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'''ウィリアム・フォード・ギブスン'''(William Ford Gibson、[[1948年]][[3月17日]] - )は、[[アメリカ合衆国]][[サウスカロライナ州]][[コンウェイ (サウスカロライナ州)|コンウェイ]]生まれの[[小説家]]、[[SF作家]]。「サイバーパンク」の代表的な作家。[[ブリティッシュコロンビア大学]]英文科卒業。カナダ在住。
'''ウィリアム・フォード・ギブスン'''(William Ford Gibson、[[1948年]][[3月17日]] - )は、[[アメリカ合衆国]][[サウスカロライナ州]][[コンウェイ (サウスカロライナ州)|コンウェイ]]生まれの[[小説家]]、[[SF作家]]、[[随筆家]]。[[サイエンス・フィクション]]のサブジャンルの一つ[[サイバーパンク]]」の代表的な作家。[[ブリティッシュコロンビア大学]]英文科卒業。カナダ在住。1970年代後半に執筆活動を始め、初期の作品は1990年代にインターネットが普及する以前の[[情報化時代]]において、[[テクノロジー]]、[[サイバネティックス]]、[[コンピュータネットワーク|コンピューター・ネットワーク]]が人間に与える影響(「[[ならず者|ローライフ]]と[[ハイテク]]の組み合わせ」<ref name="mao2">{{cite book|title=Burning Chrome|title-link=Burning Chrome (short story collection)|last=Gibson|first=William|authorlink=:en:William Gibson |author2=:en:Bruce Sterling|publisher=Harper Collins|year=1986|isbn=978-0-06-053982-5|location=New York|chapter=Introduction|oclc=51342671|author2-link=Bruce Sterling}}</ref>)を探求し、[[図像学]]の作成に役立つ、[[暗黒小説|ノワール]]で近未来の物語だった


ギブスンは1982年の短編小説『[[クローム襲撃]]』で「広く行き渡り、相互接続されたディジタル技術」を示す「[[サイバースペース]]」という用語を作り出し、その後の絶賛された1984年のデビュー長編『[[ニューロマンサー]]』でその概念を広めた<ref>{{cite journal|url=http://blog.wired.com/defense/2008/05/pentagon-define.html|title=26 Years After Gibson, Pentagon Defines 'Cyberspace'|last=Schactman|first=Noah|date=May 23, 2008|journal=[[:en:Wired|Wired]]}}</ref>。これらのギブスンの初期の作品は、1980年代にSF文学を「革新」したとみなされている。
== 経歴 ==
サウスカロライナ州出身。ベトナム戦争の際、兵役を拒否するためにカナダに移住する。[[1977年]]にセミプロ雑誌でデビューし、[[1982年]]に発表した短編『[[クローム襲撃]]』(''Burning Chrome'')で一躍脚光を浴びる。
その中で初めて[[サイバースペース]]の概念を提示した。また、[[1984年]]の初長編『[[ニューロマンサー]]』(''Neuromancer'') で、[[サイバーパンク|サイバーパンクSF]]という[[サイエンス・フィクション|SF]]の新しいジャンルの牽引役となった。


『ニューロマンサー』のストーリーをさらに2作の小説(1986年の『[[カウント・ゼロ]]』と1988年の『{{仮リンク|モナリザ・オーヴァドライヴ|en|Mona Lisa Overdrive}}』)で拡張して「電脳」三部作を完成させたのち、ギブスンは[[ブルース・スターリング]]とサイエンス・フィクションのサブジャンルの一つ、[[スチームパンク]]の重要な作品となる1990年の[[歴史改変小説]]『{{仮リンク|ディファレンス・エンジン|en|The Difference Engine}}』を共作した。
1995年、短編『記憶屋ジョニイ』(''Johnny Mnemonic'')が『[[JM (映画)|JM]]』(''Johnny Mnemonic'', 1995年(米)出演:[[キアヌ・リーブス]]、[[北野武]])として映画化され、ギブスン自ら脚本を手掛けた。その後、映画『[[エイリアン3]]』の脚本に参加するが、結局彼の執筆した脚本は手が入れられてしまい、残ったのは囚人の首の[[バーコード]]のみであったと言われている。またTVドラマ『[[X-ファイル]]』の脚本にも参加した(第5シーズンエピソード11''"Kill Switch"''、第7シーズンエピソード13''"First Person Shooter"'')。


1990年代、ギブスンは近未来の都市環境、[[脱工業化社会]]、[[晩期資本主義]]の[[社会学|社会学的]]発展を探求した「橋」三部作を執筆した。世紀の変わり目と[[アメリカ同時多発テロ事件|9/11のできごと]]のあとでほぼ現代の世界を舞台にしたより[[現実主義|現実主義的]]な一連の小説(2003年の『{{仮リンク|パターン・レコグニション|en|Pattern Recognition (novel)}}』、2007年の『{{仮リンク|スプーク・カントリー|en|Spook Country}}』、2010年の ''Zero History'')を発表した。これらの作品によってはじめて主流のベストセラーリストにも載るようになった。より最近の小説 ''The Peripheral''(2014年)と ''Agency''(2020年)ではテクノロジーと認識可能なサイエンス・フィクションのテーマとのより明白な関係に回帰している。
短編「[[ヒューゴー・ガーンズバック|ガーンズバック]]連続体」(短編集『クローム襲撃』収録)は[[レトロフューチャー]]概念に、[[ブルース・スターリング]]との合作長編である[[歴史改変小説]]『[[階差機関|ディファレンス・エンジン]]』はジャンル「[[スチームパンク]]」に、それぞれ大きな影響を与えている。ギブソンの評判の多くは、ニューロマンサーに関連付けられたままであったが、彼の作品は進化し続けている。例えば、1990年代には『バーチャル・ライト』、『あいどる』、『フューチャーマチック』という、スプロール・シリーズから世界観を一新した新三部作を完成させる。これらの作品では、現代に近い近未来を舞台とし、現存する技術から外挿可能なバーチャルリアリティ技術の多用により、純粋なSF色は弱まっているが、ナノテクのようにSF特有のガジェットも登場する。


1999年、[[ガーディアン|ガーディアン紙]](UK)はギブスンを「おそらく過去20年間で最も重要な小説家」と表現し、[[シドニー・モーニング・ヘラルド]](オーストラリア)は彼をサイバーパンクの「ノワール預言者」と呼んだ<ref name="smh2">{{cite web|url=https://www.smh.com.au/news/books/a-reality-stranger-than-fiction/2007/09/06/1188783376158.html|title=A reality stranger than fiction|last=Bennie|first=Angela|date=September 7, 2007|website=[[Sydney Morning Herald]]|publisher=Fairfax Media|accessdate=January 21, 2008}}</ref>。ギブスンはそのキャリアを通じて、20作以上の短編小説と10作の絶賛された長編小説(1作は共著)を書き、いくつかの主要な出版物に記事を寄稿し、パフォーマンス・アーティスト、映画製作者、ミュージシャンと幅広く協力してきた。彼の作品は、学界、デザイン、映画、文学、音楽、[[サイバーカルチャー]]、テクノロジーなど、さまざまな分野に影響を与えていると言われている。
2003年には新長編『パターン・レコグニション』を執筆した。本作は、[[近未来]]の都市環境と[[後期資本主義]]の[[社会学]]的観察に焦点を当てており、現代を舞台にして、インターネット上にアップロードされる映像「フッテージ」の作者を探索する非SF小説である。また、本作は、2007年に発表された『スプーク・カントリー』と同じ世界観を共有し、2010年発表された''zero history''をもって新たな三部作となった。


== 生い立ち ==
2014年には、初めてタイムトラベルに挑んだ''the peripheral''を発表した。
[[File:Burroughs1983 cropped.jpg|thumb|upright|right|1984年の70歳の誕生日パーティーでの[[ウィリアム・S・バロウズ]]。バロウズは、他のどのビート世代の作家よりも、思春期のギブスンに重要な影響を与えた。]]

=== 子供時代、引っ越し、そして思春期 ===
ウィリアム・フォード・ギブスンは[[サウスカロライナ州]]の沿岸の都市[[コンウェイ (サウスカロライナ州)|コンウェイ]]で生まれ幼少期のほとんどを両親が生まれ育った[[アパラチア]]の小さな町、[[バージニア州]]ウィズビルですごした<ref name="sourcecode"/><ref name="observer">{{cite news |url=http://books.guardian.co.uk/departments/sciencefiction/story/0,,2146989,00.html |title=Space to think |accessdate=October 26, 2007 |last=Adams |first=Tim |author2=Emily Stokes |author3=James Flint |date=August 12, 2007 |work=The Observer | location=London}}</ref>。彼の家族は、父親が大きな建設会社の管理職として勤務していた関係で頻繁に引っ越すことになった<ref name="litencyc"/>。バージニア州[[ノーフォーク (バージニア州)|ノーフォーク]]では、ギブスンはパインズ小学校に通学したが、教師が読書を進めなかったために両親は落胆した<ref name=sale>{{cite news|url=https://www.independent.co.uk/news/people/profiles/passedfailed-william-gibson-novelist-and-scriptwriter-541221.html|title=Passed/Failed: William Gibson, novelist and scriptwriter|work=[[The Independent]]|accessdate=March 12, 2009|date=June 19, 2003|last=Sale|first=Jonathan|publisher=[[:en:Independent News & MediIndependent News & Media]]| location=London}}</ref>。ギブスンがまだ幼かったころ{{efn|1=[[ニューヨーク・タイムズ・マガジン|ニューヨーク・タイムズ・マガジン誌]]<ref name="nytmag1"/>とギブスン自身は<ref name="sourcecode"/>父親が亡くなった時に6歳だったと述べているが、ギブスン研究家のタティアーニ・ラパヅィコウは ''[[:en:The Literary Encyclopedia|The Literary Encyclopedia]]'' で、8歳の時だったと主張している<ref name="litencyc"/>。}}、パインズ小学校に通い始めて一年余りが過ぎたときに<ref name=sale/>、父親が出張先のレストランで窒息死した<ref name="sourcecode"/>。ウィリアムに悪い知らせを伝えることができなかった母親は、誰かほかの人物に父親の死を伝えさせた<ref name="nytmag1">{{cite news | last = Solomon | first = Deborah | title = Questions for William Gibson: Back From the Future | page = 13 | work=[[The New York Times Magazine]] | date = August 19, 2007 | url = https://www.nytimes.com/2007/08/19/magazine/19wwln-q4-t.html?partner=rssnyt&emc=rss | accessdate = October 13, 2007}}</ref>。{{仮リンク|トム・マドックス|en|Tom Maddox}}はギブスンが「アメリカで[[J・G・バラード]]がこれまで夢に見ていたものと同じぐらい不穏でシュールなものとして育った」と述べている<ref name="Virus 23">{{cite web |url=http://www.dthomasmaddox.com/virus23.html |title=Maddox on Gibson |accessdate=October 26, 2007 |last=Maddox |first=Tom |authorlink=:en:Tom Maddox |year=1989 |quote=This story originally appeared in a Canadian 'zine, Virus '''23''', 1989. |url-status=dead |archiveurl=https://web.archive.org/web/20071013205424/http://dthomasmaddox.com/virus23.html |archivedate=October 13, 2007}}</ref>。

{{Quote box|align=left|width=40%|損失は​​、アーティストにとっての奇妙な利点がないわけではありません。私が尊敬するアーティストの経歴では、大きなトラウマ的な休憩はかなり一般的です。|salign=right|source=—ウィリアム・ギブスン、[[ニューヨーク・タイムズ]]のインタビュー、2007年8月19日<ref name="nytmag1"/>
}}

父親の死の数字後、ギブンスと母親はノーフォークからウィズビルに帰ってきた<ref name="observer"/><ref name="nomaps"/>。

ギブスンはのちにウィズビルを「近代性がある程度到達していたが、深く不信感を抱いていた場所」と表現し、彼の「生まれながらの文学文化」であるSFとの関係が始まったことを、その後の突然の追放感の原因としている<ref name="sourcecode">{{cite web
|last =Gibson
|first =William
|date =November 6, 2002
|url =http://www.williamgibsonbooks.com/source/source.asp
|title =Since 1948
|accessdate =November 4, 2007
|archive-url =https://web.archive.org/web/20071120193555/http://www.williamgibsonbooks.com/source/source.asp
|archive-date =November 20, 2007
|url-status =dead
}}</ref>。12歳の時、ギブスンは「SF作家になること以上のものは何も望んでいなかった」<ref name="newscientist">{{cite journal|journal=[[New Scientist]]|accessdate=November 17, 2008|title= Sci-fi special: William Gibson|first=William |last=Gibson |date=November 12, 2008|url=https://www.newscientist.com/article/mg20026821.600-scifi-special-william-gibson.html}}</ref>。ギブスンはジョージ・ウィズ高校でバスケットに打ち込んだものの非生産的な年月を過ごし、主に自室でレコードを聞いたり、本を読んだりして過ごしていた<ref name="sale" />。13歳の時、母親が知らないうちに、彼は[[ビート・ジェネレーション]]の著作のアンソロジーを購入し、そこで[[アレン・ギンズバーグ]]、[[ジャック・ケルアック]]、[[ウィリアム・S・バロウズ]]の著作に触れることになった<ref name="god's little toys">{{cite journal|url=https://www.wired.com/wired/archive/13.07/gibson.html|title=God's Little Toys: Confessions of a cut & paste artist |last=Gibson|first=William |date=July 2005|journal=[[:en:Wired.com|Wired.com]] |accessdate=November 4, 2007}}</ref><ref name="project cyberpunk interview">{{cite book | last = McCaffery | first = Larry | authorlink = :en:Larry McCaffery | title = Storming the Reality Studio: a casebook of cyberpunk and postmodern science fiction | accessdate = November 5, 2007 | publisher = [[:en:Duke University Press|Duke University Press]] | location = [[ダーラム (ノースカロライナ州)|Durham, North Carolina]] | isbn = 978-0-8223-1168-3 | oclc = 23384573 | pages = 263–285 | chapter = An Interview with William Gibson | chapterurl =http://project.cyberpunk.ru/idb/gibson_interview.html | year = 1991| title-link = science fiction }}</ref>。内気で不恰好なティーンエイジャーだったギブスンは、「非常に問題のある」モノカルチャーの中で育ち<ref name=newscientist/>、宗教を意識的に拒否し、SFや、バロウズや、[[ヘンリー・ミラー]]などの作家を読み漁っていた<ref name="nomaps"/><ref name="seattle pi">{{cite news |first=John |last=Marshall |title=William Gibson's new novel asks, is the truth stranger than science fiction today? |url=http://www.seattlepi.com/books/107368_gibson06.shtml |department=Books |work=[[:en:Seattle Post-Intelligencer|Seattle Post-Intelligencer]] |date=February 6, 2003 |accessdate=November 3, 2007 }}</ref>。ギブスンの学業成績の悪さに不満を感じた母親は、全寮制の学校に入れると彼を脅し、母親が驚いたことにギブスンは熱心に対応した<ref name=sale/>。夫の死後もウィズビルに住んでいた当時、「慢性的に不安と憂鬱を抱えていた」母親は、南カリフォルニアの学校を選ぶ余裕がなかったので、ギブスンをツーソンの南アリゾナ少年学校にギブスンを入学させた<ref name="sourcecode"/><ref name="observer"/><ref name="nomaps"/>。ギブスンは全寮制私立学校のシステムに憤慨していたが、のちに振り返って社会的に関与することを強制されたことに感謝していた<ref name=sale/>。[[SAT (大学進学適性試験)]]で150点満点中の148点を獲得したが、数学では150点満点中の5点しかとれず、教師たちの落胆を誘った<ref name=sale/>。

=== 徴兵逃れ、亡命、カウンターカルチャー ===
[[File:Uncle Gibby.jpg|thumb|upright|2007年、[[ブリティッシュコロンビア州]][[ビクトリア (ブリティッシュコロンビア州)|ビクトリア]] で開かれた『スプーク・カントリー』 ''Spook Country'' の朗読会でのギブスン。ギブスンはバンクーバー・マガジンの依頼で都市を舞台にした1985年の短編「冬のマーケット」以来、『スプーク・カントリー』までは積極的に地元を舞台にすることを避けていた<ref name="vancouver">{{cite news|first=Joe |last=Wiebe |title=Writing Vancouver |url=http://www.canada.com/vancouversun/news/arts/story.html?id=99d2236b-c329-4969-b07e-6ffebeff5871 |work=[[:en:The Vancouver Sun|The Vancouver Sun]] |date=October 13, 2007 |accessdate=March 4, 2017 |url-status=dead |archiveurl=https://web.archive.org/web/20121022231428/http://www.canada.com/vancouversun/news/arts/story.html?id=99d2236b-c329-4969-b07e-6ffebeff5871 |archivedate=October 22, 2012 }}</ref>。]]
18歳で母親を亡くしたギブスンは<ref name=sale/> 、学校を中退してカリフォルニアやヨーロッパを旅したり、[[カウンターカルチャー]]に没頭したりして、長い間孤立した生活を送っていた<ref name="observer"/><ref name="nomaps"/><ref name="seattle pi"/>。1967年、「[[兵役逃れ|ベトナム戦争の徴兵を避ける]]ために」カナダへの移住を決意した<ref name=sourcecode/><ref name="nomaps"/>。徴兵の聴聞会では、ギブスンは面接官に正直に、自分の人生の意図は、存在する全ての [[向精神薬|心を変える物質]]を試すことにあることを伝えた<ref name="riding shotgun"/>。ギブスンは「文字通りに徴兵を忌避したわけではない、徴兵されても困りはしなかったから」と述べ<ref name=sourcecode />、聴聞会のあと帰宅してからトロントへのバスのチケットを購入し、1週間か2週間後に出発した<ref name="nomaps">{{cite AV media |people= [[:en:Mark Neale|Mark Neale]] (director), William Gibson (subject) |title=[[:en:No Maps for These Territories|No Maps for These Territories]] |publisher=Docurama |medium=Documentary |date =2000}}</ref>。ギブスンは2000年の伝記ドキュメンタリー ''No Maps for These Territories'' の中で自身の決断は「ヒッピーの女の子と寝たい」とか「[[ハシシ]]にふけりたい」という願望よりも、[[良心的兵役拒否]]によって動機付けられたと述べている<ref name="nomaps"/>。ギブスンは2008年のインタビューで次のように述べている:

{{quote|
私が作家としてスタートしたとき、やってはいけないところで徴兵忌避のための功績を上げていた。
徴兵を回避するという漠然とした考えを持ってカナダにたどり着いたが、その後、私は決して徴兵されなかったので、電話をかける必要はなかった。
もし本当に徴兵されていたらどうしていたかわからない。
当時の僕は、きつく包装されていたわけではなかった。
もし誰かが徴兵されていたら、泣いて帰っていたかもしれない。
もちろん、それは嫌だっただろうけどね。
|source=ウィリアム・ギブスン、''[[:en:io9|io9]]'' のインタビュー、2008年6月10日<ref>{{cite interview |last=Gibson |first=William |interviewer=[[:en:Annalee Newitz|Annalee Newitz]] |title=William Gibson Talks to io9 About Canada, Draft Dodging, and Godzilla |location=[[サンフランシスコ]] |date= June 10, 2008 |work=[[:en:io9|io9]] |url=http://io9.com/5015137/william-gibson-talks-to-io9-about-canada-draft-dodging-and-godzilla |accessdate=June 10, 2008}}</ref>}}

数週間の名ばかりのホームレス生活の後、ギブスンはトロント初の{{仮リンク|ヘッドショップ|en|Head shop}}のマネージャーとして雇われた<ref name=desertisland>{{cite episode |title=William Gibson |episodelink= |url= http://www.bbc.co.uk/radio4/features/desert-island-discs/castaway/3ade8915#p00941v7 |accessdate=June 27, 2011 |series=Desert Island Discs |serieslink=:en:Desert Island Discs |credits= |network=BBC |station=[[:en:BBC Radio 4|BBC Radio 4]] |airdate=November 19, 1999 |season= |seriesno= |number= |time=16:41 |transcript= |transcripturl= |quote= "For a couple of weeks I was essentially homeless, although it was such a delightful, floating, pleasant period that it now seems strange to me to think that I was in fact homeless. I was eventually, well, actually in quite short order taken on as the manager of Toronto's first head shop.}}</ref>。ギブスンはこの街のアメリカ人徴兵忌避者の移民グループの臨床的うつ病、自殺、筋金入りの薬物乱用の堪え難さに気が付いた<ref name="nomaps"/>。1967年の[[サマー・オブ・ラブ]]の最中に[[トロント]]のヨークビルのヒッピー・[[サブカルチャー]]についての[[CBS]]のニュースリールに出演し、500ドル(20週間分の家賃に相当する)の支払いを受け<ref>{{cite AV media|url= http://www.cbc.ca/archives/entry/yorkville-hippie-haven |title=Yorkville: Hippie haven |date =September 4, 1967 |format = 14 min [[Windows Media Video]]; "This is Bill" appears first after 0:45}} {{cite AV media|url= http://archives.cbc.ca/IDC-1-69-1587-10799/life_society/60s/clip11 |title= Rochdale College: Organized anarchy |format = 16 min radio recording [[Windows Media Audio]]; interviews start after 4:11 |publisher=[[カナダ放送協会|CBC.ca]]|location= [[:en:Yorkville, Toronto|Yorkville, Toronto]] |accessdate=February 1, 2008}}</ref>、その後の旅の資金となった<ref name="cbc yorkville">{{cite web |url=http://www.williamgibsonbooks.com/blog/2003_05_01_archive.asp#200226493 |title=That CBC Archival Footage |accessdate=November 26, 2007 |last=Gibson |first=William |date=May 1, 2003 |archive-url=https://web.archive.org/web/20071210172818/http://www.williamgibsonbooks.com/blog/2003_05_01_archive.asp#200226493 |archive-date=December 10, 2007 |url-status=dead }}</ref>。[[ワシントンD.C.]]での「短期間の暴動に見舞われた期間」を除けば、ギブスンは1960年代の残りの期間をトロントで過ごし、そこでバンクーバー出身のデボラ・ジーン・トンプソンと出会い<ref name="deb">{{cite news |url= https://www.theguardian.com/books/2003/may/03/sciencefictionfantasyandhorror.williamgibson |title=Profile: William Gibson |first= Steven|last= Poole |date=May 3, 2003 |accessdate= April 27, 2010 |work= guardian.co.uk | location=London}}</ref>、後にヨーロッパへと旅立った<ref name=sourcecode/>。ギブスンは、彼らの旅はファシスト政権と有利な為替レートのヨーロッパ諸国に集中しており、ギリシャの列島や1970年の[[イスタンブール]]での時間を含めて<ref name="obsession"/>、彼らは「[[国際通貨|ハードカレンシー]]のようなものがあるところにはどこも滞在するような余裕がなかった」からだと説明している<ref name="rogers">{{cite web |url= http://w2.eff.org/Misc/Publications/William_Gibson/rogers_gibson.interview |title=In Same Universe |accessdate=November 6, 2007 |first=Mike |last=Rogers |date=October 1, 1993 |publisher=Lysator Sweden Science Fiction Archive |archiveurl = https://web.archive.org/web/20070419180411/http://www.georgetown.edu/faculty/irvinem/english016/gibson/gibson2.int |archivedate=April 19, 2007}}</ref>。

二人は1972年に結婚し、ブリテッシュ・コロンビア州バンクーバーに住み着き、ギブスンが最初の子供の世話をしながら、妻の教師としての給料で生活していた。1970年代、ギブスンは[[救世軍]]の中古品点で低価格の品物を仕入れて専門業者に卸すことで生計を立てていた。<ref name="obsession">{{cite journal |url= https://www.wired.com/wired/archive/7.01/ebay.html |title=My Obsession |last=Gibson |first=William |accessdate=December 2, 2007 |journal=[[:en:Wired.com|Wired.com]] |volume=7 |date=January 1999 |issue=1 }}</ref>。仕事をするよりも、大学でよい成績を維持して手厚い学資補助を受ける方が簡単であることに気が付いたギブスンは<ref name="project cyberpunk interview"/>、[[ブリティッシュ・コロンビア大学|ブリティッシュ・コロンビア大学(UBC)]]に入学し、1977年に「退屈な英語の学士号」を取得した<ref name="sourcecode"/>。 [[英文学]]を学ぶことで、他の方法では読まなかったであろう幅位広いフィクションに接し、[[ポストモダニズム|ポストモダン性]]への認識など、SF文化の中ではアクセスできないアイデアを与えてくれたとギブスンは評価している<ref name="crier"/>。UBCでは{{仮リンク|スーザン・ウッド|en|Susan Wood (literary scholar)}}が教えるSFに関する最初のコースに参加し、その最後にギブスンの最初の短編小説「{{仮リンク|ホログラム薔薇のかけら|en|Fragments of a Hologram Rose}}」を書くように勧められた<ref name="litencyc"/>。

