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ケルヴィン・キプタム

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ケルヴィン・キプタム Portal:陸上競技
ロンドンマラソンでのキプタム(2023年)
選手情報
フルネーム Kelvin Kiptum Cheruiyot
ラテン文字 Kelvin Kiptum
国籍  ケニア
競技 陸上競技
種目 長距離走
生年月日 (1999-12-02) 1999年12月2日(24歳)
出身地 チェプコリオ英語版
身長 180cm
体重 65kg
コーチ ジェルヴェ・ハキジマナ[1][2]
自己ベスト
10000m 28分27秒87
10km 28分17秒
ハーフマラソン 58分42秒
マラソン 2時間00分35秒 世界記録
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ケルヴィン・キプタム(Kelvin Kiptum, 1999年12月2日 - )は、ケニア陸上競技長距離走)選手。男子マラソンの世界記録保持者である。

フルマラソン初挑戦となった2022年のバレンシアマラソン英語版をデビュー戦としては史上最速のタイムで制し、これは当時の世界歴代4位の記録であった[3]。4か月後、2レース目のロンドンマラソンでは、世界記録まで16秒差まで迫る世界歴代2位(2時間01分25秒)のタイムで優勝した[4]。半年後、3レース目のシカゴマラソンでは、2時間00分35秒の世界新記録で優勝した[5][6][7]

経歴

エルドレットから東に約30km、大地溝帯に位置するリフトバレー州エルゲーヨ=マラクウェトの標高の高い村、チェプコリオ英語版で生まれ育った。近隣のカウンティとともに、多くの著名な陸上競技選手を輩出し、また外国からも多くのランナーが集まる地域である。

幼少期、キプタムは家畜の世話をしながら、森の道を走るランナーたちの後を裸足で追い始めた。2013年頃、13歳のときに本格的なトレーニングを始めた[8][9]。その年、エルドレットで開催されたハーフマラソンの大会に初めて出場し、10位で完走。翌年も出場し、12位であった[10]。2018年、1時間02分01秒でこの大会初優勝を飾った[10][11]。当時はまだ指導者もおらず、自分自身で練習を行っていた[4]

その後、2019年3月にポルトガルリスボン・ハーフマラソン英語版で国際大会デビューを果たすと、59分54秒の自己ベストで5位入賞となった。この年、北ヨーロッパ西ヨーロッパでの6つのレースにも参加し、11月には母国で開催されたハーフマラソン大会も制した[12]。2020年、ルワンダ3000メートル障害記録保持者であるジェルヴェ・ハキジマナのコーチを務め始めたと報じられたが、2013年以降、ハキジマナのもとで他の若い選手と一緒に定期的にトレーニングを行っていたようである[1][2][4]。2020年頃から、すでにフルマラソン挑戦に向けて準備を始めていた[8]。同年12月、バレンシア・ハーフマラソン英語版に出場し、58分42秒の自己ベストタイムを記録し、6位入賞となった。2021年には、フランスランスのハーフマラソンを59分35秒で優勝し、前年に続いて走ったバレンシアでは59分02秒で8位となった[11]

2022年12月、23歳となり臨んだバレンシアマラソンでフルマラソンデビューを果たすと、逆転劇をやってのけた。前半は力を抑えて後半はそれを上回るペースで走り(後半のタイムはマラソン史上最速の1時間00分15秒を記録)、当時の世界歴代4位となる2時間01分53秒でこのレースを制し、2時間2分を切った史上3人目の選手となった。この時点でキプタムよりも速いタイムを持っていたのは、当時の世界記録である2時間01分09秒(および2時間01分39秒)の同胞のエリウド・キプチョゲと、2時間01分41秒のエチオピアケネニサ・ベケレのみである。また、大会記録を1分以上更新し、フルマラソンデビュー戦としては史上最速のタイムであった。最終的に2位を1分以上の大差をつけ、レース前に優勝候補に挙げられていたこの年の世界陸上チャンピオンのタミラト・トラ英語版にも勝利した[3][13][14]

