外国へ送られ花売りやキャンデー売りをさせられ、場合によっては観光ビザで入国して現地の系列企業で働き国外退去を命じられた例もあり[72]、美人の女性会員を動員して対米議会工作に当たらせたとも言われ、元会員の証言では文鮮明が日本の女性会員を集めて「君たちを各国大使の貢ぎ物にする」と語ったことがあると述べている[72]

赤旗は、崔奉春は「日本宣教の父」と言われていたが1987年1月に退会し、末端会員を「伝道」「募金」「経済」と称する金集めに駆り立てる教団のやり方を批判、「良心的に生きない人は偽善者ではないのか」「私は、信仰の道を行っても、絶対に自分の良心と理性だけは、殺したくない」と語っている、と述べている[72]

2016年には、テレビ東京の番組「世界ナゼそこに?日本人 〜知られざる波瀾万丈伝〜」の中で、合同結婚式で海外信者と結婚した統一教会信者が、信者であることを隠し、虚偽の経緯・経歴で複数回にわたり出演しているなどとして、全国霊感商法対策弁護士連絡会が同局に事実関係や出演の経緯などについて回答するよう申し入れた。局側は「きちんと取材した結果に基づいたもの」と回答している[480]

欧州

ヨーロッパ各国では 1980年代世界基督教統一神霊協会(統一協会)に入信した信者と家族の間で問題が頻発したことを受け、当時のフランス首相、ピエール・モーロワから調査を委嘱された下院議員、アラン・ヴィヴィアン1985年4月、「フランスにおけるセクト、精神的自由の表現か悪質なかつぎ屋か」と題する報告書を提出した[481]。 その後1984年4月と6月にEC議会が統一教会に対する対策を求めるに当たっての調査の中で同様の問題のある宗教団体があることが認識されるようになった[482]。これにより樹立されたフランスの反セクト法は、統一教会、サイエントロジーエホバの証人創価学会崇教真光などの現地法人がフランス国内での犯罪性や人権侵害の度合いなどに基づきセクトとして取り扱われた[483]

米国

アメリカ進出当初、統一教会は活発な活動で欧米のメディア及び研究者の注目を集め、宗教社会学の古典的業績のかなりの部分が統一教会の研究で生み出された[484]。そして1980年代の路線転換後をフォローする研究者がいなかったため、これ以前の研究が教団に利用された[485]

アメリカでは1970年代以降、共同的な組織から権力を分散した家庭的な構造に移行し、「ホームチャーチ(家庭教会)」として知られる一つの家族の家庭で暮らすことが奨励されるようになった[486]。ホームチャーチは地域の家族に仕え、責任を持つよう期待される[486]

1980年代に祝福を受けた会員のほとんどは、この落ち着いた生活スタイルになり、統一教会の正会員をやめ賛助会員として、個人的な家庭と仕事を持って暮らしている[486]。しかし、文鮮明の子息で末っ子の文亨進が2015年頃にアメリカ合衆国でワールド・ピース・アンド・ユニフィケーション・サンクチュアリー教会(通称:サンクチュアリー教会)を分派的に設立している。クーリエ・ジャポンによると、教会の信念はキリスト教と聖書に根ざしてはいるが、「武器信仰」が特徴であり、経典は独自のものとなっている[487]

教祖文鮮明韓鶴子の7男の韓国系アメリカ人であり、アメリカ家庭連合(アメリカ統一教会)会長であった文亨進は、父親の文鮮明が2012年に亡くなった後、母親の韓鶴子が父親の教え以上に自らの立場を上位の物にしようとしたとして、韓鶴子との違いを明確に表明した事により対立、2013年には韓鶴子により教会の複数の立場から解任され、文亨進は分家組織である世界平和統一聖殿(通称:サンクチュアリ教会)を、アメリカ統一教会とは別にアメリカ国内にて立ち上げた[58]。統一教会は現在、文亨進のサンクチュアリ教会を「脱会組織」とみなしており、文亨進が主導した統一運動の変革のほとんどは、彼の解任後に却下された[59][60]。文亨進は有力なトランプ支持者であるとされ、AR-15を重要視する“Rod of Iron Ministries”を率いている事で知られ、2021年アメリカ合衆国議会議事堂襲撃事件にも参加した[61][62][63][64]

韓鶴子(文鮮明夫人)は1993年に「真の父母と成約時代」と題する講演を米国議会で行なったが、その日(7月28日)を記念して(教団はその日を記念してと言っているが、実際の関連性は不明である)米政府は「父母の日」という国民の祝日を定めた(1994年9月30日下院本会議可決、10月4日上院本会議可決、10月14日ビル・クリントン大統領の署名により正式法制化、米公法103-362)[3]

中華人民共和国

中国では、1997年に「邪教」であると当局によって認定されており、活動は違法ととなる[488]

中華民国(台湾)

戒厳令が終わった頃に台湾に伝来した[489]。台湾にも支部があり16の教会、1万人ほどの信者がいる[490]。2000年から20年間続けて内政部に優秀宗教団体として表彰されており[491]日本とは別でカルト、タブーとはなっていない。

また政治活動も行っており天宙和平統一家庭黨という政党を2014年に設立している[492]

旧ソビエト諸国

統一教会は1980年代からソビエト連邦にて活動を始めていたが、ソ連でペレストロイカが始まると、堂々と布教活動をするようになった[493]

1990年4月、文鮮明はソビエト連邦を訪問し、国家元首であったミハイル・ゴルバチョフと会談[493][494]クレムリンの敷地内にあるロシア正教会の重要な教会、ウスペンスキー大聖堂で統一教会の儀式を行なった[493]。文鮮明は「統一教会はやがてロシアで国教として受け入れられるだろう」と発言した[493]

ロシア宗教・宗派研究センター協会会長のアレクサンドル・ドヴォルキンは、「ソ連の国家元首が、現役の一国のトップとして一番最初に文鮮明に会ってしまった。周囲の人々のプロ意識がなかったとしか思えない」と語っている[493]

統一教会はまず、莫大な資金を注ぎ込んでロシア教育省と太いパイプを築いた[493]。学校の教師らをロシア南部・ビーチリゾートのサナトリウムへ旅行に連れていき、そこでセミナーを行い、ビデオを見せるなどして啓蒙活動を展開した[493]

「統一教会は、ソビエト人のメンタリティというものをあまり理解できていなかったと思います[493]。無料でビーチに行きたいから行っただけ、戻ってきてからは何もしないという人が多かったのです[493]。しかし強く感化された人もいて、ひとクラス丸ごと生徒を統一教会の儀式に連れていった教師もいた[493]。それをフランスのテレビ局が取材していたので、よく覚えています。」とドヴォルキンは話している[493]

統一教会はロシア語で「私の世界と私」という教科書を作った[493]。この教科書はロシア全土のおよそ一万の学校で採用され、特にカルムキヤ共和国では、当時の首長と関係を築き、共和国内の全ての学校が採用した。カルムキヤはロシアの中でも数少ない仏教国である。統一教会は一応キリスト教系の新宗教であるはずだが、ドヴォルキンは全く関係ないと否定する[493]

ドヴォルキンは、「ロシアは多民族の国ですから、統一教会は地域によって、自分たちの主張を変えていました。カルムキヤでは仏教徒に、イスラム教の地域ではムスリムに対し、それぞれ耳ざわりの良いことを吹き込んでいたわけです。また、最初はロシア正教会の聖職者が統一教会のセミナーに参加することもありました。文鮮明は、色々な宗教の代表者を自分たちのイベントに招くことを好んだからです。しかしロシア正教会の方は、これはおかしいと気づき、行くのをやめました。」としている[493]

日本では安倍晋三銃撃事件での容疑者のように「2世」の悲劇が注目されがちだが、ロシアでは親の意に反して子どもが入信してしまうケースが目立ったという[493]

ドヴォルキンによると、「霊感商法寄付などで日本が統一教会の資金源になっていることは有名ですが、ロシアの場合は、90年代から2000年代にかけては市民が寄付できるほどのお金を持っていませんでした。ロシアにおける手口はこうです。若い信者は、縁もゆかりもない他の町に引っ越しさせられ、アパートの一室に押し込められて集団で生活します。朝から晩まで路上に立って、通行人に施しを求めます。大体は、冷たくされるわけですね。でも、信者は、その冷たくされることこそが、試練だと捉えています。狭い部屋に戻ると、一番寄付を集められなかった人が罰を受けます。そんな中でも、他に友達や頼れる人がいないので、信者の信仰の心は強まり、自分たちは正しいことをしているという気持ちがさらに高まるのです。」とされている[493]

統一教会は、米国と日本のメディアに大きな影響を及ぼしたが、ロシアではその試みはうまくいかなかった[493]。ドヴォルキンは「特に統一教会が盛んに活動した90年代は、私有財産という概念が誕生したばかりで、社会の何もかもが瞬く間に変化し、盗みや殺人も日常茶飯事だった」と振り返る[493]。そこへ乗り込んでいくのはリスクが大きすぎた[493]。注いだ活動資金の額に比べると結果が見合わなかったため、文鮮明は徐々にロシアへの関心を失っていった[493]

ドヴォルキンは、統一教会が衰退したのは他にもいくつかの要素が重なったためだと指摘する[493]。例えばゴルバチョフ財団は、長きにわたり統一教会の資金で運営されてきた[493]。しかしゴルバチョフは西側では人気があるが、ロシアでの人気はさほどない[493]。ゴルバチョフ財団は、統一教会が望むような影響力を持てなかった[493]

オウム真理教がロシアで有名になったことは、統一教会の活動にも影響を与えました。オウムの危険性がクローズアップされたことで、統一教会もそれと同列で、危ない存在ではないかと、社会全体が危機感を抱き始めました。それ以外にも他のカルト宗教がどんどん出てきて、競争も激しくなり、統一教会の衰退は、2012年の文鮮明の死去とそれに伴う家族間の継承権争いによって決定的となりました。90年代というロシアが最も混乱した時期と、統一教会の全盛期が重なったことは、不幸中の幸いでした。ロシアがもっと安定した時期に彼らが入り込んできていたら、より大きい影響を及ぼす存在になっていたことでしょう。」とドヴォルキンは語っている[493]

ロシアを含む多くのポスト・ソビエト諸国(ロシア寄りの旧ソビエト諸国)の宗教当局は、統一教会を安全保障上の問題があるとして規制と監視対象とした[43]。ロシアを含む多くのポスト・ソビエト国家の宗教当局は、統一教会の運動をセクトネオナチ)と呼び厳しく批判し、その結果それらの場所で統一教会の活動が抑制された[43]

2012年2月の始め、旧ソビエト国家であるキルギスでは、キルギス国家保安委員会、キルギス検察庁、および州宗教問題局が、統一教会の活動が適切な登録なしに非伝統的な宗教的見解を強制的に広めることにより、キルギスの国家安全保障に脅威を与えたと主張[43]。裁判所に苦情を申し立てた[43]ビシュケク裁判所は、キルギスの領土での統一教会の活動を実質上不可能とする判決を下した[43]

2016年ウラジミール・プーチン及びプーチン政権は、ネオナチ勢力(セクト勢力)への新たな対テロ法として、新興宗教勢力に対する布教活動や私的な参拝を禁ずるとし、すべての伝道師や布教者は「登録済み」の組織に所属していなければならない事を取り決めた[44]。これにより、ロシア国内における統一教会の活動は事実上不可能となった[44]

ウクライナでは現在も拠点が存在している[35][13][36][37][38][39]2022年2月24日からのウクライナ侵攻後、ウクライナの家庭連合(ウクライナ統一教会)会長アーニャ・カルマツカヤは、「ウクライナとはロシアと戦っているだけではありません。人類の平和、自由、人権の為に戦っているのです。」とメディアやSNS上などを通じてウクライナ愛国心反ロシア思想を世界へ向けて説いている[137]

経済活動

統一教会では、資金調達は罪深いサタンの領域から罪のない神の領域への合法的な金銭の移動と考えられている。それは、勧誘活動と共に非常に儀式的な活動であり、多くの人に(相手がその霊的意義を認識していなくても)復帰に参与する機会を与えるものと考えられていた[404]

