車いすに乗りこむ男性。すると、シートがゆっくりと上がっていきます。

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これは、足が不自由な人でも「立って乗ることができる車いす」。

車いすの利用者:
起伏の激しいところでも、意外と大丈夫で景色もよくなるので、めっちゃいいです。

この車いすを開発したのは、江口洋丞(えぐち・ようすけ)さん。ただ高さを変えるのではなく、「立ちあがる」ということにこだわってきました。

江口洋丞さん:
(世の中は)立っている人が使うことを前提に設計されている環境。座っていることがダメなんじゃなくて立ちたいと思ったとき(立つ)選択肢を提供していきたい。

自由に買い物をしたり、同じ目線で歩いたり、車いすを利用する人達が「“したい”と思うこと」を「“できる”ように」。その思いから10年以上、開発に取り組んできました。

この日、江口さんの元を訪れたのは、5歳から車いすで生活しているという女性です。初めてこの車いすに乗ると、窓に近づき、外を見つめます。

車いすの利用者:
いつもと違う景色だったので、きれいだなとかを感じることができました。

喜ぶ女性の姿を見た江口さんにも、笑みがこぼれます。この車いすを開発するきっかけとなったのは12年前。自身のおばあちゃんが、車いすでの生活になったことでした。

江口洋丞さん:
掃除とか洗濯とか完璧にこなしていたのが、「自分はできない、できない」ってなってしまうのを目の当たりにして、立ち上がれないことの影響ってすごく大きいんだなと感じた。

そこから一念発起。現在も実用化に向けて、開発を続けています。

江口洋丞さん:
友達と出かけるとか、デート行くとかそういう時に気軽に使えるぐらいのところまで日常生活で見かける日が来るように頑張りたい。

車いすの利用者が「立つ」という選択肢を当たり前に持てるように、開発、研究を続ける江口さんの活動はあすも続きます。
(「イット!」9月20日放送より)