2023年4月23日、2レース目で初のワールドマラソンメジャーズ参戦となったロンドンマラソンでは、雨天の中でも2時間01分25秒の大会記録、キプチョゲの世界記録まで16秒に迫る世界歴代2位のタイムで圧勝した。バレンシアと同じく前半は1時間01分40秒と抑えて走り、30km地点で集団から抜け出すと、後半は自身の記録を更新する59分49秒で走り抜けた[15]。同じ村の出身で、若い頃にその背中を追ったジェフリー・カムウォロル英語版に3分近い大差をつけ、キプチョゲが保持していた大会記録も1分以上更新した[4][16][17]

10月8日、3レース目となるシカゴマラソンに臨み、大会記録を3分以上塗り替え、キプチョゲの世界記録を34秒更新する2時間00分35秒の世界新記録で優勝した[7]。このレースでも前半は抑えたが、それでもロンドンより速い1時間00分48秒で走り、後半も失速せずに59分47秒と記録を伸ばした。これまでの2レースと同様に、シカゴでも30km地点からペースを上げた。平均すると、2分51秒/km(時速20.995km)のタイムであった[18][19]。15km地点で戦闘に立ち、30km地点からは独走状態で、最終的には2位で同胞のベンソン・キプルト英語版におよそ3分半の差をつける圧勝であった[5][6][20]

トレーニング方法

2023年10月の世界記録更新の後、コーチのジェルヴェ・ハキジマナはそのトレーニング方法について見解を示した。4月のロンドンマラソンに向けて、毎朝25 - 28kmを走り、火曜日と土曜日にはトラックファルトレクを、木曜日と日曜日には30 - 40kgの長距離を走り込み、週に250 - 280kmを走るのがルーティーンであったという[1][21]。シカゴマラソンに向けては、地元のチェプコリオの高地とケリオ渓谷英語版で交互にトレーニングを行っていた[22]

実績

マラソン

大会 開催地 結果 記録
2022 バレンシアマラソン英語版 スペインの旗 バレンシア 優勝 2:01:53(大会記録)
2023 ロンドンマラソン イギリスの旗 ロンドン 優勝 2:01:25(大会記録)
シカゴマラソン アメリカ合衆国の旗 シカゴ 優勝 2:00:35(大会記録、世界記録)

自己ベスト

種目 タイム 場所 年月日 備考
10,000メートル 28:27.87 スウェーデンの旗 ストックホルム 2021年5月4日
10キロメートル 28:17 オランダの旗 ユトレヒト 2019年10月6日
ハーフマラソン 58:42 スペインの旗 バレンシア 2020年12月6日
マラソン 2:00:35 アメリカ合衆国の旗 シカゴ 2023年10月8日 世界記録

人物

結婚しており、2人の子どもがいる[23]

