■巴里の廃約 司馬遼太郎氏の『この国のかたち』を流し読みしていたら、非常に興味深いエピソードを見つけた。それは、『巴里の廃約』というらしい。私も、そこそこ歴史には詳しいとの自負があったが、この件は知らなかった。 幕末の日本が、列強に半ば押し付けられるように調印した、『日米和親条約』および『日米修好通商条約』は関税自主権や治外法権のないいわゆる不平等条約だったことは有名で、明治新政府が幕府から引き継いだ後に、条約改正に向けて長い苦難の道が待っているわけだが、条約締結後の幕府にとっても、少々理由は違うが、条約締結を帳消しにしてしまいたいと考えるような状況が出来上がりつつあった。年々盛んになる攘夷論に押され、しかも京都の勅許を得ないで条約を結んだ幕府への厳しい批判は高まり、尊王論から倒幕論へと勢いが増して行く。(ちょうどNHKの大河ドラマ『龍馬伝』をご覧の方はそのリアリティを感じることができるは