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「広域地名」の版間の差分

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'''広域地名'''(こういきちめい)は、[[地名]]の分類の一種である。

ある地名が示す地域および、その地域の周辺を含むより広い範囲に対して、全体として包括して同一の地名で呼ぶ場合、それを広域地名と呼ぶ。

[[日本]]では、ある[[地方公共団体|地方自治体]]の名称として、本来その自治体よりも広い範囲を指す広域地名を採用する場合がある。例として、ある[[市町村]]の名称を新たに決定する際に、その市町村を含む[[都道府県]]名や[[令制国|旧国名]]・[[郡]]名などの広域地名を採用する場合などがある。この場合は、批判的に'''[[僭称]]地名'''(せんしょうちめい)とも呼ばれる<ref name=":0">{{Cite news|和書 |title=マケドニア顔負け?日本の〝やり過ぎ〟地名とは |newspaper=[[読売新聞]] |date=2019-03-12 |url=https://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/20190312-OYT8T50042/ |access-date=2024/01/17 |author=今尾恵介 |coauthor= |editor=室靖治}}</ref>。

本項では主に、日本の地方自治体名としての広域地名の採用と、日本国外における類似の例について記述する。

== 日本 ==
{{複数の問題
{{複数の問題
| 出典の明記 = 2016年8月21日 (日) 10:27 (UTC)
| 出典の明記 = 2016年8月21日 (日) 10:27 (UTC)
| 観点 = 2018年6月
| 観点 = 2018年6月
| 正確性 = 2018年6月
| 独自研究 = 2018年6月
| 独自研究 = 2018年6月
| section = 1
}}
}}
{{ページ番号|date = 2016年8月21日 (日) 10:27 (UTC)}}
'''広域地名'''(こういきちめい)は、[[地名]]の分類の一種である。ある地名の地域と、その周辺の広範囲の地域を、全体として包括してその地名で呼ぶ場合、その地名が広域地名と呼ばれる。ある地名が、当初指していた範囲よりも広い(または狭い)地域を指すように変化する現象は、歴史上普通に見られることである。

[[地方公共団体|地方自治体]]の名称として、本来はそれより広い範囲を指す広域地名を採用することがある。例として[[都道府県]]名や[[令制国|旧国名]]・[[郡]]名などを、[[市町村]]名として採用する場合など。

この項では、主に日本国内の地方自治体名としての広域地名の採用と、外国における類似の例について記述する。

== 概要 ==
{{see also|日本の市町村の廃置分合#市町村合併の歴史}}
{{see also|日本の市町村の廃置分合#市町村合併の歴史}}
=== 歴史 ===
ある地名が、当初指していた範囲よりも広いまたは狭い地域を指すように変化する現象は、歴史上普通に見られることである。例えば「[[大和]]」は、もともと[[奈良盆地]]東南部を指す地名であったが、後に[[令制国]]の[[大和国]]、そして[[日本]]全体を示して用いられるようになった。
ある地名が、当初指していた範囲よりも広いまたは狭い地域を指すように変化する現象は、歴史上普通に見られることである。例えば「[[大和]]」は、もともと[[奈良盆地]]東南部を指す地名であったが、後に[[令制国]]の[[大和国]]、そして[[日本]]全体を示して用いられるようになった。


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また、[[市制]]及び[[町村制]]が制定された際にも、郡内に設けられた主要な市町に、郡と同じ名前が付けられる例が多く見られた。例えば現在の[[大分市]]は、江戸時代まで「府内」と呼ばれていたが、[[大分郡]]大分町とされた。
また、[[市制]]及び[[町村制]]が制定された際にも、郡内に設けられた主要な市町に、郡と同じ名前が付けられる例が多く見られた。例えば現在の[[大分市]]は、江戸時代まで「府内」と呼ばれていたが、[[大分郡]]大分町とされた。


地方自治体名として、広域地名をそのまま狭い範囲の地名として用いる場合がある。例として、[[飛騨国]]に対する[[飛騨市]]、[[千曲川]]に対する[[千曲市]]など。
=== 市町村合併 ===
[[日本の市町村の廃置分合|市町村合併]]において、[[日本の市町村の廃置分合#市町村合併の種類|新設合併]]により誕生した市町村が、新たに名称を決める際に、名称をめぐる対立を避ける目的で、広域地名を採用する場合がある。昭和の大合併、平成の大合併でも同様の理由で、広域地名の採用が多く見られた。


'''[[日本の市町村の廃置分合|市町村合併]]'''において、[[日本の市町村の廃置分合#合併と分割の種類|新設合併]]により誕生した市町村が新たに名称を決める際に、名称をめぐる対立を避ける目的で広域地名を採用する場合があり、[[昭和の大合併]]や[[平成の大合併]]でも同様の理由で広域地名の採用が多く見られた。
広域地名の表す範囲と、合併後の区域に著しい差がない場合は適切な命名法といえる。{{要出典範囲|だが、新たに名称問題を引き起こして合併破談に至ることもあった。|date=2018年6月}}{{要出典範囲|また、別の広域地名を新市町村名として採用することにより、その地名を共有する同一地域の他の自治体等から抗議が起きる場合もあった。|date=2018年6月}}