脚注

  1. ^ a b c Robin Gremmel (2023年10月8日). "Kiptum's Coach Fears Intense Training Will Shorten Record Career". バロンズ (英語). 2023年10月8日閲覧
  2. ^ a b "Marathon: Gervais Hakizimana, galérien du bitume et coach du nouveau roi Kelvin Kiptum". France 24 (フランス語). 2023年10月9日. 2023年10月9日閲覧
  3. ^ a b Jack Rathborn (2022年12月4日). "Amane Beriso and Kelvin Kiptum pull off surprise wins in blazing times at Valencia Marathon". インデペンデント (英語). 2022年12月4日閲覧
  4. ^ a b c d "London Marathon 2023: Can Kelvin Kiptum really be 'Kipchoge 2.0'?". BBCスポーツ (英語). 2023年4月25日. 2023年10月8日閲覧
  5. ^ a b "Kiptum smashes world marathon record with 2:00:35, Hassan runs 2:13:44 in Chicago". ワールドアスレティックス (英語). 2023年10月8日. 2023年10月8日閲覧
  6. ^ a b Sean Ingle (2023年10月8日). "Kelvin Kiptum shatters marathon world record with run of just over two hours". ガーディアン (英語). 2023年10月8日閲覧
  7. ^ a b "【マラソン】ケニア23歳キプタムが世界新2時間0分35秒「素晴らしい結果」". 日刊スポーツ. 2023年10月10日. 2023年12月2日閲覧
  8. ^ a b Evelyn Watta (2023年10月8日). "Kelvin Kiptum confident ahead of the Chicago Marathon 2023 and beyond: "I can run 2:00"". 国際オリンピック委員会 (英語). 2023年10月8日閲覧
  9. ^ Jonathan Komen; Stephen Rutto (2023年10月12日). "Coachless, shoeless, but not hopeless...Kiptum, the man of the moment". The Standard (英語). 2023年10月12日閲覧
  10. ^ a b "Jepkosgey, Kiptum Wins Family Bank Half Marathon". Daily Sport (英語). 2018年10月7日. 2023年10月8日閲覧
  11. ^ a b "Kelvin KIPTUM | Profile". ワールドアスレティックス (英語). 2022年12月4日閲覧
  12. ^ "Birech, Chebet win Kass Marathon". Daily Nation (英語). 2020年7月4日. 2023年10月8日閲覧
  13. ^ Jonathan Gault (2022年12月4日). "Kelvin Kiptum (2:01:53) & Amane Beriso (2:14:58) Surprise to Win Super Fast 2022 Valencia Marathon". LetsRun.com (英語). 2022年12月4日閲覧
  14. ^ Emeterio Valiente (2022年12月4日). "Kiptum and Beriso break course records in Valencia". ワールドアスレティックス (英語). 2022年12月4日閲覧
  15. ^ Sean McAlister (2023年4月24日). "How fast was Kelvin Kiptum's London Marathon vs Eliud Kipchoge's world record?". 国際オリンピック委員会 (英語). 2023年4月24日閲覧
  16. ^ Jess Whittington (2023年4月23日). "Kiptum charges to 2:01:25 triumph, Hassan stuns on marathon debut in London". ワールドアスレティックス (英語). 2023年4月24日閲覧
  17. ^ Jenny Bozon (2023年4月24日). "Who is men's London Marathon winner Kelvin Kiptum and could he surpass Eliud Kipchoge?". Runner's World (英語). 2023年4月24日閲覧
  18. ^ Sean Hartnett (2023年10月10日). "Chicago Marathon Men — Kiptum Sub-2:01". Track & Field News (英語). 2023年10月10日閲覧
  19. ^ Sean McAlister (2023年10月9日). "How fast was Kelvin Kiptum's men's marathon world record? Chicago Marathon 2023 race pace breakdown and split times". 国際オリンピック委員会 (英語). 2023年10月9日閲覧
  20. ^ Jeremy Wilson (2023年10月9日). "Nike hit back at Adidas in 'super shoe' war as Kelvin Kiptum shatters men's marathon record". デイリー・テレグラフ (英語). 2023年10月9日閲覧
  21. ^ "Kelvin Kiptum's Coach Reveals His Incredible Training Before Marathon World Record in Chicago". LetsRun.com (英語). 2023年10月10日. 2023年10月10日閲覧
  22. ^ Bernard Rotich (2023年10月4日). "Chicago Marathon: Kelvin Kiptum sets sights on the big prize". Daily Nation (英語). 2023年10月9日閲覧
  23. ^ Jonathan Komen (2023年10月12日). "Village artisan sensation who broke Kipchoge's marathon record". The Standard (英語). 2023年10月12日閲覧

外部リンク

記録
先代
ケニアの旗 エリウド・キプチョゲ
男子マラソン世界記録保持者
2023年10月8日 - 現在
次代
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