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VisiCalc

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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VisiCalc
開発元 ビジコープ
最新版
VisiCalc Advanced Version / 1983年
対応OS Apple IIAtari 8ビット・コンピュータPET2001MS-DOS、PC-DOS
種別 表計算ソフト
ライセンス 商用
公式サイト www.danbricklin.com
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VisiCalcは、世界初のパーソナルコンピュータ向け表計算ソフトである。それまでホビー用と考えられていたマイクロコンピュータをビジネスツールとして定着させるきっかけとなったソフトウェアである。

起源

1979年、Personal Software 社(後のビジコープ)が発売した VisiCalc は、Dan Bricklin 考案、Bob Frankston 設計、彼らの Software Atrs 社開発によるものであった。VisiCalc は当初 Apple IIコンピュータ向けにリリースされ、ビジネスツールとしてのパーソナルコンピュータの有効性を示し、Apple II の躍進に寄与した。このことは、それまでPC市場を無視していたIBMがPC市場に参入する要因にもなった。Apple II 版の後、VisiCalc はAtari 8ビット・コンピュータPET2001(どちらも Apple同様 6502プロセッサ使用)、TRS-80Z80プロセッサ)、IBM PCに移植された。

Bricklin によれば、彼はハーバード・ビジネス・スクールで教授が黒板に金融モデルを書くのを見ていた。その教授が間違いに気づいてパラメータを修正しようとしたとき、表の中の大部分を消して書き直さなければならなくなった。これを見た Bricklin は、このような計算をコンピュータ上で処理する「電子式表計算」を思いついたのである。

後継

電子式表計算は画期的なアイデアだったが、Bricklin はこのアイデアでは特許を取れないだろうと助言され、この発明から得られたであろう莫大な利益を逃してしまった。当時、アメリカ合衆国ではソフトウェアの特許は認められておらず、権利は著作権でのみ守られるとされていた。著作権はアイデアそのものを守るのには適しておらず、競合他社はコンセプトを即座にコピーして表示形式を変えるだけで著作権違反を問われずに販売することができたのである。

InformationWeek 誌の Charles Babcock は「VisiCalcは問題が大いにあり、ユーザーが求めた多くのことを実現できなかった」としている[1]。間もなく VisiCalc よりも強力な他社製品が登場した。SuperCalc(1980年)、マイクロソフトMultiPlan(1982年)、Lotus 1-2-3(1983年)、AppleWorks(1984年)の表計算モジュールなどである。そして、Microsoft ExcelMac OS版が1985年、Windows 2.0 版が 1987年)に至って表計算ソフトは新世代へ移行していった。特許が成立していなかったので、これらはビジコープ社に何も支払うことがなかった。

外部リンク