「カキ (貝)」の版間の差分
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|名称='''カキ''' |
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|画像=[[ファイル:Huitres Cancale.jpg|250px]] |
|画像=[[ファイル:Huitres Cancale.jpg|250px]] |
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|画像キャプション=[[ヨーロッパヒラガキ]]<br />''Ostrea edulis'' Linnaeus, 1758<br />(背景は本種の名産地 |
|画像キャプション=[[ヨーロッパヒラガキ]]<br />''Ostrea edulis'' Linnaeus, 1758<br />(背景は本種の名産地であるブロン川[[河口]]) |
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|界=[[動物界]] {{sname||Animalia}} |
|界=[[動物界]] {{sname||Animalia}} |
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|門=[[軟体動物門]] {{sname||Mollusca}} |
|門=[[軟体動物門]] {{sname||Mollusca}} |
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[[ファイル:Crassostrea nippona 01.JPG|thumb|イワガキの殻の例]] |
[[ファイル:Crassostrea nippona 01.JPG|thumb|イワガキの殻の例]] |
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[[ファイル:Rock-oyster.jpg|thumb|イワガキ(三重県志摩産 |
[[ファイル:Rock-oyster.jpg|thumb|イワガキ([[三重県]][[志摩地方]]産の非[[養殖]]物)]] |
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[[ファイル:Ostrea edulis Marennes p1050142.jpg|thumb|殻を開いたところ]] |
[[ファイル:Ostrea edulis Marennes p1050142.jpg|thumb|殻を開いたところ]] |
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'''カキ'''(牡蠣、牡蛎、牡蠇、蠣、蛎、蠇)は、[[ウグイスガイ目]][[イタボガキ科]]と[[ベッコウガキ科]]に |
'''カキ'''(牡蠣、牡蛎、牡蠇、蠣、蛎、蠇)は、[[ウグイスガイ目]][[イタボガキ科]]と[[ベッコウガキ科]]に属する[[二枚貝]]の総称、あるいは[[カキ目]]もしくは[[カキ上科]]に属する[[種 (分類学)|種]]の総称。[[海]]の[[岩]]から「かきおとす」ことから「カキ」と言う名がついたといわれる<ref>[https://gogen-yurai.jp/kaki-oyster/ カキ/牡蠣/かきの意味・語源・由来を解説 語源由来辞典]</ref>。古くから、世界各地の[[海岸]]地域で[[食用]]、薬品や化粧品、建材([[貝殻]])として利用されている。 |
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なお英語でカキを指す「oyster」(オイスター)は日本語の「カキ」よりも広い範囲に使われ、岩などに着生する二枚貝のうち、形がやや不定形で表面が滑らかでないものは |
なお[[英語]]でカキを指す「oyster」(オイスター)は[[日本語]]の「カキ」よりも広い範囲に使われ、岩などに着生する二枚貝のうち、形がやや不定形で表面が滑らかでないものは全て含まれる。日本ではカキとは呼ばない[[アコヤガイ]]類を「[[w:Pearl oyster|pearl oyster]]」と言うほか、[[ウミギク科]]やかなり縁遠い[[キクザル科]]の貝類も「oyster」と呼ばれることがある。 |
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== 特徴 == |
== 特徴 == |
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主に[[炭酸塩]]鉱物の[[方解石]]からなる殻を持つ<ref name=Chinzei />。食用にされる[[マガキ]]や[[イワガキ]]などの大型種がよく知られるが、食用にされない中型から小型の種も多い。どの種類も岩や他の貝の殻など硬質の基盤に着生するのが普通であるが、付着する物質は必ずしも岩である必要は無く小さな岩片や他の貝殻も利用される。 泥底にも対応する<ref name=Chinzei />。[[船]]にとって船底に着生して抵抗となる[[ |
主に[[炭酸塩]]鉱物の[[方解石]]からなる殻を持つ<ref name=Chinzei />。食用にされる[[マガキ]]や[[イワガキ]]などの大型種がよく知られるが、食用にされない中型から小型の種も多い。どの種類も岩や他の貝の殻など硬質の基盤に着生するのが普通であるが、付着する物質は必ずしも岩である必要は無く小さな岩片や他の貝殻も利用される。 泥底にも対応する<ref name=Chinzei />。[[船]]にとって船底に着生して抵抗となる[[付着生物]]は大敵であるが、カキもその代表的な生物である{{Efn2|軍人[[秋山真之]]は幼なじみの[[正岡子規]]に「軍艦は遠洋航海に出て帰ってくると、船底にかきがら(蠣殻)がくっついて船あしがおちる」と書いている<ref>[[司馬遼太郎]]『[[坂の上の雲]]』{{要ページ番号|date=2024年6月}}</ref>。こうした水棲生物のために船底塗料が使われる。}}。マガキは[[潮汐|干潮]]時には水面上に露出する場所に住む場合も多く、体内に[[グリコーゲン]]を多く蓄えているため、他の貝と違って水が無い所でも1週間程度は生存する。また、着生してからはほとんど動かないため、筋肉が退化して[[内臓]]がほとんどを占めている。 |
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== 生物学特徴 == |
== 生物学特徴 == |
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[[ファイル:Fossil-oyster.jpg|thumb|約2500万年前と推定される牡蠣の化石]] |
[[ファイル:Fossil-oyster.jpg|thumb|約2500万年前と推定される牡蠣の化石]] |
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約2億9500万年前から始まる[[ペルム紀]]には出現し<ref name=yokoyama />、[[三畳紀]]には生息範囲を広げた。浅い海に多く、極地を除き全世界に分布する<ref name=Chinzei>鎮西清高 |
約2億9500万年前から始まる[[ペルム紀]]には出現し<ref name=yokoyama />、[[三畳紀]]には生息範囲を広げた。浅い海に多く、[[極地]]を除き全世界に分布する<ref name=Chinzei>{{Cite journal|和書|author=鎮西清高 |title=カキの古生態学 (1) |journal=化石 |volume=31 |pages=27-34 |year=1982 |doi=10.14825/kaseki.31.0_27 |naid=110002703443 |CRID=1390282679411304320 |ISSN=00229202 |publisher=日本古生物学会}}</ref>。時に大規模に密集した漏斗状の{{仮リンク|カキ礁|en|Oyster reef}}の[[化石]]が出土することもある<ref name=yokoyama>{{Cite journal|和書|author=横山芳春, 安藤寿男, 橋本聡子 |date=2004 |url=https://doi.org/10.14825/kaseki.76.0_32 |title=大規模カキ化石密集層のタフォノミー : 茨城県霞ヶ浦周辺の第四系更新統下総層群を例に |journal=化石 |ISSN=00229202 |publisher=日本古生物学会 |volume=76 |pages=32-45 |doi=10.14825/kaseki.76.0_32 |CRID=1390001204435216000}}</ref>。着生した基盤に従って成長するために殻の形が一定せず、波の当たり具合などの環境によっても形が変化するために外見による分類が難しく、野外では属さえも判別できないこともあって未だに分類が混乱しているため、[[デオキシリボ核酸|DNA]]解析による分類がなされつつある。 |
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雌雄同体の種と雌雄異体の種があり、マガキでは雌雄異体であるが生殖時期が終了すると一度中性になり、その後の栄養状態が良いとメスになり、悪いとオスになるとされている<ref> |
[[雌雄同体]]の種と雌雄異体の種があり、マガキでは雌雄異体であるが生殖時期が終了すると一度中性になり、その後の栄養状態が良いとメスになり、悪いとオスになるとされている<ref>{{Cite web |和書|url=http://oo.spokon.net/yasu/kai/kaki.htm |title=阿部泰宜、カキ(牡蠣)編:愉「貝」な仲間たち!|accessdate=2016-04-04|archiveurl=https://web.archive.org/web/20041205030354/http://oo.spokon.net/yasu/kai/kaki.htm |archivedate=2004-12-05|url-status=dead|url-status-date=2023-12}}</ref><ref>{{cite book|和書|author=代表研究者 松谷武成 |year=1994 |url=https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-04660195 |title=マガキ性分化機構に関する研究 |publisher=松谷武成 |series=科学研究費補助金(一般研究C)研究成果報告書 |quote=研究課題/領域番号:04660195 |CRID=1130000796113236096}}</ref>。殻から年齢を推定する信頼できる方法が無いため<ref name=Chinzei />、年間の成長速度は不明。 |
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産卵後に親貝のエラの中で卵 (0.05mm) がとどまる種(例えば、 |
産卵後に親貝の[[えら#軟体動物|エラ]]の中で卵 (0.05mm) がとどまる種(例えば、''Lopha''や)''Ostrea'')とすぐに海中を漂う種 (''Crassostrea'') があるが、受精から1日で殻が作られる。受精卵はすぐに分割が始まり、[[トロコフォア]][[幼生]]、[[ベリジャー幼生]]、[[D型幼生]]期、[[アンボ期]]、成熟幼生期の間の2週間から5週間程度海中を漂い、0.3mm 程度の大きさになると左殻を下にして付着(固着)する<ref>[https://www.env.go.jp/water/heisa/heisa_net/setouchiNet/seto/setonaikai/clm9.html かき] [[環境省]] せとうちネット</ref>。なお、海中浮遊期の長さは種と水温によって異なる。 |
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== 分類 == |
== 分類 == |
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===カキ上科=== |
===カキ上科=== |
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====ベッコウガキ科 (''{{sname||Gryphaeidae}}'')==== |
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* オオベッコウガキ属 (''Pycnodonte'') |
* オオベッコウガキ属 (''Pycnodonte'') |
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** オオベッコウガキ (''Pycnodonte taniguchii'') |
** オオベッコウガキ (''Pycnodonte taniguchii'') |
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** ベニガキ (''Hyotissa chemnitzi'') |
** ベニガキ (''Hyotissa chemnitzi'') |
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** ヒラガキ (''Hyotissa numisma''') |
** ヒラガキ (''Hyotissa numisma''') |
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====イタボガキ科 (''{{sname||Ostreidae}}'')==== |
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* [[イタボガキ属]] (''{{sname||Ostrea}}'') |
* [[イタボガキ属]] (''{{sname||Ostrea}}'') |
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** [[イタボガキ]] (''{{sname||Ostrea denselamellosa}}'') |
** [[イタボガキ]] (''{{sname||Ostrea denselamellosa}}'') |
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[[ファイル:Oyster(L).jpg|thumb|フランス産の[[緑牡蠣]](マガキ)]] |
[[ファイル:Oyster(L).jpg|thumb|フランス産の[[緑牡蠣]](マガキ)]] |
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[[ファイル:Oyster culture in Belon, France 03.jpg|thumb|フランスの[[ベロン (フランス)|ベロン]]での養殖]] |
[[ファイル:Oyster culture in Belon, France 03.jpg|thumb|フランスの[[ベロン (フランス)|ベロン]]での養殖]] |
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{{main|{{ill2|カキ養殖|en|Oyster farming}}}} |
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カキの中でもマガキ属 |