韓国と日本での商業上の関心は、工業分野で多様化し、鉱山、建設、製造、製薬を含んでおり、韓国やブラジルで相当の大きさの不動産保有地を手に入れている[495]。また海域への関心もあり、いくつもの漁業事業が設立されている[495]

統一教会のこれらの幅広い企業活動は、単に利益を得るためだけではなく、「文鮮明を新しいメシアとする世界復帰という統一教会の使命を果たすための経済基盤」でもある[495]

日本ではより多くの「献身者」を出すことが目指され、違法な布教、資金調達活動が20年以上行われた[189]スピリチュアリティ(霊性)を濫用した収奪のシステムは、額においても国際的なネットワークのスケールにおいても非常に大規模で、組織的で高度に計算されたものであった[496]

統一教会元広報局長[463][481]世界日報編集局長[463] だった副島嘉和によると、1975年[463] 文鮮明から日本統一教会に送金命令が下り[463]、毎月約20億円[463][481]、1985年までの[463] 10年間に合計約2000億円が文鮮明に送金された[463][481]。これに伴い被害相談額だけで2001年までの25年間で1100億円を超える大きな傷跡を残した[460]

赤旗は、「元会員の一人は、幹部が何もせずにぜいたくな暮らしをしていることに裏では不満もあったと証言した」と述べている[497]

信者による莫大な献金は、アメリカ本部に送られ、そこから世界各国の統一教会に流れるが、ジャーナリストの米本和宏は、韓国に最も多く送られており、使い道は関連施設費(土地購入・建設費)、新規の事業投資と赤字補填に充てられていると述べている[498]

2009年に日本統一教会の会長徳野英治が、印鑑や風水など霊が絡む物品販売の禁止、「家系図等を用い、先祖の因縁ないし先祖開放等を理由に(した)献金」の禁止、ビデオセンターに勧誘する場合は統一教会の名前を明示すること、「霊能力に長けているといわれる人物をして、その霊能力を用いた献金の奨励・勧誘行為をさせない」という、これまで社会から批判されてきた問題点の一掃を目指す新方針を示した[499]

この統一教会の動きについては、警察を意識した通達文に過ぎないのではないかという意見もあるが、ジャーナリストの米本和広は、韓国統一教会員の話として、2008年に新潟で統一教会系企業の社員が逮捕され(1983年の青森事件以来の教会員の逮捕である)、それを文鮮明に報告した際に怒りを買ったことを紹介している[499]

2008年、文鮮明の息子でハーバード大卒の文国進が日本担当になり、各企業の役員に民間人を入れ、横領などを繰り返した腐敗幹部を一掃、教会員役員をリストラするなどの改革を行い、万年赤字であった朝鮮人参販売会社の一和を黒字転換するなど、統一教会系企業を次々再生させている[498]。この改革で日本からの献金を赤字補填に当てる必要はなくなったが、2009年時点では日本の信者への献金要請は続いている[498]

1996年から韓国を中心にするこれまでの方針を転換し、南米に地上天国のモデルを作るとして、ブラジルのジャルジンとパンタナール[462] に未開発の広大な土地を買っている。

関連企業や関連団体

世界基督教統一神霊協会の財産を管理するため1963年に世界基督教統一神霊協会維持財団が設立[481] され、その元に多くの企業を擁している。韓国では財閥の一つとみなされ、系列企業は「統一教グループ[481]」と呼ばれ、宗教としてより統一系企業の方が有名[463] で、文鮮明は事業家としてのイメージが強いという[463]。文鮮明の親族がそれらの企業の幹部になっていることもある。漁業事業の一つトゥルー・ワールド・フーズ社は、アメリカ最大の寿司用魚の卸業者で、アメリカで75%のシェアを持っているという報告(2006年)もある[495]。2021年には8300以上の顧客を持ち、寿司レストランの7割から8割の食材供給を担い、年間で500億円もの年間売上を誇るなど、名実ともにアメリカの寿司産業界を支配している[500]

赤旗は、日本では霊感商法に関する社会の追及を逸らしごまかすため「霊石愛好会」や「天地正教」といった仏教色の強い団体を作っていたと述べている[501]。また赤旗は、系列企業は普通の企業を装い和服や不動産の売買など多様な経済活動をしていると述べている[72]

メディア事業

宗教学者のダグラス・E・コーワン英語版、宗教社会学者のデイヴィッド・G・ブロムリー英語版 は、全企業の中で最も顕著なものはメディア事業であり、その世界観を伝えるためのメディア組織が世界中で設立され続けていると述べている[495]。統一教会のメディア「ワシントン・タイムズ」は、今日アメリカの政治的保守層の間で非常に影響力があり、この新聞を刊行するニューズ・ワールド・コミュニケーションズ社は、2000年に由緒あるUPI通信社を買収した[495]

募金

ジャーナリストの米本和広は、真の目的を明かさず、難民救済などと嘘を言って行なわれていたと述べている[462]。集まったカンパから自分たちの食費を出しており、従事者も当時から全額が難民に届いていないことを知っていた[481]

訪問販売

これまで信者たちは様々な経済活動をして来た。「赤旗」は、苦学生を装い、玄関で土下座して売ることから「土下座商法」と呼ばれたこともあると述べている[72]。また「赤旗」は、数名で「マイクロ隊」と呼ばれる隊を組み、マイクロバスやワンボックスタイプのライトバンに寝泊りしながら、全国をインチキ募金[72]珍味やハンカチ[72] やマスコット[72] 等の販売で回ったと述べている。極端な睡眠不足で自動車を運転するので交通事故も多く、例えば1988年12月には7人が乗ったワゴン車尾鷲市ガードレールに激突し2人の女性信者が即死している[481]

弁護士の郷路征記は、「札幌青春を返せ訴訟・最終準備書面」で、統一教会は組織的、体系的に脱税をしており、関連会社のハッピーワールドでは、委託セールスマン(会員)に落とした70%の利益はハッピーワールド本社に個人の必要生活費を除いて全額献金するシステムで、証言では信者が受け取るのは月四万二千円のお小遣いとお昼代のみであったと述べている[502]

霊感商法

先祖の因縁話などをもとにした詐欺・脅迫まがいの物品販売であった[463]

手口のマニュアル化とその「成果」

元信者によれば、効能を謳って販売し薬事法(現医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)違反に問われ販売に行き詰まっていた高麗人参や、美術品としてはあまり売れなかった韓国の統一教会系企業「一信石材」が製造した大理石壺を売るために、教義を使って売って行こうということになったのが霊感商法の始まりだという[213]

それまでの先祖の因縁に絡めたトークに代え、「壺は霊界を解放するため」、「救いのためには血統を転換しなければならない」という教団の教義を使い、「高麗人参は血を清めるため」というようにトークを体系化して行き、統一教会の基本トークを作り上げた。

1977年から1978年頃には霊能者役のトーカーが全国から400人ほど集められて体験交流会が行われた[213]

トークの体系化により、それまで5-6時間かかっていた販売時間が2-3時間に短縮され、3日間ぐらいの展示会で1億-2億円(悪いところでも5千万円)の売り上げがあった。この展示会を毎日のように北海道から九州まで行い、1983年から1984年までの間は、韓国の文鮮明のもとに100億円を送金する月まであったとされる[213]

統一教会系企業「一信石材」から壺や多宝塔を統一教会系の商社「ハッピーワールド」が輸入し、全国に8社あった「世界のしあわせ」(旧社名)に卸し、統一教会の信者が委託販売員という名目で働く100社以上の販社で販売した[503]

1980年代初めから、占いなどを切っ掛けに、ゲストを「霊場」と呼ばれる会場に連れて行き、家系図などを鑑定しながら、霊能者を装った信者が聞き出した本人や家族の不幸の原因を先祖の因縁話を使って説明し「先祖が救われる」「このままでは不幸になる」などと不安を煽り、法外な値段で多宝塔などを買わせてきた[504]

典型的な手口

姓名判断、印相鑑定、手相占い等でアプローチする。ゲストを連れて行った案内役の信者は、霊能者を装った信者を徳の高い「先生」のように扱い、「霊山でご修業を積まれ、過去、現在、未来を見通す霊力をお持ちです」「大変人気のある方で、相談に乗ってもらえるのはかなりラッキー」など、いかにその霊能者が優れているかを説いて信頼させる[注釈 9][注釈 10]

物品の契約をしたゲストにはクーリングオフ訪問販売の一種と考えられる場合が多いので)を阻止するために、それにあたる期間は人に言えば御利益がなくなる、あるいは不幸な目に遭う等と説明をしたり、現金一括払いに持ち込もうとするなど、全てにおいて用意周到に考え抜かれている[505]

社会問題化

これらの「霊感商法」はマスメディアで度々その被害や手口が報じられた。1987年昭和62年)2月には、全国の弁護士により「全国霊感商法被害対策弁護士連絡会」が結成された[463]国民生活センターや各地の消費生活センター等に多くの苦情が寄せられ、多額の金銭的被害を生んだこの商法は大きな社会問題となった。

「霊感商法」に関係した各地の販社は、設立後2-3年で次々と解散し、遠隔地に住所移転したり社名を変えたりした[463]。「TV100」は“Total Victory”の略と言われ、ハッピーワールド元社長で当時の経済の責任者であった古田元男は「文鮮明からの指示ではなかったが、小柳定夫副社長(当時)と相談し、文鮮明が言ったかのように誇張して話したことがある」と語っている[213][506]

昭和62年の衆議院法務委員会で、警察庁刑事局保安部生活経済課長の上野治男は「最近、私どもの都道府県の警察の相談の窓口等へ、先祖のたたりがあるとか、そういったことでもってそのたたりを解消するためと称して高価なものを売りつけるということで相談のあるケースがかなりございます。昨年は、一年間に二百件ほど相談が来ております。それからそういったものに対しまして、従来から各種の悪質商法について私ども取り締まりをしておるわけでございますが、その取り締まりの中でもこの種の商法というのは人の弱みといいますか、人の不安につけ込むというもので、悪質商法の中でも最も悪質なものの一つということで、全国の警察に繰り返し厳しく取り締まるように指示をしておるところでございます。その結果、この数年間で十三件検挙した事例が出ております。各種の法令を適用して検挙しておる実態でございます」と答弁した[507]

赤旗は、「霊石愛好会」は1988年1月北海道帯広市で「天地正教」として法人登記していると述べている[238]。赤旗は、「弥勒菩薩を本尊とする」「南無霊妙大慈尊というお経を作る」等仏教を装っているが、教祖の川瀬カヨは統一教会の古参会員であり、天地正教の道場にある祈祷室には文鮮明の写真が飾られ、この道場で統一教会の献身儀式が行われるなど実体的に統一教会と一体であり、悪事を隠す仮面として仏教の装いを作っているに過ぎないと述べている[238]

教団側は信者に向けては「昭和57年ごろから文先生が創設した政治団体国際勝共連合が日本を共産主義の間接侵略から守るためにスパイ防止法制定運動を活発に推進しました。これに対して共産党および社会党は制定運動の資金源が統一教会であると誤認し、教会攻撃のために引き起したのがいわゆる”霊感商法問題”です。」という説明をした[508][509] が、その一方で世間に向けては「教会一切の収益事業はおこなっておらず、教会員の献金によってのみ運営されています。…個人の職業に対しては一切関与するものではありません。ゆえにいかなる商法とも教会は関連ありません。」と教団の関与を全面否定してきた[508]

しかし日本弁護士連合会は1988年3月にまとめた『霊感商法被害実態とその対策について』の中で、この悪徳商法が統一教会信者によって組織的に行なわれていることを具体的証拠をもって証明し、結論として「霊感商法に関わる販売業者群の背後には統一教会の存在が推認される」とした[463]

「霊感商法」が社会的な問題になった1990年頃から、信者達は着物、貴金属、絵画、毛皮、高麗人参等の商品を展示会形式で販売するようになった[510]

