防衛省設置法
保安庁法(昭和二十七年法律第二百六十五号)の全部を改正する。
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、防衛省の設置並びに任務及びこれを達成するため必要となる明確な範囲の所掌事務等を定めるとともに、その所掌する行政事務を能率的に遂行するため必要な組織を定めることを目的とする。
第二章 防衛省の設置並びに任務及び所掌事務等
第一節 防衛省の設置
(設置)
2 防衛省の長は、防衛大臣とする。
第二節 防衛省の任務及び所掌事務
(任務)
第三条 防衛省は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つことを目的とし、これがため、陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊(自衛隊法 (昭和二十九年法律第百六十五号)第二条第二項 から第四項 までに規定する陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊をいう。以下同じ。)を管理し、及び運営し、並びにこれに関する事務を行うことを任務とする。
2 防衛省は、前項に規定する任務のほか、条約に基づく外国軍隊の駐留及び日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定(以下「相互防衛援助協定」という。)の規定に基づくアメリカ合衆国政府の責務の本邦における遂行に伴う事務で他の行政機関の所掌に属しないものを適切に行うことを任務とする。
(所掌事務)
第四条 防衛省は、次に掲げる事務をつかさどる。
一 防衛及び警備に関すること。
三 陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊の組織、定員、編成、装備及び配置に関すること。
四 前三号の事務に必要な情報の収集整理に関すること。
五 職員の人事に関すること。
六 職員の補充に関すること。
七 礼式及び服制に関すること。
八 防衛省の職員の給与等に関する法律 (昭和二十七年法律第二百六十六号)の規定による若年定年退職者給付金に関すること。
九 所掌事務の遂行に必要な教育訓練に関すること。
十 職員の保健衛生に関すること。
十一 経費及び収入の予算及び決算並びに会計及び会計の監査に関すること。
十二 所掌事務に係る施設の取得及び管理に関すること。
十三 所掌事務に係る装備品、船舶、航空機及び食糧その他の需品(以下「装備品等」という。)の調達、補給及び管理並びに役務の調達に関すること。
十四 装備品等の研究開発に関すること。
十五 前号の研究開発に関連する技術的調査研究、設計、試作及び試験の委託に基づく実施に関すること。
十六 自衛隊法第百五条第一項 の規定による漁船の操業の制限及び禁止並びにこれに伴う損失の補償に関すること。
十七 防衛に関する知識の普及及び宣伝を行うこと。
十八 所掌事務の遂行に必要な調査及び研究を行うこと。
十九 条約に基づいて日本国にある外国軍隊(以下「駐留軍」という。)の使用に供する施設及び区域の決定、取得及び提供並びに駐留軍に提供した施設及び区域の使用条件の変更及び返還に関すること。
二十 沖縄県の区域内における位置境界不明地域内の各筆の土地の位置境界の明確化等に関する特別措置法 (昭和五十二年法律第四十号)第二条第三項 に規定する駐留軍用地等に係る各筆の土地の位置境界の明確化及びこれに関連する措置に関すること。
二十一 防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律(昭和四十九年法律第百一号)第三条から第九条までの規定による措置に関すること。
二十二 駐留軍のための物品及び役務(工事及び労務を除く。)の調達並びに駐留軍から返還された物品の管理、返還及び処分に関すること。
二十三 相互防衛援助協定の実施に係る円資金の提供並びに不動産、備品、需品及び役務(労務を除く。)の調達、提供及び管理に関すること。
二十四 駐留軍及び相互防衛援助協定に規定するアメリカ合衆国政府の責務を本邦において遂行する同国政府の職員(以下この条において「駐留軍等」という。)による又はそのための物品及び役務の調達に関する契約から生ずる紛争の処理に関すること。
二十五 駐留軍等及び諸機関(日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(以下この条において「合衆国軍協定」という。)第十五条第一項(a)に規定する諸機関をいう。)のために労務に服する者の雇入れ、提供、解雇、労務管理、給与及び福利厚生に関すること。
二十六 特別調達資金(特別調達資金設置令 (昭和二十六年政令第二百五号)第一条 に規定する特別調達資金をいう。)の経理に関すること。
二十七 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約に基づき日本国にあるアメリカ合衆国の軍隊の水面の使用に伴う漁船の操業制限等に関する法律 (昭和二十七年法律第二百四十三号)第一条 の規定による漁船の操業の制限及び禁止並びにこれに伴う損失の補償に関すること。