カキの中でもマガキ属(''Crassosrea'')は世界的に食用目的での[[養殖]]が最も多い二枚貝である<ref name=Aranishi>{{Cite journal|和書|author=荒西太士, 沖本宜音, 飯塚祐輔, 工藤康介, 平野琢也, 大久保誠 |date=2006-03 |url=https://miyazaki-u.repo.nii.ac.jp/records/3377 |title=分子進化解析によるCrassostrea属の異所的種分化 |journal=宮崎大学農学部研究報告 |ISSN=0544-6066 |publisher=宮崎大学農学部 |volume=52 |issue=1-2 |pages=21-27 |hdl=10458/484 |CRID=1050845763621168384}}</ref>。主な養殖方法は海中にぶら下げる方法([[筏]]垂下)とある程度育った貝を海底に撒く方法(地蒔き)があり、[[ヨーロッパ]]における[[古代ローマ]]時代は地蒔きによる方法で行われたが<ref name=James>{{Cite book|title = Piscinae: Artificial Fishponds in Roman Italy|url = https://books.google.com/books?id=cPyDuRqA2jEC|publisher = UNC Press Books|date = 1997-01-01|isbn = 9780807823293|first = James Arnold|last = Higginbotham}}</ref>、現在の日本では海中にぶら下げる方法が主流となっている<ref>[http://hiroseki.sakura.ne.jp/kakiyoushoku.html かき(牡蠣)の歴史] [[兵庫教育大学]]大学院 關浩和研究室</ref>。 |
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現在の養殖の方法は、カキの |
現在の養殖の方法は、カキの幼生が浮遊し始める[[夏]]の初めに[[ホタテガイ]]などの貝殻を吊り下げた採苗を行うための採苗連を海中に吊るし、幼生を採苗連の貝殻に付着させ<ref>{{Cite journal|和書 |author=坂井英世 |year=1960 |url=https://doi.org/10.11233/aquaculturesci1953.8.61 |title=カキ採苗連速成器の考案 |journal=水産増殖 |ISSN=0371-4217 |publisher=日本水産増殖学会 |volume=8 |issue=1 |pages=61-62 |doi=10.11233/aquaculturesci1953.8.61 |CRID=1390001204719803392}}</ref>、後は餌が豊富な場所に放っておくだけというものである。[[欧米]]では種ガキを原盤([[フランス語]]ではクペール)という網状の円盤で採取するが、ある程度大きくなるとそれから外して網籠に入れて干満の差が大きい場所の棚に置くか[[干潟]]にばら撒いて育成する。この方式はホタテガイで種ガキを海中につけっぱなしにしておく日本の方式よりも身が大きくなりやすい。 |
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天然イワガキでは岩盤やコンクリート製 |
天然イワガキでは岩盤や[[コンクリート]]製[[消波ブロック]]などの人工構造物に付着した貝を漁獲することもあるが、貝の産卵最盛期を過ぎた後に海中の岩盤やブロックの表面を清掃することで稚貝の付着を増加させ漁獲量を増加させる方法も行われる<ref>氏良介、「[https://agresearcher.maff.go.jp/seika/show/229523 岩盤清掃によるイワガキ増殖技術の開発]」 [[鳥取県]]栽培漁業センター増殖技術科 2004年</ref>。 |
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カキの餌となる[[植物プランクトン]]を増やすため、[[栄養塩]]が湾に流れ込む川の上流の[[植林]]なども行われている<ref>[http://www.hs-gyoren.jp/ryomin.html 漁民の森作り] |
カキの餌となる[[植物プランクトン]]を増やすため、[[栄養塩]]が湾に流れ込む川の上流の[[植林]]なども行われている<ref>[http://www.hs-gyoren.jp/ryomin.html 漁民の森作り] 広島県[[漁業協同組合]]ホームページ</ref>。 |
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=== 養殖法 === |
=== 養殖法 === |
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; 石蒔式 |
; 石蒔式 |
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: |
: 干潟に石を並べ、自然に付着した貝を育てる方法。生産性は高くないが容易に出来る。 |
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[[ファイル:Oyster Baskets.JPG|thumb|杭に取り付けられたカゴにカキが入れられている]] |
[[ファイル:Oyster Baskets.JPG|thumb|杭に取り付けられたカゴにカキが入れられている]] |
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[[ファイル:観音 Kannon Hiroshima City - panoramio.jpg|thumb|[[広島市]]天満川河口に設置された杭]] |
[[ファイル:観音 Kannon Hiroshima City - panoramio.jpg|thumb|[[広島市]]の[[天満川 (広島県)|天満川]][[河口]]に設置された杭]] |
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[[ファイル:Kashira island in Bizen, Okayama,Japan 岡山県備前市日生町日生,頭島 058.JPG|thumb|瀬戸内海でよく |
[[ファイル:Kashira island in Bizen, Okayama,Japan 岡山県備前市日生町日生,頭島 058.JPG|thumb|[[瀬戸内海]]でよく見られるカキ養殖筏([[頭島]])]] |
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[[ファイル:Scallops used for oyster cultivation.jpg|thumb|筏方式の養殖で使われるホタテの貝殻]] |
[[ファイル:Scallops used for oyster cultivation.jpg|thumb|筏方式の養殖で使われるホタテの貝殻]] |
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; 垂下方式 |
; 垂下方式 |
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# 日本で最も多く行われている'''筏方式'''は、1950年代以降急速に普及拡大した技法である。 |
# 日本で最も多く行われている'''筏方式'''は、1926年から[[広島県]]で養殖試験が始まり、ひび(後述)を使用した養殖法と比べ2倍以上の生育を見せたこと<ref>「カキの増産に垂下式養殖法を試験」『大阪毎日新聞』1926年8月24日広島・山口版(大正ニュース事典編纂委員会 『大正ニュース事典第7巻 大正14年-大正15年』本編p.616 毎日コミュニケーションズ刊 1994年)</ref>から、1950年代以降急速に普及拡大した技法である。[[ロープ]]や[[針金]]に等間隔で付着基材となる[[ホタテガイ]]の貝殻を固定し、貝殻に付着したカキを潮通しの良い海域に設置した[[筏]]に吊す方法。季節毎に筏の設置場所を移動し、湾内の広い水域を養殖場として利用できる。このため効率が良く成長が早く、1年で出荷可能な大きさにまで育ち、大量生産が可能になった。しかし、筏垂下では成長に伴うロスのほか[[台風]]や時化により付着基材からカキが脱落したり、波浪のため筏が損傷したりする事がある。一方、[[延縄]](はえなわ)方式の養殖法を用いると脱落を減少させる事が可能であると報告されている<ref>[https://nrife.fra.affrc.go.jp/seika/h12/haenawa.htm 延縄式養殖施設を用いたカキ養殖試験 福岡県水産海洋技術センター豊前海研究所] 水産総合研究センター 平成12年度瀬戸内海区ブロック研究成果情報<br />{{Cite journal|和書|author=上妻智行, 江崎恭志, 片山幸恵 |date=2002-03 |url=https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2030651950 |title=豊前海におけるカキ延縄養殖の実用性 |journal=福岡県水産海洋技術センター研究報告 |ISSN=0919-2468 |publisher=福岡県水産海洋技術センター |issue=12 |pages=15-18 |CRID=1050001338668477952}}</ref>。 |
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# '''篭方式'''は主に「殻付きカキ」として流通させるカキを養殖する方法として行われる。ある程度の大きさに育った稚貝を網や篭に入れ、筏から吊す方法<ref>{{PDFlink|[https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/64773.pdf 一粒かき養殖の定着化のための 技術開発研究]}} 広島県</ref>。貝の成長に伴い脱落するロスを減少させられるが、網内の貝密度が高いと成長が悪くなる。この方法による生産品のいくつかは |
# '''篭方式'''は主に「殻付きカキ」として流通させるカキを養殖する方法として行われる。ある程度の大きさに育った稚貝を網や篭に入れ、筏から吊す方法<ref>{{PDFlink|[https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/64773.pdf 一粒かき養殖の定着化のための 技術開発研究]}} 広島県</ref>。貝の成長に伴い脱落するロスを減少させられるが、網内の貝密度が高いと成長が悪くなる。この方法による生産品のいくつかは「一粒かき」として地域ブランド化され流通している<ref>[http://www.crossroadfukuoka.jp/event/?mode=detail&id=400000005462&isSpot=1 豊前海一粒かき] [[苅田町]]漁業協同組合</ref>。 |
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# 杭打式の方式は、干潟に立てた竹杭に設置した横置きの竿や棚からロープや針金を吊す技法で、1930年代から1950年代まで行われ、筏方式の普及に伴い衰退した。 |
# 杭打式の方式は、干潟に立てた竹杭に設置した横置きの竿や棚からロープや針金を吊す技法で、1930年代から1950年代まで行われ、筏方式の普及に伴い衰退した。 |
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; 地蒔 |
; 地蒔 |
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: 干潟の泥砂底にある程度の大きさに育った稚貝を蒔いて育てる方法。 |
: 干潟の泥砂底にある程度の大きさに育った稚貝を蒔いて育てる方法。古代ローマ時代から行われていた<ref name=James />とされ、日本では1950年代後半まで[[有明海]]沿岸などで行われたが、[[ノリ]]養殖が盛んになり衰退した<ref>{{Cite journal|和書|author=伊藤輝昭, 松本昌大 |date=2013-03 |url=https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2030852117 |title=有明海における有用カキ3種の分布と採苗に関する研究 |journal=福岡県水産海洋技術センター研究報告 |ISSN=0919-2468 |publisher=福岡県水産海洋技術センター |issue=23 |pages=47-51 |CRID=1050845763674204672}}</ref>。 |
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; ひび建養殖法 |
; ひび建養殖法 |
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: [[広葉樹]]雑木の[[枝]]や竹を干潟に差し養殖する方法。[[江戸時代]]から1940年代まで行われた。広島県における、ひび建養殖から筏方式への移行は軍艦の船体に付くカキがヒントになった。[[呉海軍工廠]]で船底塗料を研究していた青年から「停泊中より航海中、それも水面すれすれの所で大きく育つ」という話を聞き、竹ひびを筏に組んで船で引き回し、潮流の早い海域に浮かべるなどの試みが始まりである<ref>{{Cite journal|和書|author=片上広子 |date=1996-06 |url=http://hist-geo.jp/img/archive/179_058.pdf |format=PDF |title=近世から近代における広島カキ船営業の地域的展開 |journal=歴史地理学 |publisher=歴史地理学会 |volume=38 |munber=3 |pages=58-73 |quote=所蔵:広島県立図書館}}</ref>。 |
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: 広葉樹雑木の枝や竹を干潟に差し養殖する方法。江戸時代から1940年代まで行われた。 |
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; 浮体養殖法<ref name=aquaculturesci.56.203>白藤徳夫、和田洋藏、西垣友和ほか |
; 浮体養殖法<ref name=aquaculturesci.56.203>白藤徳夫、和田洋藏、西垣友和ほか[https://doi.org/10.11233/aquaculturesci.56.203 【原著論文】鋼製魚礁を用いたイワガキの浮体式養殖法]『水産増殖』Vol.56 (2008) No.2 p.203-209, {{DOI|10.11233/aquaculturesci.56.203}}</ref> |
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: 海底に鋼製の魚礁を設置し、魚礁と浮体となるブイの間をロープでつなぎロープ |
: 海底に[[鋼]]製の[[魚礁]]を設置し、魚礁と、浮体となる[[浮標|ブイ]]の間をロープでつなぎ、ロープの数カ所に、種となる稚貝の付いた基材を取り付ける方法。ブイと海面間の距離を4〜5m とすることで「養殖場の上を船舶が航行できる」「[[ムラサキイガイ]]などの付着が垂下方式と比べ少ない」「海面下にあるため波浪の影響を受けにくく、波の強い外海に面した水域が使用できる」「魚礁としての集魚効果が高い」などの利点があると報告されている<ref>{{Cite journal|和書|author=白藤徳夫, 和田洋藏, 西垣友和, 八谷光介, 竹野功璽 |date=2008 |url=https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010761752 |title=鋼製魚礁を用いたイワガキの浮体式養殖法 |journal=水産増殖 |ISSN=0371-4217 |publisher=日本水産増殖学会 |volume=56 |issue=2 |pages=203-209 |doi=10.11233/aquaculturesci.56.203 |CRID=1390282679692637184}}</ref>。 |
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; 陸上養殖 |
; 陸上養殖 |