1994年7月12日、日本社会党(当時)の北村哲男が「霊感商法」などの反社会的なことを行う統一教会に対する政府の見解を質す質問主意書を政府に提出したが、政府は村山富市首相名で「宗教法人法第79条は、宗教法人が行う公益事業以外の事業の停止命令について規定しているが、所轄庁である東京都知事は、いわゆる霊感商法については、現在、統一教会の規則には事業として記載されておらず、また、統一教会が行っている事業であるという確証もないことから、現在のところ、同条を適用することは基本的に困難であると判断している。」と回答した[511]

しかし民事訴訟では霊感のない信者を“徳の高い霊能者の先生”に仕立てて売るための詳細なマニュアルがあったことや、「連絡協議会」の存在を教団が主張し始めたのは、民事訴訟が提起されてから7年も経ってからであり、証人に立った教団側の信者もその存在を知らなかったと証言し[512]、裁判所からも当時の「連絡協議会」の存在を示す実体もないと認定された(2001年6月29日 札幌地裁)。

訴訟においては、1984年1月12日、青森地方裁判所が、大理石の壺を販売した信者2名の販売行為が恐喝罪に当たるとして懲役2年6月(執行猶予5年)の判決を下したが、教団事体の責任は問われなかった[513]。その後、教団は1990年頃までは弁護士からクレームがあれば、お金を払って和解していた。1993年[514](平成5年)福岡地裁の訴訟において、原告は教団から有利な和解条件を持ちかけられたが、裁判で決着を着けなければという思いから和解を拒否[213]、これ以降、教団の責任を認める判決が[515]相次ぐようになった。

2009年6月11日印鑑販売をめぐる特定商取引法違反事件では渋谷教会に対する家宅捜索警視庁公安部が乗り出した。[516] またそれを遡る5月27日福岡県の事件においては福岡県警公安一課が立件した。[517]以前はこの種の悪質商法事犯には警視庁や各県警の生活安全部が担当していたが[507]オウム真理教事件以降、カルトに対しては公安部が担当している[516][517]

自己啓発セミナー

統一教会のビデオセンターなどは自己啓発セミナー[注釈 11] を装っていた。赤旗は、横浜市の統一教会系自己開発セミナー「グローバル・アイ」のマークは自己開発セミナーの最大手ライフダイナミックスのマークを反転させただけであると述べている[497]。赤旗は、会場はビデオセンターの他大学の原理研究会グループのたまり場だったり、主婦協会員のための託児所だった例もあると述べている[497]

赤旗は、実際の講義は第一段階が「創造論」「堕落論」「復帰論」など宗教的な布教であり、毎週末に箱根の研修センタ−で2泊3日の合宿を行なったと述べている[497]。赤旗は、アイドル歌手のコンサートや東京ディズニーランドツアーなど若者受けする催しもあったと述べている[497]。赤旗は、1987年の講師は世界日報の論説委員長であった井上茂信[497] や、国際勝共連合新宿支部長で千葉大学名誉教授であった清水馨八郎[497] など統一教会系組織の幹部であったと述べている。赤旗は、受講料は入会金や旅費を含めて7万円、受講生の帰宅時には再会を約束する手紙を渡すなどの手法も自己開発セミナーと同じであると述べている[497]

「還故郷」運動

1991年9月29日に文鮮明は世界日報講堂で「故郷へ帰れ」という演説を行ない[463]、教会活動に専念する献身者の制度が解消され、各自が故郷に戻って定職につき、親族へ伝道するように方針転換がなされた。これは内部では「還故郷」と呼ばれた[213]。これは日本で霊感商法が問題になって1987年から送金額が減り始め、1991年になってからはほとんど送金されなくなり、従前世界日報や一和が出していた大赤字を埋められなくなって統一教グループ全体の資金繰りが苦しくなり、新たな資金源としての合同結婚式への参加人数を増やすため、経営不振の企業から信者を退職させて合理化すると同時に、故郷に帰して韓国農村で結婚できていない男性を捜し「信者になれば日本人女性と結婚させてやる」と勧誘させるためだったという[481]

献金

ジャーナリストの米本和広は、統一教会に関する社会的に非難されてしかるべき問題として、信者に対する「高額でエンドレスな献金」要請を上げている[518]。販売活動や募金活動の目的は、文鮮明への献金である[462]。文鮮明一家が贅沢な暮らしをしていることは長男の嫁の暴露本などで明らかにされているが、最盛期で2000億円に上った献金すべてを文一家が使い切れるわけでもなく、献金は、金銭に限らずすべてを神に返し、地上天国の出現を目指す「万物復帰」と関連している[518]

ただしこれはあくまで宗教における象徴的な概念であり、世界の統一教会の信者の中で、献金に追われているのは日本の信者だけである[518]。日本だけが献金に追われていることについては、文鮮明によって日本が「エバ国家」(罪深き国)とされたことに関連しているが、なぜ日本がエバ国家であるかは明確には説明されていない[518]。日本が文鮮明が生まれた朝鮮半島を支配していたことへの感情との関連や、1970年代は日本は高度成長期のただ中で、多額の献金が期待できると考えられたのではないかとも指摘されている[518]

  • 10分の3献金 - 赤旗は、ある組織では月に2回、収入の10分の1の献金が奨励されて来たと述べている[519]
  • 臨時の献金 - 赤旗は、霊感商法が批判を受けてから、韓国大統領選挙やアメリカ大統領選挙を口実にしてよく指示されるようになったと述べている[519]
  • 巨大プロジェクトによる資金集め
    • 国際ハイウェイ構想 - 「東洋と西洋の諸国を高速道路で連絡し、地上天国の実現を促進する」という「国際ハイウェイ構想」を提唱、「国際ハイウェイ建設事業団」を結成、第一段階として日本、韓国、中国、南アジア、中近東を経由してソ連に至る高速道路を建設するとし、その一部として日韓トンネルを建設する日韓トンネル研究会を結成、佐賀県鎮西町(現唐津市鎮西町)に調査斜坑掘削を始め、巨大プロジェクトを売り物に技術者、学者、資金集めをしており[520]、1980年代に信者達が多額の献金をしたと言われているが、実際には日韓トンネルの調査斜坑掘削で400m程掘った以外に具体化の動きはない[481][520]。関係者は100年たっても完成しないだろうと公言しているという[463]
    • パンダ・モータース - 1988年から盧泰愚大統領の北方外交に呼応して中華人民共和国に「パンダ・モータース」(パンダ自動車)という自動車会社を作るとして信者に献金が要請された。広東省恵州市に15,000,000の土地を借りて10億ドル以上を投資し年間30万台の自動車を作る計画で、家や土地まで担保に入れて借金する信者まで出したが、この計画は成功しなかった。一方で計画を進めていた朴普煕は広東省長の伝手で北朝鮮に進出するきっかけとなる朴敬允と出会う[521]
  • 教会にノルマを課し高額な本の販売 - ただし教団は「『聖本』も『天聖経』も商品ではない」とし、「贈呈にあたっては、献金のみが考慮されているものではありません。」と述べている[522]
    • 2000年、文鮮明の既存の説教集7冊の合本、『文鮮明御言葉集、「成約時代と理想天国」』と題する本(文鮮明のサインと一冊ごとに番号が付いている)を『聖本』と名づけ、30,000,000円[462] 献金した者にその本を贈り与えるとされ、300の教会に一冊のノルマが課せられた[462] という .(PDF)

勧誘活動

教団と長らく戦ってきた弁護士によれば、教団はマインド・コントロールのため、社会心理学に裏づけられた緻密なマニュアルやシステムを、過去30年以上にわたる組織の経験に基づいて巧妙に作り上げているという。教団の勧誘の特徴として、「正体を隠して」行うことが知られている。街頭で声をかけるときに「宗教ではない」と嘘をついたり、教団名を隠し、信者は正体を隠した上で、街頭や大学内でアンケートなどを装い声をかけ、「教養講座」「カルチャーセンター」「自己啓発」「無料映画会[523]」「マンガ研究会[523]」などとだましてターゲットを「ビデオセンター」に誘い込む[524][525][526]

やはり「ビデオセンター」が教団関連施設であることは隠され、自己啓発セミナーであるとか、教養講座であるとか偽装される。ビデオセンターには「トーカー」と呼ばれる専門の勧誘スタッフがおり、ターゲットに長時間、執拗にビデオ講義の受講を決断するまで説得を試みる。ビデオセンターでは「エゴグラム」と呼ばれる簡単な心理テストが行われ、この結果により「トーカー」はターゲットが勧誘に適した人物であるかを判断する。ビデオ講座の受講は有料であり、5万円ほどを支払わせるか、金のないターゲットには「トーカー」からその場で借りさせる。これも心理学的に受講を続けさせる効果があるという。ビデオ講座の受講を決心したターゲットには、「口外禁止」の約束をさせる。これは、統一教会の手口を知っている人に正体を見破られたり、他人にビデオの内容を話すことで、他者から疑問を投げかけられたりすることを防ぐためである[524][525][526]

こうしてビデオ講座が始まるが、やはり宗教であることは明かされずに、特定の恐怖の対象を作り上げて不安を煽り、その恐怖からの解放の手段として教団の教義を段階的にすり込んでいく。どのビデオを見せるか、ビデオを見せる順番はターゲットごとにカスタマイズされるが、最初のビデオの内容は戦争飢餓不倫非行エイズ環境問題といった社会問題である。次いで、統一教会の教義の一部である「堕落論」のビデオを見せていく、これは「人間の歴史は堕落して落ちたところから元へ戻る歴史の繰り返しである」といったものである。次に、「霊界」についてのビデオで恐怖を刷り込んでいく、すなわち「霊界」には地獄があり、このまま堕落した生き方をすれば地獄に落ちる、といったものである。スピリチュアルや超能力に関心のあるターゲットであれば、この時点で強い恐怖を植え付けられるという。「堕落論プロローグ」というビデオでは、現代の性の乱れを、旧約聖書創世記失楽園とこじつけた話をすり込み、その後の和動で「トーカー」は、「罪が淫行であるゆえ、男性はエバを誘惑した天使長と同じである」「女性はアダムを誘惑した当時のエバである」とし、若者の恋愛感情や性衝動と結びつけて「あなたは堕落している」と迫るという。これが効かなかったターゲットには、先祖の因縁、すなわち「あなたの先祖には色情狂がいた」などと迫り「地獄に落ちる」と恐怖を煽る。そして、世界を堕落から救う手段として「メシア」の存在が明かされる[524][525][526]

ビデオセンターで12巻のビデオ受講[527] の後、ツーデイズ修練会(2日間)[527]、ライフトレーニング(約2週間)[527]、フォーデイズ修練会(4日間)[527] と続くが、内容は「エバが淫行したことで人間はサタンの子孫であり、これを救える救い主は一人しかいない」という話が繰り返し教えられるだけで、結局「その救い主は誰か」は明らかにされない[527]。ライフトレーニングは長期にわたるため親に不審を抱かせる場合もあるが、説明する手引書も用意されている[528]。聖書の引用はされるが決して「聖書の何ページを開け」とは言わず、前後の文脈を無視した引用部分を読み上げるだけである[529]。「救世主が文鮮明である」旨明かされるのはフォーデイズの最後であるとされる[530]。また組織内での地位や入会歴で少しでも上位の者に対しては絶対服従を強いられ、同等の者同士で話してはいけないことになっており、それで不平不満が出るのを防いで統制を保っているとされる[531]

批判者に対する嫌がらせ・脅迫行為

マスメディア

統一教会に対するマスコミ報道は霊感商法が社会問題となった80年代から90年代初頭にかけてブームとなった。その先駆となったのは朝日新聞社が発行する『朝日ジャーナル』で、不安を煽り、高額な高麗人参濃縮液を法外な値段で売りつける悪徳商法の一種として、「霊感商法」批判キャンペーンを展開していた。統一教会側は殺到する批判報道に対し、大々的なマスコミの情報操作に乗り出したとされる。当時、芸能人桜田淳子新体操選手の山崎浩子作家飯干晃一の娘・飯星景子が入信し、話題をさらっていたが、教会を批判するメディアには、ニュースバリューのある合同結婚式の取材をさせない、協力的なメディアには情報を与えるという手法を使ったとされる[49]

