離婚前に受けられる公的支援

  • (更新:2024年09月24日)
  • 離婚・男女問題
弁護士JP編集部 弁護士JP編集部
離婚前に受けられる公的支援

離婚をお考えの方の中には、経済的な不安がある方、離婚の悩みを誰にも相談できず一人で抱えてしまっている方もいらっしゃることでしょう。そのような悩みや不安は、離婚前の公的支援を利用することによって解消できるかもしれません。お住まいの市区町村ごとに公的支援の内容は異なってきますので、離婚を進める前にしっかりと確認するようにしましょう。

1. 離婚前に受けられる手当

離婚前(別居中)に受けることができる手当には、以下のものがあります。

(1)公的手当

①児童手当

児童手当とは、中学校を卒業するまでの児童を養育している家庭に支給される公的手当です。子育て世帯に対して支給されますので、離婚をしていなくても受け取ることができます。

児童手当の金額は、児童の年齢によって以下のように決められています。

  • 歳未満:一律1万5000円
  • 3歳以上~小学校修了前:1万円(第3子以降は1万5000円)
  • 中学生:一律1万円

なお、児童手当には、扶養親族などの人数により定められた所得制限があります。所得制限をオーバーする場合には、児童手当は支給されず、特例給付として児童一人あたり5000円のみ支給されます。

②児童扶養手当

児童扶養手当とは、父母の離婚などで父または母と生計が別の児童を養育するひとり親家庭に支給される公的手当です。児童扶養手当の金額は、所得および子どもの人数に応じて決められています。

児童扶養手当は、以下の要件を満たす方に支給されます。

  • 父または母が死亡した子ども
  • 父または母が一定程度の障害の状態にある子ども
  • 父または母が生死不明の子ども
  • 父または母が1年以上遺棄している子ども
  • 父または母が裁判所からDV保護命令を受けた子ども
  • 父または母が1年以上拘禁されている子ども
  • 婚姻によらないで生まれた子ども
  • 棄児など父母がいるかいないか明らかでない子ども

児童扶養手当というと離婚後に支給される公的手当のイメージが強いですが、DV保護命令を受けた場合なども支給対象ですので、一定の要件を満たせば離婚前であっても児童扶養手当の支給を受けることができます。

(2)婚姻費用の請求

婚姻費用とは、夫婦が共同生活を送るために必要になる生活費のことをいいます。離婚前に別居をした場合には、離婚または別居を解消するまで、収入の低い方が高い方の配偶者に対して、婚姻費用を請求することができます。

婚姻費用は、基本的には、夫婦の話し合いによって決めていきますが、話し合いで合意に至らないときは、家庭裁判所の調停または審判によって決めることになります。

2. 離婚に関する相談先、支援

離婚前には、以下の相談窓口を利用することができます。

(1)法テラス

法テラスとは、離婚をはじめとした法的トラブルに直面した方に向けて、問題を解決するための法制度や適切な相談窓口を無料で案内してくれる機関です。

離婚に関する手続きや親権、養育費、慰謝料、財産分与といった離婚条件などでお悩みの方は、まずは法テラスに問い合わせしてみるとよいでしょう。必要に応じて弁護士などの専門家の紹介も行っています。

(2)公益社団法人家庭問題情報センター

公益社団法人家庭問題情報センターは、「FPIC」との略称で呼ばれ、元家庭裁判所調査官らによって設立された公益法人です。主に以下のような悩みに関する相談に応じています。

  • 夫婦関係の調整や離婚などの問題
  • 離婚後の子どもをめぐる問題
  • いじめなどの子育ての悩み
  • ひきこもりなどの成人した子どもの悩み
  • 老親をめぐる兄弟間の悩み

無料の電話相談を実施していますので、上記の事項でお悩みの方は、相談してみるとよいでしょう。

(3)女性の人権ホットライン

女性の人権ホットラインとは、法務局で実施している無料の電話相談窓口です。相談内容としては、配偶者やパートナーからの暴力、職場内のセクシュアルハラスメント、ストーカー行為など女性をめぐるさまざまな人権問題を取り扱っています。

(4)養育費相談支援センター

養育費相談支援センターとは、国の委託事業として運営されている相談窓口です。養育費と面会交流の手続きについて電話やメールで相談を受け付けています。法律相談ではありませんが、無料で相談できますので、手続き上の悩みがあるときは利用してみるとよいでしょう。

(5)母子家庭等就業・自立支援センター

母子家庭等就業・自立支援センターも、国の委託事業として運営されている相談窓口ですが、相談内容は養育費に関する問題だけでなく、母子家庭向けの就業支援講習会や就業相談なども行っています。電話や面談での無料相談を受けることができますので、離婚後の就業先などに不安がある方は一度相談してみるとよいでしょう。

3. DVに関する相談先、支援

配偶者からDVを受けている場合には、以下の相談窓口を利用するとよいでしょう。

(1)DV相談プラス

DV相談プラスとは、配偶者やパートナーからのDVの悩みを電話やメールで24時間無料受付している相談窓口です。「これってDVなの?」「いますぐ配偶者から逃げたいけどどうすればいいの?」というお悩みは、DV相談プラスを利用してみましょう。

ただし、深刻なDVだと命の危険もありますので、緊急時には最寄りの交番や警察署を訪ねるべきです。

(2)保護施設(DVシェルター)

DVシェルターとは、配偶者やパートナーからのDVから一時的に避難するための施設です。DVシェルターの所在地は非公開となっていますので、一定期間安心して生活することができます。

DVシェルターは、DV被害者であれば誰でも無料で利用することができますが、あくまでも一時的な保護施設ですので、入居できる期間は、通常2週間程度とされています。

また、いきなりDVシェルターを利用することはできず、まずはお住まいの市区町村にある婦人相談所、女性センター、配偶者暴力相談支援センター、警察署などへの相談が必要です。

DVシェルターとは? 利用条件や利用方法について解説

家庭内暴力かも…DV被害者を守る法律と相談先を紹介

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