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: 食中毒の原因となる[[寄生虫]]や病原微生物が少ない[[地下水]]を使う[[閉鎖循環式陸上養殖|陸上養殖]]も、日本では行われている。[[西日本旅客鉄道|JR西日本]]は[[大崎上島]](広島県)で育てた陸上養殖カキを「オイスターぼんぼん」の商品名で出荷している<ref>[https://www.westjr.co.jp/press/article/smt/2017/11/page_11558.html 「オイスターぼんぼん」11月30日から順次販売開始!] |
: [[食中毒]](後述)の原因となる[[寄生虫]]や[[病原体|病原]][[微生物]]が少ない[[地下水]]や[[海洋深層水]]<ref>[https://www.nikkei.com/article/DGXZQOJC061XZ0W3A201C2000000/ 「あたらないカキ」完全陸上養殖 久米島の海洋深層水で] [[日本経済新聞]](2023年12月11日)2023年12月20日閲覧</ref>を使う[[閉鎖循環式陸上養殖|陸上養殖]]も、日本では行われている。[[西日本旅客鉄道|JR西日本]]は[[大崎上島]](広島県)で育てた陸上養殖カキを「オイスターぼんぼん」の商品名で出荷している<ref>[https://www.westjr.co.jp/press/article/smt/2017/11/page_11558.html 「オイスターぼんぼん」11月30日から順次販売開始!] |
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JR西日本プレスリリース |
JR西日本プレスリリース(2017年11月30日)2023年2月25日閲覧</ref>。 |
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== 主な食用種 == |
== 主な食用種 == |
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=== マガキ属 ''Crassostrea'' === |
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多くの種は東アジアに生息し、ヨーロッパと北アメリカに生息するのは1種である<ref name=Aranishi />。なお、ヨーロッパに生息するマガキ属は、16世紀貿易船による人為移入と考えられている<ref>岩崎健史 |
多くの種は[[東アジア]]に生息し、ヨーロッパと[[北アメリカ大陸]]に生息するのは1種である<ref name=Aranishi />。なお、ヨーロッパに生息するマガキ属は、16世紀貿易船による人為移入と考えられている<ref>{{Cite journal|和書|author=岩崎健史, 田中智美, 飯塚祐輔, 菱田泰宏, 蕭聖代, 荒西太士 |date=2009-06 |url=https://ir.lib.shimane-u.ac.jp/ja/6954 |title=マガキ属自然交雑個体の二対立遺伝子解析 |journal=Laguna : 汽水域研究 |ISSN=2185-2995 |publisher=島根大学汽水域研究センター |volume=16 |pages=13-18 |CRID=1050001339310305920}}</ref>。 |
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『[http://www.lib.shimane-u.ac.jp/kiyo/d007/0016/003.pdf マガキ属自然交雑個体の二対立遺伝子解析]』 Laguna(汽水域研究) 16, 13-18, 2009-06, {{naid|110007366864}}</ref>。 |
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; [[マガキ]](真牡蠣、真牡蛎) ''Crassostrea gigas'' ([[カール・ツンベルク|Thunberg]], 1793) |
; [[マガキ]](真牡蠣、真牡蛎) ''Crassostrea gigas'' ([[カール・ツンベルク|Thunberg]], 1793) |
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: 最も一般的な種で、潮線上にも生息し比較的大きな礁を形成する<ref name=Chinzei />。日本でカキといえば本種。本来は[[冬]]が[[旬]]であるが、大型で夏でも生殖巣が発達しない「3倍体牡蠣」も開発され、市場に出ている。[[北海道]]、[[岩手県]]、[[宮城県]]、[[兵庫県]]、[[岡山県]]、[[広島県]]産が有名。 |
: 最も一般的な種で、潮線上にも生息し比較的大きな礁を形成する<ref name=Chinzei />。日本でカキといえば本種。本来は[[冬]]が[[旬]]であるが、大型で夏でも生殖巣が発達しない「3倍体牡蠣」も開発され、市場に出ている。[[北海道]]、[[岩手県]]、[[宮城県]]、[[兵庫県]]、[[岡山県]]、[[広島県]]産が有名。 |
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; [[イワガキ]](岩牡蠣、岩牡蛎) ''Crassostrea nippona'' (Seki, 1934) |
; [[イワガキ]](岩牡蠣、岩牡蛎) ''Crassostrea nippona'' (Seki, 1934) |
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: 潮線下から水深20mまでに生息<ref name=aquaculturesci.56.203 />し大きな礁を作らない<ref name=Chinzei />。マガキと対照的に夏が旬であり、「夏ガキ」とも言われる。殻の色が茶色っぽく、マガキに比べて大きいものが流通する。天然物と養殖物<ref> |
: 潮線下から水深20mまでに生息<ref name=aquaculturesci.56.203 />し大きな礁を作らない<ref name=Chinzei />。マガキと対照的に夏が旬であり、「夏ガキ」とも言われる。殻の色が茶色っぽく、マガキに比べて大きいものが流通する。天然物と養殖物<ref>{{Cite journal|和書|author=藤原正夢 |date=1998-03 |url=https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010581248 |title=イワガキ養殖における開始時最適付着稚貝数と最適養殖水深について |journal=京都府立海洋センター研究報告 |ISSN=0386-5290 |issue=20 |pages=13-19 |CRID=1050564288608124160}}</ref>の両方がある。 |
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; [[スミノエガキ]](住之江牡蠣、住之江牡蛎) ''Crassostrea ariakesis'' (Fujita, 1913) |
; [[スミノエガキ]](住之江牡蠣、住之江牡蛎) ''Crassostrea ariakesis'' (Fujita, 1913) |
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: [[有明海]]沿岸に生息<ref name=suisan.19.1161>田中彌太郎 |
: [[有明海]]沿岸に生息<ref name=suisan.19.1161>{{Cite journal|和書|author=田中彌太郎 |date=1954 |url=https://doi.org/10.2331/suisan.19.1161 |title=有明海産重要二枚貝の産卵期-II |journal=日本水産学会誌 |ISSN=0021-5392 |publisher=日本水産学会 |volume=19 |issue=12 |pages=1161-1164 |doi=10.2331/suisan.19.1161 |CRID=1390282681392429184}}</ref>し食用にされるが、他所へはほとんど出回らない。マガキにごく近縁な種で、殻の表面はやや滑らか。産卵は、6-7月<ref name=suisan.19.1161 />。 |
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; [[シカメガキ]] ''Crassostrea sikamea'' (Amemiya,1928) |
; [[シカメガキ]] ''Crassostrea sikamea'' (Amemiya,1928) |
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: [[八代海]]や有明海、[[福井県]][[三方五湖|久々子湖]]に分布するカキ<ref>飯塚祐輔 |
: [[八代海]]や有明海、[[福井県]][[三方五湖|久々子湖]]に分布するカキ<ref>飯塚祐輔「{{PDFlink|[http://www.kakiken.or.jp/html-2/jyosei_report/h23_iidzuka.pdf シカメガキの分布生態学的研究]}}」{{リンク切れ|date=2024-06}}</ref>。 |
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:八代海周辺で食用にされたが、1946年頃[[熊本県]][[八代市]][[鏡町]]からアメリカに種ガキが輸出され、現地で養殖が進むと八代海では生産されなくなった。 |
:[[八代海]]周辺で食用にされたが、1946年頃に[[熊本県]][[八代市]][[鏡町]]から[[アメリカ合衆国]]に種ガキが輸出され、現地で養殖が進むと八代海では生産されなくなった。輸出されたシカメガキは現在も[[アメリカ合衆国西海岸]][[ワシントン州]]沿岸を中心に「クマモト」の名で養殖されている。小振りながらクリーミーで濃い味が特徴。 |
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=== イタボガキ属 ''Ostrea'' === |
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; [[イタボガキ]](板甫牡蠣、板甫牡蛎) ''Ostrea denselamellosa'' ([[カール・エミル・リシュケ|Lischke]], 1869) |
; [[イタボガキ]](板甫牡蠣、板甫牡蛎) ''Ostrea denselamellosa'' ([[カール・エミル・リシュケ|Lischke]], 1869) |
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: かつては多く食用にされ、[[能登半島]]や[[淡路島]]周辺が有名な産地であったが、現在は[[瀬戸内海]]地方で僅かに市場に出回る程度で、[[絶滅危惧種]]状態<ref>飯塚祐輔 |
: かつては多く食用にされ、[[能登半島]]や[[淡路島]]周辺が有名な産地であったが、現在は[[瀬戸内海]]地方で僅かに市場に出回る程度で、[[絶滅危惧種]]状態<ref>{{Cite journal|和書|author=飯塚祐輔, 荒西太士 |date=2008-12 |url=https://ir.lib.shimane-u.ac.jp/6878 |title=九州に分布するイタボガキ科カキ類のDNA 鑑定 |journal=Laguna : 汽水域研究 |ISSN=2185-2995 |publisher=島根大学汽水域研究センター |volume=15 |pages=69-76 |CRID=1050845764240437376}}</ref>。食用のみならず貝殻が最上質の[[胡粉]]の原料となる点でも重要であり、本種の復活と養殖技術開発の努力がなされている。 |
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; [[ヨーロッパヒラガキ]] ''Ostrea edulis'' ([[カール・フォン・リンネ|Linnaeus]], 1758) |
; [[ヨーロッパヒラガキ]] ''Ostrea edulis'' ([[カール・フォン・リンネ|Linnaeus]], 1758) |
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: ヨーロッパ原産で、イタボガキに似た外観で輪郭が丸く平たい貝。別名:'''ヨーロッパガキ'''。市場では'''フランス牡蠣'''、'''ブロン'''、'''フラット'''などとも呼ばれる。日本では宮城県[[気仙沼市]]の舞根(もうね)などで僅かに養殖され、高級食材として[[フランス料理]]店などに卸される。 |
: ヨーロッパ原産で、イタボガキに似た外観で輪郭が丸く平たい貝。別名:'''ヨーロッパガキ'''。市場では'''フランス牡蠣'''、'''ブロン'''、'''フラット'''などとも呼ばれる。日本では宮城県[[気仙沼市]]の舞根(もうね)などで僅かに養殖され、高級食材として[[フランス料理]]店などに卸される。 |
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: かつてのヨーロッパ、特に[[フランス]]でカキと言えば本種のことであったが、1970年代以降、寄生虫などにより激減。需要を |
: かつてのヨーロッパ、特に[[フランス]]でカキと言えば本種のことであったが、1970年代以降、寄生虫などにより激減。需要を賄うために日本産のマガキを輸入して養殖するようになった。それ以来フランスなどで流通するカキの相当部分は日本由来のマガキであるという<ref>{{Twitter status2|ambafrancejp_jp|1238389336413843457|4=[[在日フランス大使館]]の2020年3月13日のツイート|5=2020年3月14日}}</ref>。 |
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: 2011年、[[東日本大震災]]の[[津波]]により宮城県のカキ養殖施設が壊滅状態に陥った時には、フランスのカキ養殖業者達がかつて日本に助けてもらった恩返しとして、養殖施設の復旧を支援した<ref>{{Twitter status2|ambafrancejp_jp|1238390361334009856|4=在日フランス大使館の2020年3月13日のツイート|5=2020年3月14日}}</ref>。 |
: 2011年、[[東日本大震災]]の[[津波]]により[[宮城県]]のカキ養殖施設が壊滅状態に陥った時には、フランスのカキ養殖業者達がかつて日本に助けてもらった恩返しとして、養殖施設の復旧を支援した<ref>{{Twitter status2|ambafrancejp_jp|1238390361334009856|4=在日フランス大使館の2020年3月13日のツイート|5=2020年3月14日}}</ref>。 |
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== 利用 == |
== 利用 == |
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=== 食材 === |
=== 食材 === |
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食用としての歴史は非常に長く、世界中で食され、人類が親しんできた貝の一つである。グリコーゲンのほか、[[必須アミノ酸]] |
食用としての歴史は非常に長く、世界中で食され、人類が親しんできた貝の一つである。[[グリコーゲン]]のほか、[[必須アミノ酸]]全てを含む。[[タンパク質]]や[[カルシウム]]、[[亜鉛]]などの[[ミネラル]]類をはじめ、様々な[[栄養素]]が多量に含まれるため、「'''海のミルク'''」と呼ばれる<ref name="kampoiyaku">{{Cite journal|和書|author=林輝明|date=2009-11-25|title=薬になる動植物:第37回:牡蛎|journal=漢方医薬新聞|issue=465|pages=p.p.3}}</ref>。[[カキフライ]]のような揚げものや、[[鍋料理|鍋物]]の具にして食べたり、新鮮なものは網焼きや生で食す。 |