とりわけ教団に批判的だった週刊文春朝日新聞社には、信者が直接的な行動に出ることがあったとされ、週刊文春の記事によれば、社屋を「あなた方は宗教を弾圧して信仰の自由を奪う、最悪のサタンである!」「人類のメシアとして再臨された文先生とご家族を悪くいうな」と叫ぶ信者のデモ隊に囲まれたことがあったという[532]

当時『朝日ジャーナル』を担当していた筑紫哲也は、大量の無言・脅迫電話のほか、編集部員・朝日新聞関係者の自宅周辺でのつきまとい行為や出前の大量無断注文があったと証言している。電話作戦は、朝日新聞社だけでなく、近隣の無関係の施設にも及び、病院、築地市場日産自動車新橋演舞場海上保安庁にも大量の無言電話が押し寄せたという[533]

1986年6月、『神奈川新聞』が霊感商法を批判する記事を掲載すると、翌日から「壺は悪くない、効くんだ」との趣旨の電話が殺到した。2日目には無言電話が約7000本となり、編集局長も電話で脅迫された[447]

1987年7月、新聞労連日放労出版労連民放労連などが加盟する日本マスコミ文化情報労組会議は、霊感商法報道に対して「組織的で陰険な妨害行為」が行われていると発表した。霊感商法の実態を伝えるマスコミやミニコミに無言電話が集中したり、「霊石愛好会」を名乗る団体が、放送局や新聞社に押しかけるなどして圧力を加えていたことを指摘した[534]

1992年7月、TBSの「モーニングEYE」では、統一教会に批判的な東北学院大学教授の浅見定雄や元信者が出演し、統一教会の実態や霊感商法の被害を報じたが、TBSに対し大量の抗議電話や抗議文が殺到した。特に、浅見が出演した7月29日の直後には、浅見を「サタン」として「出演させるな」との趣旨の抗議文170通が送付された。8月5日に「筑紫哲也ニュース23」で統一教会と合同結婚式の問題を取り上げると、夕方に教団の広報担当者が来社し「TBSの報道は教団を中傷したものである。報道が続くなら、『国際合同結婚式』を含む一切の取材を拒否することもありうる」との趣旨の文章を提出した。日本テレビの「ルックルックこんにちは」でも同様の抗議があったという[535]

統一教会の活動を批判的に報じた8月20日午前の「モーニングEYE」の放送終了後にも大量の無言電話が殺到した。24日だけでも1万9000件にもおよんだ。個別の番組担当や事務系統などの、電話帳に記載されていない番号を含めてのものだという[536]

このような嫌がらせの電話について、元信者の女性がTBSの取材に応え、教団からの指示があったことを明かしている。また、女性は当時の心境を明かし、「統一教会に反対する人はみんなサタン」に見えていたと語り、教団を批判していた弁護士についても「もう顔見るだけで気持ちが悪くて」と語っている[537]

このほかにも、教団系の国際勝共連合街宣車を繰り出し朝日新聞批判の街頭演説を繰り返していたとされる[443]。このため、#赤報隊事件の関与疑惑がとりざたされた。

2022年7月の安倍晋三銃撃事件を機に再度世界平和統一家庭連合(旧・統一教会)への批判報道が過熱化すると、世界平和統一家庭連合は同月31日に教団が著作権を保有している映像は使用しないよう注意喚起するプレスリリースをマスコミ各社に出した[538]。これに対し、鈴木エイト氏は「報道目的での映像使用は著作権法で認められている」と反論している[539]

2022年8月18日、日本において、世界平和統一家庭連合(旧・統一教会)への偏向報道が続いているとして、同団体の信者(日本人を含む)など約3500人が日本メディアに対して抗議する集会やデモ活動を韓国・ソウル市内で行った[540][541][542]

弁護士や個人

霊感商法が社会問題化した1980年代から90年代初頭にかけて、統一教会への反対運動が展開されたが、関係者への激しい嫌がらせが多数報告されている。1987年当時、霊感商法を追求する弁護士山口広に対し、「バカヤロー」「しまいには死ぬぞ」などとの脅迫電話が早朝から深夜まで殺到していた。同弁護士に対しては「スパイ防止法つぶしに狂奔、霊感商法攻撃も」と書かれた中傷ビラがまかれていたこともわかっている[543]

同じく霊感商法問題を追求する弁護士の河田英正に対し、「天誅が下るぞ」「神を冒涜したな」との脅迫電話が殺到し、何者かによって無断で寿司の出前を注文されるなどの嫌がらせが行われた。この他にも料理店や葬儀社に同弁護士の名前を使っての偽電話がかかったり、無関係の一般家庭に同弁護士の名前を騙って「詐欺で告訴するぞ」との電話が約62件あったという。河田は偽計業務妨害にあたるとして、刑事告発を検討していると語った[544]

子供が教団に入信した名古屋市在住の女性は、教団系の国際勝共連合主催の名古屋集会に出席したり、祝電を打った政治家に手紙で抗議したところ、「てみゃーは共産党か。勝共の役員を脅しやがって。てみゃーみたいなものはぶっ殺すぞ」「死んだら地獄に行くよ」などと脅迫された。さらに勝共連合婦人部を名乗る4人組が自宅に押し寄せたという[447]

奈良市で「原理運動に反対する被害者家族の会」が結成されると正体不明のグループによる激しい妨害活動が始まった。代表の男性は妻が統一教会に入信したために抗議運動を行なっていたが、男性の職場には嫌がらせの電話が殺到し、失職を余儀なくされた。同被害者の会の集会には、正体不明の約30人の男女が押しかけ、妨害を行った[545]

1987年6月には、長崎市で「霊感商法は、統一教会の組織ぐるみの収益活動」などと批判するミニコミ誌を発行した男性が、自宅で空気銃で狙撃され、右足に怪我を負った事件もあった。男性には、これ以前にも正体不明の人物による嫌がらせや数百本の脅迫電話が殺到しており、警察は関連を調べているとした[546]。その後、長崎県弁護士会人権擁護委員会は、統一教会長崎教会に対し、ミニコミ誌を発行した男性への嫌がらせを行わないよう勧告した。報告書によると、霊感商法に批判的な報道をしたマスコミや「霊感商法」による被害救済にあたっている全国の弁護士にも同様の嫌がらせがあったとしている[547]

1988年10月、霊感商法問題に取り組む14人の弁護士に対し、中傷ビラを撒いたとして、福岡地裁で420万円の損害賠償を請求されていた霊石愛好会福岡支部長の男(44)が、訴えを認め、賠償金の支払いに合意している[548]

当時、キリスト教の牧師が信者の脱会説得運動に尽力していたが、牧師に対しても無言電話や嫌がらせ電話、脅迫が一日中殺到しており、「牧師による人権侵害を許すな」とのビラも大量に配られていたという。ビラの末尾には連絡先が書かれており、その住所には教団系施設があった。牧師の自宅周辺には2か月間に渡って街宣車が大音量で徘徊し、牧師の妻への傷害事件まで発生した。説得により脱会を決意した山崎浩子の叔父は尾行されるようになり、自宅付近では正体不明の人物が徘徊し、不審人物にカバンを奪われる事件も発生した。さらに自宅の電話には盗聴器が設置され、統一教会幹部を名乗る脅迫状も送付された。脅迫状には教団の本部がある渋谷の消印が押されており、「神の子山崎さんを奪還するのは正当な権利」と書かれていた。山崎の叔父は精神的圧力により、体重が8キロほど落ちたと話した[549][550]

1988年8月、統一教会の信者4人が、脱会した元信者の女性を誘拐するために、女性を保護していた秋田県内のキリスト教会に無断侵入したとして、住居侵入罪刑事告発されている。信者4人は、女性の父親を突き飛ばし重傷を負わせていたという[551]

1994年当時、ドイツで統一教会の反対運動を展開しているキリスト教牧師の男性に対して、「赤い牧師は出て行け」「左翼過激派はドイツからいなくなれ」などの嫌がらせ電話が殺到していた。また、街頭では牧師を糾弾する署名運動も行われていた。この牧師は身の危険を感じ、窓を耐熱二重ガラスに強化するなどの対策を余儀なくされているという[552]

1995年頃には、教団が東京の成城に関連施設の設置を計画し、近隣住民とトラブルになる事件が発生した。近隣住民は教団の霊感商法マインドコントロール、脅迫などの悪評から進出に反対し、「統一協会成城教会を断固阻止する会」を結成し、反対運動を展開した。これに教団は激しく反発し、内容証明を送付し法的措置を予告。さらに住民に対し「子供たちを皆殺しにする」との差出人不明の脅迫状も送付され、無言電話も殺到した。この運動には地元選出の石井紘基衆議院議員も協力、土地の貸主と交渉し、貸主の建設会社は教団宛に「契約解除」の通告を出すに至った[550]

栃木県議で元足利市長の大豆生田実は、2001年の足利市長選挙に立候補した際に、教団による選挙妨害があったと証言している。この選挙では教団系の「真の家庭運動推進栃木協議会」の支部長が「(大豆生田が)15年前頃に統一教会の会員として活発な活動をしていた」とネット上にデマを書き込み、大豆生田が落選すると、一転して謝罪広告を新聞に掲載した。この選挙妨害について大豆生田は、自身がかつて反統一教会運動に参加していたことが原因だったとしている[397]

裁判

統一教会に対して起こされた裁判は2006年6月現在、1986年の初の提訴以来、100件を越えており、このうち83件で和解。11件で統一教会側の責任を認める判決が最高裁で確定している。[要出典] 2016年5月に放送されたフジテレビの「みんなのニュース」の報道によれば、現在、統一教会が抱えている訴訟は3件である[要出典]