=== 初期の執筆とサイバーパンクの進化 ===
[[ファシスト]]文学としての[[ハードSF|ハードSF小説]]をテーマに修士号の取得を検討したギブスンは<ref name="project cyberpunk interview"/>、卒業翌年に執筆を中断し、ある評論家の言葉を借りれば、パンク・レコードのコレクションを増やしたという<ref name="calcutt">{{cite book | last = Calcutt | first = Andrew | title = Cult Fiction | publisher = Contemporary Books | location = Chicago | year = 1999 | isbn = 978-0-8092-2506-4 |oclc = 42363052}}</ref>。この時期、ギブスンは母校の映画史コースの3年間務めたことなどの様々な仕事についた<ref name="litencyc" />。バンクーバーで開催された1980年か81年のSFコンヴェンションで見たものに我慢できなくなり、同じパネリストであり、パンクミュージシャンであり作家でもあるジョン・シャーリーと意気投合した。<ref name="storming">{{cite book | last = McCaffery | first = Larry | author = :en:Larry McCaffery | title = Storming the Reality Studio: a casebook of cyberpunk and postmodern science fiction | publisher = [[:en:Duke University Press|Duke University Press]] | location = [[ダーラム (ノースカロライナ州)|Durham, North Carolina]] | year = 1991 | isbn = 978-0-8223-1168-3 | oclc = 23384573}}</ref>。二人はすぐに生涯の友人となった。シャーリーはギブスンに対して、初期の短編を売り、真剣に書くようにと説得した<ref name="calcutt" /><ref name="storming" />。

{{Quote box|align=right|width=30%|1977年、初めての子育てに直面し、「キャリア」のようなものに絶対的な情熱を持っていなかった私は、12歳の息子がSFに興味を持っていることに気がついた。それと同時に、ニューヨークやロンドンから不気味な音が聞こえてきた。私はパンクを、10年前に社会の脇腹の奥深くに埋められていた、ゆっくりと発射された弾丸の爆発だと考えた。そして、私は書き始めた。|salign=right|source=—ウィリアム・ギブスン、「1948年から」<ref name="sourcecode"/>}}

シャーリーを通じて、ギブスンはSF作家の[[ブルース・スターリング]]や[[ルイス・シャイナー]]と接触し、彼らはギブスンの作品を読んで、スターリングが言うようにそれが「画期的な素材」であり、「我々の先入観を捨てて、バンクーバーから来たこの男を拾い上げる」必要があり、「これが前に進む道である」ことに気が付いた<ref name="nomaps"/><ref name="shiner"/>。
ギブスンは1981年の秋にコロラド州デンバーで開催されたSFコンヴェンションでスターリングと会い、4人の聴衆に向けて最初のサイバースペースの短編小説「クローム襲撃」を朗読し、後にスターリングは「完全に理解してた」と述べている<ref name="nomaps"/>。

1982年10月、ギブスンはアルマジロコン出席のためにテキサス州オースティンを訪れ、シャーリー、スターリング、シャイナーとともに "Behind the Mirroshades: A Look at Punk SF" (ミラーシェードの向こう側:パンクSF概観)と言うパネルに登壇し、このパネルでシャイナーは「ムーブメントの感覚が固まった」と指摘している<ref name="shiner">{{cite book | last = Shiner | first = Lewis |authorlink=:en:Lewis Shiner |author2=George Edgar Slusser |author3=Tom Shippey | title = Fiction 2000:Cyberpunk and the Future of Narrative | publisher = University of Georgia Press | location = Athens | year = 1992 | chapter=Inside the Movement: Past, Present and Future |isbn = 978-0-8203-1425-9 |oclc = 24953403}}</ref>。ロックンロール、MTV、日本、ファッション、ドラッグ、政治について話し合った週末を終え、「新しい枢軸ができた」と冗談交じりに宣言し、幹部たちを残してバンクーバーに向けて出発した<ref name="shiner"/>。スターリング、シャイナー、シャーリー、ギブスンは[[ルーディ・ラッカー]]とともに急進的な[[サイバーパンク]]文学運動の中核を形成していった<ref>{{cite book
| last = Bould
| first = Mark
| editor = David Seed
| title = A Companion to Science Fiction
| url = https://archive.org/details/companiontoscien00seed
| url-access = limited
| year = 2005
| publisher = Blackwell Publishing Professional
| isbn = 978-1-4051-1218-5
| oclc = 56924865
| pages = [https://archive.org/details/companiontoscien00seed/page/n234 217]–218
| chapter = Cyberpunk
}}</ref>。

== 文学者としてのキャリア ==
=== 初期の短編小説 ===
{{details|クローム襲撃}}
ギブスンの初期の著作は[[サイバネティックス]]や[[サイバースペース]](コンピューター・シミュレートされた現実)技術が人類に与える影響についての近未来的な物語が中心である。ハイテクな[[スラム|スラム街]]、録音や放送による刺激(のちに『ニューロマンサー』で大きく取り上げられた”疑験(シムスティム)”パッケージに発展)、そしてテクノロジーと人間性のディストピア的交錯をテーマにした作品は1977年の夏に ''Unearth'' 誌に掲載された初の短編小説「ホログラム薔薇のかけら」ですでに明らかになっている<ref name="project cyberpunk interview"/><ref name=isfdb/>。後者のテーマへの執着は、ギブスンの友人であり、作家仲間でもある[[ブルース・スターリング]]によって、ギブスンの短編集『クローム襲撃』の紹介文の中で、「ギブスンのローライフとハイテクの古典的なワン・ツーの組み合わせ」と表現されている<ref name=mao>{{cite book |last=Gibson |first=William |authorlink=:en:William Gibson |author2=:en:Bruce Sterling | chapter= Introduction | title=Burning Chrome |year=1986 |publisher=Harper Collins |location=New York |isbn=978-0-06-053982-5 |oclc = 51342671|title-link=Burning Chrome (short story collection) |author2-link=:en:Bruce Sterling }}</ref>。

1981年初頭<ref name=isfdb/>、ギブスンの小説は オムニ誌と ''Univers 11'' 誌に掲載され、荒涼とした[[フィルム・ノワール]]のような雰囲気を醸し出していた。ギブスンは意識的に(『ガーンズバック連続体』で表明されていた「美的な反発」を感じていた)SFの主流からできる限り距離を起き、「マイナーな[[カルト|カルト的人物]]で、より小さな[[J・G・バラード|バラード]]のような存在になること」を最高の目標としていた<ref name="project cyberpunk interview"/>。スターリングが作品を配布し始めた時、彼は「人々は本当に困惑していた……つまり、人々は文字通り彼の段落を分析することができなかった……彼が発明した想像力豊かな比喩は、人々の理解を超えていた」ことを見出した<ref name="nomaps"/>。

ラリー・マカフェリーは、これらの初期の短編はギブスンの能力の閃きを見せたとコメントしているが、SF評論家のダーコ・スビンは、このジャンルの「最も遠い地平」を構成する「間違いなく(サイバーパンクの)最高の作品」であると評価している<ref name="storming"/>。ギブスンが物語の中で展開したテーマ、「クローム襲撃」のスプロールの設定、「記憶屋ジョニー」のモリー・ミリオンズのキャラクターは、最終的に彼の最初の長編小説である『[[ニューロマンサー]]』で最高潮に達した<ref name="storming"/>。

=== 『ニューロマンサー』 ===
{{Quote box|align=right|width=40%|港の上の空は、死んだチャンネルにチューニングされたテレビの色だった。|salign=right|source=—『[[ニューロマンサー]]』(1984年)冒頭}}

『ニューロマンサー』は[[テリー・カー]]の依頼でデビュー長編のみを特集したエース・サイエンス・フィクション・スペシャルの第二弾として刊行された。この作品を完成させるのに1年の猶予を与えられ<ref>{{cite web |url=http://www.williamgibsonbooks.com/blog/2003_09_01_archive.asp#1062520986072822474 |title=Neuromancer: The Timeline |accessdate=November 26, 2007 |last=Gibson |first=William |date=September 4, 2003 |url-status=dead |archiveurl=https://web.archive.org/web/20061230140902/http://www.williamgibsonbooks.com/blog/2003_09_01_archive.asp#1062520986072822474 |archivedate=December 30, 2006 |df=mdy-all }}</ref>、ギブスンは、「四、五年先のこと」だと思っていた実際の小説全体を書かなければならないことへの「盲目の動物の恐怖」を理解した<ref name="project cyberpunk interview"/>。ギブスンが小説の3分の1を書いた頃に公開された1982年の画期的なサイバーパンク映画『[[ブレードランナー]]』の最初の20分を見た後、彼は「これで(『ニューロマンサー』は)終わりだと思った。誰もが、この驚くほど見栄えの良い映画から自分の視覚的な質感を得たと思うだろう」と考えた<ref name="bladerunner">{{cite web |url=http://www.williamgibsonbooks.com/blog/2003_01_01_archive.asp#90199532 |title=Oh Well, While I'm Here: Bladerunner |accessdate=January 21, 2008 |last=Gibson |first=William |date=January 17, 2003 |archive-url=https://web.archive.org/web/20070926221513/http://www.williamgibsonbooks.com/blog/2003_01_01_archive.asp#90199532 |archive-date=September 26, 2007 |url-status=dead }}</ref>。ギブスンはこの本の最初の3分の2を12回も書き直し、読者の注目を失うことを恐れ、出版後は「永遠に恥を書くことになる」と確信していたが、新人作家としての想像力の飛躍だった<ref name="project cyberpunk interview"/>。

『ニューロマンサー』の出版はファンファーレでは迎えられなかったが、文化的な神経を刺激し<ref name="hollinger"/>、あっという間にアンダーグラウンドな[[口コミ]]でヒットした<ref name="storming"/>。[[ネビュラ賞]]と[[ヒューゴー賞]]の両方でその年の最優秀小説として、最優秀のペーパーバックオリジナル作品として<ref name="SFAwards" />[[フィリップ・K・ディック賞]]のSFの「三冠」を初めて受賞し<ref name="project cyberpunk interview"/>、最終的に全世界で650万部以上を売り上げた<ref>{{cite web|url=http://lrc.reviewcanada.ca/index.php?page=71---80|title=77. Neuromancer (1984)|accessdate=September 9, 2007|last=Cheng|first=Alastair|website=The LRC 100: Canada's Most Important Books|publisher=Literary Review of Canada|url-status=dead|archiveurl=https://web.archive.org/web/20071029044328/http://lrc.reviewcanada.ca/index.php?page=71---80|archivedate=October 29, 2007|df=mdy-all}}</ref>。

ローレンス・パーソンは、1998年に発表した「ポストサイバーパンク宣言に向けてのノート」の中で、『ニューロマンサー』を「典型的なサイバーパンク作品」と評価し<ref name="manifesto">{{cite journal|last=Person|first=Lawrence|date=Winter–Spring 1998|title=Notes Toward a Postcyberpunk Manifesto|url=http://features.slashdot.org/article.pl?sid=99/10/08/2123255|journal=Nova Express|volume=4|issue=4|accessdate=November 6, 2007}}</ref>、2005年には[[タイム (雑誌)|タイム誌]]の「1923年以降に書かれた英語小説のベスト100」にも選出され、「(『ニューロマンサー』が)登場した当時、どれほど過激な作品であったかを語ることはできない」と評している<ref name="time">{{cite news|url=http://entertainment.time.com/2005/10/16/all-time-100-novels/slide/neuromancer-1984-by-william-gibson/|title=Neuromancer (1984)|accessdate=November 6, 2007|last=Grossman|first=Lev|author2=Richard Lacayo|work=TIME Magazine All-Time 100 Novels|publisher=[[Time (magazine)|Time]]|date=October 16, 2005}}</ref>。文芸評論家の{{仮リンク|ラリー・マカフェリー|en|Larry McCaffery}}は、『ニューロマンサー』に登場するマトリックスの概念を、「データが人間の意識と踊り……人間の記憶が文字化され、機械化され、多国籍の情報システムが突然変異し、繁殖し、想像を絶する美しさと複雑さを持つ、神秘的で、何よりも人間ではない、驚くべき新しい構造体へと変化していく場所」と表現している<ref name="project cyberpunk interview"/>。ギブスンは後に『ニューロマンサー』の頃の自分自身について、「彼に一杯おごってあげようかな、でもお金を貸してあげようかな」とコメントし、この小説を「思春期の本」と表現している<ref name="nomaps"/>。『ニューロマンサー』の成功は、35歳のギブスンの無名からの脱却に影響を与えることになった<ref name="remembering"/>。

=== 「電脳」三部作、『ディファレンス・エンジン』、そして「橋」三部作 ===
{{main|:en:Sprawl trilogy|:en:The Difference Engine|:en:Bridge trilogy}}
[[File:Cables in Virtual Light.jpg|thumb|left|[[サンフランシスコ・オークランド・ベイブリッジ]]、ギブスンの「橋」三部作で架空の不法居住地として舞台となった]]
ギブスンの評価の多くはいまだに『ニューロマンサー』に基づいているが、彼の作品はコンセプト的にも、スタイル的にも進化しつづている<ref name="spike"/>。彼は次に ''The Log of the Mustang Sally'' と題した無関係なポストモダンな[[スペースオペラ]]を書こうとしたが、ハードカバーの『カウント・ゼロ』のカバーアートについての不破のあとでアーバーハウスとの契約が守られなかった<ref name="mustang">{{cite web |url=http://www.williamgibsonbooks.com/blog/2005_08_01_archive.asp#112417337358385397 |title=The Log of the Mustang Sally |accessdate=January 21, 2008 |last=Gibson |first=William |date=August 15, 2005 |archive-url=https://web.archive.org/web/20080208235435/http://www.williamgibsonbooks.com/blog/2005_08_01_archive.asp#112417337358385397 |archive-date=February 8, 2008 |url-status=dead }}</ref>。''The Log of the Mustang Sally'' を断念したギブスンは、代わりにラリー・マカフェリーの言葉を借りればサイバーパンク文学の「灯りを消した」作品である『モナリザ・オーヴァドライヴ』(1988年)を執筆した<ref name="project cyberpunk interview"/><ref name="storming"/>。これは前の2作と共同の登場人物が登場する同じ宇宙を舞台にした集大成であり、この作品で「電脳」三部作を完成させた。この3部作はギブスンの名声を確固たるものにし<ref name="citizenship"/>、2作目と3作目もネビュラ賞、ヒューゴー賞、ローカスSF賞にノミネートされた<ref name="WWEND=1986">{{cite web |url=http://www.worldswithoutend.com/books_year_index.asp?year=1986 |title= 1986 Award Winners & Nominees |website= Worlds Without End |accessdate=April 30, 2009}}</ref><ref name="WWEND=1987">{{cite web |url=http://www.worldswithoutend.com/books_year_index.asp?year=1987 |title= 1987 Award Winners & Nominees |website= Worlds Without End |accessdate=April 30, 2009}}</ref><ref name="WWEND=1989">{{cite web |url=http://www.worldswithoutend.com/books_year_index.asp?year=1989 |title= 1989 Award Winners & Nominees |website= Worlds Without End |accessdate=April 30, 2009}}</ref>。

「電脳」三部作に続いて[[ブルース・スターリング]]と共同執筆した1990年の[[歴史改変小説]]『ディファレンス・エンジン』が発表された。テクノロジーが発達した[[ヴィクトリア朝]]のイギリスを舞台にしたこの小説は、著者のサバーパンクのルーツとは一線を画すものであった。この小説は1991年の[[ネビュラ賞 長編小説部門]]に、1992年には[[ジョン・W・キャンベル記念賞]]にノミネートされ、この成功が[[スチームパンク]]と言う新しい文学のジャンルに注目を集め、現在まで最も有名な作品となっている<ref name="steampunkt">{{cite news | first = Peter | last = Bebergal | title = The age of steampunk | url = https://www.boston.com/news/globe/ideas/articles/2007/08/26/the_age_of_steampunk/ | work = The Boston Globe | page = 3 | date = August 26, 2007 | accessdate = October 14, 2007}}</ref><ref>{{cite news|url=https://www.theguardian.com/books/booksblog/2009/jan/07/steampunk-chiang-lake-macleod |work=[[The Guardian]] |title=Steampunk: the future of the past |first=Damien G |last=Walter |date=January 7, 2009 |accessdate=January 11, 2009 |publisher=Guardian Media Group | location=London}}</ref>。

ギブスンの2番目のシリーズである「橋」三部作は「ダークでコミカルな都市探偵物語」である<ref name="cyberhero"/>、『{{仮リンク|ヴァーチャル・ライト|en|Virtual Light}}』(1993年)、『{{仮リンク|あいどる|en|Idoru}}』(1996年)、『{{仮リンク|フューチャーマチック|en|All Tomorrow's Parties (novel)}}』(1999年)から構成されている。三部作の1作目と3作目は、近未来のサンフランシスコを舞台にしており、3作ともギブスンが繰り返す技術的、物理的、精神的な超越というテーマを、最初の三部作よりも地に足をつけた、事実に即したスタイルで探求している<ref name="playboy">{{cite web|url=http://www.playboy.com/arts-entertainment/reviews/books/spook-country/spook-country.html |title=Spook Country |accessdate=November 6, 2007 |last=Alexander |first=Scott |date=August 9, 2007 |website=[[:en:Playboy.com|Playboy.com]] |url-status=dead |archiveurl=https://web.archive.org/web/20080705154050/http://www.playboy.com/arts-entertainment/reviews/books/spook-country/spook-country.html |archivedate=July 5, 2008 }}</ref>。[[Salon.com]]の{{仮リンク|アンドリュー・レナード|en|Andrew Leonard}}は「橋」三部作では、ギブスンの悪役は「電脳」三部作の多国籍企業や[[タブロイド]]テレビや有名人のカルトといいったものに変化していると指摘している<ref name="salonarchy">{{cite web |url=http://www.salon.com/books/feature/1999/07/27/macleod_interview/ |title=An engine of anarchy |last=Leonard |first=Andrew |date=July 27, 1999 |website=[[Salon.com]] |url-status=dead |archiveurl=https://web.archive.org/web/20080108121005/http://www.salon.com/books/feature/1999/07/27/macleod_interview/ |archivedate=January 8, 2008 |df=mdy-all |accessdate=2020-12-10}}</ref>。あるレビュアーによると『ヴァーチャル・ライト』は「私企業と利益への動機が論理的な結論に至る末期の資本主義を描いている」とのことである<ref name="mail&guardian"/>。資本主義の自然な進化としてマスメディアに関するこの議論はシチュエーション主義の代表作『[[ギー・ドゥボール|スペクタクルの社会]]』の冒頭のセリフである。レナードの書評では『あいどる』はギブスンの「形への回帰」と呼ばれ<ref name="whither cyberpunk">{{cite web |url=http://www.salon.com/1998/09/14/books_26/ |title=Is cyberpunk still breathing? |accessdate=November 6, 2007 |last=Leonard |first=Andrew |date=September 14, 1998 |website=[[Salon.com]]}}</ref>、評論家の{{仮リンク|スティーヴン・プール|en|Steven Poole}}は『フューチャーマチック』がギブスンの「SFの名手から近未来の気の利いた社会学者への発展」を示したと主張している<ref name="nearing" />。

=== ブルー・アント ===
{{Quote box|align=right|width=30%|考えられないような現在を描こうとしているような気がして、実際にSFの現在の最高の使い方は、どこに向かっているのかを予測しようとする試みよりも、むしろ現代の現実の探求に使うことだと感じている...…今日の科学でできる最高のことは、現在を探求するために科学を使うことである。地球は今、異星人の惑星だ。|salign=right|source=—[[CNN]]のインタビューでのウィリアム・ギブスン、1997年8月27日}}

『フューチャーマチック』の後、ギブスンは「ごく最近の過去のスペキュレイティヴ・フィクション」という継続的な物語を用いて、より現実的な書き方を採用し始めた<ref name="dueben">{{cite web |url=http://calitreview.com/2007/10/02/william-gibson-the-father-of-cyberpunk/ |title=An Interview With William Gibson The Father of Cyberpunk |accessdate=October 4, 2007 |last=Dueben |first=Alex |date=October 2, 2007 |website=California Literary Review |archive-url=https://web.archive.org/web/20071011224147/http://calitreview.com/2007/10/02/william-gibson-the-father-of-cyberpunk/ |archive-date=October 11, 2007 |url-status=dead }}</ref>。SF評論家のジョン・クルートはこのアプローチを、伝統的なSFは「一貫した【今】から続く世界では」もはや不可能であるというギブスンの認識と解釈し、「新世紀のSF」として特徴付けている<ref name="clute">{{cite web |url=http://www.scifi.com/sfw/issue305/excess.html |title=The Case of the World |last=Clute |first=John |authorlink=:en:John Clute |accessdate=October 14, 2007 |website=Excessive Candour |publisher=SciFi.com |archiveurl = https://web.archive.org/web/20071030090441/http://www.scifi.com/sfw/issue305/excess.html |archivedate = October 30, 2007|url-status=dead}}</ref>。ギブスンの小説『パターン・リコグニション』(2003年)、『スプーク・カントリー』(2007年)、『ゼロ・ヒストリー』(2010年)は、同じ現代の宇宙を舞台にしており、「多かれ少なかれ我々が今生きているものと同じものであり<ref name="spook-country">{{cite journal|last=Chang|first=Angela|date=January 10, 2007|title=Q&A: William Gibson|url=https://www.pcmag.com/article2/0,1759,2080922,00.asp|journal=[[:en:PC MagazinePC Magazine|PC Magazine]]|volume=26|issue=3|page=19}}</ref>、ギブスンの作品を初めて主流のベストセラーリストに登場させた<ref>{{cite news |title = Books: Hardbacks|last = Hirst|first = Christopher|date = May 10, 2003|work = [[The Independent]]}}</ref>。設定だけでなく、これらの小説には、謎のマーケティング会社『ブルー・アント』の従業員であるヒューバータス・ビッグエンドやパメラ・メインウェアリングなど、同じ登場人物が登場している。

ギブスンはツイッターでこのシリーズの小説を何と呼ぶべきか(「ビッグエンド・トリロジー?ブルー・アント・サイクル?何?」)と尋ねられたとき、「私は 『本』が好きだ。ビッグエンドの本」と答えた<ref>{{cite web|last1=Gibson|first1=William|title=23:28 - 7 okt.
2010|url=https://twitter.com/greatdismal/status/26724447356|website=Twitter|accessdate=26 November 2017}}</ref>。しかしながら「ビッグエンド」ではなく「ブルー・アント」が標準的な呼び名となっている<ref>{{cite web|title=Blue Ant Series|url=https://www.goodreads.com/series/50543-blue-ant|website=Goodreads|accessdate=26 November 2017}}</ref><ref>{{cite web|title=Blue Ant Book Series|url=https://www.amazon.com/gp/bookseries/B00CJ2XUKO/|website=Amazon|accessdate=26 November 2017}}</ref>。後日、ギブスンは自分の三部作に名前を付けず、「人々がなんと呼ぶかを待つ」と明言しており<ref>{{cite web|last1=Gibson|first1=William|title=19:26 - 30 dec. 2012|url=https://twitter.com/GreatDismal/status/285587655192887297|website=Twitter|accessdate=26 November 2017}}</ref>、2016年にはツイートで 「ブルー・アント・ブックス」を使っている<ref>{{cite web|last1=Gibson|first1=William|title=11:46 - 9 juli 2016|url=https://twitter.com/GreatDismal/status/751850008442380288|website=Twitter|accessdate=26 November 2017}}</ref>。

この時代に特有の現象としては ''PR-Otaku'' と ''[[:en:Node Magazine|Node Magazine]]'' という、それぞれ『パターン・レコグニション』と『スプーク・カントリー』に特化した、注釈付きファンサイトが独立して開設されたことである<ref name="looking glass">{{cite news|first=Joel|last=Garreau|title=Through the Looking Glass|url=https://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2007/09/05/AR2007090502582_pf.html|work=[[The Washington Post]]|date=September 6, 2007|accessdate=October 30, 2007}}</ref>。
これらのウェブサイトは[[Google]]や[[ウィキペディア]]のようなオンラインリソースを介して小説の参照や、ストーリーの要素を追跡し、その結果を照合して本質的に小説の[[ハイパーテキスト|ハイパーテキスト版]]を作成した
<ref name="now romancer">{{cite web |url=http://www.salon.com/books/int/2007/08/11/william_gibson/index.html |title=Now Romancer |accessdate=October 30, 2007 |last=Lim |first=Dennis |date=August 11, 2007 |website=[[Salon.com]] |url-status=dead |archiveurl=https://web.archive.org/web/20080501224918/http://www.salon.com/books/int/2007/08/11/william_gibson/index.html |archivedate=May 1, 2008 |df=mdy-all }}</ref>。
評論家の{{仮リンク|ジョン・サザーランド|en|John Sutherland (author)}}はこの現象を「文学評論が行われている方法を完全に覆す」脅威として特徴付けた
<ref name="node idea">{{cite news |first=John |last=Sutherland |authorlink=:en:John Sutherland (author) |title=Node idea |url= http://books.guardian.co.uk/comment/story/0,,2159309,00.html |work=[[:en:Guardian Unlimited|Guardian Unlimited]] |publisher=Guardian Media Group |date=August 31, 2007 |accessdate=November 11, 2007 | location=London}}</ref>。