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{{hidden begin|border = #aaa solid 1px|titlestyle=text-align: center; |title=牡蠣栄養価の代表値|bg=#F0F2F5}} |
{{hidden begin|border = #aaa solid 1px|titlestyle=text-align: center; |title=牡蠣栄養価の代表値|bg=#F0F2F5}} |
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120行目: | 120行目: | ||
{{栄養価 | name=牡蠣(太平洋、生)| water =82.06 g| kJ =339| protein =9.45 g| fat =2.3 g| carbs =4.95 g| fiber =0 g| calcium_mg =8| iron_mg =5.11| magnesium_mg =22| phosphorus_mg =162| potassium_mg =168| sodium_mg =106| zinc_mg =16.62| copper_mg = 1.576|manganese_mg =0.643| selenium_μg =77| vitC_mg =8| thiamin_mg =0.067| riboflavin_mg =0.233| niacin_mg =2.01| pantothenic_mg =0.5| vitB6_mg=0.05| folate_ug =10| vitB12_ug =16| vitA_ug =81| satfat =0.51 g| monofat =0.358 g| polyfat =0.894 g| tryptophan =0.106 g| threonine =0.407 g| isoleucine =0.411 g| leucine =0.665 g| lysine =0.706 g| methionine =0.213 g| cystine =0.124 g| phenylalanine =0.339 g| tyrosine =0.302 g| valine =0.413 g| arginine =0.689 g| histidine =0.181 g| alanine =0.572 g| aspartic acid =0.912 g| glutamic acid =1.285 g| glycine =0.591 g| proline =0.386 g| serine =0.423 g| right=1 | source_usda=1 }} |
{{栄養価 | name=牡蠣(太平洋、生)| water =82.06 g| kJ =339| protein =9.45 g| fat =2.3 g| carbs =4.95 g| fiber =0 g| calcium_mg =8| iron_mg =5.11| magnesium_mg =22| phosphorus_mg =162| potassium_mg =168| sodium_mg =106| zinc_mg =16.62| copper_mg = 1.576|manganese_mg =0.643| selenium_μg =77| vitC_mg =8| thiamin_mg =0.067| riboflavin_mg =0.233| niacin_mg =2.01| pantothenic_mg =0.5| vitB6_mg=0.05| folate_ug =10| vitB12_ug =16| vitA_ug =81| satfat =0.51 g| monofat =0.358 g| polyfat =0.894 g| tryptophan =0.106 g| threonine =0.407 g| isoleucine =0.411 g| leucine =0.665 g| lysine =0.706 g| methionine =0.213 g| cystine =0.124 g| phenylalanine =0.339 g| tyrosine =0.302 g| valine =0.413 g| arginine =0.689 g| histidine =0.181 g| alanine =0.572 g| aspartic acid =0.912 g| glutamic acid =1.285 g| glycine =0.591 g| proline =0.386 g| serine =0.423 g| right=1 | source_usda=1 }} |
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{{hidden end}} |
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=== カキの食べられない月 === |
=== カキの食べられない月 === |
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[[ファイル:Landingoftheoyster2008.jpg|thumb|the Whitstable Oyster Festival 2007 の初日のカキの水揚げ]] |
[[ファイル:Landingoftheoyster2008.jpg|thumb|the Whitstable Oyster Festival 2007 の初日のカキの水揚げ]] |
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産卵期にはカキは[[精巣]]と[[卵巣]]が非常に増大し、食用とはならない。一般にカキとして認識されている'''マガキ'''の場合は、グリコーゲン含量が増える秋から冬にかけてが旬とされており、英名に「R」のつかない月、すなわち |
産卵期にはカキは[[精巣]]と[[卵巣]]が非常に増大し、食用とはならない。一般にカキとして認識されている'''マガキ'''の場合は、グリコーゲン含量が増える秋から冬にかけてが旬とされており、英名に「R」のつかない月、すなわちMay(5月), June(6月), July(7月), August(8月)は産卵期であり食用には適さないとされている<ref name="kampoiyaku"/>。ただし、春から夏に[[旬]]を迎える'''イワガキ'''と呼ばれる種類のカキもあり、それぞれ養殖も盛んであることからマガキに限らないならば通年食べることができる。また、産地によっては、水温などの条件により旬が変わることもある。本来は冬が旬であるが、大型で夏でも生殖巣が発達しない「3倍体牡蠣」も開発され、市場に出ている。{{独自研究範囲|[[イギリス]]で開催されるカキのお祭り([[w:Whitstable Oyster Festival|Whitstable Oyster Festival]])に使われるカキもイギリスで養殖された日本のマガキで、開催されるのも夏である。カキの養殖により通年カキが手に入るため、「R」のつかない月はカキを食べないという習慣は英語圏で消えつつある。|date=2022年11月}} |
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=== 料理 === |
=== 料理 === |
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[[ファイル:Oyster knife DSC09237.jpg|thumb|剥き身に加工するための殻を開ける道具]] |
[[ファイル:Oyster knife DSC09237.jpg|thumb|剥き身に加工するための殻を開ける道具]] |
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カキの殻の表面は剃刀の刃のように薄いものが重なっており、生食の際には[[軍手]]などの手袋を用いないと手のひらに無数の傷がつく。網焼きや生食では身だけでなく汁もともに吸う。多くの人はカキの身にのみ栄養があると考えているが、身が浸されている殻の中の海水を含む汁にも多くの栄養素が含まれていることが知られている。カキの独特の風味は貝類の内臓の味であるということを[[日本テレビ放送網|日本テレビ]]の科学番組『[[所さんの目がテン!]]』で検証しており、ここでは[[ハマグリ]]の内臓を寄せ集めて作った[[カキフライ]]もどきが本物と区別が付かないことを、20人中18人が騙されたという結果で示した<ref>{{Cite web |
カキの殻の表面は[[剃刀]]の刃のように薄いものが重なっており、生食の際には[[軍手]]などの手袋を用いないと手のひらに無数の傷がつく。網焼きや生食では身だけでなく汁もともに吸う。多くの人はカキの身にのみ栄養があると考えているが、身が浸されている殻の中の海水を含む汁にも多くの栄養素が含まれていることが知られている。カキの独特の風味は貝類の内臓の味であるということを[[日本テレビ放送網|日本テレビ]]の科学番組『[[所さんの目がテン!]]』で検証しており、ここでは[[ハマグリ]]の内臓を寄せ集めて作った[[カキフライ]]もどきが本物と区別が付かないことを、20人中18人が騙されたという結果で示した<ref>{{Cite web|和書|date=2004-11-07 |url=http://www.ntv.co.jp/megaten/library/date/04/11/1107.html |title=驚き○○で カキフライ |work=所さんの目がテン! |publisher=日本テレビ放送網 |accessdate=2008-12-30 }}</ref>。 |
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冷めたカキの調理品を[[電子レンジ]]で温める際は、温めている途中で破裂するおそれがあるため、あらかじめラップでくるんだり、カキに切れ込みを入れたりした方が良い。 |
冷めたカキの調理品を[[電子レンジ]]で温める際は、温めている途中で破裂するおそれがあるため、あらかじめラップでくるんだり、カキに切れ込みを入れたりした方が良い。 |
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[[ファイル:Raw rock oyster.jpg|thumb|生食用として提供されたイワガキ]] |
[[ファイル:Raw rock oyster.jpg|thumb|生食用として提供されたイワガキ]] |
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; 生食 |
; 生食{{Anchors|生ガキ}} |
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: '''生ガキ'''('''生牡蠣'''、なまがき)とも呼ぶ。 |
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: 一般的に魚介の生食を嫌う[[欧米]]食文化圏において、カキは例外的に生食文化が発達した食材であり、 |
: 一般的に魚介の生食を嫌う[[欧米]]食文化圏において、カキは例外的に生食文化が発達した食材であり、古代ローマ時代から珍重され、養殖も行われていた。生ガキは[[フランス料理]]における[[オードブル]]となっている。[[ナポレオン・ボナパルト|ナポレオン]]、[[オノレ・ド・バルザック|バルザック]]、[[オットー・フォン・ビスマルク|ビスマルク]]などがカキの愛好家であったことが知られている<ref name="kampoiyaku"/>。また、[[北アメリカ]]の[[フランス系カナダ人]]や[[ケイジャン]]の食文化でも生食される。[[ニューオーリンズ]]などのケイジャン文化圏の観光地では生ガキが名物料理の一つであり、生ガキをメニューの中心に据える「[[オイスターバー]]」と呼ばれるレストランもそれらの土地では珍しくない。 |
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: 日本では[[縄文時代]] |
: 日本では[[縄文時代]]頃から食用されていたとされ、多くの[[貝塚]]から殻が発見されており、[[ハマグリ]]に次いで多く食べられていたと考えられている<ref name="kampoiyaku"/>。[[室町時代]]頃には[[養殖]]も行われるようになったという。[[大阪市|大坂]]では[[明治|明治時代]]まで広島からの[[かき船]]が[[土佐堀]]、[[堂島]]、[[道頓堀]]などで船上での[[行商]]に訪れ、晩秋の[[風物詩]]となっていた。 |
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: かつては広島や東北などの産地から消費地まで輸送するのに時間がかかったため、日本ではカキの生食は産地以外では一般化せず、もっぱら[[酢締め]]や加熱調理で食された。日本人では[[武田信玄]]や[[頼山陽]]などがカキの愛好家であったことが知られている<ref name="kampoiyaku"/>。 |
: かつては広島や[[東北地方]]などの産地から消費地まで輸送するのに時間がかかったため、日本ではカキの生食は産地以外では一般化せず、もっぱら[[酢締め]]や加熱調理で食された。日本人では[[武田信玄]]や[[頼山陽]]などがカキの愛好家であったことが知られている<ref name="kampoiyaku"/>。 |
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: [[ファイル:フランスボルドー生ガキ.jpg|サムネイル|フランスボルドーにおける生ガキの提供。日本のようにぷっくりしたミルキーなものではない。シャブリやグラーブなどの辛口白ワインと味わうのが一般的とされている。]] |
: [[ファイル:フランスボルドー生ガキ.jpg|サムネイル|フランスボルドーにおける生ガキの提供。日本のようにぷっくりしたミルキーなものではない。シャブリやグラーブなどの辛口[[白ワイン]]と味わうのが一般的とされている。]] |
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: が欧米から輸入された珍しい食材である。 |
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: 日本人がカキを生で食べるようになったのは、欧米の[[食文化]]が流入した明治時代以降<ref>一例として{{Cite web |和書|url=http://www.city.yokohama.lg.jp/naka/archive/reference/kaitai.html |title=中区解体新書|accessdate=2017-07-19 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20121019083840/http://www.city.yokohama.lg.jp/naka/archive/reference/kaitai.html |archivedate=2012-10-19 |url-status=dead|url-status-date=2023-12}}[[横浜市役所]][[中区 (横浜市)|中区]](1994年3月)p.27 に記載あり。</ref>であり、生食文化が欧米から輸入された珍しい食材である。 |
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: カキの殻を合わせ目からナイフ状のヘラを差し込み、貝柱を切断してこじ開け、身をつまみ出して食べる |
: カキの殻を合わせ目からナイフ状のヘラを差し込み、[[閉殻筋|貝柱]]を切断してこじ開け、身をつまみ出して食べる。[[レモン|レモン汁]]、[[酢|食酢]]、[[タバスコ]]等を使った酸味のある調味ダレを添えることもある。 |
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; 焼きガキ |
; 焼きガキ |