=== 批判的観点 ===
またその逆に、市町村合併に際して「吸収合併された」というイメージを持たれることを避け、名称問題を円満に解決するため、あえて広域地名の使用を避ける場合もある。その場合には自治体の新名称として、[[ひらがな・カタカナ地名]]、[[合成地名]]、[[方角地名]]、[[瑞祥地名]]などを採用することが多いが、その名称がまた批判の対象となってしまうという問題もある。
{{要出典範囲|広域地名の表す範囲と、合併後の区域に著しい差がない場合は適切な命名法といえる。だが、新たに名称問題を引き起こして合併破談に至ることもあった。|date=2018年6月}}{{要出典範囲|また、別の広域地名を新市町村名として採用することにより、その地名を共有する同一地域の他の自治体等から抗議が起きる場合もあった。|date=2018年6月}}


{{要出典範囲|またその逆に、市町村合併に際して「吸収合併された」というイメージを持たれることを避け、名称問題を円満に解決するため、あえて広域地名の使用を避ける場合もある。その場合には自治体の新名称として、[[ひらがな・カタカナ地名]]、[[合成地名]]、[[方角地名]]、[[瑞祥地名]]などを採用することが多いが、その名称がまた批判の対象となってしまうという問題もある。|date=2018年6月}}
== 批判的観点 ==
地方自治体名として、広域地名をそのまま狭い範囲の地名として用いる場合がある。例として、[[飛騨国]]に対する[[飛騨市]]、[[千曲川]]に対する[[千曲市]]など。


このような地名が示す地域の一部に過ぎない自治体が採用するケースでは、一部の[[地名研究家]]から「借用地名」あるは「[[僭称]]」いう語が本来意味外れて拡張された用法として「僭称地名呼ばれ、批判される場合ある<ref>[[楠原佑介]]『こんな市名はもういらない!』[[東京堂出版]]</ref><ref>[[片岡正人]]『市町村合併で「地名」を殺すな』[[洋泉社]]</ref><ref>「[[大風呂敷]]地名」([[今尾恵介]]『生まれる地名、消える地名』[[実業之日本社]])など、他の語を用いる者もいる。</ref>
{{要出典範囲|このような地名が示す地域の一部に過ぎない自治体が採用するケースでは、本来は広域を指す地名であるにもか地域の事情を知らな者にってはその自治体指す地名だと誤解されかねず、ま一地方自治体が広域地名を名乗ることでその都道府県内のどの場所に位置するのかわかりにくくして批判される場合ある。|date=2018年6月}}


; [[さいたま市]]
本来は広域を指す地名であるにもかかわらず、地域の事情を知らない者にとってはその自治体のみを指す地名だと誤解されかねず、また[[都道府県]]名や旧[[令制国|国名]]・旧[[郡|郡名]]などの広域地名を一地方自治体が名乗ることで、その都道府県内のどの場所に位置するのかわかりにくくなる場合もある。だが一方で「僭称」という語を用いるのが果たして適切かどうかには議論がある。
: 「さいたま市」は、2001年5月1日に[[浦和市]]・[[大宮市]]・[[与野市]]の合併で発足した市であるが、この3市は[[市制]]施行前は、旧[[足立郡]](のち南北に分割され[[北足立郡]])に属していた。
: このため、[[前玉神社|前玉(さきたま)神社]](神社由緒書によれば「前玉」は「埼玉」の地名の語源と伝える)や[[埼玉古墳群]]を擁し「[[埼玉村|埼玉]]」の地名の発祥の地であり、旧[[埼玉郡]](のち南北に分割され[[北埼玉郡]])に属していた{{要出典範囲|[[行田市]]の関係者から「埼玉郡に属さない市町村の合併で発足した市が「埼玉」「さいたま」を称することは僭称である」という批判が起こった。|date=2022-02}}
: なお合併にあたっては市名の[[公募]]が行われ、その結果、1位が「埼玉市」、2位が「さいたま市」であった。この背景には旧[[浦和市]]と[[大宮市]]の地域対立があり、旧浦和市と[[与野市]]は「さいたま市」、旧大宮市は新市名として候補になかった「大宮市」を主張して対立した。また新市役所をどちらに置くかでも紛糾したため「[[さいたま新都心]]を候補地とする」という条件で「さいたま市」に落ち着いたという経緯がある(結局は旧浦和市役所に[[さいたま市役所]]が置かれた)。
: 「さいたま市」の名称については、[[ひらがな・カタカナ地名#ひらがな・カタカナ地名に関する議論|ひらがな・カタカナ地名に対する批判]]もある。しかし合併にあたり広域地名かつひらがな地名を採用した背景には、さいたま市内の地域対立という事情があった。
: {{Main|さいたま市#浦和市・大宮市・与野市の合併}}
: 2005年4月1日、旧[[南埼玉郡]]に属した[[岩槻市]]がさいたま市に[[編入合併]]されたため「僭称地名」との批判については一応解消される形になった。
;