『パターン・レコグニション』の100ページほどを書いた時に起きた[[アメリカ同時多発テロ事件|2001年9月11日の同時多発テロ]]のあと、主人公のバックストーリーが突如不可解なものになってしまったので書き直さなければならなくなり、彼はこのことを「これまでに小説を書いてきた中で、もっとも奇妙な経験」と呼んだ<ref>{{cite news |first=Dennis |last=Lim |title=Think Different |url= https://www.villagevoice.com/2003/02/11/think-different/ |work=[[The Village Voice]] |publisher= [[:en:Village Voice Media|]] |date= February 18, 2003 |accessdate=May 30, 2019}}</ref>。この事件を歴史の結節点であり、「文化の外での経験」であり<ref name="nodal point">{{cite web|url=http://dir.salon.com/story/tech/books/2003/02/13/gibson/index.html|title=Nodal point|accessdate=November 6, 2007|last=Leonard|first=Andrew|date=February 13, 2003|website=Salon.com|url-status=dead|archiveurl=https://web.archive.org/web/20071116072741/http://dir.salon.com/story/tech/books/2003/02/13/gibson/index.html|archivedate=November 16, 2007|df=mdy-all}}</ref>、「ある意味では……21世紀の真の始まり」であると考えている<ref name="smh">{{cite web |url= https://www.smh.com.au/news/books/a-reality-stranger-than-fiction/2007/09/06/1188783376158.html |title=A reality stranger than fiction |accessdate=January 21, 2008 |last=Bennie |first=Angela |date=September 7, 2007 |website=[[Sydney Morning Herald]] |publisher=Fairfax Media}}</ref>。ギブスンはこの襲撃事件を自身の執筆に役立てた最初の小説家の一人として知られている<ref name="vancouver"/>。911以降のアメリカにおける文化の変化についての考察は、部族主義の復活や「社会の幼児化」など<ref>{{cite web|url=https://thetyee.ca/Books/2007/10/18/WillGibson/|title=William Gibson Hates Futurists|accessdate=October 26, 2007|website=TheTyee.ca|date=October 18, 2007}}</ref><ref name=actusf/>、ギブスンの作品の主要なテーマとなった<ref>{{cite news |url=http://www.cbc.ca/bc/bookclub/williamgibson2.html |title=William Gibson with Spook Country |accessdate=October 26, 2007 |work=Studio One Bookclub | publisher=CBC British Columbia| archiveurl = https://web.archive.org/web/20071013220206/http://www.cbc.ca/bc/bookclub/williamgibson2.html| archivedate = October 13, 2007}}</ref>。それにも関わらず、彼の著作の焦点は「パラノイアとテクノロジーの交差点にある」ことに変わりはない<ref name="projo">{{cite web|url=http://www.projo.com/books/content/BOOK-GIBSON_09-16-07_376TE7P.53f53f.html |title=Gibson still scares up a spooky atmosphere |accessdate=October 26, 2007 |website=[[:en:Providence Journal|Providence Journal]] |url-status=dead |archiveurl=https://web.archive.org/web/20080116112214/http://www.projo.com/books/content/BOOK-GIBSON_09-16-07_376TE7P.53f53f.html |archivedate=January 16, 2008 }}</ref>。

===ジャックポット・ブックス===
ギブスンの新しいシリーズの小説の第一弾 ''The Peripheral'' が2014年10月28日に出版された<ref>{{cite news |first=Robin |last=Sloan |newspaper=[[The Washington Post]] |title=William Gibson's 'The Peripheral' stars a plucky female gamer with 3D printing skills |url=https://www.washingtonpost.com/entertainment/books/william-gibsons-the-peripheral-stars-a-plucky-female-gamer-with-3d-printing-skills/2014/10/27/0dcf3eee-54b1-11e4-892e-602188e70e9c_story.html |date=October 27, 2014 |accessdate=October 28, 2014}}</ref>。2013年4月19日にニューヨーク公立図書館でのイベントに出演し、この小説について簡単に説明し、"The Gone Hpatics" と題された第1章からの抜粋を朗読した<ref>{{cite web |last=Fenlon |first=Wesley |url=http://www.tested.com/art/makers/455051-william-gibson-talks-sci-fi-and-his-next-novel-new-york-public-library/ |title=William Gibson Talks Sci-Fi and His Next Novel at New York Public Library |publisher=Tested |date=April 24, 2013 |accessdate=April 8, 2014}}</ref>。物語の舞台は30年ほど先の未来と、さらに先の未来の2つの時代である<ref>{{cite web |url=http://io9.com/watch-william-gibson-read-from-his-brand-new-science-fi-484885010 |title=Watch William Gibson read from his brand new science fiction novel |publisher=[[:en:io9|io9]] |date=April 29, 2013 |accessdate=April 8, 2014}}</ref>。

続編の ''Agency'' は当初発表されていた2018年12月の出版予定から遅れて、2020年1月21日に出版された<ref>Compare https://www.amazon.com/Agency-William-Gibson/dp/110198693X/ref=sr_1_1?keywords=agency+william+gibson&qid=1554137189&s=gateway&sr=8-1 with https://www.penguinrandomhouse.com/books/530536/agency-by-william-gibson/9781101986936/.</ref>。ギブスンはニューヨー誌の記事で、トランプ氏の当選と[[ケンブリッジ・アナリティカ]]をめぐる論争の両方が文章の再考と修正の原因になったと述べている<ref>{{Cite news|url=https://www.newyorker.com/magazine/2019/12/16/how-william-gibson-keeps-his-science-fiction-real|title=How William Gibson Keeps His Science Fiction Real|last=Rothman|first=Joshua|journal=The New Yorker (Serial)|date=2019-12-09|access-date=2019-12-16|language=en|issn=0028-792X}}</ref>。

2020年7月17日、ギブスンは「3作目で最終巻の仮タイトル:Jackpot」とツイートした<ref>{{cite web |last1=Gibson |first1=William |title=Third/final volume's working title: Jackpot|url=https://twitter.com/GreatDismal/status/1284226125804138497 |website=Twitter |accessdate=6 September 2020}}</ref>。

===グラフィック・ノベル===
2017年、''The Peripheral'' と ''Agency'' の間に、ギブスンのコミック/グラフィック・ノベルの ''Archangel'' が出版された。''Archangel'' と ''The Peripheral'' のどちらにも(ある種の)タイムトラベルを含んでいるが、ギブスンは二つの作品が関連していないことを明らかにしている:「二つは【同じ世界】ではない。スプリッターとトランスコンテュニアル・バーチャリティは別のメカニズム(プロットのメカニズムも異なる)だ。」<ref>{{cite web|last1=Gibson|first1=William|title=To readers of both The Peripheral and Archangel|url=https://twitter.com/GreatDismal/status/930113645840707585|website=Twitter|accessdate=18 November 2017}}</ref> この翌年、[[ダークホースコミックス]]はジョニー・クリスマスによるギブスンの『[[エイリアン3]]』の脚本のコミック化作品を5部に分けて出版を開始し<ref>{{cite web|last1=Terror|first1=Jude|title=Johnnie Christmas to Adapt William Gibson's Unpublished Aliens 3 Script as a Comic Book|url=https://bleedingcool.com/comics/johnnie-christmas-adapt-william-gibson-aliens-3-script-comic-book/|website=Bleeding Cool|accessdate=6 September 2020}}</ref>、2019年にハードカバーのコレクションとして出版した<ref>{{cite web |last1=Conner |first1=Shawn |title=Join William Gibson and Johnnie Christmas for a special launch of their book Alien 3! |url=https://www.insidevancouver.ca/2019/08/13/william-gibson-johnnie-christmas-special-launch-alien-3/ |website=Inside Vancouver |accessdate=6 September 2020}}</ref>。

== コラボレーション、適応、雑学 ==
[[File:Bruce Sterling sn-ed.jpg|thumb|upright|[[ブルース・スターリング]]、ギブスンとの共著で短編小説「赤い星、冬の軌道」(1983年)、スチームパンク小説『ディファレンス・エンジン』(1990年)がある。]]

=== 文学でのコラボレーション ===
のちに短編集『クローム襲撃』に収録された短編の中には、他の作家との共著で書かれた作品が3編ある:{{仮リンク|ジョン・シャーリー|en|John Shirley}}との「{{仮リンク|ふさわしい連中|en|The Belonging Kind}}」(1981年)、スターリングとの「{{仮リンク|赤い星、冬の軌道|en|Red Star, Winter Orbit}}」(1983年)<ref name="looking glass" />、そして[[マイクル・スワンウィック]]との「{{仮リンク|ドッグファイト|en|Dogfight (short story)}}」(1985年)である。ギブスンは以前にシャーリーの1980年の小説 ''City Come A-walkin''' の序文を書いており<ref name="ftccaw">{{cite web|url=http://www.darkecho.com/JohnShirley/gibson.html|title=Foreword to ''City Come a-walkin{{'}}''|date=March 31, 1996|accessdate=May 1, 2007|first=William|last=Gibson|archive-url=https://web.archive.org/web/20070626031709/http://www.darkecho.com/JohnShirley/gibson.html|archive-date=June 26, 2007|url-status=dead|df=mdy-all}}</ref>、二人のコラボレーションはシャーリーの短編集 ''Heatseeker'' (1989年)の序文でも続いている<ref name="locusmag">{{cite web|url=http://www.locusmag.com/index/s296.html|title=Stories, Listed by Author|accessdate=October 29, 2007|last=Brown|first=Charles N.|authorlink=:en:Charles N. Brown|author2=William G. Contento|date=July 10, 2004|website=The Locus Index to Science Fiction (1984–1998)|publisher=[[ローカス (雑誌)|Locus]]|archiveurl=https://web.archive.org/web/20070304205021/http://www.locusmag.com/index/s296.html|archivedate=March 4, 2007}}</ref>。シャーリーは自身が数本の脚本を担当していたテレブドラマ『[[マックス・ヘッドルーム]]』向けに執筆するようにギブスンを説得したが、テレビネットワークは番組を打ち切った<ref name="salza">{{cite interview|last=Gibson|first=William|title=William Gibson Interviewed by Giuseppe Salza|location=Cannes|date=May 1994|url=https://www.gutenberg.org/ebooks/235|accessdate=October 28, 2007}}</ref>。

ギブスンとスターリングは1990年に短編小説 ”The Aangle of Goliad" で再び共作し<ref name="locusmag"/>、すぐに長編歴史改変小説『ディファレンス・エンジン』(1990年)へと発展させた。二人はその後、1993年に[[米国科学アカデミー]]で開催された「技術と教育に関する会議(「[[アル・ゴア]]の人々」)での共同公演で、「公の場で夢を見るように招かれ」(ギブスン)、[[デジタルデバイド|ディジタル・デバイド]]に反対し<ref>{{cite web|url=http://w2.eff.org/Misc/Publications/William_Gibson/sterling_gibson_nas.speeches|title=Speeches by William Gibson and Bruce Sterling at the National Academy of Sciences, Washington, D.C|accessdate=October 29, 2007|last=Sterling|first=Bruce|authorlink=:en:Bruce Sterling|author2=William Gibson|date=May 10, 1993|publisher=The [[:en:WELL (virtual community)|WELL]]|url-status=dead|archiveurl=https://web.archive.org/web/20081027165055/http://w2.eff.org/Misc/Publications/William_Gibson/sterling_gibson_nas.speeches|archivedate=October 27, 2008|df=mdy-all}}</ref>、教育がインターネット上で行われるように、すべての学校をオンライン化することを提案して「みんなを驚かせた」<ref name="josefsson" />。 2007年のインタビューでギブスンは、スターリングには「第二の[[再帰的科学小説]]のアイデアがあり、それは素晴らしいアイデアだった」と明らかにしているが、その時点でギブスンは創造的に自由ではなかったためにこのコラボレーションを追求することができなかったと述べている<ref name="dueben"/>。

1993年、ギブスンは[[イエロー・マジック・オーケストラ]]のアルバム『[[テクノドン]]』にゲストボーカリストとして参加し<ref name="skier"/><ref>{{cite web|url=http://www.discogs.com/release/432896 |title=Yellow Magic Orchestra – Technodon |accessdate=January 10, 2008 |website=[[Discogs]] }}</ref>、デボラ・ハリーの『{{仮リンク|デブラヴェーション|en|Debravation}}』収録の "Dog Star girl" に詩を提供している<ref name="debravation">{{cite news |first=Degen |last=Pener |title= EGOS & IDS; Deborah Harry Is Low-Key – And Unblond |url=https://query.nytimes.com/gst/fullpage.html?res=9F0CE6DC1239F931A1575BC0A965958260&n=Top/Reference/Times%20Topics/People/H/Harry,%20Debbie |work=The New York Times |date=August 22, 1993 |accessdate=November 7, 2007 }}</ref>。

=== 映画化・脚本・出演 ===
ギブスンが脚本家としての仕事を依頼されたのは、映画プロデューサーが[[タイ]]のリゾート地のビーチで水浸しの『Neuromancer』のコピーを発見したのがきっかけだった<ref>{{cite journal|last=Edwards|first=Gavin|date=June 1992|title=Cyber Lit|url=http://www.textfiles.com/sf/cyberlit.txt|journal=[[:en:Details (magazine)|Details]]|issue=134|accessdate=September 29, 2008}}</ref>。映画の脚本を書こうとした彼の初期の努力は、完成品には至らず、「クローム襲撃」([[キャスリン・ビグロー]]が監督する予定だった)と "Neuro-Hotel" は、映画化を試みたものの実現しなかった<ref name="salza" />。1980年代後半には『[[エイリアン3]]』の初期バージョン(後に彼は「[[アンドレイ・タルコフスキー|タルコフスキー的]]」と特徴づけた)を書いたが、そのうちのほとんどの要素は最終版では残っていない<ref name="salza" />。2018年から2019年に[[ダークホースコミックス]]がギブスンのエイリアン3の脚本の5つの部分からなる脚色版をリリースし、ジョニー・クリスマスがイラストと脚色を担当した。2019年に[[Audible]]がギブスンの脚本の[[オーディオドラマ]]をリリースし、{{仮リンク|ダーク・マグス|en|Dirk Maggs}}が脚色し、[[マイケル・ビーン]]と[[ランス・ヘンリクセン]]がそれぞれの役を再演している<ref>[https://soundcloud.com/audible/alien-3-teaser Alien III Teaser]</ref>。

ギブスンの初期の映画産業との関わりは、ハリウッドの超大作システムの枠組みをはるかに超えていた。ある時点で、アメリカのプロデューサーがソビエトのロックミュージシャンの[[ヴィクトル・ツォイ]]を主演に据えたソビエト=アメリカ合作に興味を示したことをきっかけに、彼はカザフの映画監督{{仮リンク|ラシード・ムグマノフ|en|Rashid Nugmanov}}と共同で脚本を書いた<ref name="victor tsoi">{{cite web |url=http://www.williamgibsonbooks.com/blog/2003_03_01_archive.asp#90416069 |title=Victor Tsoi |accessdate=December 3, 2007 |last=Gibson |first=William |date=March 6, 2003 |archive-url=https://web.archive.org/web/20071210172807/http://www.williamgibsonbooks.com/blog/2003_03_01_archive.asp#90416069 |archive-date=December 10, 2007 |url-status=dead }}</ref>。小説の執筆に追われていたにも関わらず、ギブスンは「ある種の横道にそれた未来の[[レニングラード]]を舞台にした、儀式的な暴力団の構想」という「素晴らしく奇妙なプロジェクト」を断念したくなく、自分の代理として[[ジャック・ウォマック]]をロシアに派遣した。ウォーマックのロシアでの経験は、映画を製作だけではなく(この見通しは、ツォイの交通事故死で中止となった)、最終的には彼の小説 ''Let's Put the Future Behind Us'' で最高潮に達し、ギブスンの『パターン・レコグニション』のロシア語の内容の多くに影響を与えた<ref name="victor tsoi"/>。同じような運命は、1993年に[[九龍城砦]]が取り壊されるまでで[[九龍]]での撮影を計画していた<ref name="sogo">{{cite web |url=http://www.williamgibsonbooks.com/blog/2006_07_01_archive.asp#115354123358489417 |title=Burst City Trailer |first=William |last=Gibson |date=July 21, 2006 |accessdate=November 26, 2007 |archive-url=https://web.archive.org/web/20071121223044/http://www.williamgibsonbooks.com/blog/2006_07_01_archive.asp#115354123358489417 |archive-date=November 21, 2007 |url-status=dead }}</ref>ギブスンと日本の映画監督の[[石井岳龍|石井聰亙]]とのコラボレーションにも降りかかった<ref name="storming" />。

[[File:The Neuromancer.jpg|thumb|left|短編や長編の小説以外にも、ギブスンはいくつかの映画やテレビドラマの脚本を書いている。]]
ギブスンのフィクションの翻案は限られた成功へと頻繁に選択され、提案されてきた。「電脳」三部作の世界を舞台にした2編の短編が映画向けに大まかに翻案されている:「記憶屋ジョニー」はギブスンが脚本を書き、[[キアヌ・リーブス]]、[[ドルフ・ラングレン]]、[[北野武]]が出演で[[JM (映画)|1995年に映画化され]]、「[[ニュー・ローズ・ホテル]]」は[[クリストファー・ウォーケン]]、[[ウィレム・デフォー]]、[[アーシア・アルジェント]]が出演して[[ニューローズホテル (映画)|1998年に映画化]]された。前者は本として史上初めて映画と[[CD-ROM]]のインタラクティブ・ビデオ・ゲームとして発売れた<ref name="mail&guardian">{{cite web |url=http://mg.co.za/article/1996-09-03-blade-runner-on-electrosteroids |title=Blade Runner on electro-steroids |accessdate=November 11, 2007 |last=Walker |first=Martin |date=September 3, 1996 |website=[[:en:Mail & Guardian#The Mail & Guardian Online|Mail & Guardian Online]] |publisher= M&G Media}}</ref>。2013年の時点で、[[ヴィンチェンゾ・ナタリ]]監督は数年の企画地獄を経てもなお、『ニューロマンサー』をスクリーンに登場させることを望んでいた<ref>{{cite web |url= https://www.empireonline.com/news/story.asp?NID=39171 |title=Vincenzo Natali Still Hopeful For Neuromancer | date=October 28, 2013 |accessdate=February 25, 2014 |website=Empire | author=Williams, Owen}}</ref>。『[[カウント・ゼロ]]』は一時、[[マイケル・マン (映画監督)|マイケル・マン監督]]を起用して ''The Zen Differential'' として開発が進んでおり、「電脳」三部作の3作目となる『モナリザ・オーヴァドライヴ』もオプション化され、購入が決定している<ref name="mtv" />。『あいどる』のアニメ化は2006年に開発中と発表され<ref>{{cite web|url=http://cyberpunkreview.com/movie/upcoming-movies/william-gibsons-idoru-coming-to-anime|date=April 21, 2006|title=William Gibson's Idoru Coming to Anime|publisher=cyberpunkreview.com|url-status=dead|archiveurl=https://web.archive.org/web/20070914195904/http://www.cyberpunkreview.com/movie/upcoming-movies/william-gibsons-idoru-coming-to-anime/|archivedate=September 14, 2007|df=mdy-all|accessdate=2020-12-10}}</ref>、『パターン・レコグニション』は[[ピーター・ウィアー]]監督で開発が進められていたが、ギブスンによると、ウィアーはすでにプロジェクトに関わっていないという<ref>{{cite web|url=http://www.williamgibsonbooks.com/blog/2007_05_01_archive.asp#2514436070772070825|title=I've Forgotten More Neuromancer Film Deals Than You've Ever Heard Of|accessdate=November 4, 2007|last=Gibson|first=William|date=May 1, 2007|archive-url=https://web.archive.org/web/20070523100703/http://www.williamgibsonbooks.com/blog/2007_05_01_archive.asp#2514436070772070825|archive-date=May 23, 2007|url-status=dead}}</ref>。2015年の[[ロッテルダム国際映画祭]]ではギブスンの短編小説「ドッグファイト」を[[BAFTA]]賞受賞作家で監督のサイモン・パンメルが映画化した作品が発表された。ギブスンと[[マイクル・スワンウィック]]が共同執筆し、1985年に[[オムニ (雑誌)|オムニ誌]]に発表されたこの短編は、ホット・プロパティ・フィルムのイギリス人プロデューサー、ジャニン・マーモットによって開発が進められている<ref>{{cite web |url=http://www.screendaily.com/news/pummell-preps-william-gibson-adaptation/5082271.article |title=Simon Pummell preps William Gibson adaptation Dogfight |accessdate=January 27, 2015 |last=Macnab |first=Geoffrey |date=January 27, 2015}}</ref>。

テレビはギブスンがコラボレートしたもう一つの領域であり、友人の{{仮リンク|トム・マドックス|en|Tom Maddox}}と共に『[[X-ファイル]]』のエピソード「キル スウィッチ」(EN: "[[:en:Kill Switch (The X-Files)|Kill Switch]]" )と「ファースト・パーソン・シューター」(EN: "[[:en:First Person Shooter (The X-Files)|First Person Shooter]]")の脚本を執筆し、アメリカでは1998年と2000年に[[20世紀フォックステレビジョン]]で放映された<ref name="spike"/><ref name=newsbytes>{{cite news |title="X-Files" Writer Fights For Online Privacy |last=Fridman |first=Sherman |date=February 24, 2000 |work=News Briefs |publisher=Newsbytes PM}}</ref>。1998年にギブスンはスピンオフ出版物 ''Art of the X-Files'' を紹介するのに貢献した。ギブスンはテレビのミニシリーズ ''[[:en:Wild Palms|Wild Palms]]'' に、クリエエイターの{{仮リンク|ブルース・ワグナー|en|Bruce Wagner}}の要望でカメオ出演した<ref name="holograms">{{cite web |url=http://www.williamgibsonbooks.com/blog/2006_07_01_archive.asp#115361118165031237 |title=Where The Holograms Go |first=William |last=Gibson |date=July 22, 2006 |accessdate=November 26, 2007 |archive-url=https://web.archive.org/web/20071121223044/http://www.williamgibsonbooks.com/blog/2006_07_01_archive.asp#115361118165031237 |archive-date=November 21, 2007 |url-status=dead }}</ref>。映画監督の[[オリバー・ストーン]]はシリーズ製作のためにギブスンの小説からいろいろと借用しており<ref name="cyberhero">{{cite news |first=Adam |last=Platt |title=Cyberhero |url=https://www.newyorker.com/archive/1993/08/16/1993_08_16_024_TNY_CARDS_000364256 |work=The Talk of the Town |publisher=[[The New Yorker]] |date=September 16, 1993 |page=24 |accessdate=November 6, 2007 |archiveurl=https://web.archive.org/web/19990223224043/http://multiweb.evolution.com/clients/mindvox/newyorker.html |archivedate=February 23, 1999 }}</ref>、シリーズ打ち切りのあとでギブスンは「ホログラムの行き先」という記事を ''Wild Palms Reader'' に寄稿した<ref name="holograms"/>。ギブスンは2002年に別の演技の仕事を受け、[[ダグラス・クープランド]]とともに短編映画 ''[[:en:Mon Amour Mon Parapluie|Mon Amour Mon Parapluie]]'' で哲学者を演じた<ref>{{cite web |url=http://64.207.169.13/mamp/cast/cast.htm |title=Cast |accessdate=October 26, 2007 |website=Mon Amour Mon Parapluie |archiveurl = https://web.archive.org/web/20040621004844/http://64.207.169.13/mamp/cast/cast.htm |archivedate = June 21, 2004|url-status=dead}}</ref>。フィクション作品への出演とは別に、ギブスンはマーク・ニールによる伝記ドキュメンタリー映画 ''[[:en:No Maps for These Territories|No Maps for These Territories]]'' の焦点だった。この映画はギブスンが北米横断ドライブをしながら自身の人生、文学のキャリア、文化的解釈のさまざまな側面について語る姿を追っている。映画にはジャック・ウォマックとブルース・スターリングへのインタビューと、[[ボノ]]と[[ジ・エッジ]]による『ニューロマンサー』の朗読も取り上げられている<ref name="nomaps"/>。

カナダを拠点とするアニメーションスタジオの Last Studo Standing Inc. は2016年に短編「辺境」の映像化権を取得し、劇場用の短編映画と、テレビシリーズの両方を製作すると発表した。アダルト向けおよびSFベースのアニメーションを専門とするスタジオは、2018年のリリースを予定していた。

2018年の4月の時点で、[[Amazon.com]] はギブスンの長編小説 ''The Peripheral'' をもとにしたシリーズを企画していた<ref>{{cite web |url=https://techcrunch.com/2018/04/17/amazon-william-gibson/ |title=Amazon is developing a TV show based on William Gibson's 'The Peripheral'|accessdate=2020-12-10}}</ref>。

=== 展示会、詩、パフォーマンス ===
[[File:La Fura Dels Baus Dreams In Flight.jpg|thumb|upright|ギブスンは演劇集団[[ラ・フラ・デルス・バウス]]などの[[パフォーマンスアート|パフォーマンスアーティスト]]としばしばコラボレーションしており、写真は2007年5月のシンガポール芸術祭でのパフォーマンス]]