教団側敗訴の判例

献金勧誘行為の違法性
1993年(平成5年)5月27日福岡地方裁判所での判例
統一教会の「霊感商法」に対する損害賠償請求訴訟で、全国で初めて統一教会の関与と賠償責任を認め、3670万円の支払いを命じる判決が出た。信者らは2人の未亡人に対し、亡くなった夫に関して、先祖の因縁話で、不安を煽り、執拗に迫って高額の献金をさせたり、弥勒像等を購入させた。福岡地裁は「献金勧誘行為は、布教活動の一環として行われたものであったとしても、その目的、方法、結果において到底社会的に相当な行為であるということはできず、違法であり、民法709条の不法行為に該当する」、「信者らと教団は実質的な指揮監督関係にあり、信者が献金勧誘行為が教団の教義である万物復帰の実践として理解していたことや献金がいずれも教団に帰属していることなどからみて、原告らに対して不法行為責任を負う」と判断し、教団に使用者責任を認め、献金相当額と慰謝料の支払いを命じた[553]
2002年(平成14年)10月28日、新潟地方裁判所での判例
元信者が、教団による違法な入信勧誘・教化行為によって損害を受けたとして、不法行為に基づく損害賠償を教団に求めた事案で、裁判所は「信者らもしくは信徒会の伝道・経済行為は、被告(統一教会)が経済的な利益を追求するという目的のもとになされ」「信者らが、文鮮明の配下というべき教団の幹部らの意を受けてその指揮・命令の下に実行された結果と認められ、(中略)原告らに対する、法人としての教団自身の故意に基づく違法行為であると評価することができる。」として民法709条に基づいて、その違法行為による損害を賠償する責任を負うと判断された[554]
1997年(平成9年)4月16日、奈良地方裁判所での判例
信者らの違法な献金勧誘行為により、原告らが損害を被ったとして、教団に対して、民法709条又は715条に基づき損害賠償を請求した事案で、裁判所は教団の献金勧誘のシステムの特徴として、[要出典]
  1. 「万物復帰の教えの下、個々の対象者からその保有財産の大部分を供出させ、被告全体としても多額の資金を集めることを目的とするものである」、[要出典]
  2. 「対象者がある一定レベルに達成するまで、被告の万物復帰の教えはもちろんのこと、被告や文鮮明のことを秘匿あるいは明確に否定したまま、対象者の悩みに応じた因縁話等をして不安感を生じさせあるいは助長させる方法をとっている」[要出典]
  3. 「各種マニュアル等により勧誘方法が全国的に共通していて、組織的に行われている」[要出典]
教団への入会ないしは献金等については「入会ないしは献金等をしようとする者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものにつき、不実のことを告げ、また、被告への入会ないしは献金等をさせるため、対象者を威迫して困惑させるものであり、方法として不公正なもの」と判断し、教団の献金勧誘のシステムは、「不公正な方法を用い、教化の過程を経てその批判力を衰退させて献金させるものといわざるを得ず、違法と評価するのが相当である。」として教団に原告2人に対する損害賠償を命じた(平成9年(1997年)4月16日判決言渡 平成9年4月16日判決原本交付 裁判所書記官 平成6年(1994年)●第二〇七号 損害賠償請求事件)[555]
1999年(平成11年)3月11日、最高裁判所での判例(一審・東京地裁1997年10月24日)
統一教会信者が先祖の因縁などを述べ立てて、高額の献金をさせた行為を違法認定し、教団の使用者責任を認めた[556][557]
1999年(平成11年)12月16日、福岡地方裁判所での判例
2000年(平成12年)4月24日、東京地方裁判所での判例
信者による壺や多宝塔、朝鮮人参濃縮液を売りつける活動で、統一教会の法的責任を認める。いずれも最高裁で確定[557][558]
2004年(平成16年)2月26日、最高裁判所での判例
統一教会の違法な勧誘で合同結婚式への参加を強要されたとして、元信者3人が教団へ損害賠償を求めた裁判で、最高裁判所は教団の上告を棄却。婚姻の自由の侵害を認め、920万円の支払いを命じた高裁判決が確定した[559]
2005年(平成17年)4月25日号、新潟地方裁判所での判例
違法な勧誘で入信させられ、霊感商法への従事や合同結婚式での結婚を強要されたとして、元信者ら35人が教団に総額3億3500万円の損害賠償訴訟を起こしていた裁判で、新潟地裁は信教の自由財産権の侵害を認め、約8700万円の支払いを命じた[560]
2020年(令和2年)2月28日東京地方裁判所での判例
信者から違法な勧誘を受けて多額の献金をさせられたとして、東京都に住む元信者の60代女性が約520万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は家庭連合と信者に約470万円を支払うよう命じた。判決では「女性は信者から、亡くなった夫や長男が地獄で苦しんでいるとの不安や恐怖心をあおられ続けており、献金の要求は社会的に相当な範囲を逸脱した違法な行為だ」と指摘し、家庭連合には信者の使用者責任があるとした[561]
準禁治産者申し立て事件
教団に献金を続ける信者に対し、親族が家庭裁判所に準禁治産者、保佐人選任の申し立てを行い、審判前に保全処分が認められた事例がある[562][563]。しかし、2000年4月の「禁治産・準禁治産制度」から成年後見制度への制度変更により、準禁治産の事由に含まれていた「浪費者」を制度の対象から除外したため、このような申し立てはできなくなった。[要出典]
伝道に関する違法性(青春を返せ裁判
損害については「過酷な経済活動や伝道活動に従事して労役の提供を余儀なくされ、さらに、献身するために勤務先の会社をやめることを余儀なくされるなど献身期間中、従前の人間関係や社会生活等を破壊された。」「文鮮明の選んだ相対者を断ると、自己や先祖の救いの道が閉ざされ、病気や怪我をしたり又は死んだりすることになるとか、死後地獄に行くことになるなどと思って苦悩し、相当の精神的苦痛を被った。」などとして、教団に対し原告の3人に対する慰謝料の支払いを命じた。被告の高裁への控訴、最高裁への上告はいずれも棄却された(平成14年(2002年)8月21日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官 平成11年(1999年)(ワ)第18400号 平成15年(2003年)5月13日口頭弁論終結)(平成15年(オ)第1770号 平成15年(受)第1880号)。
婚姻の無効性
1993年10月7日 福岡地裁で、統一教会の合同結婚式に参加し、教会の指示により婚姻届をした日本人女性が婚姻意思の不存在を理由とした日本人男性との婚姻の無効の訴えが認められた。信者の福岡高裁への控訴・最高裁への上告ともに棄却(1995年10月31日1996年4月25日[564][565]
その他
  • 強制改宗をめぐる記事の信憑性
  • 統一教会の現役信者夫婦が、日本人妻の両親と説得に関わった牧師に対し、人格権に基づき、拉致監禁、棄教強要などの差し止めと、牧師に対し約1330万円の損害賠償を求めた訴訟。

教団側勝訴の判例

統一教会信徒の拉致監禁問題の違法性
人身保護請求が認められた事例(実質的勝訴)
  • 統一教会信者(30歳男性)が拉致された上、精神病院に強制入院させられ改宗を強要された事件で人身保護請求訴訟により解放された事例[566][要出典]
  • 統一教会信者(26歳女性)が拉致された上、精神病院に強制入院させられ改宗を強要された事件で、高村正彦弁護士等による人身保護請求訴訟により解放された事例[567][要出典]
  • 統一教会信者(25歳女性、小学校教員)が拉致された上、精神病院に強制入院させられ改宗を強要された事件で、上野忠義弁護士等による人身保護請求訴訟により解放された事例[568][要出典]
強制改宗の違法性
2002年2月20日 統一教会の信者(31歳女性)に対して、信者の両親が信者を監禁、脱会を強要した事件において、「逮捕・監禁」は不法行為であり、脱会の説得に協力した牧師も連帯して責任を負うとの判決。被告は上告はせず判決が確定した。(広島高裁・宮本定雄裁判長)[要出典]
献金の正当性
2003年11月27日 名古屋高裁が統一教会の献金の正当性を認め、原告の献金返還請求を棄却。[要出典]
教団の関連する「天地正教」の導師部長を務めていた元信者が1000万円の献金について、「信者の因縁話によって畏怖して献金したもの」として、「天地正教」への貸付など、約3700万円の損害賠償を求めた事案。[要出典]
(2001年)2月28日、名古屋地裁は「自主的に献金した」「統一教会の信者等における脅迫等、違法な働きかけは認められない」として原告の訴えを退けた。1000万円という額についても「宗教活動として許された範囲を遥かに逸脱した違法なものとまでは言えない」と判断した。原告が控訴した名古屋高裁も一審判決を支持。2004年10月22日、最高裁への上告も棄却され、統一教会側が全面勝訴した。[要出典]

和解の事例

統一教会の信者である夫婦が自分達を連れ去り、脱会の説得を行った親、次女、親族、牧師らの8名を被告として、自分達の意思に反する違法な拉致、監禁及び教団からの脱会の強要等の共同不法行為に基づく差止請求及び損害賠償請求を求めた事案。
2004年1月23日 横浜地裁は原告の請求を棄却した。横浜地裁は、「両親の行為が原告の意思に反する、違法な、拉致、監禁及び統一教会からの脱会の強要とまで認めることはできない」「両親による暴行の事実があったと認めることはできない」と判断し、両親に協力した牧師の行為についても「牧師らの指示、指導があったとは言えない」「統一教会からの脱会の強要にあたらない」とし、原告の請求を棄却した [4]
請求額以上を返金する事で和解した事案
“因縁話”により2億1千万を献金、画や宝石など1千万円分を購入させられたとして千葉県の女性が、賠償を求めたことに対し、教団側は1億3千万での和解案を提示。交渉が進展しないため、所管庁たる文部科学省をも共同被告とした訴状を送付したところ、2008年3月に2億3千万円の和解案が提示され、和解が成立した[569]。実損額を超える和解は極めて異例である[570]
アメリカにおいて、不当な勧誘(伝道の初期段階に教団の名前を正式に述べなかった「不実表示による詐欺」)、洗脳、虚偽の監禁などを理由として2人の元教会員が訴えた民事訴訟。
1審、2審は「訴訟自体が法廷を宗教問題に踏み込ませるものだ」として原告の訴えを棄却したが、カリフォルニア州最高裁は教団の名前を隠した伝道は「聖なる詐欺」(Heavenly deception)と呼ばれる、教団の教義に基づく宗教行為であるが、市民が騙され、強制的説得による不利な環境に服従することから保護するという州の利益のために、教団の活動に制限を加えることは憲法上認められるとして、1、2審の略式判決を破棄し、陪審員による事実審理をするようにと差し戻した。結果的に教会と原告は和解したが、「信教の自由」があっても、伝道の方法によっては詐欺にもなり得る場合があることを示唆したものとなった(モルコ・リール事件 1998年10月27日 カリフォルニア最高裁)[571][572][573][574][575][576]

他の宗教との関係

オウム真理教

正体を隠しての勧誘や、ビデオを利用したマインドコントロールなど、オウム真理教と統一教会の手法には多数の類似点が指摘されているほか、この2教団の関係を巡って、複数の疑惑がジャーナリスト江川紹子有田芳生の調査で明らかになっている。宮崎県資産家拉致事件を巡って、教団系のメディア『宗教新聞』『世界日報』がオウム真理教の擁護キャンペーンを展開していたことがある。『世界日報』は1994年9月25日と10月30日に「文春『オウム真理教攻撃』のウソ」との記事を掲載、オウム関係者の証言を強調し、週刊文春と反オウムの長女を攻撃する内容だった。『宗教新聞』も同様の趣旨の記事を4回に渡って掲載、その内1つは「社説」としてオウムを擁護するものだった。記事を書いた記者は統一教会の熱心な信者で、オウム真理教教祖の麻原彰晃を「ヨガ仏教をまじめに考えている」と絶賛し、一連の擁護記事についても「オウムの人たちは大変喜んでくれましたよ。私も功徳を積んだと思った」と話していた。これと別に、統一教会幹部と麻原との会談があった、との信者の証言も紹介している[577]

そのほかにも、麻原の住民票が、オウム真理教の政治進出が話題になった1990年当時、教団系の国際勝共連合と密接な関係にあった自民党福田赳夫派の重鎮・山田久就衆議院議員が所有する選挙区である杉並区内のマンションに置かれていたことがあった[578]

立正佼成会

1963年、当時の庭野日敬会長が青年部員を統一教会の修錬会に参加させた結果、次期会長候補とされていた久保木修己を初めとする50名ほどの会員が統一教会に転じた[162]

生長の家

1970年安保闘争の時代に、互いの集会に参加したりするような関係であり、谷口雅春は「勝共連合は朝鮮の文鮮明と称する予言者を八紘一宇の世界の中心者とする運動だったので私たちは今まで協力できなかったが、(中略)日本中心の運動にすることが出来れば協力してもよいのである」と述べている[579]

ダミー団体

それぞれ別組織であり、友好団体だと公言しているが、同一の創設者によって作られ、日本支部では同一の建物で同一のスタッフが運営する組織である。

[580]

  • 建物名称:成約ビル
  • 所在地:東京都新宿区新宿5-13-2
  • 竣工:1986年(昭和61年)
  • 建物規模:地上5階
    • 5F
      • 天宙平和連合(UPF)日本事務局
      • 平和大使協議会
      • 平和外交フォーラム
      • ピース・メディア・フォーラム(PMF)
    • 4F
      • 真の家庭運動推進協議会
      • PLA-Japan事務局
      • 統一思想研究院
      • 一般財団法人国際ハイウェイ財団
      • 国際ハイウェイ建設事業団
      • 世界平和宗教連合
      • 国際宗教自由連合
      • 世界平和島嶼国家連合
      • 宗教新聞社
      • 東京同胞教会(事務局)
    • 3F
      • 東京同胞教会
    • 2F
      • 世界平和教授アカデミー
      • 一般社団法人平和政策研究所(分室)
      • アジアと日本の平和と安全を守る全国フォーラム
      • 世界平和統一家庭連合
      • 平和統一聯合
      • 天一國歌舞連合
      • 在日平和統一祝福家庭婦人会
      • 世界圓和道連盟日本本部
      • 世界平和青年連合(YFWP)
      • 日韓トンネル推進全国会議
      • 東西南北統一運動国民連合
    • 1F
      • セミナールーム
      • 受付