====「僭称地名」の語について ====
例としてよく挙げられるものを以下に示す。なお、この2つだけが批判の対象とされるわけではない。
こうした広域地名を用いた自治体名に対し、一部の[[地名研究家]]から「[[僭称]]」という語が本来の意味を外れて拡張された用法として「'''僭称地名'''」と呼ばれ、批判される場合がある<ref name=":0" /><ref>[[楠原佑介]]『こんな市名はもういらない!』[[東京堂出版]]</ref><ref>[[片岡正人]]『市町村合併で「地名」を殺すな』[[洋泉社]]</ref>。「借用地名」あるいは「[[大風呂敷]]地名」など、同様の意味合いで別の語を用いる者もある<ref>[[今尾恵介]]『生まれる地名、消える地名』[[実業之日本社]]</ref>。
* [[さいたま市]]
*: 「さいたま市」は、2001年5月1日に[[浦和市]]・[[大宮市]]・[[与野市]]の合併で発足した市であるが、この3市は[[市制]]施行前は、旧[[足立郡]](のち南北に分割され[[北足立郡]])に属していた。
*: このため、[[前玉神社|前玉(さきたま)神社]](神社由緒書によれば「前玉」は「埼玉」の地名の語源と伝える)や[[埼玉古墳群]]を擁し「[[埼玉村|埼玉]]」の地名の発祥の地であり、旧[[埼玉郡]](のち南北に分割され[[北埼玉郡]])に属していた[[行田市]]の関係者から、「埼玉郡に属さない市町村の合併で発足した市が『埼玉』『さいたま』を称することは僭称である」という批判が起こった。この問題については、[[行田市#歴史]]、[[さいたま市#現代]]も参照。
*: 2005年4月1日、旧[[南埼玉郡]]に属していた[[岩槻市]]がさいたま市に[[編入合併]]されたため、僭称地名とされる問題は一応解消される形にはなった。
*: 「さいたま市」の名称については、[[ひらがな・カタカナ地名]]としての批判もある。[[ひらがな・カタカナ地名#ひらがな・カタカナ地名に関する議論]]も参照。
* [[中京圏|中京]]
*: [[京都|京]]と[[東京]]に対する位置関係から「中京」と名付けられたが、[[名古屋市]]をはじめ[[尾張国|尾張]]・[[三河国|三河]]地方の都市が、これまで日本の[[首都]](京・みやこ)となったことは一度もない。歴史的背景については「[[日本の首都]]」「[[尾張国]]」「[[上洛]]」も参照。
*: [[方角地名]]でもある。
<!--
なお、旧国名・郡名の名前が付く自治体の名称については、[[#広域地名を採用した主な日本の自治体一覧]]を参照。
#広域地名を採用した主な日本の自治体一覧」に移動
=== 旧国名・郡名の名前が付く市町村 ===
* [[福岡県]][[豊前市]](国名)
* 福岡県[[筑後市]](国名)
* 福岡県[[朝倉郡]][[筑前町]](国名)
* [[兵庫県]][[丹波市]](国名)
* [[福井県]][[丹生郡]][[越前町]](国名)
* 福井県[[越前市]](国名)
* 福井県[[南条郡]][[南越前町]](国名)
* [[大分県]][[豊後高田市]](国名)
* 大分県[[豊後大野市]](国名)
* [[宮崎県]][[日向市]](国名)
* [[岐阜県]][[飛騨市]](国名)
* [[香川県]][[さぬき市]](国名)
* [[鹿児島県]][[南さつま市]](国名)
* 鹿児島県[[薩摩郡]][[さつま町]](国名)
* [[兵庫県]][[南あわじ市]](国名)-->


== 広域地名を採用した主な日本の自治体一覧 ==
== 広域地名を採用した主な日本の自治体一覧 ==
{{複数の問題
| 出典の明記 = 2016年8月21日 (日) 10:27 (UTC)
| 観点 = 2018年6月
| 正確性 = 2018年6月
| 独自研究 = 2018年6月
| section = 1
}}

広域地名の元となった狭域地名にも該当する場合は含まない。
広域地名の元となった狭域地名にも該当する場合は含まない。


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==== 東北地方 ====
==== 東北地方 ====
* [[青森県]][[むつ市]](旧国名
* [[青森県]][[むつ市]](旧国名([[陸奥国|陸奥]]))
* 青森県[[上北郡]][[東北町]](地方名)
* 青森県[[上北郡]][[東北町]](地方名)
* [[岩手県]][[北上市]](地域名、河川名)
* [[岩手県]][[北上市]](地域名、河川名)
* 岩手県[[奥州市]](旧国名([[陸奥国|陸奥]])の別称。現在の青森県、岩手県、宮城県、福島県の全体にほぼ相当する。'''僭称地名'''との批判がある<ref name=":0" />。旧[[衣川村]]の職員が発案した<ref>{{Cite journal|author=齋藤俊明, 桒田但馬|year=2021-07-05|title=ポスト「平成の大合併」時代における自治に関する調査研究 ―岩手県内の合併検証からのアプローチ―|url=https://iwate-pu.repo.nii.ac.jp/records/3795|journal=岩手県立大学総合政策学会 Working Papers Series|volume=152|page=34|publisher=岩手県立大学総合政策学会|accessdate=2024/01/17}}</ref>)
* 岩手県[[二戸市]](郡名)
* 岩手県[[二戸市]](郡名)
* 岩手県[[岩手郡]][[岩手町]](郡名)
* 岩手県[[岩手郡]][[岩手町]](郡名)
* 岩手県[[紫波郡]][[紫波町]](郡名)
* 岩手県[[紫波郡]][[紫波町]](郡名)
* 岩手県[[九戸郡]][[九戸村]](郡名)
* 岩手県[[九戸郡]][[九戸村]](郡名)
* [[宮城県]][[仙台市]][[宮城野区]](<!--郡名派生の-->地域名)※
* {{要出典範囲|[[宮城県]][[仙台市]][[宮城野区]](<!--郡名派生の-->地域名)※|date=2018年6月}}
<!--『←「宮城」は、古代に都以東で最大の城郭都市だった「多賀城」を指した言葉で、郡名の「宮城郡」も歌枕の「宮城野」も同格、すなわち、郡名から宮城野がついたのではないのでは?』←「宮城区」だったら宮城郡からとった広域地名と言えるけど、「宮城野」は陸奥国分寺・国分尼寺がある辺りから多賀城に至る間の仙台平野を指すのだから、ほぼ宮城野区の中に入っているのでは?-->
<!--『←「宮城」は、古代に都以東で最大の城郭都市だった「多賀城」を指した言葉で、郡名の「宮城郡」も歌枕の「宮城野」も同格、すなわち、郡名から宮城野がついたのではないのでは?』←「宮城区」だったら宮城郡からとった広域地名と言えるけど、「宮城野」は陸奥国分寺・国分尼寺がある辺りから多賀城に至る間の仙台平野を指すのだから、ほぼ宮城野区の中に入っているのでは?-->
*宮城県[[名取市]](郡名)
*宮城県[[名取市]](郡名)
* 宮城県[[牡鹿郡]][[牡鹿町]](郡名、半島名)
* 宮城県[[柴田郡]][[柴田町]](郡名)
* 宮城県[[柴田郡]][[柴田町]](郡名)
* 宮城県[[登米郡]][[登米町]](郡名)
* 宮城県[[本吉郡]][[本吉町]](郡名)
* 宮城県[[桃生郡]][[桃生町]](郡名)
* 宮城県[[亘理郡]][[亘理町]](郡名)
* 宮城県[[亘理郡]][[亘理町]](郡名)
* [[秋田県]][[男鹿市]](半島名)
* [[秋田県]][[男鹿市]](半島名)
102行目: 91行目:
* 福島県[[相馬市]](郡名。相馬郡自体が現在の相馬市に居城を構えた相馬氏に由来するため城主名由来とも言える。)
* 福島県[[相馬市]](郡名。相馬郡自体が現在の相馬市に居城を構えた相馬氏に由来するため城主名由来とも言える。)
* 福島県[[双葉郡]][[双葉町]](郡名)
* 福島県[[双葉郡]][[双葉町]](郡名)
* 福島県[[耶麻郡]][[西会津町]](名<!--耶麻郡は会津-->)
* 福島県[[耶麻郡]][[西会津町]](地方名<!--耶麻郡は会津地方-->)