ギブスンは数多くの[[パフォーマンスアート]]と一体化されたテキストを提供してきた。1989年10月、ギブスンは彫刻家で、後に映画『[[JM (映画)|JM]]』を監督する[[ロバート・ロンゴ]]のとのコラボレーションのために<ref name="remembering">{{cite journal |url=https://www.wired.com/wired/archive/3.06/gibson.html |title=Remembering Johnny |accessdate=January 10, 2008 |last=van Bakel |first=Rogier |journal=[[:en:|Wired]] |volume=3 |date=June 1995 | issue=6}}</ref>、 ''Dream Jumbo: Working the Absolutes'' (ドリーム・ジャンボ:絶対的な働き)というタイトルのテキストを書き、これはカリフォルニア大学ロサンゼルス校のロイス・ホールに展示されていた。3年後、バルセロナで開催された Art Futura '92 での、[[ピーター・ガブリエル]]の音楽と共に{{仮リンク|カール・シムズ|en|Karl Sims}}、{{仮リンク|レベッカ・アレン|en|Rebecca Allen (artist)}}、[[マーク・ペリントン]]の映像を使用した演劇集団[[ラ・フラ・デルス・バウス]]出演のパフォーマンス・ショー "Memory Palace" のためにオリジナルのテキストを提供した<ref name="skier"/>。後にスティーヴ・ピカリングとチャーリー・シャーマンが脚色した『クローム襲撃』のシカゴ公演で[[ドラマトゥルク]]と”電脳小道具”のデザインを担当したチャーリー・アタナスとギブスンが出会ったもArt Futura '92だった。ギブスンの最新の貢献は1997年にバンクーバーを拠点とするコンテンポラリー・ダンスカンパニーの[[:en:Holy Body Tattoo|Holy Body Tattoo]]と、ギブスンの友人であり、後のWebマスターのクリストファー・ハルクロウとのコラボレーションだった<ref name="holybody">{{cite web |url=http://www.williamgibsonbooks.com/blog/2003_05_01_archive.asp#200367789 |title=Holy Body Tattoo |last=Gibson |first=William |date=May 31, 2003 |accessdate=November 11, 2007 |archive-url=https://web.archive.org/web/20071210172818/http://www.williamgibsonbooks.com/blog/2003_05_01_archive.asp#200367789 |archive-date=December 10, 2007 |url-status=dead }}</ref>。

1990年、ギブスンは6月14日から8月26日まで[[サンフランシスコ近代美術館]]で開かれた展示会 "Visionary San Francisco" に貢献した<ref>{{cite book | last = Polledri | first = Paolo | title = Visionary San Francisco | publisher = Prestal | location = Munich | year = 1990 | oclc = 22115872 | isbn = 978-3-7913-1060-2 | url-access = registration | url = https://archive.org/details/visionarysanfran0000poll }}</ref>。[[サンフランシスコ・オークランド・ベイブリッジ]]が閉鎖されてホームレスに乗っ取られた、衰退したサンフランシスコを舞台にした短編小説「{{仮リンク|スキナーの部屋|en|Skinner's Room}}」を書いたが、この設定は「橋」三部作で詳しく語られている。この作品は、老巧化した都市と、その崩壊しつつある橋の上にある、ハイテクのソーラーパワータワーに富裕層が住むサンフランシスコを構想した建築家のミン・ファンとクレイグ・ホジェッツによる展示に影響を与えた<ref name="architecture"/>。建築家の展示では、モニターにギブスンが登場し、未来について話し合い、「スキナーの部屋」からの引用を読み上げた<ref name=skier>{{cite web |url= http://www.skierpage.com/gibson/biblio.htm |title= William Gibson Bibliography / Mediagraphy |accessdate= February 9, 2008 |author= S. Page |archive-url= https://web.archive.org/web/20071015154602/http://skierpage.com/gibson/biblio.htm |archive-date= October 15, 2007 |url-status= dead |df= mdy-all }}</ref>。ニューヨーク・タイムズ紙はこの展示会をギブスンの貢献に対するミンとホジェットの反応を「強力だが悲しい、そして少なからず皮肉な仕事」と呼んでいるにもかかわらず、「過去10年間に国内の美術館が立ち上げた建築と都市の領域に取り組む、最も野心的で称賛に値する取り組みの1つ」と称賛した<ref name="architecture">{{cite news |first=Paul |last=Goldberger |title=In San Francisco, A Good Idea Falls With a Thud |url= https://query.nytimes.com/gst/fullpage.html?res=9C0CE1DB103CF931A2575BC0A966958260 |publisher=[[:en:The New York Times Company]] |work=[[The New York Times]] |date=August 12, 1990 |accessdate=November 6, 2007 }}</ref>。この短編の少し異なるバージョンが一年後に[[オムニ (雑誌)|オムニ誌]]に掲載された<ref>{{cite journal |last=Gibson |first=William |date=November 1991 |title=Skinner's Room |journal=[[:en:Omni (magazine)|Omni]] |title-link=Skinner's Room }}</ref>。

=== 暗号 ===
ギブスンの特に好評を博した作品は、芸術家の{{仮リンク|デニス・アッシュボウ|en|Dennis Ashbaugh}}および出版人のケヴィン・ベゴス・ジュニアとのコラボレーション・プロジェクトに貢献した、300行の半ば自伝的な電子的な詩である ''[[:en:Agrippa (a book of the dead)|Agrippa (a book of the dead)]]'' (「アグリッパ(死者の本)」、1992年)である<ref>{{cite book
| last = Liu
| first = Alan
| title = The laws of cool : knowledge work and the culture of information
| url = https://archive.org/details/lawscoolknowledg00liua
| url-access = limited
| date = June 30, 2004
| publisher = [[University of Chicago Press]]
| location = Chicago
| isbn = 978-0-226-48698-7
| oclc = 53823956
| pages = [https://archive.org/details/lawscoolknowledg00liua/page/n351 339]–48
}}</ref>。ギブスンのテキストは、記憶の希薄な性質に焦点をあてており(タイトルは写真アルバムを示している)、元々はアッシュボウによるエッチングを含む、彼の本の裏表紙に埋め込まれて3.5インチ[[フロッピーディスク]]に掲載されていた(一度本が開かれて光に曝されると消えてしまうことを意図していたが、そのようにはならなかった)。ギブスンはアッシュボウのデザインには「最終的には、テキストを1回だけ表示して、それ自体を食べることを目的とした、おそらく自分で自分を食べてしまうフロッピーディスクが含まれていた」とコメントしている<ref>{{cite web |url=http://www.williamgibsonbooks.com/source/source.asp |title=Introduction to Agrippa: A Book of the Dead |last=Gibson |first=William |year=1992 |accessdate=November 11, 2007 |archive-url=https://web.archive.org/web/20071120193555/http://www.williamgibsonbooks.com/source/source.asp |archive-date=November 20, 2007 |url-status=dead }}</ref>。多くのカラフルなレポートとは反対に、ディスケットが本当に「ハッキング」されることはなかったが、その代わりに詩は1992年12月にマンハッタンで上映されたビデオテープから手動で書き写され、翌日には[[:en:MindVox|MindVox]]の掲示板で公開されたが、これがインターネットで広く流通しているテキストである<ref>{{cite book
| last = Kirschenbaum
| first = Matthew G.
| title = Mechanisms : new media and the forensic imagination
| edition = 2
| publisher = [[MIT Press]]
| location = [[Cambridge, Massachusetts]]
| isbn = 978-0-262-11311-3
| oclc = 79256819
| accessdate = November 11, 2007
| chapter = Hacking 'Agrippa': The Source of the Online Text.
| chapterurl = http://agrippa.english.ucsb.edu/kirschenbaum-matthew-g-hacking-agrippa-the-source-of-the-online-text/
| year = 2008
}}
</ref>。

1992年の公開以来、''Agrippa'' の謎は20年間隠されていた。多くの人がコードをハッキングしてプログラムを解読しようとし、コンパイル前のソースコードは失われて久しかった。"The Agrippa Files" のアラン・リウと彼のチームは<ref>{{cite web|url=http://agrippa.english.ucsb.edu/ |title=The Agrippa Files |website=Agrippa.english.ucsb.edu |date= |accessdate=December 9, 2015}}</ref>、Agrippaのコードを解読するためのツールとリソースを備えた大規模なWebサイトを構築した。{{仮リンク|メリーランド人文科学技術研究所|en|Maryland Institute for Technology in the Humanities}}のマシュー・キルシェンバウムとディジタル・フォレンジック・ラボ、プログラムがどのように機能するかを理解するために暗号学者の助けを求めてトロント大学の暗号学の学生のクイン・デュポンと協力して<ref name=CAG>{{cite web|url=http://www.crackingagrippa.net/ |title=Cracking the Agrippa Code |website=Crackingagrippa.net |date=March 25, 1992 |accessdate=December 9, 2015}}</ref>、賞金と引き換えに詩の意図的なスクランブルを解読するために参加者を募った "Cracking the Agrippa Code: The Challenge" を立ち上げた<ref>{{cite web |last = Goodin | first = Dan | title = Solve 20-year-old mystery in William Gibson's "Agrippa"; win prizes | url = https://arstechnica.com/information-technology/2012/07/william-gibsons-agrippa-mystery-challenge/ | website = Ars Technica | date = July 11, 2012 |accessdate=July 24, 2012}}</ref>。コードは2012年7月下旬に、ロバート・チャオによって解読された
<ref name=CAG />。

===エッセイと短編ノンフィクション ===
ギブスンは新聞や雑誌にノンフィクション記事の散発的な寄稿者である。時折、[[WIRED (雑誌)|Wired誌]]に長編記事を寄稿したり、[[ニューヨーク・タイムス|ニューヨーク・タイムス紙]]に論説記事を寄稿したりしており、[[オブザーバー (イギリスの新聞)|オブザーバー紙]]、 ''[[:en:Addicted to Noise|Addicted to Noise]]''、[[ニューヨーク・タイムズ・マガジン]]、[[ローリング・ストーン|ローリング・ストーン誌]]、''[[:en:Details (magazine)|Details]]'' にも執筆している。ノンフィクションでの最初の主要な作品は、[[シンガポール]]という都市国家に関する記事「死刑のディズニーランド」で、Wiredはシンガポールから追放される結果となり、強烈な批判的な反響を呼んだ<ref name=source>{{cite journal|title=Disneyland with the Death Penalty |url=https://www.wired.com/wired/archive/1.04/gibson.html |last=Gibson |first=William |issue=4 |date=September–October 1993 |journal=[[:en:WIRED (雑誌)|Wired]] |volume=1 |accessdate=September 23, 2008}}</ref><ref name=b&>{{cite news|title=Multimedia Animal Wired Visionary Nicholas Negroponte is MIT's Loud Voice of the Future |date=March 1, 1995 |first=David |last=Mehegan |work=[[Boston Globe]] |publisher=[[:en:The New York Times Company|The New York Times Company]] |url=https://secure.pqarchiver.com/boston/doc/290733867.html|accessdate=September 23, 2008}}</ref>。ギブスンは2003年1月からブログを書き始め、『パターン・レコグニション』に対する彼の反応を覗き見するような洞察を提供していたが、創作プロセスに悪影響を与えるかもしれないという懸念から、同年9月にブログを休止した<ref name="orlowski">{{cite news |first=Andrew |last=Orlowski |title=William Gibson 'gives up blogging' |url=https://www.theregister.co.uk/2003/04/25/william_gibson_gives_up_blogging/ |work=Music and Media |publisher=The Register |date=April 25, 2003 |accessdate=November 3, 2007 }}</ref><ref>{{cite web
|last = Gibson
|first = William
|url = http://www.williamgibsonbooks.com/blog/2003_09_01_archive.asp#1062520986072822474
|publisher = WilliamGibsonBooks.com
|title = Endgame
|date = September 12, 2003
|accessdate = November 26, 2007
|url-status = dead
|archiveurl = https://web.archive.org/web/20061230140902/http://www.williamgibsonbooks.com/blog/2003_09_01_archive.asp#1062520986072822474
|archivedate = December 30, 2006
|df = mdy-all
}}</ref>。


[[File:Hacking the Gibson in Wagamamas.jpg|thumb|right|2007年9月、ロンドンのブルームズベリーでのウィリアム・ギブスン。彼の小説は[[晩期資本主義]]、[[脱工業化社会]]、[[情報化社会]]の前兆を特徴付けたことで評論家から賞賛されている。]]

ギブスンは2004年10月にブログを再開し、『スプーク・カントリー』を執筆している間と、回数は少ないが『ゼロ・ヒストリー』を執筆している間に、小説からの短い連続性のない抜粋を、頻繁にブログに投稿していた<ref>{{cite web
|last=Gibson
|first=William
|url=http://www.williamgibsonbooks.com/blog/2006_06_01_archive.asp#114922706834176317
|title=Moor
|date=June 1, 2006
|accessdate=November 4, 2007
|publisher=WilliamGibsonBooks.com
|archive-url=https://web.archive.org/web/20071011075515/http://williamgibsonbooks.com/blog/2006_06_01_archive.asp#114922706834176317
|archive-date=October 11, 2007
|url-status=dead
}}
* {{cite web
|last=Gibson
|first=William
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|title=Johnson Bros
|date=September 23, 2006
|accessdate=November 4, 2007
|publisher=WilliamGibsonBooks.com
|archive-url=https://web.archive.org/web/20071021032401/http://www.williamgibsonbooks.com/blog/2006_09_01_archive.asp#115904809056329148
|archive-date=October 21, 2007
|url-status=dead
}}
* {{cite web
|last=Gibson
|first=William
|url=http://www.williamgibsonbooks.com/blog/2006_10_01_archive.asp#115993710391679489
|title=Their Different Drummer
|date=October 3, 2006
|accessdate=November 4, 2007
|publisher=WilliamGibsonBooks.com
|archive-url=https://web.archive.org/web/20071021032407/http://www.williamgibsonbooks.com/blog/2006_10_01_archive.asp#115993710391679489
|archive-date=October 21, 2007
|url-status=dead
}}</ref>。
ギブスンが "GreatDismal" というペンネームでTwitter上で多作のマイクロブログを始めた後に、2009年7月までにブログは廃止された<ref>{{cite web |url=http://blog.williamgibsonbooks.com/2009/07/30/my-poor-old-blogs-just-sitting-here/ |archive-url=https://web.archive.org/web/20101220145833/http://blog.williamgibsonbooks.com/2009/07/30/my-poor-old-blogs-just-sitting-here/ |url-status=dead |archive-date=December 20, 2010 |title=My poor old blog's just sitting there |last=Gibson |first=William |date=July 30, 2009 |accessdate=September 1, 2010 |publisher=WilliamGibsonBooks.com }}</ref>。2012年、ギブスンは自身のノンフィクション作品集 ''[[:en:Distrust That Particular Flavor|Distrust That Particular Flavor]]'' を出版した<ref name="Kennedy">{{cite news | url=https://www.nytimes.com/2012/01/15/books/review/distrust-that-particular-flavor-by-william-gibson-book-review.html?pagewanted=all | title=William Gibson's Future Is Now | work=New York Times Book Review | date=January 13, 2012 | agency=New York Times | accessdate=January 22, 2012 | author=Kennedy, Pagan | location=New York, NY}}</ref>。

== 影響力と認識 ==
{{see also|{{仮リンク|ウィリアム・ギブスンの受賞作品とノミネート作品の一覧|en|List of awards and nominations received by William Gibson}}}}
ギブスンの散文は多くの学者によって分析されており、その中には2011年に出版された専門書 ''[[:en:William Gibson: A Literary Companion|William Gibson: A Literary Companion]]'' もある<ref>{{Cite journal|last=Frelik|first=Paweł|date=2012|title=Review of William Gibson: A Literary Companion|journal=Journal of the Fantastic in the Arts|volume=23|issue=3 (86)|pages=506–508|issn=0897-0521|jstor=24353095}}</ref>。ギブスンは、1999年にガーディアン紙のスティーヴン・プールから「過去20年間で最も重要な小説家」と評された影響力のある作家であり<ref name="nearing">{{cite news |first=Steven |last=Poole |title=Nearing the nodal |url=http://books.guardian.co.uk/reviews/sciencefiction/0,6121,98588,00.html |work=Books by genre |publisher=The Guardian |date=October 30, 1999 |accessdate=November 3, 2007 | location=London}}</ref>、デビュー長編『[[ニューロマンサー]]』で、初めて評論家の間で評価された。この小説は3つの主要なSF賞([[ネビュラ賞]]、[[フィリップ・K・ディック賞]]、[[ヒューゴー賞]])を受賞し、[[:en:Mail & Guardian|Mail & Guardian紙]]では「[[ゴンクール賞]]、[[ブッカー賞]]、[[ピューリッツァー賞]]を同じ年に受賞したSF作家の版」と評される前代未聞の快挙を成し遂げた<ref name="mail&guardian"/>。『ニューロマンサー』は「1980年代後半の生活の喚起」として<ref name="fitting">{{cite book |last = Fitting |first = Peter |editor = Penley, C. |editor2=Ross, A. |title = Technoculture |publisher = [[:en:University of Minnesota Press|University of Minnesota Press]] | location = [[Minneapolis]] |isbn =978-0-8166-1930-6 |oclc =22859126 |pages = [https://archive.org/details/technoculture00penl/page/295 295–315] |chapter = The Lessons of Cyberpunk |quote = [Gibson's work] has attracted an audience from outside, people who read it as a poetic evocation of life in the late eighties rather than as science fiction. |date=July 1991|title-link = Technoculture }}</ref>、SF以外では前代未聞の批評家や人気者の注目を集めたが<ref name="project cyberpunk interview"/>、[[オブザーバー (イギリスの新聞)|オブザーバー紙]]は「ニューヨーク・タイムズ紙がこの小説に言及するのに10年もかかった」と指摘している<ref name="observer"/>。

ギブスンの作品はローラ・ミラーの言葉を借りれば<ref name="miller">{{cite book | last = Miller | first = Laura | title = The Salon. Com Reader's Guide to Contemporary Authors | publisher = Penguin Books | location = New York | year = 2000 | isbn = 978-0-14-028088-3 | oclc = 43384794 | chapter = Introduction | chapterurl = http://archive.salon.com/books/feature/2000/08/11/guide_intro/index.html | df = mdy-all | url = https://archive.org/details/saloncomreadersg00mill }}</ref>、「読者は、幻想的で、しばしば完全に偏執的なシナリオの中に、現代生活の驚くほど予言的な反映を見つけた」というように、SFファンに限らず、国際的に注目されている<ref name="litencyc"/>。この作品はしばしは評論家によって[[脱工業化社会|脱工業化主義]]の文脈の中に位置付けられ、学者のデヴィッド・ブルンデによれば「既存の大規模なテクノ社会関係の鏡」の構築物であり<ref name="brande">{{cite journal |last = Brande | first = David |year = 1994 |title = The Business of Cyberpunk: Symbolic Economy and Ideology in William Gibson |journal = Configurations | volume = 2 | issue = 3 | pages = 509–536 |url= http://muse.jhu.edu/login?uri=/journals/configurations/v002/2.3brande.html | accessdate = August 27, 2007 |doi = 10.1353/con.1994.0040}}</ref>、ポストモダンの消費文化の物語版であるという<ref name="sponsler">{{cite journal | last = Sponsler | first = Claire |date=Winter 1992 | title = Cyberpunk and the Dilemmas of Postmodern Narrative: The Example of William Gibson | journal = Contemporary Literature | volume = 33 | issue = 4 | pages = 625–644 |doi = 10.2307/1208645 | jstor = 1208645 | s2cid = 163362863 | url = https://semanticscholar.org/paper/b9bb98706dd2f81907a886b8c655d94ee8cac1a9 }}</ref>。[[晩期資本主義]]の描写と<ref name="brande"/>、「テクノロジーによって新たに問題化された主観性、人間の意識、行動の書き換え」について、評論家から賞賛されている<ref name="sponsler"/>。タティアーニ・ラパヅィコウ(Tatiani Rapatzikou)は ''[[:en:The Literary Encyclopedia|The Literary Encyclopedia]]'' にギブスンを、「北米で最も高く評価されているSF作家の一人」と書いている<ref name="litencyc">{{cite web | last =Rapatzikou | first =Tatiani | title =William Gibson | website =[[:en:The Literary EncyclopediThe Literary Encyclopedia]] | publisher =The Literary Dictionary Company | date =June 17, 2003 | url =http://www.litencyc.com/php/speople.php?rec=true&UID=5198 | accessdate =August 27, 2007|archiveurl = https://web.archive.org/web/20071010051539/http://www.litencyc.com/php/speople.php?rec=true&UID=5198 |archivedate = October 10, 2007|url-status=dead}}</ref>。

=== 文化的意義 ===
{{Quote box|align=right|width=30%|ウィリアム・ギブスン - 我々をクールにした男。|salign=right|source=—サイバーパンク作家 [[リチャード・モーガン]]<ref name="morgan"/>}}
ギブスンは初期の短編小説において、当時広く「取るに足らない」と考えられていたSFというジャンルを効果的に「刷新」し、<ref name="litencyc"/>ポストモダン的な美学によってSF研究の新たな視点の発展に影響を与えたと、ラパヅィコウは ''The Literary Encyclopedia'' の中で評価している<ref name="hollinger">{{cite journal |last=Hollinger |first=Veronica |date=July 1999 |title=Contemporary Trends in Science Fiction Criticism, 1980–1999 |journal=Science Fiction Studies |volume=26 |issue=78 |url=http://www.depauw.edu/sfs/backissues/78/hollinger78art.htm |accessdate= November 6, 2007 }}</ref>。映像作家のマリアンヌ・トレンチの言葉を借りれば、ギブスンのビジョンは「現実世界に火花を散らす」、「人々の考え方や話し方を決定づけた」と、SF文学では前例のないほどのものであった<ref name="mystic">Trench, Marianne and Peter von Brandenburg, producers. 1992. ''Cyberpunk. Mystic Fire Video'': Intercon Productions.</ref>。1984年に出版された『ニューロマンサー』は文化的な神経を刺激し<ref name="hollinger"/>、ラリー・マキャフリーはギブスンを「ムーブメント全体を独創的で才能あると思わせる唯一の作家」として<ref name="project cyberpunk interview"/>、事実上サイバーパンク・ムーブメントを立ち上げたと称賛している<ref name="storming"/>{{efn|name=1962 Internet}}。サイバーパンクや[[スチームパンク]]小説での中心的な重要性はさておき、ギブスンの架空の作品は宇宙史家の{{仮リンク|ドウェイン・A・デイ|en|Dwayne A. Day}}によって、宇宙を舞台にしたSF(または「ソーラーSF」)の最高の例のいくつかとして歓迎されており、「おそらく、単なる逃避主義を超えて真に示唆に富む唯一の作品」とされている<ref>
{{cite web
|url=http://www.thespacereview.com/article/1108/1
|title=Miles to go before the Moon
|website=[[:en:The Space Review|The Space Review]]
|date=April 21, 2008
|accessdate=April 21, 2008
|last=Day
|first=Dwayne A.
|authorlink=:en:Dwayne A. Day
}}
</ref>。

[[File:William Gibson and Cory Doctorow.jpg|thumb|left|ギブスン(左)は[[サイバーパンク]]や<ref name="morgan">{{cite web |url=http://www.richardkmorgan.com/articles/recommended-reading-list/ |title=Recommended Reading List |accessdate=July 4, 2010 |last=Morgan |first=Richard |authorlink=:en:Richard Morgan (author) |url-status=dead |archiveurl=https://web.archive.org/web/20100411060446/http://www.richardkmorgan.com/articles/recommended-reading-list/ |archivedate=April 11, 2010 |df=mdy-all }}</ref>、『スピーク・カントリー』の執筆中に技術的なアドバイスを受けた<ref name="amazon3">{{cite web |url=https://www.amazon.com/gp/blog/post/PLNK2T9UDN3CBLZNP |title=Writing Fiction in the Age of Google: William Gibson Q&A, Part 3 |accessdate=November 4, 2007 |date=June 24, 2007 |website=Amazon Bookstore's Blog |archiveurl = https://web.archive.org/web/20071120142029/http://www.amazon.com/gp/blog/post/PLNK2T9UDN3CBLZNP <!-- Bot retrieved archive --> |archivedate = November 20, 2007}}</ref>[[コリイ・ドクトロウ]](右)などの[[サイバーパンクからの派生#ポストサイバーパンク|ポストサイバーパンク作家]]に影響を与えた<ref name="doctorow">{{cite web |last= Dyer-Bennet |first= Cynthia |url= http://www.well.com/conf/inkwell.vue/topics/95/Cory-Doctorow-Talks-About-Nearly-page02.html#post43 |title=Cory Doctorow Talks About Nearly Everything |accessdate=August 30, 2007 |website=Inkwell: Authors and Artists |publisher= [[:en:WELL (virtual community)|The Well]]}}</ref>。]]