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: [[ファイル:Oyster Ushimado03s.jpg|thumb|イワガキの焼きガキ]] |
: [[ファイル:Oyster Ushimado03s.jpg|thumb|イワガキの焼きガキ]] |
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; [[カキフライ]] |
; [[カキフライ]] |
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: [[ファイル:Oyster Ushimado01s.jpg|thumb|カキフライ]] |
: [[ファイル:Oyster Ushimado01s.jpg|thumb|カキフライ]] |
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: [[カツレツ]]の手法によって、生のカキに小麦粉をまぶし、溶き卵をくぐらせてから[[パン粉]]をつけて、油で揚げる。 |
: [[カツレツ]]の手法によって、生のカキに[[小麦粉]]をまぶし、溶き卵をくぐらせてから[[パン粉]]をつけて、油で揚げる。 |
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; カキの[[天ぷら]] |
; カキの[[天ぷら]] |
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: [[中華人民共和国|中国]][[広東省]]などでは、厚めの[[衣]]をつけた天ぷらが好まれている。 |
: [[中華人民共和国|中国]][[広東省]]などでは、厚めの[[衣]]をつけた天ぷらが好まれている。 |
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; [[牡蠣の土手鍋]] |
; [[牡蠣の土手鍋]] |
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: [[土鍋]]の内側の周囲全体に[[味噌]]を厚く塗った中に、カキ、[[ネギ]]やその他の具材を入れて加熱し、味噌が溶け出したら食べる。 |
: [[土鍋]]の内側の周囲全体に[[味噌]]を厚く塗った中に、カキ、[[ネギ]]やその他の具材を入れて加熱し、味噌が溶け出したら食べる。広島県の[[郷土料理]]。 |
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; [[かきめし]] |
; [[かきめし]] |
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: カキの煮汁で |
: カキの煮汁で[[米飯]]を炊き、炊き上がったところでカキを混ぜ数分ほど蒸らして作る。[[厚岸駅]](北海道[[厚岸町]])や[[広島駅]]では[[駅弁]]にもなっている。 |
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; カキ鍋 |
; カキ鍋 |
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: 季節の具材とともに煮る[[鍋料理]]の一つ。土手鍋とは異なる。 |
: 季節の具材とともに煮る[[鍋料理]]の一つ。土手鍋とは異なる。 |
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; カキカレー |
; カキカレー |
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: [[カレーライス]]の具にカキを使ったもので、広島などで供されたり、[[レトルト食品]]として売られている。 |
: [[カレーライス]]の具にカキを使ったもので、広島などで供されたり、[[レトルト食品]]として売られたりしている。 |
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; [[牡蠣シチュー]] |
; [[牡蠣シチュー]] |
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: カキを使った[[シチュー]]で、アメリカやガンビアで食される。 |
: カキを使った[[シチュー]]で、アメリカ合衆国や[[ガンビア]]で食される。 |
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; [[お好み焼き]] |
; [[お好み焼き]] |
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: 広島風お好み焼きの具材としてポピュラーである。また、お好み焼きの具にカキを使ったものでは[[岡山県]] |
: 広島風お好み焼きの具材としてポピュラーである。また、お好み焼きの具にカキを使ったものでは[[岡山県]][[備前市]][[日生町|日生地区]]の[[カキオコ]]が有名。 |
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; カキの燻製 |
; カキの[[燻製]] |
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: [[缶詰]]や[[真空パック]]で流通している。 |
: [[缶詰]]や[[真空パック]]で流通している。 |
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; カキ入り卵焼き([[蚵仔煎]]、オーアチエン) |
; カキ入り[[卵焼き]]([[蚵仔煎]]、オーアチエン) |
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: [[台湾]]や中国[[福建省]]、広東省の一部で一般的な料理で、お好み焼きのように平たく焼いてから、甘い味のタレをかけて食べる。 |
: [[台湾]]や中国[[福建省]]、広東省の一部で一般的な料理で、お好み焼きのように平たく焼いてから、甘い味のタレをかけて食べる。[[タイ王国|タイ]]では(オースワン、{{lang|th|ออส่วน}})と呼ばれスイートチリソースをつけて食べる。 |
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; カキ粥(台湾語:{{lang|zh-hant|蚵仔粥}}、オーアティオッ) |
; カキ粥(台湾語:{{lang|zh-hant|蚵仔粥}}、オーアティオッ) |
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: 台湾、 |
: 台湾、広東省(特に[[汕頭市]])、[[香港]]などで好まれる料理の一つ。カキのむき身を米の[[粥]]に入れ、揚げた[[ネギ]]、広東[[セロリ]]、[[コリアンダー]]などを添えたもの。 |
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; カキスープ(台湾語:{{lang|zh-hant|蚵仔湯}}、オーアトゥン) |
; カキスープ(台湾語:{{lang|zh-hant|蚵仔湯}}、オーアトゥン) |
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: 台湾などでは[[ショウガ]]の味を利かせたカキのすまし汁にも人気がある。 |
: 台湾などでは[[ショウガ]]の味を利かせたカキのすまし汁にも人気がある。 |
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; [[蚵仔麺線]](オーアミースァ) |
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: 台湾の麺料理の一種で、カキをのせた[[麺線]](素麵状の麺類)料理。 |
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; オイスター・カークパトリック([[:w:Oysters Kirkpatrick|Oysters Kirkpatrick]]) |
; オイスター・カークパトリック([[:w:Oysters Kirkpatrick|Oysters Kirkpatrick]]) |
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: チーズなどを使ったイギリス |
: [[チーズ]]などを使った[[イギリス料理]]。 |
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=== 調味料 === |
=== 調味料 === |
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; カキ醤油 |
; カキ醤油 |
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: |
: 広島県や北海道厚岸町で水揚げされるカキの[[出汁]]を調合した[[醤油]]が製造される。 |
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; カキ油 |
; カキ油 |
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: カキ油([[オイスターソース]])は[[中華料理]]の重要な[[調味料]]。中国[[マカオ]]のものが著名。 |
: カキ油([[オイスターソース]])は[[中華料理]]の重要な[[調味料]]。中国[[マカオ]]のものが著名。 |
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; 干しガキ |
; 干しガキ |
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: 干しガキ({{lang|zh-hant|蠔豉}}、{{lang|zh-hans|蚝豉}}、ハオチー)は中国 |
: 干しガキ({{lang|zh-hant|蠔豉}}、{{lang|zh-hans|蚝豉}}、ハオチー)は中国広東省で製造・使用されている調味用食材。カキのむき身を塩ゆでしてから日干しにしたもので、うま味を出すのに使われる。 |
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=== 薬用 === |
=== 薬用 === |
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貝殻はボレイといい、焼成してから粉砕した粉は『[[日本薬局方]]』に「ボレイ」および「ボレイ末」として記載の[[生薬]]である<ref>{{Cite book|和書|author=厚生労働省|title=第十五改正日本薬局方|url=https://jpdb.nihs.go.jp/jp15/YAKKYOKUHOU15.pdf|format=PDF|accessdate=2009-12-16|date=2006-03-31|publisher=厚生労働省|pages=p.p.1271-1272}} |
貝殻はボレイといい、焼成してから粉砕した粉は『[[日本薬局方]]』に「ボレイ」および「ボレイ末」として記載の[[生薬]]である<ref>{{Cite book|和書|author=[[厚生労働省]]|title=第十五改正日本薬局方|url=https://jpdb.nihs.go.jp/jp15/YAKKYOKUHOU15.pdf|format=PDF|accessdate=2009-12-16|date=2006-03-31|publisher=厚生労働省|pages=p.p.1271-1272}} |
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</ref>。ボレイの歴史は古く[[梁 (南朝)|梁]]の[[陶弘景]]が『[[神農本草経]]』を修訂した『神農本草経集注』に収載されている。現在市販されているものはマガキの左殻が普通である。 |
</ref>。ボレイの歴史は古く[[梁 (南朝)|梁]]の[[陶弘景]]が『[[神農本草経]]』を修訂した『神農本草経集注』に収載されている。現在市販されているものはマガキの左殻が普通である。 |
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「ボレイ末」は[[炭酸カルシウム]] |
「ボレイ末」は[[炭酸カルシウム]](CaCO<sub>3</sub>)が主成分で、[[リン酸塩]]のほか[[マグネシウム]]、[[アルミニウム]]、[[ケイ酸塩]]、[[酸化鉄]]などを含有する。処方例として、[[安中散]]、[[桂枝加竜骨牡蛎湯]]、[[柴胡加竜骨牡蛎湯]]などに使われる。また、[[農薬]]として長期的に使用すると除草効果([[雑草]]の根張りが悪くなる)があるとされる。薬理作用として、かき肉には[[血糖]]低下(カキ身[[エキス]])、[[免疫]]増強作用(中性[[多糖|多糖類]])、牡蛎制酸などの作用があるとされる。薬用以外には天然炭酸カルシウムとして、あるいは1000[[セルシウス度|℃]]程度に焼成すると、カキ灰などとも呼ばれる[[酸化カルシウム]](CaO)が主成分のものとなり、[[消しゴム]]の添加剤などの工業用や[[食品添加物]]、[[砂糖]]精製用助剤などにも利用されている。 |
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=== 餌 === |
=== 餌 === |
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=== その他 === |
=== その他 === |
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: 海苔の養殖などにおいて、海苔の糸状体が蛎殻に付着することを利用し、採苗に貝殻が利用される場合もある。 |
: [[海苔]]の養殖などにおいて、海苔の[[糸状体]]が蛎殻に付着することを利用し、採苗に貝殻が利用される場合もある。 |
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; 海水の浄化 |
; 海水の浄化 |
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: 二枚貝は水中の[[懸濁態物質]]やプランクトンを取り込むため、カキを収穫することで、水中の[[栄養塩]]の回収につながる。特にカキは濾過量が他の2枚貝に比べて多い。アメリカの[[チェサピーク湾]]では、オイスターガーデニングと呼ばれる水質浄化活動も行われている。カキの擬糞はゴカイなどの底生生物の餌となり、底生生物は魚類の餌となる。しかし、過剰なカキ養殖などにより底生生物による分解能力を超えて擬糞が発生すると、低層が貧酸素化し、底泥も[[ヘドロ]]化することがある。 |
: 二枚貝は水中の[[懸濁態物質]]やプランクトンを取り込むため、カキを収穫することで、水中の[[栄養塩]]の回収につながる。特にカキは濾過量が他の2枚貝に比べて多い。[[アメリカ合衆国東海岸]]の[[チェサピーク湾]]では、オイスターガーデニングと呼ばれる水質浄化活動も行われている。カキの{{ill2|擬糞|en|Pseudofeces}}は[[ゴカイ]]などの[[底生生物]]の餌となり、底生生物は魚類の餌となる。しかし、過剰なカキ養殖などにより底生生物による分解能力を超えて擬糞が発生すると、低層が[[貧酸素水塊]]化し、底泥も[[ヘドロ]]化することがある。 |
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; [[胡粉]] |
; [[胡粉]] |
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: 日本画によく使われる白色の顔料。[[岩絵具]]の一つにも分類される。 |
: [[日本画]]によく使われる白色の顔料。[[岩絵具]]の一つにも分類される。 |
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; [[肥料]] |
; [[肥料]] |