田中富広会長は「私たちの“友好団体”が主催する行事に、安倍元総理がメッセージ等を送られたことはございます。当法人と友好団体の区別がついていなかったのではないか。どちらも創設者が一緒なので、すべてが同じに見えていたのかなと」として、無関係であることを主張した[581]

その他にも、教団系の団体は多数存在し、密接な関係にある企業も多数存在する。

弁護士山口広は、「世界平和女性連合」について「統一教会のダミー組織」であり、「ロータリークラブの女性版のようなつもりで入会したご婦人がグループ企業の展示会に誘われて高額な買い物をしたり、信者になって献金させられる例を、数多く聞いている」と話している[56]

ダミー団体を使って政治家に接近することは全世界で共通する手法だという[56]

セクトまたはカルトと分類された例

統一教会は、いくつかの政府によって、セクトまたはカルトと分類されている。例として以下の政府・議会報告が挙げられる。

関係人物

政治家

日本

安倍晋三との関係

安倍晋三と教団の関係は、祖父の岸信介、父親の安倍晋太郎の親子三代にわたるものであり、2022年7月8日に発生した安倍晋三銃撃事件後の同年7月19日、統一教会元会長郭錠煥は記者会見にて、「(創設者の故)文鮮明総裁は(安倍氏の祖父の)岸信介元首相と近かった。(父の)安倍晋太郎元外相とも近かったと承知している」と指摘した[144]。また、安倍晋三元総理大臣が説いていた国家像である「美しい国」と、日本統一教会の初代会長であり、反共産主義政治団体国際勝共連合の日本初代会長でもある久保木修己が説いた「美しい国」との共通点が指摘されている[34]

英「フィナンシャル・タイムズ」紙もその関係を「近すぎる距離」とし、「祖父・岸信介の時代から、日本の支配者層とメディアが見て見ぬふりをしてきた公然の秘密」と指摘している[589]週刊朝日の報道によれば、統一教会の日本での拡大には、笹川良一児玉誉士夫らのフィクサーと岸信介の尽力が大きかったとしており、父親の安倍晋太郎も「勝共推進議員連盟」に参加していたとされる[590][591]。文鮮明が、アメリカのCIAが創設に深く関与した大韓民国中央情報部の支援のもとにアジアの反共団体の結成に動き[592]、笹川が勝共連合の名誉会長に就任すると、協力関係にあった岸も教団に接近。日本本部は岸がかつて所有していた土地に置かれ、教団は様々な訴追を受けずに済んだ。さらに、教団関係者は自民党の内部にも浸透した[593]カーター政権下の1977年FBIによるレポートなどによると、上記の3者が文鮮明の強大な支援者となり、また文鮮明は日本政府上層部との繋がりを保っていたとしている[594]ジェフリー・ジェムズ・ホールFTなどの取材に対し、反共産主義活動により自民党の有力な支持団体になった統一教会は、のちに安倍晋三の派閥になる岸の派閥を冷戦期に支持していたとしている[143][595]

公安調査庁幹部の菅沼光弘は、高橋浩祐の取材に対し、安倍晋太郎が外務相だった時に訪米したときに、アメリカ政界の有力者と晋太郎をつなげたのは統一教会だったと話した[76][596]

週刊文春が紹介する統一教会関係者の証言では、1980年代以降に教団の違法な霊感商法が社会問題化した後も、別名称の「ダミー団体」を次々作ることで、政治家との接点を持っていたとしており、その内の一人が安倍晋三であったとしている[597]

2006年5月、日本共産党機関誌である『しんぶん赤旗』などによれば、安倍晋三は、教団関連団体の天宙平和連合が全国各地で開いた大会の複数会場に内閣官房長官の肩書きで祝電を送付。この前年にも同様の大会への祝電が確認されている[598][599]

また、文鮮明が設立した米ワシントン・タイムズ紙2011年5月10日付に掲載された意見広告にと共に署名[600]。2010年2月と2012年7月には幹部信者(12双)が代表を務めるシンクタンク「世界戦略総合研究所」で講演[601][注釈 12]。さらに、『FLASH』誌などは父親の金脈、人脈を継いだため教団とは切るに切れない事情があると報じており[603]、教団内では「安倍先生なくしてみ旨は成就できない」と伝えられる[604]

2006年6月、ジャーナリストの有田芳生は、『週刊朝日』において、安倍と教会の"祖父の代から脈々と続く関係"について「私は以前、安倍さんから統一教会と北朝鮮の関係について聞かれたことがある。そのときは『統一教会が接近してきている。会おうと言われているが断っている』と言っていました。安倍さんは北朝鮮に対して強硬な立場で総裁選も近いということから考えると、少なくとも本人の意思では(前述の祝電を)送っていないとは思います」とコメントしていたが[591]、その後長期安定政権樹立を目指していた安倍は、2013年頃から教団の持つ組織票と無尽蔵の人員を目当てに、一時は距離を置いていた教団に一転して再接近したとされる[605]。宗教ジャーナリスト鈴木エイトは、安倍晋三と統一教会の関係について、「癒着」との表現を用いて極めて密接であったとしている[605]。有田は2022年7月の時点では、「岸信介氏、安倍晋太郎氏、安倍晋三氏は三代続けて、統一教会を日本社会に深く浸透させる政治的に重要な役割を果たした」と評価している[606]

安倍が「じきじきに」後援を依頼して、教団による選挙協力・動員が得られた例として、2013年夏の参議院議員選挙比例区で出馬した北村経夫があるとされる。鈴木の調査によれば、北村の後援会名簿には教団系の政治団体である国際勝共連合世界平和連合の幹部の名があり、北村の選挙事務所には世界平和連合の女性スタッフが事務員として派遣されていたという。教団による組織票は約8万票であり、北村の総得票数142613票の大半を占めていたとされる[607]。また、安倍政権下で開催された桜を見る会にも、2013年から2016年にかけて教団関係者が招待されていたとされる[608]

霊感商法の被害者支援を行う弁護士の集まり「全国霊感商法対策弁護士連絡会」が一貫して名称変更反対の申し入れを文化庁に行ってきた中でも、2015年に教団の「世界平和統一家庭連合」(家庭連合)への名称変更が許可された背景に、安倍の関与があったとされる。なお、名称変更当時の文部科学大臣であり、安倍とも親しかった下村博文に対し、教団関係者が陳情したり、政治資金パーティのパーティ券を購入したりしていたことが、『文春オンライン』によって報じられている。ほかにも安保法制の改定時期に「安倍政権を支えよう!」と街頭で安倍政権支持デモを繰り返すなど活発に活動した大学生集団「勝共UNITE」のバックには教団系の国際勝共連合があり。この集団は教団の二世信者により結成されたものだったと伝えられる[609][610][611][612]。このほかにも、教団系の雑誌『世界思想』2013年9月号は「安倍政権の救国ロードマップ」を特集し、街頭演説をする安倍晋三の姿を表紙に使った[613]

2016年11月、安倍が大統領就任前のドナルド・トランプと異例の会談を実現した背景に、教団の仲介があったとされている。「新潮45」の報道によれば、側近から提案を受けた安倍は教団系の国際勝共連合のメンバーに連絡すると、そのメンバーは教祖・文鮮明の妻でUPF総裁の韓鶴子に電話を入れた。韓鶴子はトランプの娘のイヴァンカ・トランプの夫、ジャレッド・クシュナーに連絡し、ペルーで開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会談前の17日にトランプとの会談が実現したとされる[614]

安倍は2021年9月12日(日本時間)に開催された天宙平和連合(UPF)主催のイベント『THINK TANK 2022 希望前進大会』にも、UPFインターナショナルとワシントン・タイムズからの依頼に応じる形でビデオメッセージを寄せている[255][256][257][258]。このビデオメッセージについて、全国霊感商法対策弁護士連絡会は同年9月17日、安倍に対し公開抗議文を送付している[259][260]

ワシントン・ポスト紙(米国ワシントンD.C.におけるクオリティペーパー。旧統一教会がオーナーを務めるワシントン・タイムズ紙は全く別の新聞である。)の記事によれば、統一教会と関連団体は、世界のリーダーやセレブリティ、高名な聖職者に対し、高額の謝礼を支払って講演を依頼しており、統一教会の名を世に知らしめるのが目的としている[615]H.W.ブッシュ元大統領以外にも、フォード元大統領、俳優のビル・コスビー、旧ソビエトのゴルバチョフ元大統領などの名前も挙がっているという(プーチン政権以降、統一教会はロシア国内では対テロ法により事実上活動が不可能となっている[616][617][618]。1960年代から1970年代にかけてアメリカ統一教会の政治部門の元幹部であったアレン・ウッドによれば、1回の謝礼が100万ドルであったこともあるという[618]ワシントン・ポスト紙のマーク・フィッシャーの署名記事によれば、安倍も他の多くの世界的指導者と同様に、旧統一教会関連のイベントに登壇し、講演料を得ていたとする[619]。‎安倍元首相は、ドナルド・トランプ前大統領を含む他の多くの世界の指導者と同様に、統一教会関連のイベントに報酬を受けて講演者として登場し、最近では、2021年9月の番組でビデオリンクを通じて講演したという[620]。この‎安倍の天宙平和連合(UPF)主催のイベントへのビデオメッセージについては、トランプからUPFにビデオメッセージが寄せられたことが他ならない機縁になったと、UPF、国際勝共連合、世界平和連合3団体の会長を務める梶栗正義はしている[618]。他に日本の元首相3人に依頼をしたものの、例えば名前を利用しようとするものとして断られ、安倍元首相のみが依頼に応じたという[618]

ほかにも、第一次安倍政権で内閣総理大臣秘書官を務めた参議院議員の井上義行は、2022年7月6日、埼玉県で行われた教団の会合で、幹部から「(井上は)もうすでに信徒になりました」と紹介され、「信念を持って同性婚反対と言っている」とも演説している[621]

弁護士の山口広は「安倍政権になってから、若手の政治家が統一教会のイベントに平気で出席するようになった。それまでは、政治家が参加しても名前は出さないとか、統一教会側も名前を伏せて『衆議院議員が参加してコメントした』と言っていた。安倍さんには、統一教会と仲良くすることに開き直るというか、顕著なものがあり、憂慮していた」と発言している[215]。また、「全国霊感商法対策弁護士連絡会」の弁護団は、第1次安倍政権終了後の2007年頃から、教団に関連した違法行為の刑事事件化が相次いでいた一方で、2012年第2次安倍政権発足後に再び刑事事件化することは少なくなったことを指摘した上で、教団に対する警察捜査に政治が圧力をかけていた可能性に言及した[234]。なお、安倍元首相襲撃直後、「(容疑者は)安倍元首相が某団体と関係があるものと思って」と発表すれば、十分にその意味が正しく伝わるにもかかわらず、奈良県警からは「安倍元首相が某団体と関係があるものと思いこんで」と、ことさら関係者らに忖度した、誤解を招くような表現内容で、事件の公式発表が行われている。結局、この発表内容は、後になって判明した事実とは全く食い違うものとなっている。

なお、安倍は選挙応援演説中の2022年7月8日に、41歳の海上自衛隊に短期在籍経験のある奈良県在住の男から銃撃を受け死亡したが(安倍晋三銃撃事件)、犯人の男は、母親が統一教会に多額の献金をした挙句に破産し、家庭が崩壊したことで同教団に恨みを募らせたことにより、殺害が困難な同教団幹部に代わって安倍をターゲットに犯行に及んだことを明かしている[622][623]。なお、犯人の男は、前日の7日、朝4時頃に世界平和統一家庭連合奈良家庭教会を銃撃している[624]