オブザーバー紙によれば、ギブスンの初期の小説は「一種のロードマップとして、新興の[[スラッカー]]および[[ハッカー文化]]世代に受け入れられた」<ref name="observer"/>。彼の小説を通して「[[サイバースペース]]」、「[[ネットサーフィン]]」、「{{仮リンク|侵入対抗電子機器|lable=ICE|en|Intrusion Countermeasures Electronics}}」、「ジャック・イン」、「{{仮リンク|神経インプラント|en|neural implant}}」などの用語がネット意識、仮想のやり取りおよび「ザ・マトリックス」などの概念と同様に一般的に使われるようになった<ref name="mcluhan">{{cite journal |last=Doherty |first=Michael E., Jr. |date=September 1995 |title=Marshall McLuhan Meets William Gibson in "Cyberspace" |journal=CMC Magazine |url=http://www.ibiblio.org/cmc/mag/1995/sep/doherty.html |accessdate= October 28, 2007 |page=4 }}</ref>。「クローム襲撃」でギブスンはコンピューター・ネットワークの「大規模な合意による幻覚」を指す「サイバースペース」という用語を作り出した{{efn|1=ギブスンは後に、[[オートデスク|オートデスク社]]が[[バーチャル・リアリティ]]への失敗した取り組みに対して、その言葉を著作権で保護しようとする試みに抵抗することに成功した<ref name="citizenship"/>。}}<ref>{{Cite journal|last=Branch|first=Jordan|date=2020|title=What's in a Name? Metaphors and Cybersecurity|url=https://www.cambridge.org/core/journals/international-organization/article/whats-in-a-name-metaphors-and-cybersecurity/563998100A2FAF1E5DFDB5C52EC68569|journal=International Organization|language=en|volume=|pages=1–32|doi=10.1017/S002081832000051X|issn=0020-8183|via=}}</ref><ref>{{cite book
|last= Prucher
|first= Jeff
|title= Brave New Words: The Oxford Dictionary of Science Fiction
|publisher= Oxford University Press
|year= 2007
|page= [https://archive.org/details/bravenewwordsoxf00pruc/page/31 31]
|isbn= 978-0-19-530567-8
|oclc= 76074298
|url= https://archive.org/details/bravenewwordsoxf00pruc/page/31
}}</ref>。『ニューロマンサー』での使用を通じて、この用語は1990年代に[[World Wide Web]]の事実上の用語になるほどの認識を得た<ref name="irvine">{{cite web | url=http://www.georgetown.edu/faculty/irvinem/technoculture/pomosf.html | title=Postmodern Science Fiction and Cyberpunk | first=Martin | last=Irvine | date=January 12, 1997 | accessdate=November 23, 2006|archiveurl = https://web.archive.org/web/20061205024912/http://www.georgetown.edu/faculty/irvinem/technoculture/pomosf.html |archivedate = December 5, 2006|url-status=dead}}</ref>。芸術家の{{仮リンク|ダイク・ブレア|en|Dike Blair}}はギブスンの「簡潔で説明的なフレーズはエンジニアリングではなく、テクノロジーを取り巻くムードを捉えている」とコメントしている<ref name="liquid">"Liquid Science Fiction: Interview with William Gibson by Bernard Joisten and Ken Lum", ''Purple Prose'', (Paris), N°9, été, pp.10–16</ref>。

ギブスンの作品は何組かの人気ミュージシャンに影響を与え、彼のフィクションは[[スチュアート・ハム]]{{efn|1=ハムのアルバム『キングス・オブ・スリープ』のいくつかの曲名(「ブラック・アイス」、「カウント・ゼロ」、「キングス・オブ・スリープ」)はギブスンの作品を参照している<ref name="hamm">{{cite AV media notes |title=Kings of Sleep |titlelink=:en:Kings of Sleep |author=[[:en:Stuart Hamm|Stuart Hamm]] |year=1989 |type=CD liner |publisher=[[:en:Relativity Records|Relativity Records]] }}</ref>。}}、[[ビリー・アイドル]]{{efn|1=アイドルは1993年に「ニューロマンサー」という曲を収録したアルバム『[[:en:Cyberpunk (album)|サイバーパンク]]』をリリースした<ref name="citizenship"/>。[[ロバート・クリストガウ]]はアイドルによる[[サイバーパンク]]の扱いを非難し<ref name="christgau">{{cite news |url=http://www.robertchristgau.com/xg/rock/cyberpun-93.php |title=Virtual Hep |accessdate=November 11, 2007 |last=Christgau |first=Robert |authorlink=Robert Christgau |date=August 10, 1993 |newspaper=[[Village Voice]]}}</ref>、ギブスンはのちにアイドルが「それ(サイバーパンク)を非常にばかげたものに変えてしまった」と述べている<ref name="salza"/>。}}、[[ウォーレン・ジヴォン]]{{efn|1=ジヴォンの1989年のアルバム ''[[:en:Transverse City|Transverse City]]'' はギブスンのフィクションに触発されている<ref name="zevon">{{cite magazine |url=http://www.flakmag.com/opinion/zevon.html |title=Requiem for a Rock Satirist |accessdate=November 11, 2007 |last=Cook |first=Bob |date=February 10, 2002 |magazine=[[:en:Flak Magazine]]}}</ref>。}}、{{仮リンク|デルトロン3030|en|Deltron 3030}}、{{仮リンク|ストレイライト・ラン|en|Straylight Run}}(このバンド名は『[[ニューロマンサー]]』に由来する)<ref>{{cite web |url=http://www.mtv.com/music/artist/straylight_run/artist.jhtml#bio |title=Straylight Run |accessdate=September 9, 2007 |website=MTV.com |url-status=dead |archiveurl=https://web.archive.org/web/20071001103652/http://www.mtv.com/music/artist/straylight_run/artist.jhtml#bio |archivedate=October 1, 2007 |df=mdy-all }}</ref>、[[ソニック・ユース]]らに参照されている。[[U2]]のアルバム『[[ZOOROPA]]』は『ニューロマンサー』から非常に影響を受けており<ref name="citizenship">{{cite journal|title=William Gibson interview |first=J. Stephen|last=Bolhafner| journal=[[Starlog]]|issue=200|date=March 1994|url=http://bolhafner.com/stevesreads/igib2.html|accessdate=July 14, 2009|page=72}}</ref>、ある時、バンドのコンサートツアーで『ニューロマンサー』の文章をスクロール表示することを計画していたが、最終的には実現しなかった。しかしながら、U2のメンバーは『ニューロマンサー』のオーディオブックにバックグラウンドミュージックを提供し、ギブスンの伝記ドキュメンタリー ''No Maps for These Territories'' にも出演した<ref>{{cite web|url=http://www.greylodge.org/gpc/?p=119 |title=GPod Audio Books: Neuromancer by William Gibson |accessdate=April 9, 2007 |publisher=GreyLodge Podcast Publishing company |url-status=dead |archiveurl=https://web.archive.org/web/20060515133747/http://greylodge.org/gpc/?p=119 |archivedate=May 15, 2006 }}</ref>。ギブスンは2005年に[[WIRED (雑誌)|WIRED誌]]にバンドのヴァーティゴ・ツアーの記事を書いて恩返しした<ref>{{cite journal | author = Gibson William | year =2005 | title = U2's City of Blinding Lights | url = https://www.wired.com/wired/archive/13.08/u2.html| journal = [[WIRED (雑誌)|Wired]] | volume = 13 | issue = 8 }}</ref>。バンド [[:en:ZeromanceZeromancer]] は『ニューロマンサー』からバンド名をとっている<ref>
{{cite web
|url=http://www.mk-magazine.com/interviews/archives/000132.php
|title=Interviews: Zeromancer
|website=[[:en:MK Magazine|MK Magazine]]
|date=November 1, 2003
|accessdate=September 2, 2008
}}
</ref>。

映画『[[マトリックス (映画)|マトリックス]]』(1999年)は、電脳三部作のタイトル、キャラクター、ストーリー要素からインスピレーションを得ている<ref>{{cite journal |last=Hepfer |first=Karl |year=2001 |title=The Matrix Problem I: The Matrix, Mind and Knowledge |journal=Erfurt Electronic Studies in English |pages= |url=http://webdoc.sub.gwdg.de/edoc/ia/eese/artic21/hepfer/3_2001.html |accessdate= August 27, 2007 |issn=1430-6905 }}</ref>。『マトリックス』のネオとトリニティーのキャラクターはボビー・ニューマーク(『カウント・ゼロ』)とモリー(「記憶屋ジョニー」、『ニューロマンサー』)に似ている<ref name="mtv">{{cite web |url=http://www.mtv.com/bands/m/movie_house/gibson_loder_030808/index.jhtml |title=The Matrix Preloaded |accessdate=November 7, 2007 |website=MTV's Movie House |publisher=[[:en:Mtv.com|Mtv.com]] |last=Loder |first=Kurt |archiveurl = https://web.archive.org/web/20070913111428/http://www.mtv.com/bands/m/movie_house/gibson_loder_030808/index.jhtml |archivedate = September 13, 2007|url-status=dead}}</ref>。ギブスンの『カウント・ゼロ』の主人公であるターナーのように、マトリックスのキャラクターは(それぞれヘリコプターを飛ばし、「カンフーを知る」ために)指示を頭に直接ダウンロードし、『ニューロマンサー』と『マトリックス』のどちらにも、人間による制御から自分自身を解放しようとする人工知能が登場する<ref name="mtv"/>。評論家は、『ニューロマンサー』と映画の撮影技法およびトーンとの間に著しい類似点があることを認めている<ref name="blackford">{{cite journal |last=Blackford |first=Russell |date=July 2004 |title=Reading the Ruined Cities |journal=Science Fiction Studies |volume=31 |issue=93 |url=http://www.depauw.edu/sfs/review_essays/blackford93.htm |accessdate= December 2, 2007 }}</ref>。ギブスンは、はじめは映画を見ることを避けていたにもかかわらず<ref name="nomaps"/>、後に「間違いなく究極の『サイバーパンク』アーティファクト」と表現した<ref name=SFinfluences>{{cite web|url=http://www.williamgibsonbooks.com/blog/2003_01_01_archive.asp#90244012|title=The Matrix: Fair Cop|first=William|last=Gibson|date=January 28, 2003|accessdate=November 4, 2007|archive-url=https://web.archive.org/web/20070926221513/http://www.williamgibsonbooks.com/blog/2003_01_01_archive.asp#90244012|archive-date=September 26, 2007|url-status=dead}}</ref>。2008年にギブスンは[[サイモンフレイザー大学]]とコースタル・カロライナ大学から名誉博士号を授与された<ref>
{{cite news
|url=http://readingeagle.com/article.aspx?id=91460
|title='Cyberspace' coiner returns to native SC for honorary degree
|agency=Associated Press
|work=Reading Eagle
|date=May 10, 2008
|accessdate=June 8, 2008
}}
</ref>。同年、彼は親友であり協力者でもあるジャック・ウォマックをプレゼンターとして、サイエンスフィクションの殿堂入りを果たした<ref name=sfhof2008/>。

=== 先見の明の影響と予知 ===
{{Quote box|align=right|width=30%|未来はすでにここにあります–それはただ均等に分配されていません。|salign=right|source=— ウィリアム・ギブスン、2003年12月4日、[[エコノミスト|エコノミスト紙]]からの引用<ref>{{cite news
| title = Books of the year 2003
| url = http://www.economist.com/books/displaystory.cfm?story_id=E1_NNGVRJV
| work = [[The Economist]]
| date = December 4, 2003
| accessdate = August 6, 2007}}</ref>}}
『ニューロマンサー』の中で、ギブスンは1970年代のコンピュータネットワークから1980年代初頭に初期のインターネットが形成されてから2年後に視覚化されたインターネットを示すために最初に「[[wikt:matrix|マトリックス]]」という用語を使用した<ref>{{cite IETF |rfc=801 |last=Postel |first=J. |date=November 1981 |title=NCP/TCP Transition Plan}}</ref><ref>{{cite web|author=Zakon, Robert H|title=Hobbes' Internet Timeline v8.2|url=http://www.zakon.org/robert/internet/timeline/|publisher=Zakon Group LLC|date=November 1, 2006|accessdate=October 31, 2007}}</ref><ref>{{cite web|url= http://www.netlingo.com/lookup.cfm?term=matrix |title=Matrix |accessdate=September 9, 2007 |website=Netlingo }}</ref>。ギブスンはそれによって[[World Wide Web]]の起源の何年も前に世界的な通信ネットワークを想像していたが<ref name="spike">{{cite journal
| last = Johnston | first = Antony
|date=August 1999
| title = William Gibson : All Tomorrow's Parties : Waiting For The Man
| journal = [[:en:Spike Magazine|Spike Magazine]]
| url = http://www.spikemagazine.com/0899williamgibson.php
| accessdate = October 14, 2007
}}</ref>、関連する概念はそれ以前にもSF作家を含む他の人によって想像されていた{{efn|1=劇的な社会的影響を与えるインターネットと[[サイバーパンク]]のジャンル自体が、[[ジョン・ブラナー]]の1975年の小説『衝撃波を乗り切れ』(''[[:en:The Shockwave Rider|The Shockwave Rider]]'')でも予想されていた<ref name="FutureTrace">{{cite web |url=http://www.anu.edu.au/people/Roger.Clarke/DV/NotesAntiUtopia.html |title=A 'Future Trace' on Dataveillance: The Anti-Utopian and Cyberpunk Literary Genres |author=Roger Clarke |year=1993 |accessdate=September 17, 2008 |url-status=dead |archiveurl=https://web.archive.org/web/20080814085852/http://www.anu.edu.au/people/Roger.Clarke/DV/NotesAntiUtopia.html |archivedate=August 14, 2008 |df=mdy-all }}</ref><ref name="Edging">{{cite book |title=Edging Into the Future |last=Hollinger |first=Veronica |author2=Joan Gordon |year=2002 |publisher=University of Pennsylvania Press |isbn=978-0-8122-1804-6 |page=35 }}</ref>}}{{efn|name=1962 Internet|1=誰もが、どのサイトからでもデータやプログラムに素早くアクセスできる、グローバルに相互接続された一連のコンピューターのアイデアは、1962年に[[DARPA]]の[[J・C・R・リックライダー]]が「[[銀河間コンピュータネットワーク]] (Intergalactic Computer Network)」を論じた一連のメモで説明されている<ref>{{Cite web |author=Barry M. Leiner |author2=[[Vinton G. Cerf]] |author3=[[David D. Clark]] |author4=[[Robert E. Kahn]] |author5=[[Leonard Kleinrock]] |author6=Daniel C. Lynch |author7=[[Jon Postel]] |author8=[[Lawrence Roberts (scientist)|Larry G. Roberts]] |author9=Stephen Wolff
| title=A Brief History of the Internet
| version=3.32
| publisher=[[Internet Society]]
| page=1011
| date=December 10, 2003
| url=http://www.isoc.org/internet/history/brief.shtml
| accessdate=November 3, 2007
| arxiv = cs/9901011
| bibcode=1999cs........1011L}}</ref>。
}}。「クローム襲撃」を書いたとき、ギブスンは「自動車の遍在が物事を変えたのと同じように、[インターネット]が物事を変えるだろうという予感を持っていた」<ref name="nomaps"/>。1995年に、ギブスンインターネットの出現、進化、成長を「今世紀で最も魅力的で前例のない人間の業績の1つ」と特定し、これは重要性の点で、都市の誕生と同等の新しい種類の文明であり<ref name="josefsson">{{cite interview |last=Gibson |first=William |interviewer=Dan Josefsson |title=I Don't Even Have A Modem |publisher =[[SVT2|TV2]] |location=Stockholm |date=November 3, 1994 |url=http://www.josefsson.net/gibson/ |work=[[:en:Rapport (news programme)|Rapport]] |accessdate=November 5, 2007}}</ref>、そして2000年にそれが[[国民国家]]の死につながるだろうと予測した<ref name="nomaps"/>。

[[File:Scylla- a book of the dead.jpg|thumb|left|upright|ギブスンはテクノロジー、デザイン、都市社会学および[[サイバーカルチャー]]に対する、先見の明のある影響と予測的な調整で知られている。2008年3月14日にフランスのパリのScylla書店で撮影された画像。]]

観測筋はギブスンはインターネットが主流に受け入れられるずっと前に、情報化時代の図像を作成したことで広く知られていることから、Webの開発に対するギブスンの影響は予測を超えたと主張している<ref name="riding shotgun">{{cite news |last=Leonard |first=Andrew |date=February 2001 |title=Riding shotgun with William Gibson |work=[[Salon.com]] |url=http://archive.salon.com/tech/feature/2001/02/07/gibson_doc/index.html |accessdate=November 6, 2007 |url-status=dead |archiveurl=https://web.archive.org/web/20071007141619/http://archive.salon.com/tech/feature/2001/02/07/gibson_doc/index.html |archivedate=October 7, 2007 |df=mdy-all }}</ref>。ギブスンは『[[ニューロマンサー]]』で「[[自作自演_(インターネット)|自作自演]]」の概念を紹介し、{{仮リンク|バーチャルセックス|en|virtual sex}}の現象を(参加型ではなく概念的に)発明したと信じられている<ref>{{cite news |first=Jayne M. |last=Blanchard |title=Sci-Fi Author Gibson Is 'Cyber'-Crowd's Guru |work=[[:en:St. Paul Pioneer Press|St. Paul Pioneer Press]] |publisher=[[:en:Digital First Media|MediaNews Group]] |date=September 12, 1993 |quote=Although author William Gibson came up with the concept of virtual sex, he does not want any parts of it, thank you very much. Not that he's a prude, mind you. Rather, like most things, the reality does not approach the perfection of the fantasy. }}</ref>。[[デスクトップ環境]]のデジタルアートの初期のパイオニアへの彼の影響は認められており<ref name="desktop">{{cite journal |url=https://www.wired.com/gadgets/mac/news/2002/11/56318 |title=Early Desktop Pic Ahead of Time |accessdate=January 10, 2008 |last=Kahney |first=Leander |date=November 14, 2002 |journal=[[WIRED (雑誌)|Wired]]}}</ref>、[[パーソンズ美術大学]]から名誉博士号を授与されている<ref>
{{cite web
|url = http://www.mediacastermagazine.com/issues/ISArticle.asp?id=82442&issue=04032008
|archive-url = https://archive.today/20130128161229/http://www.mediacastermagazine.com/issues/ISArticle.asp?id=82442&issue=04032008
|url-status = dead
|archive-date = January 28, 2013
|title = Sci-Fi Writer, High-Tech Marketer on Awards Jury
|website = Mediacaster
|accessdate = April 21, 2008
|date = April 3, 2008
}}
</ref>。スティーブン・プールは「電脳」三部作の執筆において、ギブスンが「ビデオゲームとWebにおける仮想環境の爆発的な現実世界の成長のための概念的基盤」を築いたと主張している<ref name="nearing"/>。2000年の『ニューロマンサー』の再発行のあとがきで、著者仲間であるジャック・ウォマックは、1984年に『ニューロマンサー』が出版された後、ギブスンのサイバースペースのビジョンがインターネット(特にWeb)の発展に影響を与えた可能性があることを示唆し、「それを書き留めるという行為が実際にそれをもたらしたのなら?」と問いかけている<ref name="neuromancer20th">{{cite book | last = Gibson | first = William |author2=Jack Womack | title = Neuromancer | publisher = Ace Books | location = New York | year = 2004 | isbn = 978-0-441-01203-9 |oclc = 55745255 |page=269}}</ref>。

ギブスン研究者のタティアーニ・G・ラパヅィコウは、 ''Gothic Motifs in the Fiction of William Gibson'' の中でサイバースペースの概念の起源について次のようにコメントしている:

{{quote|端末イメージの独特の表現によって生成され、サイバースペース・マトリックスの生成で提示されたギブスンのビジョンは、10代の若者が[[アーケードゲーム]]で遊んでいるのを見たときに思い浮かんだ。彼らの姿勢の肉体的な強さと、これらのゲームによって投影された端末空間の現実的な解釈(画面の後に実際の空間があるように)は、それ自体の表現による現実の操作を明らかにした
<ref name="rapatzikou">{{cite book | last = Rapatzikou | first = Tatiani | title = Gothic Motifs in the Fiction of William Gibson | publisher = Rodopi | location = Amsterdam | year = 2004 | isbn = 978-90-420-1761-0 |oclc = 55807961}}</ref>。}}

ギブスンは、自身の「電脳」および「橋」三部作によって、都市の社会構造の概念について情報化時代の前兆を探求した、数少ない観測者の一人とみなされている<ref name="posturbanism">{{cite journal |last=Dear |first=Michael |author2=Steven Flusty |date=March 1998 |title=Postmodern Urbanism |journal=Annals of the Association of American Geographers |volume=88 |issue=1 |pages=50–72 |doi=10.1111/1467-8306.00084}}</ref>。とは言うものの、ギブスンのビジョンに対するすべての反応が肯定的と言うわけではなく、バーチャルリアリティの先駆者である{{仮リンク|マーク・ペシ|en|Mark Pesce}}はギブスンの多大な影響と、ハッカーコミュニティの方向性にこれほど雄弁かつ感情的な影響を他にいないことを認めつつも<ref>{{cite web |url=http://web.mit.edu/comm-forum/papers/pesce.html |title=Magic Mirror: The Novel as a Software Development Platform |accessdate=December 2, 2007 |last=Pesce |first=Mark |website=MIT Communications Forum |publisher=[[Massachusetts Institute of Technology]]}}</ref>、「暴力と非実体化の思春期のファンタジーとしてこれらを退けた<ref name="pesce">{{cite news |url=http://www.salon.com/1998/06/13/feature947640934/ |title=3-D epiphany |accessdate=November 6, 2007 |last=Pesce |first=Mark |authorlink=:en:Mark Pesce |date=July 13, 1998 |work=[[Salon.com]]}}</ref>。『パターン・レコグニション』のプロットは、インターネット上のさまざまな場所に匿名で投稿された映画の断片を中心に展開する。小説の登場人物は、2006年の[[ロンリーガールフィフティーン]]現象を予想して、いくつかのWebサイトで映画製作者のアイデンティティ、動機、方法、インプイレーションについて推測しているしかしながら、ギブスンは後にロンリーガールフィフティーンの製作者たちが自作に影響されたという考え方を否定している<ref>edition of August 14, 2006 of the free daily ''[[:en:Metro International|Metro International]]'', interview by Amy Benfer (amybenfer (at) metro.us)</ref>。ギブスンが予想するもう1つの現象は、[[全米警察24時 コップス|COPS]]の風刺的な外挿バージョンを特徴とする『ヴァーチャル・ライト』のような[[リアリティ番組]]の台頭である<ref name="crier">{{cite journal |last=Parker |first=T. Virgil |date=Summer 2007 |title=William Gibson: Sci-Fi Icon Becomes Prophet of the Present |journal=College Crier |volume=6 |issue=2 |url=http://www.collegecrier.com/interviews/int-0040.asp |accessdate= October 14, 2007|archiveurl = https://web.archive.org/web/20071009042217/http://www.collegecrier.com/interviews/int-0040.asp |archivedate = October 9, 2007|url-status=dead}}</ref><ref>{{cite news |url=http://www.williamgibsonbooks.com/blog/2003_09_01_archive.asp#106252098607282247 |title=Humility and Prescience |accessdate=November 26, 2007 |last=Gibson |first=William |date=September 3, 2003 |work=Salon.com |url-status=dead |archiveurl=https://web.archive.org/web/20061230140902/http://www.williamgibsonbooks.com/blog/2003_09_01_archive.asp#106252098607282247 |archivedate=December 30, 2006 |df=mdy-all }}</ref>。

{{Quote box|align=right|width=35%|先見の明のある作家で大丈夫です。 預言者というのは真実ではありません。1991年に初めてブルース・スターリングに会ったとき、すぐにブルース・スターリングが好きになった理由の1つです。[原文のまま]私たちは握手をして、彼は「我々は素晴らしい仕事をした。 我々は山師になる必要があり、それに対して報酬が支払われる。我々はこれをたわごとにし、人々はそれを信じている」と言いました。|salign=right|source=—2008年3月のActuSfとのインタビューでのギブソン<ref name=actusf>{{cite interview |last=Gibson |first=William |interviewer=Eric Holstein |interviewer2=Raoul Abdaloff |title=Interview de William Gibson VO |url=http://www.actusf.com/spip/article-5710.html |type=transcription |work=ActuSF |location=Paris | date=March 2008 |accessdate=April 6, 2008}}</ref>}}

1988年にとあるインタビュワーがギブスンの著作の中の[[電子掲示板|BBS]]の隠語について訪ねたとき、ギブスンは「『ニューロマンサー』を書いた時にはそれほどPCに触れていなかった」と答えたが、BBSのコミュニティとも重複するサイエンスフィクションのコミュニティには精通しているとも同様に、小説の中には登場するが、コンピューターゲームで遊んでもいなかった<ref name="gibson198809">{{cite news | title=An Interview with William Gibson | url=http://www.cgwmuseum.org/galleries/index.php?year=1988&pub=2&id=51 | work=Computer Gaming World | date=September 1988 | accessdate=November 3, 2013 | page=30}}</ref>。ギブスンは『ニューロマンサー』を、ギブスンいわく「[[アーネスト・ヘミングウェイ|ヘミングウェイ]]が野外で使用したであろう種類」の1927年製でオリーブ・グリーンのエルメス・ポータブル・タイプライターで書いた<ref name="mail&guardian"/>
{{r|gibson198809}}{{efn|1=ギブスンは1992年7月16日付の、『モナリザ・オーヴァドライヴ』の「著者あとがき」に次のように書いている。