==== 関東・東京地方 ====
==== 関東地方 ====
* [[茨城県]][[北茨城市]](都道府県名)
* [[茨城県]][[北茨城市]](都道府県名)
* 茨城県[[つくば市]](郡名)
* 茨城県[[つくば市]](郡名)
139行目: 128行目:
* 東京都([[小笠原支庁]])[[小笠原村]](諸島名)※
* 東京都([[小笠原支庁]])[[小笠原村]](諸島名)※
* [[神奈川県]][[横浜市]][[都筑区]](郡名)
* [[神奈川県]][[横浜市]][[都筑区]](郡名)
* 神奈川県[[川崎市]][[多摩区]](河川名、郡名ただし旧郡域から外れる)
* 神奈川県[[川崎市]][[多摩区]](河川名、郡名ただし旧郡域から外れる)
* 神奈川県[[相模原市]](旧国名派生の地域名)
* 神奈川県[[相模原市]](旧国名派生の地域名)
* 神奈川県[[三浦市]](郡名)
* 神奈川県[[三浦市]](郡名)
148行目: 137行目:
* [[富山県]][[砺波市]](郡名)
* [[富山県]][[砺波市]](郡名)
* [[石川県]][[加賀市]](旧国名)
* [[石川県]][[加賀市]](旧国名)
* [[福井県]][[丹生郡]][[越前]](旧国名)
* [[福井県]][[越前]](旧国名)
* 福井県[[南条郡]][[南越前町]](旧国名)
* 福井県[[丹生郡]][[越前町]](旧国名)
* 福井県[[三方上中郡]][[若狭町]](旧国名)
* [[山梨県]][[都留市]](郡名)
* [[山梨県]][[都留市]](郡名)
* 山梨県[[山梨市]](郡名)
* 山梨県[[山梨市]](郡名)
178行目: 170行目:
* 三重県[[熊野市]](地域名)
* 三重県[[熊野市]](地域名)
* 三重県[[多気郡]][[多気町]](郡名)
* 三重県[[多気郡]][[多気町]](郡名)
* 三重県[[度会郡]][[度会町]](郡名)
* 三重県[[度会郡]][[度会町]](郡名)
* [[滋賀県]][[東浅井郡]][[湖北町]](地域名)
* [[京都府]][[相楽郡]][[山城町 (京都府)|山城町]](旧国名)
* 京都府相楽郡[[南山城村]](旧国名)
* 京都府相楽郡[[南山城村]](旧国名)
* [[大阪府]][[大阪市]][[西成区]](郡名)
* [[大阪府]][[大阪市]][[西成区]](郡名)
234行目: 224行目:
* 福岡県[[糟屋郡]][[粕屋町]](郡名)
* 福岡県[[糟屋郡]][[粕屋町]](郡名)
* 福岡県[[鞍手郡]][[鞍手町]](郡名)
* 福岡県[[鞍手郡]][[鞍手町]](郡名)
* [[長崎県]][[東彼杵郡]][[彼杵町]](郡名)
* 長崎県東彼杵郡[[東彼杵町]](郡名)
* 長崎県東彼杵郡[[東彼杵町]](郡名)
* [[長崎県]][[松浦市]](郡名)
* [[長崎県]][[松浦市]](郡名)
267行目: 256行目:
* 福島県[[南会津郡]][[南会津町]](郡名)
* 福島県[[南会津郡]][[南会津町]](郡名)


