福岡県の福岡市動物園でライオンの尻尾を飼育員が木の棒でつついていた。この行為“いたずら”ではなく実は“採血トレーニング”で、麻酔をせずに採血できるようになるため、採血する尻尾に触れることに慣れさせる狙いがあったのだ。飼育員さんも苦労する中、開始から約2カ月トレーニングのかいあって無事、採血に成功したという。

尻尾ツンツンで採血の練習!

福岡市の福岡市動物園で撮影されたのは、ライオンの尻尾を木の棒でツンツンとつつく飼育員の姿だ。

なぜかライオンの尻尾をつつく飼育員(提供:福岡市動物園)
なぜかライオンの尻尾をつつく飼育員(提供:福岡市動物園)
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ライオンは嫌がっているのか尻尾を振り回すが、飼育員はやめようとしない。実はこれは「いたずら」というワケではなく、体調を管理するためにとても重要なことだった。

飼育担当職員の舞田桂悟さんによると、「尻尾から血を抜いて、体の悪いところを調べたりする目的でトレーニングを行っている」という。実はこれ、採血をする練習を行っていたのだ。

訓練をしていたのはオスライオンのチャチャ丸(提供:福岡市動物園)
訓練をしていたのはオスライオンのチャチャ丸(提供:福岡市動物園)

この「採血トレーニング」をしていたのは、オスのチャチャ丸だ。

本来、ライオンの採血は麻酔をかけて行われるが、体に負担がかかってしまうため、麻酔なしで採血できるよう、飼育員がトレーニングしていたのだった。

エサを与えられるチャチャ丸(提供:福岡市動物園)
エサを与えられるチャチャ丸(提供:福岡市動物園)

その方法は、まず笛を鳴らしてエサを与えることを繰り返し、「音が鳴るといいことがある」とチャチャ丸に覚えてもらうのだという。

ペットボトルで誘導する飼育員(提供:福岡市動物園)
ペットボトルで誘導する飼育員(提供:福岡市動物園)

そして、次にペットボトルに触れたらエサを与え採血する位置へ誘導する。

尻尾に棒で触れる飼育員(提供:福岡市動物園)
尻尾に棒で触れる飼育員(提供:福岡市動物園)

最後に、尻尾を触ることに慣れさせるという手順だ。しかし、チャチャ丸は尻尾を振り回し嫌がっている様子だ。

「チャチャ、よいしょ」「ごめんごめん」と言いしっぽに触れる飼育員に対し、「ガルル」と唸り声をあげ嫌がる様子のチャチャ丸。

できるようになるのか不安が募る中、はたして採血はうまくいくのか。

採血トレーニングの結果…無事成功!

改めて訪れた17日、飼育員が尻尾に注射針を刺してみると、暴れることなく落ち着いた様子でエサを食べるチャチャ丸の姿があった。

落ち着いて採血を受けるチャチャ丸(提供:福岡市動物園)
落ち着いて採血を受けるチャチャ丸(提供:福岡市動物園)

トレーニング開始から約2カ月で苦労のかいあって無事、採血に成功したという。
(「イット!」 9月26日放送より)

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