<blockquote>『ニューロマンサー』は、チバ・シティのジュリー・ディーンのオフィスでちらっと見たことを思い出すかもしれない「時計仕掛けのタイプライター」で書かれました。この機械、エルメス2000手動ポータブルは1930年代のいつかのものです。これはスイスの[[イヴェルドン・レ・バン|イヴェルドン]]のE. PAILLAED & Cie S.A. の工場からの、非常にタフで、エレガントな作品です。ケースに入れた状態で、私が今執筆に使っている[[Macintosh SE/30]]よりも少し軽く、おそらく会計士の元帳のカバーを思わせることを意図した、興味深い緑と黒の結晶塗装仕上げになっている。そのキーもまたセルロイドの緑色で、その上の文字と記号はカナリアイエローです。(私は一度シフトキーを煙草の火口で磨いたことがあり、この初期のプラスチックの極端な燃えやすさを劇的に確認しました。)その当時、ヘルメス2000は世界でもっともすぐれた持ち運べる執筆マシンの一つであり、もっとも高価なものの一つでした。このタイプライターは、なんらかのジャーナリストであり、ロバート・バーンズの詩に関する称賛のエッセイを書いた、妻の義理の祖父のものでした。私はこれで最初は工学部での論文を書き、初期の短編や、そのあとのニューロマンサーでも、すべて実際にコンピューターに触れることはありませんでした。</blockquote>}}。1988年までに、ギブスンは執筆に[[Apple IIc]]と[[AppleWorks]]をモデム(「私は本当に何も使っていません」)とともにを使用していたが{{r|gibson198809}}、通信することで執筆から気をそらされるのを避けたいと言う理由から、1996年になるまでは電子メールアドレスを持っていなかった<ref name="josefsson"/>。ギブスンが初めてWebサイトにアクセスしたのは、『あいどる』執筆中にWeb開発者がギブスンのためにサイト構築したときだった<ref name="salon interview">{{cite web |url=http://www.salon.com/weekly/gibson961014.html |title=William Gibson Webmaster |accessdate=November 6, 2007 |last=Rosenberg |first=Scott |website=The Salon Interview |publisher=[[Salon.com]] |archiveurl=https://web.archive.org/web/20070907144823/http://www.salon.com/weekly/gibson961014.html <!--Added by H3llBot--> |archivedate=September 7, 2007 }}</ref>。2007年に「2005年の[[PowerBook G4]]、[[ギガバイト|ギガ]]のメモリー、[[ルーター#ブロードバンドルーター|ワイヤレスルーター]]を持っている。それだけ。私は一般的にはアーリーアダプターではない。実際、私はコンピューター自体にあまり興味を持ったことはない。コンピューターを見ないで、人々がその周りでどのように振る舞うのかを見ている。すべてのものが「その周り」にあるので、そうするのはますます難しくなっている」と語っている<ref name="spook-country"/>。

== 代表的な作品 ==
{{main|{{仮リンク|ウィリアム・ギブスンの作品一覧|en|List of works by William Gibson}}}}
{{col-begin|width=auto}}{{col-break}}


== 作品リスト ==
=== 長編 ===
=== 長編 ===
「電脳」三部作(スプロール・シリーズ)。2011年現在『ニューロマンサー』以外は絶版。
「電脳」三部作(スプロール・シリーズ)。2011年現在『ニューロマンサー』以外は絶版。
46行目: 390行目:
*''Mona Lisa Overdrive'' (1988):1988年ネビュラ賞、1989年ヒューゴー賞、ローカス賞ノミネート
*''Mona Lisa Overdrive'' (1988):1988年ネビュラ賞、1989年ヒューゴー賞、ローカス賞ノミネート
**『モナリザ・オーヴァドライヴ』:黒丸尚訳、早川書房〈ハヤカワ文庫SF〉、1989年
**『モナリザ・オーヴァドライヴ』:黒丸尚訳、早川書房〈ハヤカワ文庫SF〉、1989年

共著
*''The Difference Engine'' (1990):[[ブルース・スターリング]]と共著
*''The Difference Engine'' (1990):[[ブルース・スターリング]]と共著
**『ディファレンス・エンジン』:黒丸尚訳、角川書店、1991年
**『ディファレンス・エンジン』:黒丸尚訳、角川書店、1991年
**角川書店〈角川文庫〉、2分冊、1993年
**角川書店〈角川文庫〉、2分冊、1993年
**早川書房〈ハヤカワ文庫SF〉、2分冊、2008年
**早川書房〈ハヤカワ文庫SF〉、2分冊、2008年

「橋」三部作
「橋」三部作
*''Virtual Light'' (1993):1994年ヒューゴー賞、ローカス賞ノミネート
*''Virtual Light'' (1993):1994年ヒューゴー賞、ローカス賞ノミネート
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*''All Tomorrow's Parties'' (1999)
*''All Tomorrow's Parties'' (1999)
**『フューチャーマチック』:浅倉久志訳、角川書店、2000年
**『フューチャーマチック』:浅倉久志訳、角川書店、2000年
* ブルー・アント三部作 Blue Ant trilogy ([[:en:Hubertus Bigend|Hubertus Bigend]]):

その他
*''Pattern Recognition'' (2003)
*''Pattern Recognition'' (2003)
**『パターン・レコグニション』:浅倉久志訳、角川書店、2004年
**『パターン・レコグニション』:浅倉久志訳、角川書店、2004年
*''Spook Country'' (2007)
*''Spook Country'' (2007)
**『スプーク・カントリー』:浅倉久志訳、早川書房〈海外SFノヴェルズ〉、2008年
**『スプーク・カントリー』:浅倉久志訳、早川書房〈海外SFノヴェルズ〉、2008年
*''Zero History'' (2010)
*''[[:en:Zero History|Zero History]]'' (2010)
* ジャックポット三部作
*''The Peripheral'' (2014)
** ''[[:en:The Peripheral|The Peripheral]]'' (2014)
*Agency(2020)
** ''[[:en:Agency (novel)|Agency]]'' (2020)
** ''Jackpot'' (刊行予定) <ref>https://twitter.com/GreatDismal/status/1288318396249944064</ref>
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=== 脚本 ===
* ''[[:en:Archangel (Gibson comic)|Archangel]]'' (2016–2017) <small>([[グラフィックノベル]])</small>
* ''[[エイリアン3|Alien 3]]'' (2018–2019) <small>([[グラフィックノベル]])</small>
* ''[[エイリアン3|Alien III]]'' (2019) <small>([[ラジオドラマ|オーディオドラマ]])</small>


=== 短編 ===
=== 短編 ===
*''Burning Chrome'' (1986)
*''Burning Chrome'' (1986)
**『[[クローム襲撃]]』:浅倉久志・他訳、早川書房〈ハヤカワ文庫SF〉、1987年
**『[[クローム襲撃]]』:浅倉久志・他訳、早川書房〈ハヤカワ文庫SF〉、1987年
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***ドッグファイト (Dogfight): [[マイクル・スワンウィック]]との共著
***ドッグファイト (Dogfight): [[マイクル・スワンウィック]]との共著
***クローム襲撃 (Burning Chrome)
***クローム襲撃 (Burning Chrome)
*''Skinner's Room'' (1990):後に『ヴァーチャル・ライト』に発展する短篇
**「スキナーの部屋」:浅倉久志訳、巽孝之編「この不思議な地球で 世紀末SF傑作選」所収、紀伊之國屋書店、1996年

=== ノンフィクション ===
* ''[[:en:Agrippa (A Book of the Dead)|Agrippa (A Book of the Dead)]]'' (1992) – 芸術家デニス・アッシュボウとの共作から生まれた、ギブスンの自伝的テクストとアーティスト・ブック
* ''[[:en:Distrust That Particular Flavor|Distrust That Particular Flavor]]'' (2012)
* "[[:en:Disneyland with the Death Penalty|Disneyland with the Death Penalty]]" – 1993年の [[WIRED (雑誌)|Wired誌]]の記事
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=== その他 ===
=== その他 ===
*ブルース・スターリング『蝉の女王』ハヤカワ文庫SF、1989年:序文
*ブルース・スターリング『蝉の女王』ハヤカワ文庫SF、1989年:序文
*''Skinner's Room'' (1990):後に『ヴァーチャル・ライト』に発展する短篇
**『スキナーの部屋』:浅倉久志訳、巽孝之編「この不思議な地球で 世紀末SF傑作選」所収、紀伊之國屋書店、1996年
*''The Beloved (Voices for Three Heads)'' in ''ARTRANDOM Robert Longo'' 京都書院、1991年:詩
*''The Beloved (Voices for Three Heads)'' in ''ARTRANDOM Robert Longo'' 京都書院、1991年:詩
**愛する人(みっつの頭のための声):黒丸尚訳、上記書籍に併録
**愛する人(みっつの頭のための声):黒丸尚訳、上記書籍に併録
*''Agrippa (A Book of the Dead)'' (1992):芸術家デニス・アッシュボウとの共作から生まれた、ギブスンの自伝的テクスト
*''Johnny Mnemonic'' (1995):映画「JM」の脚本と短篇「Johnny Mnemonic」を収録
*''Johnny Mnemonic'' (1995):映画「JM」の脚本と短篇「Johnny Mnemonic」を収録
**『JMハンドブック』:ギャガコミュニケーションズ、1995年
**『JMハンドブック』:ギャガコミュニケーションズ、1995年
*[[イエロー・マジック・オーケストラ|YMO]]『[[テクノドン]]』1993年:''Floating Away''の作詞と朗読を担当
*[[イエロー・マジック・オーケストラ|YMO]]『[[テクノドン]]』1993年:''Floating Away''の作詞と朗読を担当
*現代作家ガイド3「ウィリアム・ギブスン」巽孝之編、彩流社、1997年:インタビューや、短篇「ダンボール都市13景」を収録
*現代作家ガイド3「ウィリアム・ギブスン」巽孝之編、彩流社、1997年:インタビューや、短篇「ダンボール都市13景」を収録
*''William Gibson - No Maps for These Territories'' :ギブスンへのインタビューを収録したドキュメンタリー。1999年撮影
**日本版『No Maps ウイリアム・ギブスンとの対話』2005年
*Larry and Andy Wachowski ''Matrix - The Shooting Script'' (2001):序文
*Larry and Andy Wachowski ''Matrix - The Shooting Script'' (2001):序文
**映画『マトリックス』のパンフレットにも収録されている
**映画『マトリックス』のパンフレットにも収録されている
110行目: 461行目:
**[[天野喜孝]]がヒロシとして、[[坂本龍一]]がホサカの重役として登場する
**[[天野喜孝]]がヒロシとして、[[坂本龍一]]がホサカの重役として登場する


== 作品傾向 ==
== メディアへ出演 ==
*''William Gibson - No Maps for These Territories'' (2000):ギブスンへのインタビューを収録したドキュメンタリー。1999年撮影<ref>[https://www.imdb.com/title/tt0269629/]</ref>
退廃した社会と高度な[[技術|テクノロジー]]というスタイルを好み、その世界に住む人間の心理的な根底を汲み出すことでストーリーを展開させる。
**日本版『No Maps ウイリアム・ギブスンとの対話』2005年
* Making of 'Johnny Mnemonic' (1995) <ref>[https://www.imdb.com/title/tt0824760/ Making of 'Johnny Mnemonic']</ref>
* Cyberpunk (1990) <ref>[https://www.imdb.com/title/tt0398910/ Cyberpunk]</ref>


== 注釈 ==
また、世界観の構築上で「[[スプロール]]」(無秩序に郊外へ拡散する都市様式)という状況を好み、大規模建造物に寄生して、そこの住民により付け足された部分が増殖し、更には都市の隙間や空白地帯に、都市伝説のようなものが芽生えるさまを描く事もある。
{{notelist}}


== 脚注 ==
彼の作品に影響された[[サイエンス・フィクション|SF]]や[[映画]]、[[漫画|コミック]]等の娯楽作品は数知れず、その中には、日本の漫画/アニメ『[[攻殻機動隊]]』や爆発的ヒットを記録した映画『[[マトリックス (映画)|マトリックス]]』シリーズも含まれる。その影響には、以下のようなものがある。
{{Reflist|refs=
*進化した[[人工知能|AI]](人工知能)が自我を持って神のようにふるまうこと
<ref name=isfdb>
*別々の存在が融合し、ネット上に拡散して上位的存在となること
{{isfdb name |172}} ('''ISFDB'''). Retrieved April 13, 2013. Select a title to see its linked publication history and general information. Select a particular edition (title) for more data at that level, such as a front cover image or linked contents.</ref>
*仮想現実空間を[[マトリックス]]と呼ぶこと
<!-- some awards refs -->
*聖域「[[ザイオン]]」 の存在
<ref name=SFAwards>
*[[インプラント]]プラグ(人体に埋め込んだプラグ)へのケーブル接続によるサイバースペース侵入
[http://www.locusmag.com/SFAwards/Db/NomLit52.html#1945 "Gibson, William"] {{webarchive|url=https://web.archive.org/web/20101207010245/http://www.locusmag.com/SFAwards/Db/NomLit52.html |date=December 7, 2010 }}. ''The Locus Index to SF Awards: Index of Literary Nominees''. [[:en:Locus Publications|Locus Publications]]. Retrieved April 12, 2013.</ref>
*透明スーツ([[光学迷彩]])『擬態ポリカーボン』
<ref name=sfhof2008>
*人間を[[ハッキング]]して操るAI『人形使い』
{{cite web|url=http://www.empsfm.org/press/index.asp?articleID=1259 |title=2008 Science Fiction Hall of Fame Ceremony Tickets On Sale May 15 |accessdate=2013-03-21 |url-status=dead |archiveurl=https://web.archive.org/web/20080510121729/http://www.empsfm.org/press/index.asp?articleID=1259 |archivedate=May 10, 2008 }}. Press release April/May 2008. Experience Music Project and Science Fiction Museum and Hall of Fame (''empsfm.org''). Archived May 10, 2008. Retrieved 2013-03-19.</ref>
*電脳を通じて他者の視覚情報や感覚を共有できること
}}
*ハッカーに対する攻撃的防御プログラム(→[[攻性防壁]])
*眼球の代替物として顔に埋め込まれたミラーシェードのグラス

当初、[[ウォシャウスキー兄弟]]は『ニューロマンサー』そのものを映画化しようとしたが、スポンサーサイドが[[ピカレスク]]小説であることに難色を示し、現在の『マトリックス』へと企画が変更された。なお『マトリックス』のパンフレットにはギブスン自身による映画の解説も載っている。2作目の『リローデッド』編の劇中で『ニューロマンサー』の続編と同題の『モナリザ・オーバードライブ』という曲が流れるのも、かなり意図的である。ちなみに、そのプレゼンテーションの際に、『攻殻機動隊』の映画そのものを使って「こういう映画を作りたい」とアピールしたと本人たちが語っている。

=== 日本とギブスン ===
日本の[[技術|テクノロジー]]や[[風土]]・精神性・社会・[[メディア (媒体)|メディア]]には強い関心があり、作品中にしばしば日本風のものが登場する。

作中の「[[サムライ]]」、「[[ニンジャ]]」とはストリート上の[[傭兵]]・用心棒的な存在であるが、俸給に対して忠義心が強く、契約に忠実で死すら厭わない者として描いている。[[ヤクザ]]は作品世界における[[マフィア]]コミュニティであるが、「ネオン菊の息子達」と形容され、畏怖を以て語られる対象として描かれている。

また日本企業らしき「オノ・センダイ」等の企業名や、「[[千葉市|チバ]]」に代表される日本の実在の地名を[[サイバネティックス]][[医学|医療技術]]で先端を行く[[国際都市]]として登場させるなどしている。


== 参考資料 ==
『ニューロマンサー』に登場する殺し屋・モリィのデザインは短篇『記憶屋ジョニィ』が『[[S-Fマガジン]]』1986年11月号で初めて日本で翻訳された際に[[末弥純]]が描いた挿絵に影響を受けたものである。

『モナリザ・オーヴァドライブ』では日本人の少女・久美子が準主役として登場し、『ヴァーチャル・ライト』では大震災[[ゴジラ (架空の怪獣)|ゴジラ]]により東京が壊滅したことが語られる。また、その後の作品『あいどる』、『フューチャーマチック』、『パターン・レコグニション』では日本が舞台として登場する。

== 参考文献 ==
* {{cite book | last = Olsen | first = Lance | title = William Gibson | publisher = Borgo Press | location = San Bernardino | year = 1992 | isbn = 978-1-55742-198-2 | oclc = 27254726}}
* {{cite book | last = Olsen | first = Lance | title = William Gibson | publisher = Borgo Press | location = San Bernardino | year = 1992 | isbn = 978-1-55742-198-2 | oclc = 27254726}}
* {{cite book | last = Cavallaro | first = Dani | title = Cyberpunk and Cyberculture: Science Fiction and the Work of William Gibson | publisher = Athlone Press | location = London | year = 2000 | isbn = 978-0-485-00607-0 | oclc = 43751735}}
* {{cite book | last = Cavallaro | first = Dani | title = Cyberpunk and Cyberculture: Science Fiction and the Work of William Gibson | publisher = Athlone Press | location = London | year = 2000 | isbn = 978-0-485-00607-0 | oclc = 43751735}}
* {{cite book | last = Tatsumi | first = Takayuki | authorlink=巽孝之 |title = Full Metal Apache: Transactions between Cyberpunk Japan and Avant-Pop America | publisher = Duke University Press | location = Durham | year = 2006 | isbn = 978-0-8223-3774-4 | oclc = 63125607}}
* {{cite book | last = Tatsumi | first = Takayuki | authorlink=:en:Takayuki Tatsumi |title = Full Metal Apache: Transactions between Cyberpunk Japan and Avant-Pop America | url = https://archive.org/details/fullmetalapachet0000tats | url-access = registration | publisher = Duke University Press | location = Durham | year = 2006 | isbn = 978-0-8223-3774-4 | oclc = 63125607}}
* {{cite book |editor-last=Yoke |editor-first=Carl B. | editor2 = Robinson, Carol | title = The Cultural Influences of William Gibson, the "Father" of Cyberpunk Science Fiction | publisher = Edwin Mellen Pr | location = [[Lewiston, New York]] | year = 2007 | isbn = 978-0-7734-5467-5 |oclc=173809083}}
* {{cite book |editor-last=Yoke |editor-first=Carl B. | editor2 = Robinson, Carol | title = The Cultural Influences of William Gibson, the "Father" of Cyberpunk Science Fiction | publisher = Edwin Mellen Pr | location = [[:en:Lewiston, New York|Lewiston, New York]] | year = 2007 | isbn = 978-0-7734-5467-5 |oclc=173809083}}

== 関連項目 ==
{{Commonscat}}
*[[良心的兵役拒否]]
*[[東洋エンタープライズ#バズリクソンズ|バズリクソンズ]]


== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
{{commonscat}}
*[http://www.williamgibsonbooks.com/ Official Website]
{{sisterlinks|wikt=no|n=no|b=no|s=no|v=no|q=en:William Gibson|commons=no|author=yes|d=Q188987|species=no|m=no|mw=no|voy=no}}

* {{Official website}}
* [http://canadian-writers.athabascau.ca/english/writers/wgibson/biblio_by.php Bibliography] from the Centre for Language and Literature, [[:en:Athabasca University|Athabasca University]]
* {{worldcat id|id=lccn-n85-146890}}
* {{iMDb name|0317218|William Gibson}}
* {{isfdb name|172}} (including bibliography of selected interviews)
* [http://www.antonraubenweiss.com/gibson/ William Gibson aleph] – an extensive site dedicated to the author and his works (last updated Nov 2010)
* {{cite journal| url=http://www.theparisreview.org/interviews/6089/the-art-of-fiction-no-211-william-gibson| title=William Gibson, The Art of Fiction No. 211| author=David Wallace-Wells| date=Summer 2011| journal=The Paris Review | volume=Summer 2011| issue=197}}
* {{sfhof |1282 |William Gibson}}
* {{OL author}}
* {{Internet Archive author|sname=William Gibson}}
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{{Normdaten}}

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2020年12月30日 (水) 01:47時点における版

ウィリアム・ギブスン
William Gibson
2008年のギブスン
誕生 1948年3月17日
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国サウスカロライナ州コンウェイ
職業 小説家SF作家
ジャンル SF
主な受賞歴 ネビュラ賞フィリップ・K・ディック賞ヒューゴー賞ローカス賞
公式サイト williamgibsonbooks.com
ウィキポータル 文学
テンプレートを表示
William Gibson

ウィリアム・フォード・ギブスン(William Ford Gibson、1948年3月17日 - )は、アメリカ合衆国サウスカロライナ州コンウェイ生まれの小説家SF作家随筆家サイエンス・フィクションのサブジャンルの一つ「サイバーパンク」の代表的な作家。ブリティッシュコロンビア大学英文科卒業。カナダ在住。1970年代後半に執筆活動を始め、初期の作品は1990年代にインターネットが普及する以前の情報化時代において、テクノロジーサイバネティックスコンピューター・ネットワークが人間に与える影響(「ローライフハイテクの組み合わせ」[1])を探求し、図像学の作成に役立つ、ノワールで近未来の物語だった。

ギブスンは1982年の短編小説『クローム襲撃』で「広く行き渡り、相互接続されたディジタル技術」を示す「サイバースペース」という用語を作り出し、その後の絶賛された1984年のデビュー長編『ニューロマンサー』でその概念を広めた[2]。これらのギブスンの初期の作品は、1980年代にSF文学を「革新」したとみなされている。

『ニューロマンサー』のストーリーをさらに2作の小説(1986年の『カウント・ゼロ』と1988年の『モナリザ・オーヴァドライヴ英語版』)で拡張して「電脳」三部作を完成させたのち、ギブスンはブルース・スターリングとサイエンス・フィクションのサブジャンルの一つ、スチームパンクの重要な作品となる1990年の歴史改変小説ディファレンス・エンジン英語版』を共作した。

1990年代、ギブスンは近未来の都市環境、脱工業化社会晩期資本主義社会学的発展を探求した「橋」三部作を執筆した。世紀の変わり目と9/11のできごとのあとでほぼ現代の世界を舞台にしたより現実主義的な一連の小説(2003年の『パターン・レコグニション英語版』、2007年の『スプーク・カントリー英語版』、2010年の Zero History)を発表した。これらの作品によってはじめて主流のベストセラーリストにも載るようになった。より最近の小説 The Peripheral(2014年)と Agency(2020年)ではテクノロジーと認識可能なサイエンス・フィクションのテーマとのより明白な関係に回帰している。

1999年、ガーディアン紙(UK)はギブスンを「おそらく過去20年間で最も重要な小説家」と表現し、シドニー・モーニング・ヘラルド(オーストラリア)は彼をサイバーパンクの「ノワール預言者」と呼んだ[3]。ギブスンはそのキャリアを通じて、20作以上の短編小説と10作の絶賛された長編小説(1作は共著)を書き、いくつかの主要な出版物に記事を寄稿し、パフォーマンス・アーティスト、映画製作者、ミュージシャンと幅広く協力してきた。彼の作品は、学界、デザイン、映画、文学、音楽、サイバーカルチャー、テクノロジーなど、さまざまな分野に影響を与えていると言われている。

生い立ち

1984年の70歳の誕生日パーティーでのウィリアム・S・バロウズ。バロウズは、他のどのビート世代の作家よりも、思春期のギブスンに重要な影響を与えた。

子供時代、引っ越し、そして思春期

ウィリアム・フォード・ギブスンはサウスカロライナ州の沿岸の都市コンウェイで生まれ幼少期のほとんどを両親が生まれ育ったアパラチアの小さな町、バージニア州ウィズビルですごした[4][5]。彼の家族は、父親が大きな建設会社の管理職として勤務していた関係で頻繁に引っ越すことになった[6]。バージニア州ノーフォークでは、ギブスンはパインズ小学校に通学したが、教師が読書を進めなかったために両親は落胆した[7]。ギブスンがまだ幼かったころ[注釈 1]、パインズ小学校に通い始めて一年余りが過ぎたときに[7]、父親が出張先のレストランで窒息死した[4]。ウィリアムに悪い知らせを伝えることができなかった母親は、誰かほかの人物に父親の死を伝えさせた[8]トム・マドックス英語版はギブスンが「アメリカでJ・G・バラードがこれまで夢に見ていたものと同じぐらい不穏でシュールなものとして育った」と述べている[9]

損失は​​、アーティストにとっての奇妙な利点がないわけではありません。私が尊敬するアーティストの経歴では、大きなトラウマ的な休憩はかなり一般的です。
—ウィリアム・ギブスン、ニューヨーク・タイムズのインタビュー、2007年8月19日[8]

父親の死の数字後、ギブンスと母親はノーフォークからウィズビルに帰ってきた[5][10]

ギブスンはのちにウィズビルを「近代性がある程度到達していたが、深く不信感を抱いていた場所」と表現し、彼の「生まれながらの文学文化」であるSFとの関係が始まったことを、その後の突然の追放感の原因としている[4]。12歳の時、ギブスンは「SF作家になること以上のものは何も望んでいなかった」[11]。ギブスンはジョージ・ウィズ高校でバスケットに打ち込んだものの非生産的な年月を過ごし、主に自室でレコードを聞いたり、本を読んだりして過ごしていた[7]。13歳の時、母親が知らないうちに、彼はビート・ジェネレーションの著作のアンソロジーを購入し、そこでアレン・ギンズバーグジャック・ケルアックウィリアム・S・バロウズの著作に触れることになった[12][13]。内気で不恰好なティーンエイジャーだったギブスンは、「非常に問題のある」モノカルチャーの中で育ち[11]、宗教を意識的に拒否し、SFや、バロウズや、ヘンリー・ミラーなどの作家を読み漁っていた[10][14]。ギブスンの学業成績の悪さに不満を感じた母親は、全寮制の学校に入れると彼を脅し、母親が驚いたことにギブスンは熱心に対応した[7]。夫の死後もウィズビルに住んでいた当時、「慢性的に不安と憂鬱を抱えていた」母親は、南カリフォルニアの学校を選ぶ余裕がなかったので、ギブスンをツーソンの南アリゾナ少年学校にギブスンを入学させた[4][5][10]。ギブスンは全寮制私立学校のシステムに憤慨していたが、のちに振り返って社会的に関与することを強制されたことに感謝していた[7]SAT (大学進学適性試験)で150点満点中の148点を獲得したが、数学では150点満点中の5点しかとれず、教師たちの落胆を誘った[7]