==== 関東・東京地方 ====
==== 関東地方 ====
* [[茨城県]][[筑西市]](地域名)
* [[茨城県]][[筑西市]](地域名)
* 茨城県[[那珂市]](郡名)
* 茨城県[[那珂市]](郡名)
416行目: 405行目:
* [[宮城県]][[宮城郡]][[宮城町]](現・[[仙台市]]、郡名)
* [[宮城県]][[宮城郡]][[宮城町]](現・[[仙台市]]、郡名)
* 宮城県[[桃生郡]][[桃生町]](現・[[石巻市]]、郡名)
* 宮城県[[桃生郡]][[桃生町]](現・[[石巻市]]、郡名)
* 宮城県[[牡鹿郡]][[牡鹿町]](現・石巻市、郡名、半島名)
* 宮城県[[登米郡]][[登米町]](現・[[登米市]]、郡名)
* 宮城県[[本吉郡]][[本吉町]](現・[[気仙沼市]]、郡名)
* [[秋田県]][[河辺郡]][[河辺町]](現・[[秋田市]]、郡名)
* [[秋田県]][[河辺郡]][[河辺町]](現・[[秋田市]]、郡名)
* 秋田県[[由利郡]][[由利町]](現・[[由利本荘市]]、郡名)
* 秋田県[[由利郡]][[由利町]](現・[[由利本荘市]]、郡名)
426行目: 418行目:
* [[福島県]][[磐城市]](現・[[いわき市]]、旧国名)
* [[福島県]][[磐城市]](現・[[いわき市]]、旧国名)
* 福島県[[常磐市]](現・いわき市、旧国名派生の地域名)
* 福島県[[常磐市]](現・いわき市、旧国名派生の地域名)
* 福島県[[伊達郡]][[伊達町]](現・伊達市、郡名由来の駅名)
* 福島県[[伊達郡]][[伊達町]](現・[[伊達市 (福島県)|伊達市]]、郡名)
* 福島県[[安達郡]][[安達町]](現・[[二本松市]]、郡名)
* 福島県[[安達郡]][[安達町]](現・[[二本松市]]、郡名)
* 福島県安達郡[[岩代町]](現・二本松市、旧国名)
* 福島県安達郡[[岩代町]](現・二本松市、旧国名)
432行目: 424行目:
* 福島県[[北会津郡]][[北会津村]](現・[[会津若松市]]、郡名。成立時、郡内唯一の自治体であった。)
* 福島県[[北会津郡]][[北会津村]](現・[[会津若松市]]、郡名。成立時、郡内唯一の自治体であった。)