一連の報道を受けて、日本での会長である田中富広が2022年7月11日に記者会見をおこない、犯人の母親が信者であることを認めると共に、安倍との関連性については「友好団体(UPF)が主催する行事にメッセージが送られてきたことがあり、『世界平和運動』に関しては賛意を示してくれた」としつつ、「会員や顧問になったことはない」との見解を示した[625]

この会見について、霊感商法などの宗教問題を専門とする弁護士の紀藤正樹は、「UPFと統一教会はいわば一体の組織であって、友好団体という言い方は極めてミスリード」と述べ、「多くの信者は区別がつかない」として、田中の見解を完全に否定した[626]2009年以降は教団にまつわる献金トラブルがないとの説明も、裁判の判決文を見せた上で「これは平成25年(2013年)とか27年(2015年)とか、その頃の事件の判決です。その頃でもまだ高額献金をやってた」と完全に否定する見解を示した[626]。全国霊感商法対策弁護士連絡会も、2009年から2020年にかけて献金を含む被害を年に61件から1113件を確認しているという。2021年は47件で、被害総額は3億3153万507円という[215]

2022年7月15日、岩手県達増拓也知事は記者会見にて安倍晋三元首相の銃撃事件に関連し、「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)とその関連団体が自民党と結び付いていたことが明らかになった」と批判[627]。達増は「自民党や所属議員が団体から選挙で支援を受けている」と指摘すると共に、「政策が極端な特定の宗教団体と関連グループが法外な寄付金を集め、選挙結果や政府の政策に影響を与えている」とし、「そういう団体と深く結び付いている自民党を有権者は支持し続けてくれるのか」と自民党の姿勢を疑問視した[627]

統一教会への潜入調査を行った経験を持つ中川晴久は、事件の背景には統一協会への接近について問題意識のない政治家たちへの被害者たちの憤りがあるとしながらも、統一教会と直接関係を持つのは選挙地盤が弱い小物の政治家にすぎないとしている[628]。しかし、自民党の元参議院議員・伊達忠一は、2016年の参議院選挙で、大物議員・安倍晋三による、直接的な教団組織票の割り振りがあったと証言している。この証言について、北海道大学大学院教授の櫻井義秀は「自民党が組織的に旧統一教会とやはり関わりを持っていたのかということがだんだん明らかになってきた」と述べている[629]

2022年7月17日、安倍晋三銃撃事件の犯人の男が、事件以前に「憎むのは統一教会だけだ」「オレが14歳の時、家族は破綻を迎えた」「統一教会の本分は、家族から巻き上げさせたアガリを全て上納させることだ」「統一教会は全世界の敵」などと教団への恨みを2019年からツイッターに投稿していたとみられることが判明した[630][631]。また、事件の直前に中国地方に住む男性宛てに、銃撃を示唆する手紙を送付していたことが判明した。この手紙の中では、「本来の敵ではない」「あくまでも現実世界で最も影響力のある統一教会シンパの一人に過ぎない」「オレが憎むのは統一教会だけだ。結果的に安倍政権に何があってもオレの知ったことではない」「安倍政権の功を認識できないのは致命的な歪み」と安倍を評価している[630][631]

2022年8月12日、教団は、文鮮明の死後10年にあわせて、ソウルで国際会議を開催。トランプ前政権で国務長官を務めたマイク・ポンペオやカナダのスティーヴン・ハーパー前首相など各国の閣僚経験者が出席した。会合の冒頭、檀上のスクリーンに安倍の顔が映し出され、教団幹部が促す形で、参加者は安倍の死を悼んだ。トランプ前米国大統領は10分にわたるビデオメッセージを送り、「安倍元首相は良き友人であり、偉大な人物であった。人々は彼を懐かしむだろう。深い哀悼の意を表する」と述べた。会議の途中、安倍を追悼するセレモニーも行われた[632][633]

一覧

所属政党は2022年7月現在(物故者は死亡時の所属政党)。

北海道
岩手県
福島県
  • 佐藤剛男(自民党、比例東北ブロック福島1区)):2006年3月21日、幕張メッセで開催された「天宙平和連合日本大会‐アジア太平洋島嶼国家のパートナーシップ」で祝辞を述べている[638]
栃木県
群馬県
  • 福田赳夫(自民党、第67代内閣総理大臣、旧群馬3区):政治家の西宮弘は、文芸春秋の記事(答弁では何年のどの号であるかの言及はなく、どの記事か同定不能)によると、1974年5月7日の「希望の日」晩餐会の祝辞で「アジアに偉大な指導者あらわる、その名は文鮮明、私はこのことをうかがいまして久しいのですが、今日は待ちに待ったその文先生と席を同じくし、又ご高邁なるご教示瀬戸山国務大臣(当時)に対し、にあずかりまして、本当に今日はいい晩だなあと、気が晴ればれとしました」に始まって、最後の結びは「文先生、ほんとうにりっぱなお話をうけたまわりありがとうございました」であったと述べている[642] 昭和53年(1978年)の第84回国会法務委員会で、政治家の横山利秋は、瀬戸山国務大臣に対し、文鮮明と福田赳夫は、「ごあいさつが終わった後、文鮮明氏と、これ見えますか、ごらんのようにかたく抱き合っておる、抱擁しておるのであります。当時の大蔵大臣、現在の内閣総理大臣福田赳夫さんが文鮮明氏と、これ以上は抱き合えないくらいに男と男が抱き合った。」と述べ、両者の関係を問い詰めている[643]
  • 中曽根康弘(自民党、第71、72、73代内閣総理大臣、旧群馬3区):文鮮明や朴普煕が来日した際に会談した[注釈 13]。1992年の3万組合同結婚式へ祝辞を寄せており [5]、2004年には世界平和連合の大会で講演[644]2006年の天宙平和連合‐祖国郷土還元日本大会にも祝電を送っている。[要出典]
千葉県
神奈川県
  • 菅義偉 (自民党、第99代内閣総理大臣、神奈川2区、無派閥):元首相 統一教会の金起勲(キムギフン)北米大陸会長を官邸に招待し、面会した[639][645]
  • 山本朋広 (自民党、神奈川4区、菅義偉G):2016年2月15日、関連団体の天宙平和連合(UPF)が世界平和国会議員連合(IAPP)を創設。同年11月、日本のIAPP創設大会が参議院議員会館で開催されるが、同大会には当時の閣僚5人を含む63人の国会議員が参加。山本もその中に含まれていた[646][647]。2017年2月、UPFは韓国のソウルで「第4回ワールドサミット」を開催[648]。同時に開催されたIAPPの総会に山本は武田良太柳本卓治とともに参席し[646]韓鶴子総裁から統一教会を国の宗教にするという「国家復帰指令」を受任した[649]。同年5月14日、旧統一教会のイベント『孝情文化フェスティバル in TOKYO』に来賓として出席し、韓総裁にカーネーションの花束をプレゼントした。その際の挨拶で「日頃より世界平和統一家庭連合の徳野会長、また世界平和連合の太田会長を始め本当に皆様には我々自民党に対して大変大きなお力をいただいていますことを改めて感謝を申し上げたいと思います。おかげさまで安倍政権も5年目を迎えまして『長期安定政権』そのように評価をいただいているところでございます」と述べた[650]。同年7月、山本、武田良太、竹本直一御法川信英穴見陽一ら国会議員団は教団幹部とともに渡米、外遊を行った[646]。2018年10月25日、「国際勝共連合創立50周年記念大会」がザ・キャピトルホテル 東急で開催。この集会にも出席した[651][646]。同年12月、統一教会の関連団体の平和大使協議会はUPFの後援を受けて、かながわ労働プラザで「アフリカビジョンセミナー」を開催。山本はこのセミナーで来賓挨拶をした。
  • 田中和徳(自民党、元復興相神奈川10区、麻生派):川崎駅構内で統一教会の機関紙「世界日報」を名刺とともに配布[639][645]、統一教会の金起勲(キムギフン)北米大陸会長と自民党本部で面会。統一教会関連イベントに出席[645]
  • 山際大志郎 (自民党、元経済再生担当相神奈川18区、麻生派):統一教会関連イベント来賓、祝電[639]
  • 小林温(自民党、神奈川県選挙区):天宙平和連合イベントに祝電[652]
東京都
富山県
石川県
福井県
  • 稲田朋美(自民党、福井1区、安倍派):2006年4月、教団の関連団体「世界平和女性連合(WFWP)‐福井県連合会」が開いた春のつどいに出席[655]。2009年11月には同じく教団関連団体である世界平和連合(FWP)の福井県大会で演説[656]。2010年4月にも前記「女性連合」の催しで講演した[657]
  • 高木毅(自民党、元国対委員長、福井2区、安倍派):統一教会関連イベントに祝電[639]
  • 杉本達治福井県知事):愛知県国際展示場常滑市)で開催された「孝情文化祝福フェスティバル」に祝電を送った[658]
長野県
愛知県
  • 池田佳隆(自民党、比例東海愛知3区)、安倍派):大規模集会に来賓として出席し、祝辞を述べた[659][660][646]
  • 工藤彰三(自民党、愛知4区、麻生派):中日新聞の取材に対し、教団関連の政治活動団体「世界平和連合」に以前から選挙応援を受けてきたと説明[661]。団体側も工藤を選挙で支援してきた事実を認めた。工藤は「政治家としての付き合い」と前置きした上で、教団側が掲げる「反共主義」と「意識が同じでお付き合いをしている」と説明し、教団関連の別のイベントでもスピーチをしたと述べた。教団側とは国会議員になる前に知人を介して知り合ったとし、選挙では「人を出してもらい電話をかけてもらうなど、とても助かっている」と話した。教団は霊感商法などを巡りトラブルが表面化した過去もあるが、工藤は「破壊的なカルト反社と認定されている団体なら付き合わないが、決してそういうわけではない」と指摘。今後の付き合いについて「お付き合いしていくつもり」と語った[662]
  • 江崎鉄磨(自民党、元沖縄北方相愛知10区、二階派):統一教会関連イベントに祝電[639]
  • 大村秀章愛知県知事):2022年7月22日、大村が2019年10月6日に愛知県国際展示場常滑市)で開かれた世界平和統一家庭連合(旧統一教会)関連イベント「孝情文化祝福フェスティバル」[663]に対して送った祝電が教団トップの韓鶴子総裁を礼賛する内容に書き換えられたとして、大村の事務所が教団側に抗議していたことが分かった[664][665]
  • 禰宜田政信碧南市長):愛知県知事大村秀章に統一教会イベントへの祝電を依頼した[666]。祝電の依頼やその改竄について「わからない」「知らない」と答え、自身が信者かどうかは「ノーコメント」と説明している[665]
  • 山田拓郎犬山市長):2019年から2021年にかけて旧統一教会や関連団体の行事に合わせて4回参加し、市政報告や挨拶をした[667][668][669]。このうち1回は犬山市と市教育委員会が後援名義の使用を許可しており、市などは同月22日に後援を取り消した。また、犬山市は2018年から4年間に渡り教会の関連団体からあわせて35万円の寄付金を受け取り、図書の購入費などに充てていた。山田は「公職者が接点をもつことで、公的に(団体を)奨励するかのような印象を世間に与えてしまう」として謝罪、今後は「組織とは一線を引いて対応したい」とした。
  • 天野正基(国民民主党、愛知県議会議員):「孝情文化祝福フェスティバル」に参加[670]。すでに結婚している夫婦が改めて永遠の愛を誓う「既成祝福式」の代表として夫婦で登壇し、韓鶴子に贈り物を捧げた。翌日の会合では韓を「お母さま」と呼び、「私の議員活動が他の議員の祝福につながるようしっかりと活動してまいることを誓いまして私からの祝意とさせていただきます」などと挨拶した。
  • 青山丘国民新党、比例東海、(愛知7区)):2006年5月18日の天宙平和連合‐祖国郷土還元名古屋大会に出席。2010年12月3日、“拉致監禁”[注釈 14] 反対を訴える決起集会「守れ!日本の人権・信教の自由」では来賓として挨拶した[671]
  • 鈴木政二(自民党、元官房副長官、愛知県選挙区):天宙平和連合イベントに祝電[652]
静岡県
  • 細野豪志(自民党、元環境相、静岡5区、二階派):統一教会機関紙にインタビュー掲載、統一教会関連団体より献金[639]
三重県
京都府
大阪府
兵庫県
奈良県
鳥取県
島根県
  • 細田博之(自民党、衆議院議長島根1区):2019年に、韓鶴子が出席した関連団体の会合「国際指導者会議」に出席、内容を安倍晋三に伝えるとしたうえで、韓をほめたたえるスピーチを行った[679]
  • 竹下亘(自民党、島根2区、竹下派):2012年4月29日に開かれた「アジアと日本の平和と安全を守る島根県フォーラム設立大会」に来賓として参加し祝辞を述べた[680]
岡山県
広島県
  • 中川秀直(自民党、比例中国ブロック広島4区)、無派閥):2012年7月30日に古参信者が代表を務める団体「世界戦略総合研究所」が開いたシンポジウムに参加[601]。2006年5月14日に開かれた天主平和連合(UPF)祖国郷土還元広島大会には祝電を送っている[682]
山口県
  • 高村正彦(自民党、山口1区、麻生派):政治家の中村敦夫は、平成10年(2008年)の第143回国会法務委員会で、「高村はかつて統一教会の代理人であり、ハッピーワールドから時価380万円のセドリックを提供されている」と述べている[208]。かつては勝共推進議員であったが、外務大臣に就任した年の週刊ポスト(1998年12月4日号)紙上では統一教会との関係について、冷戦構造下において共産主義反対というところで一致していただけで統一教会の弁護士をやめる際に今後は一切相談は受けないと申し入れたこと、統一教会の教祖文鮮明に対してビザ発給などで便宜を図ったことはないこと、1999年の入国に協力するつもりはないこと、などを語っている[683]。また週刊現代(1999年2月27日号)が1999年に行った国会議員へのアンケートに対しては、「弁護士としての関係がかつてあったが、今は何の関係もない」と回答している[684]
  • 岸信夫(自民党、第21 - 23代防衛大臣山口2区、安倍派):安倍晋三の実弟で岸信介の孫。2022年7月26日の記者会見で、統一教会との関係について「付き合いもあり、選挙の際もお手伝いをいただいている。電話作戦等々、ボランティアでお手伝いをいただいたケースはあると思う」「選挙だから支援者を多く集めることは必要だと思う」「統一教会に手伝ってもらったというよりは、メンバーの方にお力をいただいたということだ」と述べた[685]
  • 安倍晋三(自民党、第90、96 - 98代内閣総理大臣、山口4区、安倍派):岸信介の孫。#安倍晋三との関係を参照
  • 北村経夫(自民党、山口県選挙区、安倍派):世界平和連合から支援を受けている[686]。初出馬した2013年の第23回参議院議員通常選挙では、安倍が北村の選挙応援を教団に依頼[687]。教団内部文書には「首相からじきじきこの方(北村)を後援してほしいとの依頼」「まだCランクで当選には遠い状況です」「今選挙で北村候補を当選させることができるかどうか、組織の『死活問題』です」などとあった。2019年の第25回参議院議員通常選挙でも統一教会内部で北村を応援するビラが出回っていた。北村の事務所は「旧統一教会から支援を受けたことも、見返りを求められたこともありません」と否定している。しかし、当時、選挙事務所のスタッフだった近藤将勝は北村が団体の支援を受けていたと証言したほか、「世界平和連合」も「弊団体が北村経夫氏を支援したことは事実です」と支援を認めた[688]。同年、UPF主催の会合に出席[689]
  • 岸信介(自民党、第56、57代内閣総理大臣、旧山口2区):日本における勝共連合設立の中心人物の一人[162]。文鮮明が米国で投獄されると「宗教の自由」を侵した過ちであるとし、釈放を求める意見書を米大統領に提出 [6]。自宅と教団本部は隣接していた[690]。文鮮明や久保木修己とも会談しており、ときには松濤本部を訪ねて信者を激励するなど日本統一教会(協会)草創期からの熱心な賛同者である[691]
徳島県
  • 後藤田正純(自民党、比例四国(徳島1区)、茂木派):下部団体の天宙平和連合が主催した、文鮮明の三男である文顕進との昼食会に出席。本人もそれを認めている[692]
愛媛県
  • 井原巧(自民党、愛媛3区、安倍派):世界平和連合の支援を受ける。2013年5月には、愛媛県内のホテルで、同連合は「井原巧先生を励ます会」を開催した[693]
  • 白石徹(自民党、愛媛3区、麻生派):教団の関連団体である「アジアと日本の平和と安全を守る全国フォーラム」東予地区の世話人を務め[694]、同じく関連団体の平和大使協議会(AAP)では平和大使に任命されている[695]。また、世界平和連合(FWP)は白石の後援会「愛和会」を設立しており、同会は応援歌「ラブ、ラブ、ラブ」の合唱で締めくくられる[696]。他にも、真の家庭運動推推進議会(APTF)が開くクリスマスパーティーや原理復興文化祭などに通う[697][698]
  • 磯崎仁彦(自民党、元内閣官房副長官香川県選挙区、岸田派):統一教会関連イベント「ピースロード」に参加[688]
高知県
  • 中谷元(自民党、元防衛相高知1区、谷垣G):統一教会関連媒体にインタビュー掲載。統一教会関連イベントに祝電[639]
  • 福井照(自民党、比例四国ブロック(高知1区)、二階派):2002年1月、世界平和連合‐高知県連合会結成大会に数人の自民党議員と出席[699]。2006年5月には天宙平和連合‐祖国郷土還元高松大会へ祝電を送っている[700]
福岡県
長崎県
  • 宮島大典(無所属、長崎4区):2006年5月13日、天宙平和連合‐祖国郷土還元福岡大会に出席[242]。2010年12月に開かれたシンポジウム「信教の自由と人権問題を語る」では会場となった議員会館の使用申請をした[709]
熊本県
大分県
宮崎県
  • 中山成彬次世代の党、比例九州ブロック(宮崎1区)):2003年11月、当時支部長を務めていた自民党宮崎1区支部の世界平和連合からの献金受領が報じられ返還。地元の会合にも同連合のメンバーを出席させている[710][711]
鹿児島県
  • 保岡興治(自民党、鹿児島1区、石原派):政策秘書だった信者を法務大臣就任時(第2次森内閣)に秘書官に登用。2005・2006年には下部組織の催しに祝電を寄せた[598]。「希望の日」晩餐会にも臨席している。
沖縄県
参議院議員比例区