徴兵逃れ、亡命、カウンターカルチャー

2007年、ブリティッシュコロンビア州ビクトリア で開かれた『スプーク・カントリー』 Spook Country の朗読会でのギブスン。ギブスンはバンクーバー・マガジンの依頼で都市を舞台にした1985年の短編「冬のマーケット」以来、『スプーク・カントリー』までは積極的に地元を舞台にすることを避けていた[15]

18歳で母親を亡くしたギブスンは[7] 、学校を中退してカリフォルニアやヨーロッパを旅したり、カウンターカルチャーに没頭したりして、長い間孤立した生活を送っていた[5][10][14]。1967年、「ベトナム戦争の徴兵を避けるために」カナダへの移住を決意した[4][10]。徴兵の聴聞会では、ギブスンは面接官に正直に、自分の人生の意図は、存在する全ての 心を変える物質を試すことにあることを伝えた[16]。ギブスンは「文字通りに徴兵を忌避したわけではない、徴兵されても困りはしなかったから」と述べ[4]、聴聞会のあと帰宅してからトロントへのバスのチケットを購入し、1週間か2週間後に出発した[10]。ギブスンは2000年の伝記ドキュメンタリー No Maps for These Territories の中で自身の決断は「ヒッピーの女の子と寝たい」とか「ハシシにふけりたい」という願望よりも、良心的兵役拒否によって動機付けられたと述べている[10]。ギブスンは2008年のインタビューで次のように述べている:

私が作家としてスタートしたとき、やってはいけないところで徴兵忌避のための功績を上げていた。 徴兵を回避するという漠然とした考えを持ってカナダにたどり着いたが、その後、私は決して徴兵されなかったので、電話をかける必要はなかった。 もし本当に徴兵されていたらどうしていたかわからない。 当時の僕は、きつく包装されていたわけではなかった。 もし誰かが徴兵されていたら、泣いて帰っていたかもしれない。 もちろん、それは嫌だっただろうけどね。

ウィリアム・ギブスン、io9 のインタビュー、2008年6月10日[17]

数週間の名ばかりのホームレス生活の後、ギブスンはトロント初のヘッドショップ英語版のマネージャーとして雇われた[18]。ギブスンはこの街のアメリカ人徴兵忌避者の移民グループの臨床的うつ病、自殺、筋金入りの薬物乱用の堪え難さに気が付いた[10]。1967年のサマー・オブ・ラブの最中にトロントのヨークビルのヒッピー・サブカルチャーについてのCBSのニュースリールに出演し、500ドル(20週間分の家賃に相当する)の支払いを受け[19]、その後の旅の資金となった[20]ワシントンD.C.での「短期間の暴動に見舞われた期間」を除けば、ギブスンは1960年代の残りの期間をトロントで過ごし、そこでバンクーバー出身のデボラ・ジーン・トンプソンと出会い[21]、後にヨーロッパへと旅立った[4]。ギブスンは、彼らの旅はファシスト政権と有利な為替レートのヨーロッパ諸国に集中しており、ギリシャの列島や1970年のイスタンブールでの時間を含めて[22]、彼らは「ハードカレンシーのようなものがあるところにはどこも滞在するような余裕がなかった」からだと説明している[23]

二人は1972年に結婚し、ブリテッシュ・コロンビア州バンクーバーに住み着き、ギブスンが最初の子供の世話をしながら、妻の教師としての給料で生活していた。1970年代、ギブスンは救世軍の中古品点で低価格の品物を仕入れて専門業者に卸すことで生計を立てていた。[22]。仕事をするよりも、大学でよい成績を維持して手厚い学資補助を受ける方が簡単であることに気が付いたギブスンは[13]ブリティッシュ・コロンビア大学(UBC)に入学し、1977年に「退屈な英語の学士号」を取得した[4]。 英文学を学ぶことで、他の方法では読まなかったであろう幅位広いフィクションに接し、ポストモダン性への認識など、SF文化の中ではアクセスできないアイデアを与えてくれたとギブスンは評価している[24]。UBCではスーザン・ウッド英語版が教えるSFに関する最初のコースに参加し、その最後にギブスンの最初の短編小説「ホログラム薔薇のかけら英語版」を書くように勧められた[6]

初期の執筆とサイバーパンクの進化

ファシスト文学としてのハードSF小説をテーマに修士号の取得を検討したギブスンは[13]、卒業翌年に執筆を中断し、ある評論家の言葉を借りれば、パンク・レコードのコレクションを増やしたという[25]。この時期、ギブスンは母校の映画史コースの3年間務めたことなどの様々な仕事についた[6]。バンクーバーで開催された1980年か81年のSFコンヴェンションで見たものに我慢できなくなり、同じパネリストであり、パンクミュージシャンであり作家でもあるジョン・シャーリーと意気投合した。[26]。二人はすぐに生涯の友人となった。シャーリーはギブスンに対して、初期の短編を売り、真剣に書くようにと説得した[25][26]

1977年、初めての子育てに直面し、「キャリア」のようなものに絶対的な情熱を持っていなかった私は、12歳の息子がSFに興味を持っていることに気がついた。それと同時に、ニューヨークやロンドンから不気味な音が聞こえてきた。私はパンクを、10年前に社会の脇腹の奥深くに埋められていた、ゆっくりと発射された弾丸の爆発だと考えた。そして、私は書き始めた。
—ウィリアム・ギブスン、「1948年から」[4]

シャーリーを通じて、ギブスンはSF作家のブルース・スターリングルイス・シャイナーと接触し、彼らはギブスンの作品を読んで、スターリングが言うようにそれが「画期的な素材」であり、「我々の先入観を捨てて、バンクーバーから来たこの男を拾い上げる」必要があり、「これが前に進む道である」ことに気が付いた[10][27]。 ギブスンは1981年の秋にコロラド州デンバーで開催されたSFコンヴェンションでスターリングと会い、4人の聴衆に向けて最初のサイバースペースの短編小説「クローム襲撃」を朗読し、後にスターリングは「完全に理解してた」と述べている[10]

1982年10月、ギブスンはアルマジロコン出席のためにテキサス州オースティンを訪れ、シャーリー、スターリング、シャイナーとともに "Behind the Mirroshades: A Look at Punk SF" (ミラーシェードの向こう側:パンクSF概観)と言うパネルに登壇し、このパネルでシャイナーは「ムーブメントの感覚が固まった」と指摘している[27]。ロックンロール、MTV、日本、ファッション、ドラッグ、政治について話し合った週末を終え、「新しい枢軸ができた」と冗談交じりに宣言し、幹部たちを残してバンクーバーに向けて出発した[27]。スターリング、シャイナー、シャーリー、ギブスンはルーディ・ラッカーとともに急進的なサイバーパンク文学運動の中核を形成していった[28]

文学者としてのキャリア

初期の短編小説

ギブスンの初期の著作はサイバネティックスサイバースペース(コンピューター・シミュレートされた現実)技術が人類に与える影響についての近未来的な物語が中心である。ハイテクなスラム街、録音や放送による刺激(のちに『ニューロマンサー』で大きく取り上げられた”疑験(シムスティム)”パッケージに発展)、そしてテクノロジーと人間性のディストピア的交錯をテーマにした作品は1977年の夏に Unearth 誌に掲載された初の短編小説「ホログラム薔薇のかけら」ですでに明らかになっている[13][29]。後者のテーマへの執着は、ギブスンの友人であり、作家仲間でもあるブルース・スターリングによって、ギブスンの短編集『クローム襲撃』の紹介文の中で、「ギブスンのローライフとハイテクの古典的なワン・ツーの組み合わせ」と表現されている[30]

1981年初頭[29]、ギブスンの小説は オムニ誌と Univers 11 誌に掲載され、荒涼としたフィルム・ノワールのような雰囲気を醸し出していた。ギブスンは意識的に(『ガーンズバック連続体』で表明されていた「美的な反発」を感じていた)SFの主流からできる限り距離を起き、「マイナーなカルト的人物で、より小さなバラードのような存在になること」を最高の目標としていた[13]。スターリングが作品を配布し始めた時、彼は「人々は本当に困惑していた……つまり、人々は文字通り彼の段落を分析することができなかった……彼が発明した想像力豊かな比喩は、人々の理解を超えていた」ことを見出した[10]

ラリー・マカフェリーは、これらの初期の短編はギブスンの能力の閃きを見せたとコメントしているが、SF評論家のダーコ・スビンは、このジャンルの「最も遠い地平」を構成する「間違いなく(サイバーパンクの)最高の作品」であると評価している[26]。ギブスンが物語の中で展開したテーマ、「クローム襲撃」のスプロールの設定、「記憶屋ジョニー」のモリー・ミリオンズのキャラクターは、最終的に彼の最初の長編小説である『ニューロマンサー』で最高潮に達した[26]

『ニューロマンサー』

港の上の空は、死んだチャンネルにチューニングされたテレビの色だった。
—『ニューロマンサー』(1984年)冒頭

『ニューロマンサー』はテリー・カーの依頼でデビュー長編のみを特集したエース・サイエンス・フィクション・スペシャルの第二弾として刊行された。この作品を完成させるのに1年の猶予を与えられ[31]、ギブスンは、「四、五年先のこと」だと思っていた実際の小説全体を書かなければならないことへの「盲目の動物の恐怖」を理解した[13]。ギブスンが小説の3分の1を書いた頃に公開された1982年の画期的なサイバーパンク映画『ブレードランナー』の最初の20分を見た後、彼は「これで(『ニューロマンサー』は)終わりだと思った。誰もが、この驚くほど見栄えの良い映画から自分の視覚的な質感を得たと思うだろう」と考えた[32]。ギブスンはこの本の最初の3分の2を12回も書き直し、読者の注目を失うことを恐れ、出版後は「永遠に恥を書くことになる」と確信していたが、新人作家としての想像力の飛躍だった[13]

『ニューロマンサー』の出版はファンファーレでは迎えられなかったが、文化的な神経を刺激し[33]、あっという間にアンダーグラウンドな口コミでヒットした[26]ネビュラ賞ヒューゴー賞の両方でその年の最優秀小説として、最優秀のペーパーバックオリジナル作品として[34]フィリップ・K・ディック賞のSFの「三冠」を初めて受賞し[13]、最終的に全世界で650万部以上を売り上げた[35]

ローレンス・パーソンは、1998年に発表した「ポストサイバーパンク宣言に向けてのノート」の中で、『ニューロマンサー』を「典型的なサイバーパンク作品」と評価し[36]、2005年にはタイム誌の「1923年以降に書かれた英語小説のベスト100」にも選出され、「(『ニューロマンサー』が)登場した当時、どれほど過激な作品であったかを語ることはできない」と評している[37]。文芸評論家のラリー・マカフェリー英語版は、『ニューロマンサー』に登場するマトリックスの概念を、「データが人間の意識と踊り……人間の記憶が文字化され、機械化され、多国籍の情報システムが突然変異し、繁殖し、想像を絶する美しさと複雑さを持つ、神秘的で、何よりも人間ではない、驚くべき新しい構造体へと変化していく場所」と表現している[13]。ギブスンは後に『ニューロマンサー』の頃の自分自身について、「彼に一杯おごってあげようかな、でもお金を貸してあげようかな」とコメントし、この小説を「思春期の本」と表現している[10]。『ニューロマンサー』の成功は、35歳のギブスンの無名からの脱却に影響を与えることになった[38]

「電脳」三部作、『ディファレンス・エンジン』、そして「橋」三部作

サンフランシスコ・オークランド・ベイブリッジ、ギブスンの「橋」三部作で架空の不法居住地として舞台となった

ギブスンの評価の多くはいまだに『ニューロマンサー』に基づいているが、彼の作品はコンセプト的にも、スタイル的にも進化しつづている[39]。彼は次に The Log of the Mustang Sally と題した無関係なポストモダンなスペースオペラを書こうとしたが、ハードカバーの『カウント・ゼロ』のカバーアートについての不破のあとでアーバーハウスとの契約が守られなかった[40]The Log of the Mustang Sally を断念したギブスンは、代わりにラリー・マカフェリーの言葉を借りればサイバーパンク文学の「灯りを消した」作品である『モナリザ・オーヴァドライヴ』(1988年)を執筆した[13][26]。これは前の2作と共同の登場人物が登場する同じ宇宙を舞台にした集大成であり、この作品で「電脳」三部作を完成させた。この3部作はギブスンの名声を確固たるものにし[41]、2作目と3作目もネビュラ賞、ヒューゴー賞、ローカスSF賞にノミネートされた[42][43][44]

「電脳」三部作に続いてブルース・スターリングと共同執筆した1990年の歴史改変小説『ディファレンス・エンジン』が発表された。テクノロジーが発達したヴィクトリア朝のイギリスを舞台にしたこの小説は、著者のサバーパンクのルーツとは一線を画すものであった。この小説は1991年のネビュラ賞 長編小説部門に、1992年にはジョン・W・キャンベル記念賞にノミネートされ、この成功がスチームパンクと言う新しい文学のジャンルに注目を集め、現在まで最も有名な作品となっている[45][46]

ギブスンの2番目のシリーズである「橋」三部作は「ダークでコミカルな都市探偵物語」である[47]、『ヴァーチャル・ライト英語版』(1993年)、『あいどる英語版』(1996年)、『フューチャーマチック英語版』(1999年)から構成されている。三部作の1作目と3作目は、近未来のサンフランシスコを舞台にしており、3作ともギブスンが繰り返す技術的、物理的、精神的な超越というテーマを、最初の三部作よりも地に足をつけた、事実に即したスタイルで探求している[48]Salon.comアンドリュー・レナード英語版は「橋」三部作では、ギブスンの悪役は「電脳」三部作の多国籍企業やタブロイドテレビや有名人のカルトといいったものに変化していると指摘している[49]。あるレビュアーによると『ヴァーチャル・ライト』は「私企業と利益への動機が論理的な結論に至る末期の資本主義を描いている」とのことである[50]。資本主義の自然な進化としてマスメディアに関するこの議論はシチュエーション主義の代表作『スペクタクルの社会』の冒頭のセリフである。レナードの書評では『あいどる』はギブスンの「形への回帰」と呼ばれ[51]、評論家のスティーヴン・プール英語版は『フューチャーマチック』がギブスンの「SFの名手から近未来の気の利いた社会学者への発展」を示したと主張している[52]

ブルー・アント

考えられないような現在を描こうとしているような気がして、実際にSFの現在の最高の使い方は、どこに向かっているのかを予測しようとする試みよりも、むしろ現代の現実の探求に使うことだと感じている...…今日の科学でできる最高のことは、現在を探求するために科学を使うことである。地球は今、異星人の惑星だ。
CNNのインタビューでのウィリアム・ギブスン、1997年8月27日

『フューチャーマチック』の後、ギブスンは「ごく最近の過去のスペキュレイティヴ・フィクション」という継続的な物語を用いて、より現実的な書き方を採用し始めた[53]。SF評論家のジョン・クルートはこのアプローチを、伝統的なSFは「一貫した【今】から続く世界では」もはや不可能であるというギブスンの認識と解釈し、「新世紀のSF」として特徴付けている[54]。ギブスンの小説『パターン・リコグニション』(2003年)、『スプーク・カントリー』(2007年)、『ゼロ・ヒストリー』(2010年)は、同じ現代の宇宙を舞台にしており、「多かれ少なかれ我々が今生きているものと同じものであり[55]、ギブスンの作品を初めて主流のベストセラーリストに登場させた[56]。設定だけでなく、これらの小説には、謎のマーケティング会社『ブルー・アント』の従業員であるヒューバータス・ビッグエンドやパメラ・メインウェアリングなど、同じ登場人物が登場している。

ギブスンはツイッターでこのシリーズの小説を何と呼ぶべきか(「ビッグエンド・トリロジー?ブルー・アント・サイクル?何?」)と尋ねられたとき、「私は 『本』が好きだ。ビッグエンドの本」と答えた[57]。しかしながら「ビッグエンド」ではなく「ブルー・アント」が標準的な呼び名となっている[58][59]。後日、ギブスンは自分の三部作に名前を付けず、「人々がなんと呼ぶかを待つ」と明言しており[60]、2016年にはツイートで 「ブルー・アント・ブックス」を使っている[61]

この時代に特有の現象としては PR-OtakuNode Magazine という、それぞれ『パターン・レコグニション』と『スプーク・カントリー』に特化した、注釈付きファンサイトが独立して開設されたことである[62]。 これらのウェブサイトはGoogleウィキペディアのようなオンラインリソースを介して小説の参照や、ストーリーの要素を追跡し、その結果を照合して本質的に小説のハイパーテキスト版を作成した [63]。 評論家のジョン・サザーランド英語版はこの現象を「文学評論が行われている方法を完全に覆す」脅威として特徴付けた [64]

『パターン・レコグニション』の100ページほどを書いた時に起きた2001年9月11日の同時多発テロのあと、主人公のバックストーリーが突如不可解なものになってしまったので書き直さなければならなくなり、彼はこのことを「これまでに小説を書いてきた中で、もっとも奇妙な経験」と呼んだ[65]。この事件を歴史の結節点であり、「文化の外での経験」であり[66]、「ある意味では……21世紀の真の始まり」であると考えている[67]。ギブスンはこの襲撃事件を自身の執筆に役立てた最初の小説家の一人として知られている[15]。911以降のアメリカにおける文化の変化についての考察は、部族主義の復活や「社会の幼児化」など[68][69]、ギブスンの作品の主要なテーマとなった[70]。それにも関わらず、彼の著作の焦点は「パラノイアとテクノロジーの交差点にある」ことに変わりはない[71]

ジャックポット・ブックス

ギブスンの新しいシリーズの小説の第一弾 The Peripheral が2014年10月28日に出版された[72]。2013年4月19日にニューヨーク公立図書館でのイベントに出演し、この小説について簡単に説明し、"The Gone Hpatics" と題された第1章からの抜粋を朗読した[73]。物語の舞台は30年ほど先の未来と、さらに先の未来の2つの時代である[74]

続編の Agency は当初発表されていた2018年12月の出版予定から遅れて、2020年1月21日に出版された[75]。ギブスンはニューヨー誌の記事で、トランプ氏の当選とケンブリッジ・アナリティカをめぐる論争の両方が文章の再考と修正の原因になったと述べている[76]

2020年7月17日、ギブスンは「3作目で最終巻の仮タイトル:Jackpot」とツイートした[77]

グラフィック・ノベル

2017年、The PeripheralAgency の間に、ギブスンのコミック/グラフィック・ノベルの Archangel が出版された。ArchangelThe Peripheral のどちらにも(ある種の)タイムトラベルを含んでいるが、ギブスンは二つの作品が関連していないことを明らかにしている:「二つは【同じ世界】ではない。スプリッターとトランスコンテュニアル・バーチャリティは別のメカニズム(プロットのメカニズムも異なる)だ。」[78] この翌年、ダークホースコミックスはジョニー・クリスマスによるギブスンの『エイリアン3』の脚本のコミック化作品を5部に分けて出版を開始し[79]、2019年にハードカバーのコレクションとして出版した[80]

コラボレーション、適応、雑学

ブルース・スターリング、ギブスンとの共著で短編小説「赤い星、冬の軌道」(1983年)、スチームパンク小説『ディファレンス・エンジン』(1990年)がある。

文学でのコラボレーション

のちに短編集『クローム襲撃』に収録された短編の中には、他の作家との共著で書かれた作品が3編ある:ジョン・シャーリー英語版との「ふさわしい連中英語版」(1981年)、スターリングとの「赤い星、冬の軌道英語版」(1983年)[62]、そしてマイクル・スワンウィックとの「ドッグファイト」(1985年)である。ギブスンは以前にシャーリーの1980年の小説 City Come A-walkin' の序文を書いており[81]、二人のコラボレーションはシャーリーの短編集 Heatseeker (1989年)の序文でも続いている[82]。シャーリーは自身が数本の脚本を担当していたテレブドラマ『マックス・ヘッドルーム』向けに執筆するようにギブスンを説得したが、テレビネットワークは番組を打ち切った[83]

ギブスンとスターリングは1990年に短編小説 ”The Aangle of Goliad" で再び共作し[82]、すぐに長編歴史改変小説『ディファレンス・エンジン』(1990年)へと発展させた。二人はその後、1993年に米国科学アカデミーで開催された「技術と教育に関する会議(「アル・ゴアの人々」)での共同公演で、「公の場で夢を見るように招かれ」(ギブスン)、ディジタル・デバイドに反対し[84]、教育がインターネット上で行われるように、すべての学校をオンライン化することを提案して「みんなを驚かせた」[85]。 2007年のインタビューでギブスンは、スターリングには「第二の再帰的科学小説のアイデアがあり、それは素晴らしいアイデアだった」と明らかにしているが、その時点でギブスンは創造的に自由ではなかったためにこのコラボレーションを追求することができなかったと述べている[53]

1993年、ギブスンはイエロー・マジック・オーケストラのアルバム『テクノドン』にゲストボーカリストとして参加し[86][87]、デボラ・ハリーの『デブラヴェーション英語版』収録の "Dog Star girl" に詩を提供している[88]

映画化・脚本・出演

ギブスンが脚本家としての仕事を依頼されたのは、映画プロデューサーがタイのリゾート地のビーチで水浸しの『Neuromancer』のコピーを発見したのがきっかけだった[89]。映画の脚本を書こうとした彼の初期の努力は、完成品には至らず、「クローム襲撃」(キャスリン・ビグローが監督する予定だった)と "Neuro-Hotel" は、映画化を試みたものの実現しなかった[83]。1980年代後半には『エイリアン3』の初期バージョン(後に彼は「タルコフスキー的」と特徴づけた)を書いたが、そのうちのほとんどの要素は最終版では残っていない[83]。2018年から2019年にダークホースコミックスがギブスンのエイリアン3の脚本の5つの部分からなる脚色版をリリースし、ジョニー・クリスマスがイラストと脚色を担当した。2019年にAudibleがギブスンの脚本のオーディオドラマをリリースし、ダーク・マグス英語版が脚色し、マイケル・ビーンランス・ヘンリクセンがそれぞれの役を再演している[90]

ギブスンの初期の映画産業との関わりは、ハリウッドの超大作システムの枠組みをはるかに超えていた。ある時点で、アメリカのプロデューサーがソビエトのロックミュージシャンのヴィクトル・ツォイを主演に据えたソビエト=アメリカ合作に興味を示したことをきっかけに、彼はカザフの映画監督ラシード・ムグマノフ英語版と共同で脚本を書いた[91]。小説の執筆に追われていたにも関わらず、ギブスンは「ある種の横道にそれた未来のレニングラードを舞台にした、儀式的な暴力団の構想」という「素晴らしく奇妙なプロジェクト」を断念したくなく、自分の代理としてジャック・ウォマックをロシアに派遣した。ウォーマックのロシアでの経験は、映画を製作だけではなく(この見通しは、ツォイの交通事故死で中止となった)、最終的には彼の小説 Let's Put the Future Behind Us で最高潮に達し、ギブスンの『パターン・レコグニション』のロシア語の内容の多くに影響を与えた[91]。同じような運命は、1993年に九龍城砦が取り壊されるまでで九龍での撮影を計画していた[92]ギブスンと日本の映画監督の石井聰亙とのコラボレーションにも降りかかった[26]

短編や長編の小説以外にも、ギブスンはいくつかの映画やテレビドラマの脚本を書いている。

ギブスンのフィクションの翻案は限られた成功へと頻繁に選択され、提案されてきた。「電脳」三部作の世界を舞台にした2編の短編が映画向けに大まかに翻案されている:「記憶屋ジョニー」はギブスンが脚本を書き、キアヌ・リーブスドルフ・ラングレン北野武が出演で1995年に映画化され、「ニュー・ローズ・ホテル」はクリストファー・ウォーケンウィレム・デフォーアーシア・アルジェントが出演して1998年に映画化された。前者は本として史上初めて映画とCD-ROMのインタラクティブ・ビデオ・ゲームとして発売れた[50]。2013年の時点で、ヴィンチェンゾ・ナタリ監督は数年の企画地獄を経てもなお、『ニューロマンサー』をスクリーンに登場させることを望んでいた[93]。『カウント・ゼロ』は一時、マイケル・マン監督を起用して The Zen Differential として開発が進んでおり、「電脳」三部作の3作目となる『モナリザ・オーヴァドライヴ』もオプション化され、購入が決定している[94]。『あいどる』のアニメ化は2006年に開発中と発表され[95]、『パターン・レコグニション』はピーター・ウィアー監督で開発が進められていたが、ギブスンによると、ウィアーはすでにプロジェクトに関わっていないという[96]。2015年のロッテルダム国際映画祭ではギブスンの短編小説「ドッグファイト」をBAFTA賞受賞作家で監督のサイモン・パンメルが映画化した作品が発表された。ギブスンとマイクル・スワンウィックが共同執筆し、1985年にオムニ誌に発表されたこの短編は、ホット・プロパティ・フィルムのイギリス人プロデューサー、ジャニン・マーモットによって開発が進められている[97]