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: 粉砕された殻が「かき殻石灰」などの名前で有機石灰の一種として供給される。[[消石灰]]と異なり、作物に有効な微量元素を多く含んでいる<ref>森本正則 |
: 粉砕された殻が「かき殻石灰」などの名前で有機石灰の一種として供給される。[[消石灰]]と異なり、作物に有効な微量元素を多く含んでいる<ref>{{Cite journal|和書|author=森本正則, 守本信一, 宮本信彦, 立木陽子, 大黒撤平, 樋口喜三, 駒井功一郎 |date=2009-03 |url=https://kindai.repo.nii.ac.jp/records/13112 |title=ケイ酸入り牡蠣殻石灰粒状肥料の水稲施肥試験 |journal=近畿大学資源再生研究所報告 |publisher=近畿大学資源再生研究所 |issue=7 |pages=57-61 |CRID=1050001202539826816}}</ref><ref>[http://lib.ruralnet.or.jp/genno/yougo/gy247.html カキ殻(かきがら)] 月刊『近代農業』[[農山漁村文化協会|農文協]]データベース</ref>。 |
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; 屋根材 |
; 屋根材 |
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: 江戸時代の日本では、牡蠣殻で[[屋根]]を葺く牡蠣殻葺<ref name="Kotobank1">{{Kotobank|牡蠣殻葺|2=精選版 日本国語大辞典}}</ref>(牡蠣殻屋根<ref name="Kotobank2">{{Kotobank|牡蠣殻屋根|2=精選版 日本国語大辞典}}</ref>)が行われていた。飛び火による延焼を防ぐ効果があり<ref name="Kotobank1"/>、[[瓦葺き]]の代用として江戸幕府も板葺きに牡蠣殻を葺くよう奨励していた<ref>{{Cite|news|url=https://www.fujiclean.co.jp/fujiclean/story/vol50/part202.html|title=牡蠣|水の話|work=フジクリーン工業株式会社|date=|accessdate=2022-2-18}}</ref>。 |
: 江戸時代の日本では、牡蠣殻で[[屋根]]を葺く牡蠣殻葺<ref name="Kotobank1">{{Kotobank|牡蠣殻葺|2=精選版 日本国語大辞典}}</ref>(牡蠣殻屋根<ref name="Kotobank2">{{Kotobank|牡蠣殻屋根|2=精選版 日本国語大辞典}}</ref>)が行われていた。飛び火による延焼を防ぐ効果があり<ref name="Kotobank1"/>、[[瓦葺き]]の代用として[[江戸幕府]]も板葺きに牡蠣殻を葺くよう奨励していた<ref>{{Cite|news|url=https://www.fujiclean.co.jp/fujiclean/story/vol50/part202.html|title=牡蠣|水の話|work=フジクリーン工業株式会社|date=|accessdate=2022-2-18}}</ref>。 |
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== カキと食中毒 == |
== カキと食中毒 == |
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古くから食べられてきたカキであるが、その一方で「あたる」食品(食材)としても知られている。カキの[[食中毒]]が注目されるのは非加熱状態で食べられる機会が多いことと関係している。 |
古くから食べられてきたカキであるが、その一方で「あたる」食品(食材)としても知られている。カキの[[食中毒]]が注目されるのは非加熱状態で食べられる機会が多いことと関係している。英語やフランス語では、月の名前にRがない5-8月の暑い時期のカキは危険であるとされていた<ref>{{cite web |url=http://www.nefsc.noaa.gov/faq/fishfaq5b.html |title=Nefsc Fish Faq |publisher=Nefsc.noaa.gov |date=2011-06-16 |access-date=2011-08-16 |url-status=dead |archive-url=https://web.archive.org/web/20111004080442/http://www.nefsc.noaa.gov/faq/fishfaq5b.html |archive-date=2011-10-04 }}</ref>。 |
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貝の身を食べることに関して、[[アサリ]]やハマグリ、[[シジミ]]、[[サザエ]]などは加熱してから丸のまま、 |
貝の身を食べることに関して、[[アサリ]]やハマグリ、[[シジミ]]、[[サザエ]]などは加熱してから丸のまま、ホタテは[[貝柱]]で生で食べることはあるにしても、丸ごとでは焼いたり茹でたりしてから食べ、[[アオヤギ]]の小柱は[[軍艦巻]]などにして、舌の部分は湯振りしてから食べるのが基本である。これに対して、カキは生食されることも多く、十分注意する必要がある。 |
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現代の日本国内で流通している生食用のカキは、食中毒を極力回避するために生産・流通段階でいくつかの対策がとられている<ref>{{PDFlink|[http://www.pref.miyagi.jp/uploaded/attachment/69088.pdf 生かき生産管理における各作業工程の注意点] 宮城県}}</ref>。例えば、生食用 |
現代の日本国内で流通している生食用のカキは、食中毒を極力回避するために生産・流通段階でいくつかの対策がとられている<ref>{{PDFlink|[http://www.pref.miyagi.jp/uploaded/attachment/69088.pdf 生かき生産管理における各作業工程の注意点] 宮城県}}</ref>。例えば、生食用カキには加工基準が設けられ、カキそのものを対象として規格基準が設けられている。さらに、保存基準、表示基準も規定されている<ref>[https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/kaki/kaki01.html 生かきの衛生的な取扱い] [[東京都福祉保健局]]</ref>。具体的には、加工基準としては、食品衛生法或いは厚生労働省通知に基づき |
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* 定期的な[[貝毒]]検査の実施<ref name="kaidoku"/> |
* 定期的な[[貝毒]]検査の実施<ref name="kaidoku"/> |
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* 大腸菌群最確数が一定以下の海域で採取されたもの |
* 大腸菌群最確数が一定以下の海域で採取されたもの |
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* それ以外の海域で採取されたものであって、[[大腸菌]]群最確数が一定以下の海水、または塩分濃度3%の人工塩水を用い、かつ、当該海水若しくは人工塩水を随時換え、浄化したもの |
* それ以外の海域で採取されたものであって、[[大腸菌]]群最確数が一定以下の海水、または塩分濃度3%の人工塩水を用い、かつ、当該海水若しくは人工塩水を随時換え、浄化したもの |
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のどちらかであることが規定されている<ref>[ |
のどちらかであることが規定されている<ref>[https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/58/1291003977219.html 広島かきの衛生対策] 広島県</ref>。また、規格基準としては、細菌数''E.coli''(大腸菌)最確数、''V. parahaemolyticus''([[腸炎ビブリオ]])最確数も規定されている。これらに加えさらに厳しい指導基準を各生産地域が設けている場合もある<ref>[https://www.pref.mie.lg.jp/NHOKEN/HP/76773045699.htm みえのカキ安心確保の取り組みについて] [[三重県庁]]</ref>。なお、生食用カキの上記加工基準を満たすために、[[紫外線]][[殺菌]]された海水中や[[人工海水]]などを充分に循環させた環境下にて絶食状態として数日間飼育される場合がある。この場合、貝表面や貝内部に取り込まれた細菌の大部分を貝内から排出させほぼ無菌状態になることとは引き替えに、同様の処理がされていないものに比べ身が痩せてしまうこともあるので、加熱処理用のものよりも味が劣ることがある<ref>[http://mainichi.jp/life/food/hyoji/archive/news/2010/20101027ddm013100166000c.html 食品表示のおいしい読み方:/11 カキの「生食用」は新鮮なわけじゃない!? ]毎日jp([[毎日新聞]])</ref>。 |
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現代において、食中毒症状を引き起こす原因としては貝毒、[[細菌]]([[腸炎ビブリオ]] |
現代において、食中毒症状を引き起こす原因としては貝毒、[[細菌]]([[腸炎ビブリオ]]や大腸菌など)と[[ウイルス]](特に[[ノロウイルス]])がよく知られている。どの原因も生育環境(海水)に由来するものであり、二枚貝特有の摂餌行動などによって貝内部、特に消化器官([[中腸腺]]など)に取り込まれ[[生物濃縮]]されるものである。 |
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貝毒以外の食中毒の予防のために留意すべきことは、 |
貝毒以外の食中毒の予防のために留意すべきことは、 |
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=== 貝毒 === |
=== 貝毒 === |
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{{main|貝毒}} |
{{main|貝毒}} |
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貝毒は貝が捕食する海水中の有毒プランクトンを蓄積したものである。対策として、生育海水中の植物プランクトンの種類および貝に含まれる毒が定期的に検査されている<ref name="kaidoku">[https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/suikisei/kaidoku.html 貝毒対策] 宮城県</ref>(参照:[[マウスユニット]])。有毒プランクトンの発生し易い時期は3月から5月。広島県立総合技術研究所の研究によれば、濾過海水中で一定期間飼育することで、毒の量を規制値以下に減毒できるとしている<ref>{{Cite journal|和書|author=高田久美代 |author2=高辻英之 |author3=妹尾正登 |title=麻痺性貝毒により毒化したマガキのろ過海水中での蓄養による減毒 |date=2008-01-15 |publisher=公益社団法人日本水産学会 |journal=日本水産学会誌 |volume=74 |number=1 |naid=110006595212 |doi=10.2331/suisan.74.78 |pages=78-80 |ref=harv}}</ref>。 |
貝毒は貝が捕食する海水中の有毒プランクトン中の毒性物質を蓄積したものである。対策として、生育海水中の植物プランクトンの種類および貝に含まれる毒が定期的に検査されている<ref name="kaidoku">[https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/suikisei/kaidoku.html 貝毒対策] 宮城県</ref>(参照:[[マウスユニット]])。有毒プランクトンの発生し易い時期は3月から5月。広島県立総合技術研究所の研究によれば、濾過海水中で一定期間飼育することで、毒の量を規制値以下に減毒できるとしている<ref>{{Cite journal|和書|author=高田久美代 |author2=高辻英之 |author3=妹尾正登 |title=麻痺性貝毒により毒化したマガキのろ過海水中での蓄養による減毒 |date=2008-01-15 |publisher=公益社団法人日本水産学会 |journal=日本水産学会誌 |volume=74 |number=1 |naid=110006595212 |doi=10.2331/suisan.74.78 |pages=78-80 |ref=harv}}</ref>。 |
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=== 細菌 === |
=== 細菌 === |
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細菌は海水中に常時一定数存在するものであり、ごく少量であれば食中毒症状を引き起こすことはない。しかし、気候や水質、保存方法などによっては細菌が大量に増殖することもあり、生食する際には注意が必要である。なお、現代の日本国内の生食用カキの場合は上述のように流通段階では十分な対策が取られているが、実際には、食中毒原因菌である腸炎ビブリオ |
細菌は海水中に常時一定数存在するものであり、ごく少量であれば食中毒症状を引き起こすことはない。しかし、気候や水質、保存方法などによっては細菌が大量に増殖することもあり、生食する際には注意が必要である。なお、現代の日本国内の生食用カキの場合は上述のように流通段階では十分な対策が取られているが、実際には、食中毒原因菌である腸炎ビブリオ(''Vibrio parahaemolyticus'')、[[黄色ブドウ球菌]](''Staphylococcus aureus'')<ref>清水晃、尾崎潤一郎、河野潤一ほか「[https://doi.org/10.14840/jsfm1984.8.135 魚介類および食肉からの黄色ブドウ球菌の分離と性状]」『食品と微生物』Vol.8 (1991-1992) No.3 P.135-141, {{DOI|10.14840/jsfm1984.8.135}}</ref>、糞便性大腸菌群(Escherichia coli)<ref>[http://www.mac.or.jp/technical/microbe/index04.htm 大腸菌群・糞便系大腸菌・大腸菌-食品の検査] 食品分析開発センター SUNATEC</ref>が検出される事があり<ref name=kasei.47N1>{{Cite journal|和書|author=薩田清明, 清水佳美, 山本美穂 |year=2007 |title=飲食物の安全性に関する細菌学的研究(第7報)食用カキを対象として |journal=東京家政学院大学紀要. 自然科学・工学系 |ISSN=13441892 |publisher=町田 : 東京家政学院大学 |issue=47 |pages=1-10 |CRID=1520009409730076672 |url=https://www.kasei-gakuin.ac.jp/tkgu_cms/wp-content/uploads/2022/04/47N1.pdf |format=PDF |id={{国立国会図書館書誌ID|8961287}}}}</ref>、残った少量の細菌を増殖させてしまうような環境で保存することの方が危険であると指摘されている<ref name=kasei.47N1 />。 |