二十八 防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律第十三条第一項及び日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊等の行為による特別損失の補償に関する法律 (昭和二十八年法律第二百四十六号)第一条第一項 の規定による損失の補償に関すること。
二十九 武力攻撃事態等におけるアメリカ合衆国の軍隊の行動に伴い我が国が実施する措置に関する法律 (平成十六年法律第百十三号)第十四条第一項 の規定による損失の補償に関すること。
三十一 合衆国軍協定第十八条第五項(g)の規定により同項の他の規定の適用を受けない損害の賠償の請求についてのあつせんその他必要な援助に関すること。
三十二 防衛大学校、防衛医科大学校その他政令で定める文教研修施設において教育訓練及び研究を行うこと。
三十三 前各号に掲げるもののほか、法律(法律に基づく命令を含む。)に基づき防衛省に属させられた事務
第三節 自衛隊
(自衛隊)
第五条 自衛隊の任務、自衛隊の部隊及び機関の組織及び編成、自衛隊に関する指揮監督、自衛隊の行動及び権限等は、自衛隊法 (これに基づく命令を含む。)の定めるところによる。
(自衛官の定数)
第六条 自衛官の定数は、陸上自衛隊の自衛官(以下「陸上自衛官」という。)11,641人、海上自衛隊の自衛官(以下「海上自衛官」という。)45,550人、航空自衛隊の自衛官(以下「航空自衛官」という。)47,128人並びに自衛隊法第二十一条の二第一項 に規定する共同の部隊に所属する陸上自衛官、海上自衛官及び航空自衛官1,159人のほか、統合幕僚監部に所属する陸上自衛官、海上自衛官及び航空自衛官359人並びに情報本部に所属する陸上自衛官、海上自衛官及び航空自衛官千909人を加えた総計247,746人とする。
第三章 防衛省に置かれる職及び機関等
第一節 特別な職
(防衛大臣政策参与)
第七条 防衛省に、防衛大臣政策参与三人以内を置くことができる。
2 防衛大臣政策参与は、防衛省の所掌事務に関する重要事項に関し、防衛大臣に進言し、及び防衛大臣の命を受けて、防衛大臣に意見を具申する。
3 防衛大臣政策参与は、非常勤とすることができる。
4 防衛大臣政策参与の任免は、防衛大臣が行う。
6 常勤の防衛大臣政策参与は、在任中、防衛大臣の許可がある場合を除き、報酬を得て他の職務に従事し、又は営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行つてはならない。
7 防衛大臣政策参与は、職務の執行の公正さに対する国民の疑惑や不信を招くような行為をしてはならない。
第二節 内部部局
(内部部局の所掌事務)
第八条 内部部局は、次に掲げる事務をつかさどる。
一 第四条第一号に掲げる事務に関する基本及び調整に関すること。
三 前二号の事務に必要な情報の収集整理に関すること。
七 前各号に掲げるもののほか、防衛省の所掌事務で他の機関の所掌に属しないもの
(官房長)
第九条 官房に、官房長を置く。
(内部部局の職員)
第十条 内部部局に、書記官、部員その他所要の職員を置く。
2 書記官は、命を受けて、事務をつかさどる。
3 部員は、命を受けて、事務に参画する。
4 書記官は、官房長若しくは局長若しくは内部部局の課長又は国家行政組織法第二十一条 第三項若しくは第四項に規定する職のいずれかに充てられるものとする。
(内部部局における自衛官の勤務)
第十一条 防衛大臣は、必要があると認めるときは、陸上幕僚監部、海上幕僚監部若しくは航空幕僚監部又は第十九条第一項に規定する統合幕僚長及び陸上幕僚長、海上幕僚長若しくは航空幕僚長の監督を受ける陸上自衛隊、海上自衛隊若しくは航空自衛隊の部隊若しくは機関(以下「部隊等」という。)に所属する自衛官を内部部局において勤務させることができる。
2 前項の自衛官は、その職務についてはその勤務を命ぜられた部局の長の指揮監督を、その身分上の事項についてはその所属する幕僚監部又は部隊等の長の監督を受けるものとする。
(官房長及び局長と幕僚長との関係)
第十二条 官房長及び局長は、その所掌事務に関し、次の事項について防衛大臣を補佐するものとする。
一 陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊又は統合幕僚監部に関する各般の方針及び基本的な実施計画の作成について防衛大臣の行う統合幕僚長、陸上幕僚長、海上幕僚長又は航空幕僚長(以下「幕僚長」という。)に対する指示
二 陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊又は統合幕僚監部に関する事項に関して幕僚長の作成した方針及び基本的な実施計画について防衛大臣の行う承認
三 陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊又は統合幕僚監部に関し防衛大臣の行う一般的監督
第三節 審議会等
(設置)