==== 関東・東京地方 ====
==== 関東地方 ====
* [[茨城県]][[猿島郡]][[猿島町]](現・[[坂東市]]、郡名)
* [[茨城県]][[猿島郡]][[猿島町]](現・[[坂東市]]、郡名)
* 茨城県[[新治]][[新治村 (茨城県)|新治村]](現・[[土浦市]]、郡名)
* 茨城県猿島郡[[猿島村]](現・[[境町]]、郡名)
* 茨城県[[結城郡]][[中結城村]](現・[[八千代町]]、郡名)
* 茨城県結城郡[[下結城村]](現・八千代町、郡名)
* 茨城県[[豊田郡 (茨城県)|豊田郡]][[西豊田村]](現・八千代町、郡名)
* 茨城県[[岡田郡]][[岡田村 (茨城県結城郡)|岡田村]](現・[[常総市]]、郡名)
* 茨城県[[西葛飾郡]][[勝鹿村]](現・[[古河市]]、郡名)
* 茨城県[[新治郡]][[新治村 (茨城県新治郡2006年)|新治村]](現・[[土浦市]]、郡名)
* [[栃木県]][[河内郡]][[南河内町]](現・[[下野市]]、郡名)
* [[栃木県]][[河内郡]][[南河内町]](現・[[下野市]]、郡名)
* 栃木県河内郡[[河内町 (栃木県)|河内町]](現・[[宇都宮市]]、郡名)
* 栃木県河内郡[[河内町 (栃木県)|河内町]](現・[[宇都宮市]]、郡名)
461行目: 459行目:
* [[東京都]][[荏原区]](現・[[品川区]]、郡名)
* [[東京都]][[荏原区]](現・[[品川区]]、郡名)
* 東京都城東区(現・[[江東区]]、地域名)
* 東京都城東区(現・[[江東区]]、地域名)
* 東京[[豊多摩郡]][[野方町]](現・[[中野区]]、江戸時代の地域名〈領〉)
* [[東京府]][[豊多摩郡]][[野方町]](現・東京都[[中野区]]、江戸時代の地域名〈領〉)
* 東京都[[西多摩郡]]西多摩村(現・[[羽村市]]、郡名)
* 東京都[[西多摩郡]]西多摩村(現・[[羽村市]]、郡名)
* 東京都([[三宅支庁]])[[伊豆村]](現・三宅村、旧国名、諸島名)
* 東京都([[三宅支庁]])[[伊豆村]](現・三宅村、旧国名、諸島名)
501行目: 499行目:
* 滋賀県[[坂田郡]][[近江町]](現・[[米原市]]、旧国名)
* 滋賀県[[坂田郡]][[近江町]](現・[[米原市]]、旧国名)
* 滋賀県[[東浅井郡]][[浅井町 (滋賀県)|浅井町]](現・[[長浜市]]、郡名)
* 滋賀県[[東浅井郡]][[浅井町 (滋賀県)|浅井町]](現・[[長浜市]]、郡名)
* [[滋賀県]][[東浅井郡]][[湖北町]](現・長浜市、地域名)
* [[京都府]][[相楽郡]][[山城町]](現・[[木津川市]]、国名)
* [[京都府]][[相楽郡]][[山城町]](現・[[木津川市]]、国名)
* 京都府[[船井郡]][[丹波町]](現・[[京丹波町]]、国名)
* 京都府[[船井郡]][[丹波町]](現・[[京丹波町]]、国名)
531行目: 530行目:
* 島根県[[邑智郡]][[邑智町]](現・[[美郷町 (島根県)|美郷町]]、郡名)
* 島根県[[邑智郡]][[邑智町]](現・[[美郷町 (島根県)|美郷町]]、郡名)
* 島根県邑智郡[[石見町]](現・[[邑南町]]、旧国名)
* 島根県邑智郡[[石見町]](現・[[邑南町]]、旧国名)
* [[岡山県]][[御津郡]][[御津|御津町]](現・[[岡山市]]、郡名)
* [[岡山県]][[御津郡]][[御津町 (岡山県)|御津町]](現・[[岡山市]]、郡名)
* 岡山県[[赤磐郡]][[山陽町 (岡山県)|山陽町]](現・[[赤磐市]]、地域名)
* 岡山県[[赤磐郡]][[山陽町 (岡山県)|山陽町]](現・[[赤磐市]]、地域名)
* 岡山県[[川上郡 (岡山県)|川上郡]][[川上町]](現・[[高梁市]]、郡名)
* 岡山県[[川上郡 (岡山県)|川上郡]][[川上町]](現・[[高梁市]]、郡名)
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* 佐賀県東松浦郡[[肥前町]](現・[[唐津市]]、旧国名)
* 佐賀県東松浦郡[[肥前町]](現・[[唐津市]]、旧国名)
* [[長崎県]][[北高来郡]][[高来町]](現・[[諫早市]]、郡名)
* [[長崎県]][[北高来郡]][[高来町]](現・[[諫早市]]、郡名)
* [[長崎県]][[東彼杵郡]][[彼杵町]](現・[[東彼杵町]]、郡名)
* 長崎県[[南松浦郡]][[上五島町]](現・[[新上五島町]]、地域名)
* 長崎県[[南松浦郡]][[上五島町]](現・[[新上五島町]]、地域名)
* 長崎県[[上県郡]][[上県町]](現・[[対馬市]]、郡名)
* 長崎県[[上県郡]][[上県町]](現・[[対馬市]]、郡名)
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* 熊本県[[天草郡]][[天草町]](現・[[天草市]]、郡名、諸島名)
* 熊本県[[天草郡]][[天草町]](現・[[天草市]]、郡名、諸島名)
* [[大分県]][[直入郡]][[直入町]](現・[[竹田市]]、郡名)
* [[大分県]][[直入郡]][[直入町]](現・[[竹田市]]、郡名)
* 鹿児島県[[南九州市]](九州の南部全体。'''僭称地名'''との批判がある<ref name=":0" />)
* [[鹿児島県]][[川内市]](現・[[薩摩川内市]]、江戸時代の地域名)※
* [[鹿児島県]][[川内市]](現・[[薩摩川内市]]、江戸時代の地域名)※
* 鹿児島県[[薩摩郡]][[祁答院町]](現・[[薩摩川内市]]、中世の地域名)
* 鹿児島県[[薩摩郡]][[祁答院町]](現・[[薩摩川内市]]、中世の地域名)
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* 鹿児島県[[日置郡]]吹上町(現・[[日置市]]、海岸名)
* 鹿児島県[[日置郡]]吹上町(現・[[日置市]]、海岸名)


== 日本外 ==
== 日本外 ==
{{複数の問題
| 出典の明記 = 2016年8月21日 (日) 10:27 (UTC)
| 観点 = 2018年6月
| 正確性 = 2018年6月
| 独自研究 = 2018年6月
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[[大韓民国]]の[[都農複合形態市]]もほとんどが広域地名(郡名)であるが、[[浦項市]]などのように都市名を採用した市もある。
[[大韓民国]]の[[都農複合形態市]]もほとんどが広域地名(郡名)であるが、[[浦項市]]などのように都市名を採用した市もある。


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* [[ハンガリー]]、[[ポーランド]]、[[リトアニア]]、[[モンゴル国|モンゴル]]、[[アルメニア]]、[[ブルガリア]]など、過去に同名の広大な国家があった国。
* [[ハンガリー]]、[[ポーランド]]、[[リトアニア]]、[[モンゴル国|モンゴル]]、[[アルメニア]]、[[ブルガリア]]など、過去に同名の広大な国家があった国。
* [[京畿道]]、[[アバディーンシャー]]、[[ブエノスアイレス州]]など、中心都市が独立した行政区画となった結果、歴史的な中心都市が含まれない行政区画。
* [[京畿道]]、[[アバディーンシャー]]、[[ブエノスアイレス州]]など、中心都市が独立した行政区画となった結果、歴史的な中心都市が含まれない行政区画。
** [[ロストック郡]]、[[バイロイト郡]]、[[バンベルク郡]]などは一見これに類似するが、郡名の由来である[[ロストック]]、[[バイロイト]]、[[バンベルク]]を当初から含まずに成立している([[#批判的観点|上述]]僭称地名のケースに近いが、これらの郡名が同様の批判を受けているかどうかは別問題である)。
** [[ロストック郡]]、[[バイロイト郡]]、[[バンベルク郡]]などは一見これに類似するが、郡名の由来である[[ロストック]]、[[バイロイト]]、[[バンベルク]]を当初から含まずに成立している([[#批判的観点]]で挙げた「僭称地名のケースに近いが、これらの郡名が同様の批判を受けているかどうかは別問題である)。
* [[グアテマラシティ]]、[[パナマシティ]]、[[メキシコシティ]]、[[モザンビーク島|モザンビーク市]]は、国名と同名の都市だが、都市名から国名が名づけられたため、ここで言う広域地名には当てはまらない。
* [[グアテマラシティ]]、[[パナマシティ]]、[[メキシコシティ]]、[[モザンビーク島|モザンビーク市]]は、国名と同名の都市だが、都市名から国名がけられたため、ここで言う広域地名には当てはまらない。
** 州名と同名の、ロシアの多くの[[州都]]、[[ニューヨーク|ニューヨーク市]]、[[ケベック (ケベック州)|ケベック市]]なども同様である。
** 州名と同名の、ロシアの多くの[[州都]]、[[ニューヨーク|ニューヨーク市]]、[[ケベック (ケベック州)|ケベック市]]なども同様である。