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; 腸炎ビブリオ |
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: 20℃付近でおよそ10分間に1回と活発に分裂・増殖するが、15℃以下では増殖は抑制される。また、経口摂取によって感染症状を引き起こす際には生菌100万個程度が必要であるとされる。 |
: 20℃付近でおよそ10分間に1回と活発に分裂・増殖するが、15℃以下では増殖は抑制される。また、経口摂取によって感染症状を引き起こす際には生菌100万個程度が必要であるとされる。 |
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: これらのことから、20℃以上の環境に数時間置いておくだけで食中毒を引き起こす可能性があると言えるので、家庭で調理する際には十分に注意されたい。夏期に海水温が20℃を超えるような時期はやはり[[食中毒]]の原因となりやすい。70度以上1分間の加熱でほぼ死滅するとされている。 |
: これらのことから、20℃以上の環境に数時間置いておくだけで食中毒を引き起こす可能性があると言えるので、家庭で調理する際には十分に注意されたい。夏期に海水温が20℃を超えるような時期はやはり[[食中毒]]の原因となりやすい。70度以上1分間の加熱でほぼ死滅するとされている。 |
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; 大腸菌 |
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: 一般的には37℃付近でおよそ30分に1回と活発に分裂・増殖する。紫外線照射海水や清浄海水などの循環によって同菌への対策がなされている。75度以上1分間の加熱でほぼ死滅するとされている。 |
: 一般的には37℃付近でおよそ30分に1回と活発に分裂・増殖する。紫外線照射海水や清浄海水などの循環によって同菌への対策がなされている。75度以上1分間の加熱でほぼ死滅するとされている。 |
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; [[赤痢菌]] |
; [[赤痢菌]] |
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: 日本国内産についてはまず問題になることはないが、韓国では2001年にカキが原因で1,000人規模の罹患者を出した。この際、韓国産のカキが日本国内において、国内産として[[産地偽装]]され流通されていることが発覚した。 |
: 日本国内産についてはまず問題になることはないが、[[韓国]]では2001年にカキが原因で1,000人規模の罹患者を出した。この際、韓国産のカキが日本国内において、国内産として[[産地偽装]]され流通されていることが発覚した。 |
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; 黄色ブドウ球菌 |
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: 食品中で増殖し加熱しても分解されない耐熱性の毒素(エンテロトキシン)を産生する。 |
: 食品中で増殖し加熱しても分解されない耐熱性の毒素(エンテロトキシン)を産生する。 |
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=== ウイルス === |
=== ウイルス === |
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; [[ノロウイルス]] |
; [[ノロウイルス]] |
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: 2000年頃より特に注目されている。ノロウイルス感染力は85℃以上で1分間以上加熱されることにより不活化するとされており、中心部まで十分に加熱することが重要とされる |
: 2000年頃より特に注目されている。ノロウイルス感染力は85℃以上で1分間以上加熱されることにより不活化するとされており、中心部まで十分に加熱することが重要とされる。沸騰した湯で最低でも1 - 2分程度、約180度前後の油で4分以上揚げることで食中毒の危険性は大幅に軽減する。 |
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: 2001年-2003年の調査では、生食用カキの12.9%、加熱加工用カキの24.4%がノロウイルスで汚染されていた<ref>[ |
: 2001年-2003年の調査では、生食用カキの12.9%、加熱加工用カキの24.4%がノロウイルスで汚染されていた<ref>[https://www.fsc.go.jp/fsciis/attachedFile/download?retrievalId=kai20101112ik1&fileId=003 食品中のノロウイルスP13 (PDF)] - 食品安全委員会サイト内</ref>。 |
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: [[厚生労働省]]や[[保健所]]は二枚貝を内臓も含めて、食す際には内部まで十分に加熱調理するように、また調理の際に使用した器具の十分な洗浄を呼びかけている。<!-- 出典、カキのノロウイルス汚染経路に関する検討 感染症学雑誌第80巻第4 号など多数-->下水処理場では感染者の排泄物に含まれるウイルスを十分に除去できないため、排水が流入する養殖海域で養殖される貝類などから検出されることが多い。免疫のない者(1年以内に感染していない者や、先天的に免疫ができない者)、抵抗力が弱い老人や子供などはウイルス感染を起こし、激しい感染性胃腸炎を引き起こす。通常1-2日で治癒するが、乳児・高齢者は重症となることがある<ref>[ |
: [[厚生労働省]]や[[保健所]]は二枚貝を内臓も含めて、食す際には内部まで十分に加熱調理するように、また調理の際に使用した器具の十分な洗浄を呼びかけている。<!-- 出典、カキのノロウイルス汚染経路に関する検討 感染症学雑誌第80巻第4 号など多数-->下水処理場では感染者の排泄物に含まれるウイルスを十分に除去できないため、排水が流入する養殖海域で養殖される貝類などから検出されることが多い。免疫のない者(1年以内に感染していない者や、先天的に免疫ができない者)、抵抗力が弱い老人や子供などはウイルス感染を起こし、激しい感染性胃腸炎を引き起こす。通常1-2日で治癒するが、乳児・高齢者は重症となることがある<ref>[https://www.fsc.go.jp/fsciis/attachedFile/download?retrievalId=kai20101112ik1&fileId=003 食品中のノロウイルスP5 (PDF)] - 食品安全委員会サイト内</ref>。 |
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: なお、ノロウイルスに関する情報として厚生労働省の公式サイト内にノロウイルスに関するQ&A<ref>{{Cite web |
: なお、ノロウイルスに関する情報として厚生労働省の公式サイト内にノロウイルスに関するQ&A<ref>{{Cite web|和書 |
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|date=2007-12-20 |url=http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html |title=ノロウイルスに関するQ&A |
|date=2007-12-20 |url=http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html |title=ノロウイルスに関するQ&A |
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|work=食中毒に関する情報 |publisher=厚生労働省 |accessdate=2008-12-30 }}</ref>が用意されているので、こちらも参照されたい。 |
|work=食中毒に関する情報 |publisher=厚生労働省 |accessdate=2008-12-30 }}</ref>が用意されているので、こちらも参照されたい。 |
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== 日本における漁獲量 == |
== 日本における漁獲量 == |
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{| class="wikitable floatright" style="text-align:center; margin-right:5em" |
{| class="wikitable floatright" style="text-align:center; margin-right:5em" |
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|+ 2015年(平成27年)道県別かき産量<ref>[http://www.maff.go.jp/j/tokei/seiryu/kamimen_gaisuu27/kaimen27.html 平成27年漁業・養殖業生産統計(概数値)] |
|+ 2015年([[平成]]27年)道県別かき産量<ref>[http://www.maff.go.jp/j/tokei/seiryu/kamimen_gaisuu27/kaimen27.html 平成27年漁業・養殖業生産統計(概数値)]農林水産省</ref> |
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! !! 道県 !! 生産量 (単位=1万 |
! !! 道県 !! 生産量 (単位=1万[[トン]]) |
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| || 全国 || 16.41 |
| || 全国 || 16.41 |
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| 1 || 広島 || 10.68 |
| 1 || 広島県 || 10.68 |
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| 2 || 宮城 || 1.87 |
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| 3 || 岡山 || 1.07 |
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| 4 || 兵庫 || .62 |
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| 5 || 岩手 || .58 |
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| 6 || 北海道 || .41 |
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| 7 || 三重 || .32 |
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| 8 || 福岡 || .17 |
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| 9 || 石川 || .14 |
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| 10 || 長崎 || .12 |
| 10 || 長崎県 || .12 |
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; 生産量年次推移 (1956-2012) 単位 1万トン |
; 生産量年次推移 (1956-2012年) 単位 1万トン |
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}} |
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年次推移出典:総務省統計局 海面漁業生産統計調査 長期累年(昭和31年〜平成24年)<ref>[https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?tclass=000001024930&cycle=0&layout=datalist 海面漁業生産統計調査 長期累年] 総務省統計局</ref> |
年次推移出典:[[総務省]]統計局 海面漁業生産統計調査 長期累年(昭和31年〜平成24年)<ref>[https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?tclass=000001024930&cycle=0&layout=datalist 海面漁業生産統計調査 長期累年] 総務省統計局</ref> |
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* 1988年最大量 |
* 1988年に記録した最大量は約27万トン。2012年は約16万トンだった。 |
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=== 流通に係わる法制度 === |
=== 流通に係わる法制度 === |
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東京都では食品として安全に流通させるために、生食用かきを取り扱う場合、保健所長への届出を必要とさせている。届け出を行うと |
[[東京都庁]]では、食品として安全に流通させるために、生食用かきを取り扱う場合、保健所長への届出を必要とさせている。届け出を行うと「生食用かき取扱い届済」ステッカーが交付される<ref>{{Cite web|和書 |
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|url=http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/itiba/suisan/oyster/oyster1.html |
|url=http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/itiba/suisan/oyster/oyster1.html |
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|title=生かきの取扱いと届出制度 |
|title=生かきの取扱いと届出制度 |
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同時に、大腸菌、腸炎ビブリオ、腸管出血性大腸菌 |
同時に、大腸菌、腸炎ビブリオ、腸管出血性大腸菌([[腸管出血性大腸菌O157:H7|O157]]など)、ノロウイルス、貝毒等の項目の検査と履歴の保存を指導している。また、生食用カキが原因となる食中毒が発生した際に、速やかな調査と食中毒事故の拡大を防止する目的で、採取海域の表示を義務付けている。 |
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=== 日本の産地 === |
=== 日本の産地 === |
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[[File:UR15A-1 【JOT日本石油輸送】Containers of Japan Rail.jpg|thumb|広島県産カキを[[鉄道輸送]]していた[[日本のコンテナ輸送#鮮魚専用重冷蔵タイプ|鮮魚用重冷蔵コンテナ]] |