第十三条 別に法律で定めるところにより防衛省に置かれる審議会等は、次の表の上欄に掲げるものとし、当該審議会等については、それぞれ同表の下欄に掲げる法律(これらに基づく命令を含む。)の定めるところによる。
第四節 施設等機関(第十四条―第十八条)
第五節 特別の機関(第十九条―第三十二条)
第六節 地方支分部局(第三十三条―第三十五条)
第七節 職員(第三十六条)
第四章 職員の職務遂行等(第三十七条―第三十九条)
附則
附 則 抄
1 この法律は、公布の日から起算して一月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。
(所掌事務の特例)
2 防衛省は、第四条各号に掲げる事務のほか、次の表の上欄に掲げる期間、それぞれ同表の下欄に掲げる事務をつかさどる。
期間 | 事務 |
平成三十年五月十六日までの間 | 駐留軍関係離職者等臨時措置法(昭和三十三年法律第百五十八号)の規定による特別給付金に関すること。 |
平成三十四年三月三十一日までの間 | 沖縄県における駐留軍用地跡地の有効かつ適切な利用の推進に関する特別措置法(平成七年法律第百二号)第八条の規定による返還実施計画の策定及びこれに基づく措置並びに同法第十九条の規定による駐留軍用地の返還についての見通しの通知に関すること。 |
沖縄県における駐留軍用地跡地の有効かつ適切な利用の推進に関する特別措置法第十条及び第二十九条の規定が効力を有する間 | 同法第十条の規定による給付金及び同法第二十九条の規定による特定給付金の支給に関すること。 |
沖縄振興特別措置法の一部を改正する法律(平成二十四年法律第十三号)による改正前の沖縄振興特別措置法(平成十四年法律第十四号)第百四条の規定が効力を有する間 | 同条の規定による特定跡地給付金の支給に関すること。 |
平成二十九年三月三十一日までの間 | 駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法(平成十九年法律第六十七号)第四条第一項の規定による再編関連特定防衛施設の指定及び同法第五条第一項の規定による再編関連特定周辺市町村の指定に関すること。 二 再編関連振興特別地域(駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法第七条第一項に規定するものをいう。以下同じ。)の指定に関すること。 三 再編関連振興特別地域整備計画(駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法第八条に規定するものをいう。)の作成に関すること。 四 再編関連振興特別地域の整備に関する重要事項に係る関係行政機関の事務の連絡調整に関すること。 |
駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法第六条の規定が効力を有する間 | 同条の規定による再編交付金の交付に関すること。 |
駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法第四章の規定が効力を有する間 | 同法第十六条の規定による駐留軍再編促進金融業務に係る資金の貸付け及び出資並びに同法第二十一条第二項の規定による交付金の交付に関すること。 |
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/6/62/PD-icon.svg/48px-PD-icon.svg.png)
この著作物は、日本国著作権法10条2項又は13条により著作権の目的とならないため、パブリックドメインの状態にあります。同法10条2項及び13条は、次のいずれかに該当する著作物は著作権の目的とならない旨定めています。
- 憲法その他の法令
- 国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が発する告示、訓令、通達その他これらに類するもの
- 裁判所の判決、決定、命令及び審判並びに行政庁の裁決及び決定で裁判に準ずる手続により行われるもの
- 上記いずれかのものの翻訳物及び編集物で、国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が作成するもの
- 事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道
この著作物は、米国政府、又は他国の法律、命令、布告、又は勅令等(Edict of governmentも参照)であるため、ウィキメディアサーバの所在地である米国においてパブリックドメインの状態にあります。“Compendium of U.S. Copyright Office Practices”、第3版、2014年の第313.6(C)(2)条をご覧ください。このような文書には、“制定法、裁判の判決、行政の決定、国家の命令、又は類似する形式の政府の法令資料”が含まれます。
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/9/9e/Flag_of_Japan.svg/72px-Flag_of_Japan.svg.png)