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* [[チベット自治区]](中国、[[チベット|地域名]])
* [[チベット自治区]](中国、[[チベット|地域名]])
* [[大田広域市]][[大徳区]](韓国、郡名)
* [[大田広域市]][[大徳区]](韓国、郡名)
* [[東海市 (江原道)|東海市]](韓国、[[日本海|海域名]])
* [[東海市 (江原特別自治道)|東海市]](韓国、[[日本海|海域名]])
* [[満州国]]([[満州|地域名]]、[[満州人|民族名]])
* [[満州国]]([[満州|地域名]]、[[満州人|民族名]])
* [[モンゴル国]]([[モンゴル高原|地域名]]、[[モンゴル|民族名]])
* [[モンゴル国]]([[モンゴル高原|地域名]]、[[モンゴル|民族名]])
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* [[アンガルスク]]([[アンガラ川|河川名]])
* [[アンガルスク]]([[アンガラ川|河川名]])
* [[エニセイスク]]([[エニセイ川|河川名]])
* [[エニセイスク]]([[エニセイ川|河川名]])
* [[クリリスク]]([[クリル諸島|諸島名]])
* [[クリリスク]]([[千島列島|諸島名]])
* [[シベリア連邦管区]]([[シベリア|地域名]])
* [[シベリア連邦管区]]([[シベリア|地域名]])
* [[トムスク]]([[トム川|河川名]])
* [[トムスク]]([[トム川|河川名]])
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* [[ミクロネシア連邦]]([[ミクロネシア|諸島名]])
* [[ミクロネシア連邦]]([[ミクロネシア|諸島名]])


=== 地球外 ===
=== 地球外 ===
* [[金星]]の[[アフロディーテ大陸]]は、[[ギリシャ語]]で金星を意味する語から来ている。
* [[金星]]の[[アフロディーテ大陸]]は、[[ギリシャ語]]で金星を意味する語から来ている。
* [[火星]]のいくつかの[[峡谷]](valles)には、さまざまな言語で火星を意味する名前が付けられている。たとえば、カセイ峡谷(Kasei Valles)など。
* [[火星]]のいくつかの[[峡谷]](valles)には、さまざまな言語で火星を意味する名前が付けられている。たとえば、カセイ峡谷(Kasei Valles)など。
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== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
* {{Wayback |url=http://www.city.mutsu.aomori.jp/hisho/dentou.html |title=全国伝統地名(旧国名)市町村連絡会議 加盟市町村リンクむつ市HP) |date=20090714143313}}
* {{Wayback |url=http://www.city.mutsu.aomori.jp/hisho/dentou.html |title=全国伝統地名(旧国名)市町村連絡会議 加盟市町村リンク|website=[[むつ市]]HP |date=20090714143313}}


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[[Category:日本の市町村]]
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2024年4月6日 (土) 08:54時点における最新版

広域地名(こういきちめい)は、地名の分類の一種である。

ある地名が示す地域および、その地域の周辺を含むより広い範囲に対して、全体として包括して同一の地名で呼ぶ場合、それを広域地名と呼ぶ。

日本では、ある地方自治体の名称として、本来その自治体よりも広い範囲を指す広域地名を採用する場合がある。例として、ある市町村の名称を新たに決定する際に、その市町村を含む都道府県名や旧国名名などの広域地名を採用する場合などがある。この場合は、批判的に僭称地名(せんしょうちめい)とも呼ばれる[1]

本項では主に、日本の地方自治体名としての広域地名の採用と、日本国外における類似の例について記述する。

日本[編集]

ある地名が、当初指していた範囲よりも広いまたは狭い地域を指すように変化する現象は、歴史上普通に見られることである。例えば「大和」は、もともと奈良盆地東南部を指す地名であったが、後に令制国大和国、そして日本全体を示して用いられるようになった。

一方、日本の中世から近世にかけては、の名称は城下町の名称を付けられる例が多かった。例えば「彦根」は、彦根城の城下町のみならず、城下町・彦根を首府とする彦根藩を指しても用いられた。

明治時代の廃藩置県に際しても、名称が郡名や都市名から採られている例が多かった。例えば現在の香川県の範囲は、令制国の讃岐国と一致するが、より狭い地域を指す地名であった香川郡から名付けられた。

また、市制及び町村制が制定された際にも、郡内に設けられた主要な市町に、郡と同じ名前が付けられる例が多く見られた。例えば現在の大分市は、江戸時代まで「府内」と呼ばれていたが、大分郡大分町とされた。