米国

韓国

その他

支持者

  • 笹川良一(全国モーターボート競走会連合会、後の日本船舶振興会、現日本財団の会長):密入国で逮捕された西川勝の身元引受人を買って出た[要出典]
  • 福田信之筑波大学元学長、理論物理学者):「文鮮明師と金日成主席」(世界日報社1992)等の著書あり[726]
  • 室生忠(宗教ジャーナリスト):統一教会関連のシンポジウムの講師等を務めたこともある。月刊誌『』(2000年4月号)で浅見定雄が「統一教会信者の『強制説得』請負人」で、「信者を脱会させるために精神病院に『強制収容』する事件に加担した」などとする記事を書いたことを当人から名誉毀損で訴えられ敗訴し、『創』誌に謝罪広告を掲載するよう命じられた[727]
  • 桧田仁(医師・元衆議院議員):2000年4月の衆議院決算行政監視委員会において、脱会支援活動への取り締まり等について教会員の立場で質問。関連団体の集会やシンポジウムには度々参席し講演もする。2010年11月11日付『世界日報』では「拉致監禁は犯罪」と訴えた[728][注釈 14]
  • 小林正(教育評論家・元参議院議員):教団の関連団体が主催する大会では講演などをしており、世界戦略総合研究所の評議員も務める。憲法改正や教育問題に取り組む関係上、教団との接点が多い。1999年3月13日、世界平和連合・国際勝共連合共催の救国救世全国躍進大会で挨拶。2004年3月22日の世界平和連合‐救国救世全国総決起大会では乾杯の音頭。2004年7月19日には世界平和連合‐神奈川県連合会の役員研修会で講師を務め、2006年開催の天宙平和連合‐祖国郷土還元日本大会にも出席

批判者

関連団体

国際勝共連合世界平和国会議員連合世界戦略総合研究所など関連団体を含めると、他多数。

脚注

注釈

  1. ^ 勝共連合と協力関係にある議員は一般に「勝共推進議員(または勝共議員)と呼ばれる。[要出典]
  2. ^ 多くの地方議員が世界平和連合の各県連合会で議長や理事または勝共連合の支部長を務めていると、機関紙の思想新聞が報じている[要出典]
  3. ^ 教団の行う合同結婚式は参加するカップル数により、それぞれ「6500組合同結婚式」「3万組国際合同結婚式」などと命名され、信者は自身が祝福(結婚)を受けた式の参加人数により「6500双(6500組)」「3万双(3万組)」と呼ばれる。[要出典]
  4. ^ 主催は「アジアと日本の平和と安全を守る全国大会実行委員会」(公式サイト)、後援は国際勝共連合・世界平和連合・平和大使協議会・世界日報・世界平和教授アカデミー・NPO法人にっぽん文明研究所など[要出典]
  5. ^ 下村文科大臣の時にそれまでの慣例を破って認証されたため、共産党宮本徹衆院議員が当時の決裁文書の開示の請求をしたところ、認証理由などがすべて黒塗りの文書が開示された[122]
  6. ^ 前川喜平1997年文化庁宗務課長だったころに、教団が名称変更を求めてきたが実態に変更がないため認めなかったとしている[261][262]
  7. ^ 「文鮮明は金百文が1952年釜山東来で避難中に執筆した原稿『堕落、復帰原理』を見て『原稿校正を見て差し上げる』と持って行って6ヶ月以上持って来ない騒動を起こした」[273]
  8. ^ 聖書に記載されている箇所 ネヘミヤ10/31、マタイ18/27、マタイ18/32、ルカ7/42、ルカ7/43。
  9. ^ 世界基督教統一神霊協会の関連用語で「ヨハネトーク」。[要出典]
  10. ^ 札幌青春を返せ訴訟・最終準備書面 に詳しい説明がある。
  11. ^ 別名「気づきのセミナー」とも言い、「隠れた能力を開発する」などというふれこみで急増している「産業」である。受講料が非常に高額で、洗脳状態に陥りまともな社会生活ができなくなるなどと社会問題化した。[要出典]
  12. ^ 「やや日刊カルト新聞」のよると、統一教会信者の阿部正寿が代表を務める教団関連組織「世界戦略総合研究所」で安倍は第九十代内閣総理大臣の肩書きで講演を行い、またこの団体は議員の口利きがないと使えない参議院議員会館を利用していたという[602]
  13. ^ 1992年3月31日に文鮮明と会談。1994年8月17日の朴普煕との会談では文鮮明訪朝に関する報告を受けた。[要出典]
  14. ^ a b 教団は信者の家族や弁護士、キリスト教牧師などによる脱会支援活動を「拉致・監禁」と呼び非難する[要出典]

出典

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  2. ^ 櫻井・中西 2010, p. 99.
  3. ^ 久, 木村 (2006-02). “日韓海底トンネル掘削の黒い野望--旧KCIA、統一教会、許永中を結ぶ糸”. 月刊times 2: 42~45. https://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I7796778-00. 
  4. ^ 朋子, 菅野. “「後ろ向きにさせて縛って、顔には水を」…“地獄の拷問”が行われた韓国KCIA「肉局」跡地で目にしたモノ”. 文春オンライン. 2022年7月12日閲覧。
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  12. ^ 宗教年鑑 平成29年版 151頁 文化庁
  13. ^ a b c “銃撃事件巡り関係を問題視 仏紙、欧米では「カルト宗教」”. 共同通信. (2022年7月11日). https://nordot.app/919222383674064896 
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関連文献

英語の文献

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関連項目

外部リンク