テレビはギブスンがコラボレートしたもう一つの領域であり、友人のトム・マドックス英語版と共に『X-ファイル』のエピソード「キル スウィッチ」(EN: "Kill Switch" )と「ファースト・パーソン・シューター」(EN: "First Person Shooter")の脚本を執筆し、アメリカでは1998年と2000年に20世紀フォックステレビジョンで放映された[39][98]。1998年にギブスンはスピンオフ出版物 Art of the X-Files を紹介するのに貢献した。ギブスンはテレビのミニシリーズ Wild Palms に、クリエエイターのブルース・ワグナー英語版の要望でカメオ出演した[99]。映画監督のオリバー・ストーンはシリーズ製作のためにギブスンの小説からいろいろと借用しており[47]、シリーズ打ち切りのあとでギブスンは「ホログラムの行き先」という記事を Wild Palms Reader に寄稿した[99]。ギブスンは2002年に別の演技の仕事を受け、ダグラス・クープランドとともに短編映画 Mon Amour Mon Parapluie で哲学者を演じた[100]。フィクション作品への出演とは別に、ギブスンはマーク・ニールによる伝記ドキュメンタリー映画 No Maps for These Territories の焦点だった。この映画はギブスンが北米横断ドライブをしながら自身の人生、文学のキャリア、文化的解釈のさまざまな側面について語る姿を追っている。映画にはジャック・ウォマックとブルース・スターリングへのインタビューと、ボノジ・エッジによる『ニューロマンサー』の朗読も取り上げられている[10]

カナダを拠点とするアニメーションスタジオの Last Studo Standing Inc. は2016年に短編「辺境」の映像化権を取得し、劇場用の短編映画と、テレビシリーズの両方を製作すると発表した。アダルト向けおよびSFベースのアニメーションを専門とするスタジオは、2018年のリリースを予定していた。

2018年の4月の時点で、Amazon.com はギブスンの長編小説 The Peripheral をもとにしたシリーズを企画していた[101]

展示会、詩、パフォーマンス

ギブスンは演劇集団ラ・フラ・デルス・バウスなどのパフォーマンスアーティストとしばしばコラボレーションしており、写真は2007年5月のシンガポール芸術祭でのパフォーマンス

ギブスンは数多くのパフォーマンスアートと一体化されたテキストを提供してきた。1989年10月、ギブスンは彫刻家で、後に映画『JM』を監督するロバート・ロンゴのとのコラボレーションのために[38]Dream Jumbo: Working the Absolutes (ドリーム・ジャンボ:絶対的な働き)というタイトルのテキストを書き、これはカリフォルニア大学ロサンゼルス校のロイス・ホールに展示されていた。3年後、バルセロナで開催された Art Futura '92 での、ピーター・ガブリエルの音楽と共にカール・シムズ英語版レベッカ・アレン英語版マーク・ペリントンの映像を使用した演劇集団ラ・フラ・デルス・バウス出演のパフォーマンス・ショー "Memory Palace" のためにオリジナルのテキストを提供した[86]。後にスティーヴ・ピカリングとチャーリー・シャーマンが脚色した『クローム襲撃』のシカゴ公演でドラマトゥルクと”電脳小道具”のデザインを担当したチャーリー・アタナスとギブスンが出会ったもArt Futura '92だった。ギブスンの最新の貢献は1997年にバンクーバーを拠点とするコンテンポラリー・ダンスカンパニーのHoly Body Tattooと、ギブスンの友人であり、後のWebマスターのクリストファー・ハルクロウとのコラボレーションだった[102]

1990年、ギブスンは6月14日から8月26日までサンフランシスコ近代美術館で開かれた展示会 "Visionary San Francisco" に貢献した[103]サンフランシスコ・オークランド・ベイブリッジが閉鎖されてホームレスに乗っ取られた、衰退したサンフランシスコを舞台にした短編小説「スキナーの部屋英語版」を書いたが、この設定は「橋」三部作で詳しく語られている。この作品は、老巧化した都市と、その崩壊しつつある橋の上にある、ハイテクのソーラーパワータワーに富裕層が住むサンフランシスコを構想した建築家のミン・ファンとクレイグ・ホジェッツによる展示に影響を与えた[104]。建築家の展示では、モニターにギブスンが登場し、未来について話し合い、「スキナーの部屋」からの引用を読み上げた[86]。ニューヨーク・タイムズ紙はこの展示会をギブスンの貢献に対するミンとホジェットの反応を「強力だが悲しい、そして少なからず皮肉な仕事」と呼んでいるにもかかわらず、「過去10年間に国内の美術館が立ち上げた建築と都市の領域に取り組む、最も野心的で称賛に値する取り組みの1つ」と称賛した[104]。この短編の少し異なるバージョンが一年後にオムニ誌に掲載された[105]

暗号

ギブスンの特に好評を博した作品は、芸術家のデニス・アッシュボウ英語版および出版人のケヴィン・ベゴス・ジュニアとのコラボレーション・プロジェクトに貢献した、300行の半ば自伝的な電子的な詩である Agrippa (a book of the dead) (「アグリッパ(死者の本)」、1992年)である[106]。ギブスンのテキストは、記憶の希薄な性質に焦点をあてており(タイトルは写真アルバムを示している)、元々はアッシュボウによるエッチングを含む、彼の本の裏表紙に埋め込まれて3.5インチフロッピーディスクに掲載されていた(一度本が開かれて光に曝されると消えてしまうことを意図していたが、そのようにはならなかった)。ギブスンはアッシュボウのデザインには「最終的には、テキストを1回だけ表示して、それ自体を食べることを目的とした、おそらく自分で自分を食べてしまうフロッピーディスクが含まれていた」とコメントしている[107]。多くのカラフルなレポートとは反対に、ディスケットが本当に「ハッキング」されることはなかったが、その代わりに詩は1992年12月にマンハッタンで上映されたビデオテープから手動で書き写され、翌日にはMindVoxの掲示板で公開されたが、これがインターネットで広く流通しているテキストである[108]

1992年の公開以来、Agrippa の謎は20年間隠されていた。多くの人がコードをハッキングしてプログラムを解読しようとし、コンパイル前のソースコードは失われて久しかった。"The Agrippa Files" のアラン・リウと彼のチームは[109]、Agrippaのコードを解読するためのツールとリソースを備えた大規模なWebサイトを構築した。メリーランド人文科学技術研究所英語版のマシュー・キルシェンバウムとディジタル・フォレンジック・ラボ、プログラムがどのように機能するかを理解するために暗号学者の助けを求めてトロント大学の暗号学の学生のクイン・デュポンと協力して[110]、賞金と引き換えに詩の意図的なスクランブルを解読するために参加者を募った "Cracking the Agrippa Code: The Challenge" を立ち上げた[111]。コードは2012年7月下旬に、ロバート・チャオによって解読された [110]

エッセイと短編ノンフィクション

ギブスンは新聞や雑誌にノンフィクション記事の散発的な寄稿者である。時折、Wired誌に長編記事を寄稿したり、ニューヨーク・タイムス紙に論説記事を寄稿したりしており、オブザーバー紙Addicted to Noiseニューヨーク・タイムズ・マガジンローリング・ストーン誌Details にも執筆している。ノンフィクションでの最初の主要な作品は、シンガポールという都市国家に関する記事「死刑のディズニーランド」で、Wiredはシンガポールから追放される結果となり、強烈な批判的な反響を呼んだ[112][113]。ギブスンは2003年1月からブログを書き始め、『パターン・レコグニション』に対する彼の反応を覗き見するような洞察を提供していたが、創作プロセスに悪影響を与えるかもしれないという懸念から、同年9月にブログを休止した[114][115]


2007年9月、ロンドンのブルームズベリーでのウィリアム・ギブスン。彼の小説は晩期資本主義脱工業化社会情報化社会の前兆を特徴付けたことで評論家から賞賛されている。

ギブスンは2004年10月にブログを再開し、『スプーク・カントリー』を執筆している間と、回数は少ないが『ゼロ・ヒストリー』を執筆している間に、小説からの短い連続性のない抜粋を、頻繁にブログに投稿していた[116]。 ギブスンが "GreatDismal" というペンネームでTwitter上で多作のマイクロブログを始めた後に、2009年7月までにブログは廃止された[117]。2012年、ギブスンは自身のノンフィクション作品集 Distrust That Particular Flavor を出版した[118]

影響力と認識

ギブスンの散文は多くの学者によって分析されており、その中には2011年に出版された専門書 William Gibson: A Literary Companion もある[119]。ギブスンは、1999年にガーディアン紙のスティーヴン・プールから「過去20年間で最も重要な小説家」と評された影響力のある作家であり[52]、デビュー長編『ニューロマンサー』で、初めて評論家の間で評価された。この小説は3つの主要なSF賞(ネビュラ賞フィリップ・K・ディック賞ヒューゴー賞)を受賞し、Mail & Guardian紙では「ゴンクール賞ブッカー賞ピューリッツァー賞を同じ年に受賞したSF作家の版」と評される前代未聞の快挙を成し遂げた[50]。『ニューロマンサー』は「1980年代後半の生活の喚起」として[120]、SF以外では前代未聞の批評家や人気者の注目を集めたが[13]オブザーバー紙は「ニューヨーク・タイムズ紙がこの小説に言及するのに10年もかかった」と指摘している[5]

ギブスンの作品はローラ・ミラーの言葉を借りれば[121]、「読者は、幻想的で、しばしば完全に偏執的なシナリオの中に、現代生活の驚くほど予言的な反映を見つけた」というように、SFファンに限らず、国際的に注目されている[6]。この作品はしばしは評論家によって脱工業化主義の文脈の中に位置付けられ、学者のデヴィッド・ブルンデによれば「既存の大規模なテクノ社会関係の鏡」の構築物であり[122]、ポストモダンの消費文化の物語版であるという[123]晩期資本主義の描写と[122]、「テクノロジーによって新たに問題化された主観性、人間の意識、行動の書き換え」について、評論家から賞賛されている[123]。タティアーニ・ラパヅィコウ(Tatiani Rapatzikou)は The Literary Encyclopedia にギブスンを、「北米で最も高く評価されているSF作家の一人」と書いている[6]

文化的意義

ウィリアム・ギブスン - 我々をクールにした男。
—サイバーパンク作家 リチャード・モーガン[124]

ギブスンは初期の短編小説において、当時広く「取るに足らない」と考えられていたSFというジャンルを効果的に「刷新」し、[6]ポストモダン的な美学によってSF研究の新たな視点の発展に影響を与えたと、ラパヅィコウは The Literary Encyclopedia の中で評価している[33]。映像作家のマリアンヌ・トレンチの言葉を借りれば、ギブスンのビジョンは「現実世界に火花を散らす」、「人々の考え方や話し方を決定づけた」と、SF文学では前例のないほどのものであった[125]。1984年に出版された『ニューロマンサー』は文化的な神経を刺激し[33]、ラリー・マキャフリーはギブスンを「ムーブメント全体を独創的で才能あると思わせる唯一の作家」として[13]、事実上サイバーパンク・ムーブメントを立ち上げたと称賛している[26][注釈 2]。サイバーパンクやスチームパンク小説での中心的な重要性はさておき、ギブスンの架空の作品は宇宙史家のドウェイン・A・デイ英語版によって、宇宙を舞台にしたSF(または「ソーラーSF」)の最高の例のいくつかとして歓迎されており、「おそらく、単なる逃避主義を超えて真に示唆に富む唯一の作品」とされている[126]

ギブスン(左)はサイバーパンク[124]、『スピーク・カントリー』の執筆中に技術的なアドバイスを受けた[127]コリイ・ドクトロウ(右)などのポストサイバーパンク作家に影響を与えた[128]

オブザーバー紙によれば、ギブスンの初期の小説は「一種のロードマップとして、新興のスラッカーおよびハッカー文化世代に受け入れられた」[5]。彼の小説を通して「サイバースペース」、「ネットサーフィン」、「侵入対抗電子機器英語版」、「ジャック・イン」、「神経インプラント英語版」などの用語がネット意識、仮想のやり取りおよび「ザ・マトリックス」などの概念と同様に一般的に使われるようになった[129]。「クローム襲撃」でギブスンはコンピューター・ネットワークの「大規模な合意による幻覚」を指す「サイバースペース」という用語を作り出した[注釈 3][130][131]。『ニューロマンサー』での使用を通じて、この用語は1990年代にWorld Wide Webの事実上の用語になるほどの認識を得た[132]。芸術家のダイク・ブレア英語版はギブスンの「簡潔で説明的なフレーズはエンジニアリングではなく、テクノロジーを取り巻くムードを捉えている」とコメントしている[133]

ギブスンの作品は何組かの人気ミュージシャンに影響を与え、彼のフィクションはスチュアート・ハム[注釈 4]ビリー・アイドル[注釈 5]ウォーレン・ジヴォン[注釈 6]デルトロン3030英語版ストレイライト・ラン英語版(このバンド名は『ニューロマンサー』に由来する)[137]ソニック・ユースらに参照されている。U2のアルバム『ZOOROPA』は『ニューロマンサー』から非常に影響を受けており[41]、ある時、バンドのコンサートツアーで『ニューロマンサー』の文章をスクロール表示することを計画していたが、最終的には実現しなかった。しかしながら、U2のメンバーは『ニューロマンサー』のオーディオブックにバックグラウンドミュージックを提供し、ギブスンの伝記ドキュメンタリー No Maps for These Territories にも出演した[138]。ギブスンは2005年にWIRED誌にバンドのヴァーティゴ・ツアーの記事を書いて恩返しした[139]。バンド en:ZeromanceZeromancer は『ニューロマンサー』からバンド名をとっている[140]

映画『マトリックス』(1999年)は、電脳三部作のタイトル、キャラクター、ストーリー要素からインスピレーションを得ている[141]。『マトリックス』のネオとトリニティーのキャラクターはボビー・ニューマーク(『カウント・ゼロ』)とモリー(「記憶屋ジョニー」、『ニューロマンサー』)に似ている[94]。ギブスンの『カウント・ゼロ』の主人公であるターナーのように、マトリックスのキャラクターは(それぞれヘリコプターを飛ばし、「カンフーを知る」ために)指示を頭に直接ダウンロードし、『ニューロマンサー』と『マトリックス』のどちらにも、人間による制御から自分自身を解放しようとする人工知能が登場する[94]。評論家は、『ニューロマンサー』と映画の撮影技法およびトーンとの間に著しい類似点があることを認めている[142]。ギブスンは、はじめは映画を見ることを避けていたにもかかわらず[10]、後に「間違いなく究極の『サイバーパンク』アーティファクト」と表現した[143]。2008年にギブスンはサイモンフレイザー大学とコースタル・カロライナ大学から名誉博士号を授与された[144]。同年、彼は親友であり協力者でもあるジャック・ウォマックをプレゼンターとして、サイエンスフィクションの殿堂入りを果たした[145]

先見の明の影響と予知

未来はすでにここにあります–それはただ均等に分配されていません。
— ウィリアム・ギブスン、2003年12月4日、エコノミスト紙からの引用[146]

『ニューロマンサー』の中で、ギブスンは1970年代のコンピュータネットワークから1980年代初頭に初期のインターネットが形成されてから2年後に視覚化されたインターネットを示すために最初に「マトリックス」という用語を使用した[147][148][149]。ギブスンはそれによってWorld Wide Webの起源の何年も前に世界的な通信ネットワークを想像していたが[39]、関連する概念はそれ以前にもSF作家を含む他の人によって想像されていた[注釈 7][注釈 2]。「クローム襲撃」を書いたとき、ギブスンは「自動車の遍在が物事を変えたのと同じように、[インターネット]が物事を変えるだろうという予感を持っていた」[10]。1995年に、ギブスンインターネットの出現、進化、成長を「今世紀で最も魅力的で前例のない人間の業績の1つ」と特定し、これは重要性の点で、都市の誕生と同等の新しい種類の文明であり[85]、そして2000年にそれが国民国家の死につながるだろうと予測した[10]

ギブスンはテクノロジー、デザイン、都市社会学およびサイバーカルチャーに対する、先見の明のある影響と予測的な調整で知られている。2008年3月14日にフランスのパリのScylla書店で撮影された画像。

観測筋はギブスンはインターネットが主流に受け入れられるずっと前に、情報化時代の図像を作成したことで広く知られていることから、Webの開発に対するギブスンの影響は予測を超えたと主張している[16]。ギブスンは『ニューロマンサー』で「自作自演」の概念を紹介し、バーチャルセックス英語版の現象を(参加型ではなく概念的に)発明したと信じられている[153]デスクトップ環境のデジタルアートの初期のパイオニアへの彼の影響は認められており[154]パーソンズ美術大学から名誉博士号を授与されている[155]。スティーブン・プールは「電脳」三部作の執筆において、ギブスンが「ビデオゲームとWebにおける仮想環境の爆発的な現実世界の成長のための概念的基盤」を築いたと主張している[52]。2000年の『ニューロマンサー』の再発行のあとがきで、著者仲間であるジャック・ウォマックは、1984年に『ニューロマンサー』が出版された後、ギブスンのサイバースペースのビジョンがインターネット(特にWeb)の発展に影響を与えた可能性があることを示唆し、「それを書き留めるという行為が実際にそれをもたらしたのなら?」と問いかけている[156]

ギブスン研究者のタティアーニ・G・ラパヅィコウは、 Gothic Motifs in the Fiction of William Gibson の中でサイバースペースの概念の起源について次のようにコメントしている:

端末イメージの独特の表現によって生成され、サイバースペース・マトリックスの生成で提示されたギブスンのビジョンは、10代の若者がアーケードゲームで遊んでいるのを見たときに思い浮かんだ。彼らの姿勢の肉体的な強さと、これらのゲームによって投影された端末空間の現実的な解釈(画面の後に実際の空間があるように)は、それ自体の表現による現実の操作を明らかにした [157]

ギブスンは、自身の「電脳」および「橋」三部作によって、都市の社会構造の概念について情報化時代の前兆を探求した、数少ない観測者の一人とみなされている[158]。とは言うものの、ギブスンのビジョンに対するすべての反応が肯定的と言うわけではなく、バーチャルリアリティの先駆者であるマーク・ペシ英語版はギブスンの多大な影響と、ハッカーコミュニティの方向性にこれほど雄弁かつ感情的な影響を他にいないことを認めつつも[159]、「暴力と非実体化の思春期のファンタジーとしてこれらを退けた[160]。『パターン・レコグニション』のプロットは、インターネット上のさまざまな場所に匿名で投稿された映画の断片を中心に展開する。小説の登場人物は、2006年のロンリーガールフィフティーン現象を予想して、いくつかのWebサイトで映画製作者のアイデンティティ、動機、方法、インプイレーションについて推測しているしかしながら、ギブスンは後にロンリーガールフィフティーンの製作者たちが自作に影響されたという考え方を否定している[161]。ギブスンが予想するもう1つの現象は、COPSの風刺的な外挿バージョンを特徴とする『ヴァーチャル・ライト』のようなリアリティ番組の台頭である[24][162]

先見の明のある作家で大丈夫です。 預言者というのは真実ではありません。1991年に初めてブルース・スターリングに会ったとき、すぐにブルース・スターリングが好きになった理由の1つです。[原文のまま]私たちは握手をして、彼は「我々は素晴らしい仕事をした。 我々は山師になる必要があり、それに対して報酬が支払われる。我々はこれをたわごとにし、人々はそれを信じている」と言いました。
—2008年3月のActuSfとのインタビューでのギブソン[69]

1988年にとあるインタビュワーがギブスンの著作の中のBBSの隠語について訪ねたとき、ギブスンは「『ニューロマンサー』を書いた時にはそれほどPCに触れていなかった」と答えたが、BBSのコミュニティとも重複するサイエンスフィクションのコミュニティには精通しているとも同様に、小説の中には登場するが、コンピューターゲームで遊んでもいなかった[163]。ギブスンは『ニューロマンサー』を、ギブスンいわく「ヘミングウェイが野外で使用したであろう種類」の1927年製でオリーブ・グリーンのエルメス・ポータブル・タイプライターで書いた[50] [163][注釈 8]。1988年までに、ギブスンは執筆にApple IIcAppleWorksをモデム(「私は本当に何も使っていません」)とともにを使用していたが[163]、通信することで執筆から気をそらされるのを避けたいと言う理由から、1996年になるまでは電子メールアドレスを持っていなかった[85]。ギブスンが初めてWebサイトにアクセスしたのは、『あいどる』執筆中にWeb開発者がギブスンのためにサイト構築したときだった[164]。2007年に「2005年のPowerBook G4ギガのメモリー、ワイヤレスルーターを持っている。それだけ。私は一般的にはアーリーアダプターではない。実際、私はコンピューター自体にあまり興味を持ったことはない。コンピューターを見ないで、人々がその周りでどのように振る舞うのかを見ている。すべてのものが「その周り」にあるので、そうするのはますます難しくなっている」と語っている[55]

代表的な作品

その他

  • ブルース・スターリング『蝉の女王』ハヤカワ文庫SF、1989年:序文
  • The Beloved (Voices for Three Heads) in ARTRANDOM Robert Longo 京都書院、1991年:詩
    • 愛する人(みっつの頭のための声):黒丸尚訳、上記書籍に併録
  • Johnny Mnemonic (1995):映画「JM」の脚本と短篇「Johnny Mnemonic」を収録
    • 『JMハンドブック』:ギャガコミュニケーションズ、1995年
  • YMOテクノドン』1993年:Floating Awayの作詞と朗読を担当
  • 現代作家ガイド3「ウィリアム・ギブスン」巽孝之編、彩流社、1997年:インタビューや、短篇「ダンボール都市13景」を収録
  • Larry and Andy Wachowski Matrix - The Shooting Script (2001):序文
    • 映画『マトリックス』のパンフレットにも収録されている
  • Distrust That Particular Flavor

映像化された作品

  • Johnny Mnemonic (1995):日本版タイトル「JM」
    • ギブスンは脚本を担当。ローテックたちの住処として「橋」が描かれること、現実のテクノロジーから類推可能なバーチャルリアリティ技術が使われるなど、同時期の長編小説『バーチャル・ライト』からの影響が見られる
    • ノベライズに Terry Bisson Johnny Mnemonic(1995)(テリー・ビッスン「JM」嶋田洋一訳、角川文庫、1995)がある
  • New Rose Hotel (1998) - ニューローズホテル

メディアへの出演

  • William Gibson - No Maps for These Territories (2000):ギブスンへのインタビューを収録したドキュメンタリー。1999年撮影[166]
    • 日本版『No Maps ウイリアム・ギブスンとの対話』2005年
  • Making of 'Johnny Mnemonic' (1995) [167]
  • Cyberpunk (1990) [168]

注釈

  1. ^ ニューヨーク・タイムズ・マガジン誌[8]とギブスン自身は[4]父親が亡くなった時に6歳だったと述べているが、ギブスン研究家のタティアーニ・ラパヅィコウは The Literary Encyclopedia で、8歳の時だったと主張している[6]
  2. ^ a b 誰もが、どのサイトからでもデータやプログラムに素早くアクセスできる、グローバルに相互接続された一連のコンピューターのアイデアは、1962年にDARPAJ・C・R・リックライダーが「銀河間コンピュータネットワーク (Intergalactic Computer Network)」を論じた一連のメモで説明されている[152]
  3. ^ ギブスンは後に、オートデスク社バーチャル・リアリティへの失敗した取り組みに対して、その言葉を著作権で保護しようとする試みに抵抗することに成功した[41]
  4. ^ ハムのアルバム『キングス・オブ・スリープ』のいくつかの曲名(「ブラック・アイス」、「カウント・ゼロ」、「キングス・オブ・スリープ」)はギブスンの作品を参照している[134]
  5. ^ アイドルは1993年に「ニューロマンサー」という曲を収録したアルバム『サイバーパンク』をリリースした[41]ロバート・クリストガウはアイドルによるサイバーパンクの扱いを非難し[135]、ギブスンはのちにアイドルが「それ(サイバーパンク)を非常にばかげたものに変えてしまった」と述べている[83]
  6. ^ ジヴォンの1989年のアルバム Transverse City はギブスンのフィクションに触発されている[136]
  7. ^ 劇的な社会的影響を与えるインターネットとサイバーパンクのジャンル自体が、ジョン・ブラナーの1975年の小説『衝撃波を乗り切れ』(The Shockwave Rider)でも予想されていた[150][151]
  8. ^ ギブスンは1992年7月16日付の、『モナリザ・オーヴァドライヴ』の「著者あとがき」に次のように書いている。

    『ニューロマンサー』は、チバ・シティのジュリー・ディーンのオフィスでちらっと見たことを思い出すかもしれない「時計仕掛けのタイプライター」で書かれました。この機械、エルメス2000手動ポータブルは1930年代のいつかのものです。これはスイスのイヴェルドンのE. PAILLAED & Cie S.A. の工場からの、非常にタフで、エレガントな作品です。ケースに入れた状態で、私が今執筆に使っているMacintosh SE/30よりも少し軽く、おそらく会計士の元帳のカバーを思わせることを意図した、興味深い緑と黒の結晶塗装仕上げになっている。そのキーもまたセルロイドの緑色で、その上の文字と記号はカナリアイエローです。(私は一度シフトキーを煙草の火口で磨いたことがあり、この初期のプラスチックの極端な燃えやすさを劇的に確認しました。)その当時、ヘルメス2000は世界でもっともすぐれた持ち運べる執筆マシンの一つであり、もっとも高価なものの一つでした。このタイプライターは、なんらかのジャーナリストであり、ロバート・バーンズの詩に関する称賛のエッセイを書いた、妻の義理の祖父のものでした。私はこれで最初は工学部での論文を書き、初期の短編や、そのあとのニューロマンサーでも、すべて実際にコンピューターに触れることはありませんでした。

脚注

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参考資料

外部リンク