地方自治体名として、広域地名をそのまま狭い範囲の地名として用いる場合がある。例として、飛騨国に対する飛騨市千曲川に対する千曲市など。

市町村合併において、新設合併により誕生した市町村が新たに名称を決める際に、名称をめぐる対立を避ける目的で広域地名を採用する場合があり、昭和の大合併平成の大合併でも同様の理由で広域地名の採用が多く見られた。

批判的観点[編集]

広域地名の表す範囲と、合併後の区域に著しい差がない場合は適切な命名法といえる。だが、新たに名称問題を引き起こして合併破談に至ることもあった。[要出典]また、別の広域地名を新市町村名として採用することにより、その地名を共有する同一地域の他の自治体等から抗議が起きる場合もあった。[要出典]

またその逆に、市町村合併に際して「吸収合併された」というイメージを持たれることを避け、名称問題を円満に解決するため、あえて広域地名の使用を避ける場合もある。その場合には自治体の新名称として、ひらがな・カタカナ地名合成地名方角地名瑞祥地名などを採用することが多いが、その名称がまた批判の対象となってしまうという問題もある。[要出典]

このような地名が示す地域の一部に過ぎない自治体が採用するケースでは、本来は広域を指す地名であるにもかかわらず、地域の事情を知らない者にとってはその自治体のみを指す地名だと誤解されかねず、また一地方自治体が広域地名を名乗ることでその都道府県内のどの場所に位置するのかわかりにくくなるとして批判される場合もある。[要出典]

さいたま市
「さいたま市」は、2001年5月1日に浦和市大宮市与野市の合併で発足した市であるが、この3市は市制施行前は、旧足立郡(のち南北に分割され北足立郡)に属していた。
このため、前玉(さきたま)神社(神社由緒書によれば「前玉」は「埼玉」の地名の語源と伝える)や埼玉古墳群を擁し「埼玉」の地名の発祥の地であり、旧埼玉郡(のち南北に分割され北埼玉郡)に属していた行田市の関係者から「埼玉郡に属さない市町村の合併で発足した市が「埼玉」「さいたま」を称することは僭称である」という批判が起こった。[要出典]
なお合併にあたっては市名の公募が行われ、その結果、1位が「埼玉市」、2位が「さいたま市」であった。この背景には旧浦和市大宮市の地域対立があり、旧浦和市と与野市は「さいたま市」、旧大宮市は新市名として候補になかった「大宮市」を主張して対立した。また新市役所をどちらに置くかでも紛糾したため「さいたま新都心を候補地とする」という条件で「さいたま市」に落ち着いたという経緯がある(結局は旧浦和市役所にさいたま市役所が置かれた)。
「さいたま市」の名称については、ひらがな・カタカナ地名に対する批判もある。しかし合併にあたり広域地名かつひらがな地名を採用した背景には、さいたま市内の地域対立という事情があった。
2005年4月1日、旧南埼玉郡に属した岩槻市がさいたま市に編入合併されたため「僭称地名」との批判については一応解消される形になった。

「僭称地名」の語について[編集]

こうした広域地名を用いた自治体名に対し、一部の地名研究家から「僭称」という語が本来の意味を外れて拡張された用法として「僭称地名」と呼ばれ、批判される場合がある[1][2][3]。「借用地名」あるいは「大風呂敷地名」など、同様の意味合いで別の語を用いる者もある[4]

広域地名を採用した主な日本の自治体一覧[編集]

広域地名の元となった狭域地名にも該当する場合は含まない。

自治体の領域が、元来の地名が指し示す区域の大部分を含んでいる例には、※を付記する。

平成の大合併以前[編集]

北海道地方[編集]

東北地方[編集]

関東地方[編集]

中部地方[編集]

近畿地方[編集]

中国地方[編集]

四国地方[編集]

九州・沖縄地方[編集]

平成の大合併以後[編集]

北海道・東北地方[編集]

関東地方[編集]

中部地方[編集]

近畿地方[編集]

中国地方[編集]

四国地方[編集]

九州・沖縄地方[編集]

既に消滅した自治体[編集]

北海道・東北地方[編集]

関東地方[編集]

中部地方[編集]

近畿地方[編集]

中国地方[編集]

四国地方[編集]

九州・沖縄地方[編集]

日本国外[編集]

大韓民国都農複合形態市もほとんどが広域地名(郡名)であるが、浦項市などのように都市名を採用した市もある。

後述の一覧で挙げる以外に、次のようなケースもある。

アジア[編集]

東アジア[編集]

なお、朝鮮八道の一つ・黄海道合成地名で、黄海とは無関係である。

東南アジア[編集]

南アジア[編集]

西アジア[編集]

中央アジア[編集]

北アジア[編集]

すべてロシアに所在

アフリカ[編集]

ヨーロッパ[編集]

北アメリカ[編集]

南アメリカ[編集]

オセアニア[編集]

地球外[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d 今尾恵介「マケドニア顔負け?日本の〝やり過ぎ〟地名とは」『読売新聞』室靖治、2019年3月12日。2024年1月17日閲覧。
  2. ^ 楠原佑介『こんな市名はもういらない!』東京堂出版
  3. ^ 片岡正人『市町村合併で「地名」を殺すな』洋泉社
  4. ^ 今尾恵介『生まれる地名、消える地名』実業之日本社
  5. ^ 齋藤俊明, 桒田但馬 (2021-07-05). “ポスト「平成の大合併」時代における自治に関する調査研究 ―岩手県内の合併検証からのアプローチ―”. 岩手県立大学総合政策学会 Working Papers Series (岩手県立大学総合政策学会) 152: 34. https://iwate-pu.repo.nii.ac.jp/records/3795 2024年1月17日閲覧。. 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]