[[File:UR15A-1 【JOT日本石油輸送】Containers of Japan Rail.jpg|thumb|広島県産カキを[[鉄道輸送]]していた[[日本のコンテナ輸送#鮮魚専用重冷蔵タイプ|鮮魚用重冷蔵コンテナ]]<br />([[1995年]]11月17日、[[東京貨物ターミナル駅]]にて撮影)]] |
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日本の2014年におけるカキの水揚げ量は183,685トン。内訳は[[広島県]]が116,672トンでシェア約64%、[[宮城県]]が20,865トンでシェア約11%、[[岡山県]]が16,825トンでシェア約9%、以下[[兵庫県]]、[[岩手県]]、[[三重県]]、[[北海道]]、[[石川県]]、[[福岡県]]、[[長崎県]]、[[香川県]]、[[新潟県]]、[[愛媛県]]、[[京都府]]…と広島産 |
日本の2014年におけるカキの水揚げ量は183,685トン。内訳は[[広島県]]が116,672トンでシェア約64%、[[宮城県]]が20,865トンでシェア約11%、[[岡山県]]が16,825トンでシェア約9%、以下[[兵庫県]]、[[岩手県]]、[[三重県]]、[[北海道]]、[[石川県]]、[[福岡県]]、[[長崎県]]、[[香川県]]、[[新潟県]]、[[愛媛県]]、[[京都府]]…と広島産([[広島かき]])が全国の過半数を占める。また、同年の輸入量は14,892トンであり、輸入量の93%を韓国からのものが占めていた。 |
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日本全国の主な産地は次の通り。これらの産地ではシーズンを迎えると、観光客向けの大規模なツアーやイベントを企画したりして、観光振興に一役買っている。 |
日本全国の主な産地は次の通り。これらの産地ではシーズンを迎えると、観光客向けの大規模なツアーやイベントを企画したりして、観光振興に一役買っている。 |
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* 三重県([[鳥羽市]]、[[志摩市]]) |
* 三重県([[鳥羽市]]、[[志摩市]]) |
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* 京都府([[久美浜湾]]) |
* 京都府([[久美浜湾]]) |
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* 兵庫県([[播磨灘 |
* 兵庫県([[播磨灘]]([[相生市]]、[[赤穂市]]、[[姫路市]]([[家島諸島]])など)) |
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* 岡山県(瀬戸内海、[[備前市]][[日生諸島]]、[[瀬戸内市]][[虫明湾]]、[[浅口市]][[寄島町]]) |
* 岡山県(瀬戸内海、[[備前市]][[日生諸島]]、[[瀬戸内市]][[虫明湾]]、[[浅口市]][[寄島町]]) |
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* 広島県([[瀬戸内海]]、[[広島湾]]一帯) |
* 広島県([[瀬戸内海]]、[[広島湾]]一帯) |
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* 香川県(瀬戸内海、[[高松市]][[牟礼町]]、[[さぬき市]]) |
* 香川県(瀬戸内海、[[高松市]][[牟礼町]]、[[さぬき市]]) |
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* 愛媛県(瀬戸内海、[[宇和島市]]) |
* 愛媛県(瀬戸内海、[[宇和島市]]) |
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* 福岡県(糸島半島、[[豊前海]]) |
* 福岡県([[糸島半島]]、[[豊前海]]) |
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* 佐賀県([[太良町]]) |
* 佐賀県([[太良町]]) |
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* 長崎県([[九十九島 (西海国立公園)|九十九島]]、[[有明海]]、[[大村湾]]) |
* 長崎県([[九十九島 (西海国立公園)|九十九島]]、[[有明海]]、[[大村湾]]) |
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北海道 |
北海道厚岸町のシングルシード(蛎殻を砕いたものに各一匹の幼生を付着させて育てたもの)のカキ「カキえもん」ここは一年中出荷できる。仙鳳趾の牡蠣は大型で身が締り高級品、三重県の「[[的矢かき]]」「[[浦村かき]]」「[[渡利かき]]」、広島県の3倍体のカキ「カキ小町」、北海道[[寿都町]]の「寿(ことぶき)カキ」など、各産地ごとにブランド化したカキを売り出すなど、新しい動きもみられる。 |
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海外では[[香港]]郊外の流浮山はカキの焼き物などの料理が有名な養殖地であったが、近くの[[深圳市|深圳]]の工業化によって |
海外では[[香港]]郊外の流浮山はカキの焼き物などの料理が有名な養殖地であったが、近くの[[深圳市|深圳]]の工業化によって海水の汚染が酷くなり、衰退している。 |
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日本でも、[[大正|大正時代]]まで[[東京湾]]は牡蠣の一大養殖地として著名だったが、水質の悪化によって姿を消した。[[中央区 (東京都)|中央区]]の[[日本橋蛎殻町]]に地名として残っている。 |
日本でも、[[大正|大正時代]]まで[[東京湾]]は牡蠣の一大養殖地として著名だったが、水質の悪化によって姿を消した。[[東京都]][[中央区 (東京都)|中央区]]の[[日本橋蛎殻町]]に地名として残っている。 |
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2012年に「 |
2012年に「かき日本一決定戦」が開催され、長崎県諫早市[[小長井町]]の小長井牡蠣([[有明海]]産)「華蓮」が初代チャンピオンに輝いた。 |
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== 言語 == |
== 言語 == |
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=== 語源 === |
=== 語源 === |
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古来 |
古来の[[和名]]は「おかきのかい」あるいは「かき」であり、密集している貝を掻き取ることが語源と考えられている<ref>{{Cite journal|和書|author=小曽戸洋|authorlink=小曽戸洋|year=2007|title=『日本薬局方』(15改正)収載漢薬の来源|journal=生薬学雑誌|volume=61|issue=2|page=76|issn=00374377|naid=40015616633|url=https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10758321}}</ref>。 |
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=== 派生義 === |
=== 派生義 === |
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* [[広東語]]で「{{lang|zh-hant|蠔豉}} / {{lang|zh-hans|蚝豉}}」(干しガキ)は「ホウシー({{ピン音|háoshì}})」といい、「好市」({{ピン音|hǎoshì}}、良い市況)と似た発音なので、旧正月に好んで食べられる。 |
* [[広東語]]で「{{lang|zh-hant|蠔豉}} / {{lang|zh-hans|蚝豉}}」(干しガキ)は「ホウシー({{ピン音|háoshì}})」といい、「好市」({{ピン音|hǎoshì}}、良い市況)と似た発音なので、[[春節|旧正月]]に好んで食べられる。 |
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* [[英語]]のoysterは孤独を好む性質や寡黙さの代名詞<ref name="kampoiyaku"/>。成句としては、「カキのように口が堅い |
* [[英語]]のoysterは孤独を好む性質や寡黙さの代名詞<ref name="kampoiyaku"/>。成句としては、「カキのように口が堅い(as close as an oyster)」、日本語の「月とスッポン」に近い「[[リンゴ]]とカキのように似ても似つかない(as like as an apple to an oyster)」、[[シェイクスピア]]作品に由来する「世界は儲けの種である(The world's ''one's'' oyster)」、[[アメリカ英語]]の[[口語]]では「泥中のカキのようにこの上もなく満足して(like an oyster in the mud)」「カキのようにぴったり固く締める(tight as oyster)」などがある。 |
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=== 日本語のアクセント === |
=== 日本語のアクセント === |
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=== 漢字 === |
=== 漢字 === |
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{{Wiktionary|蠣}} |
{{Wiktionary|蠣}} |
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「蠣」「蛎」だけでカキの意味を表し、「牡」の文字を用いて「牡蠣」「牡蛎」の表記が一般的である。これは一般に貝は雌雄で色の異なる部分 |
「蠣」「蛎」だけでカキの意味を表し、「牡」の文字を用いて「牡蠣」「牡蛎」の表記が一般的である。これは一般に貝は雌雄で色の異なる部分{{Efn2|サザエであれば「ふんどし」と呼ばれる部分が相当する}}があり、白い物が雄と考えられていたのに対し、カキは全身が白い{{Efn2|緑色をしたカキもあるがこれは餌の違いによるもので、あまり一般的ではない}}ことから「牡しかいない貝」と誤解されたことに由来する。実際にカキの生殖巣においては精巣と卵巣が入り混じっていることもあり、その区別は肉眼では不可能で、[[顕微鏡]]を使用しなければならない。 |
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しかし「蛎」「蠣」ともに[[常用漢字]]ではないため、商品名および[[地名]]など表記の指定がない限りは、漢字が使われることは少ない。 |
しかし「蛎」「蠣」ともに[[常用漢字]]ではないため、商品名および[[地名]]など表記の指定がない限りは、漢字が使われることは少ない。 |
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ファイル:Kaki 20080703aomori.JPG|海辺のコンクリートに付着したカキ(夏) |
ファイル:Kaki 20080703aomori.JPG|海辺のコンクリートに付着したカキ(夏) |
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ファイル:Ostreidae ja 20090114.JPG|海辺のコンクリートに付着したカキ(冬) |
ファイル:Ostreidae ja 20090114.JPG|海辺のコンクリートに付着したカキ(冬) |
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File:Messe Slow Food 2012 by-RaBoe-221.jpg|かき打ち(牡蠣を貝から剥がす作業) |
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== 脚注 == |
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{{脚注ヘルプ}} |
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=== 出典 === |
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{{Commonscat|Oyster dishes|カキ料理}} |
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* [[かき船]] |
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* [[w:Whitstable Oyster Festival|Whitstable Oyster Festival]] |
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* [[グリコ (菓子)]] |
* [[グリコ (菓子)]]:牡蠣のエキスに含まれる[[グリコーゲン]]が入っている菓子。 |
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* {{ill2|掻剥漁|en|Fishing dredge}} |
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* {{ill2|多倍数性|en|Polyploidy}}:三倍体かき、二倍体かき。 |
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== 外部リンク == |
== 外部リンク == |
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* {{hfnet|106|カキ肉}} |
* {{hfnet|106|カキ肉}} |
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* [https://www. |
* [https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/kaki/kaki01.html 生かきの衛生的な取扱い] 東京都福祉保健局 健康安全室食品監視課 |
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* 小長井牡蠣「華蓮」:初代かき日本一決定戦チャンピオンに輝いた牡蠣の紹介ページ([https://konagaido.yutaka-design.com/ こなガイド]内) |
* 小長井牡蠣「華蓮」:初代かき日本一決定戦チャンピオンに輝いた牡蠣の紹介ページ([https://konagaido.yutaka-design.com/ こなガイド]内) |
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2024年7月15日 (月) 04:23時点における最新版
カキ | |||||||||
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分類 | |||||||||
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カキ(牡蠣、牡蛎、牡蠇、蠣、蛎、蠇)は、ウグイスガイ目イタボガキ科とベッコウガキ科に属する二枚貝の総称、あるいはカキ目もしくはカキ上科に属する種の総称。海の岩から「かきおとす」ことから「カキ」と言う名がついたといわれる[1]。古くから、世界各地の海岸地域で食用、薬品や化粧品、建材(貝殻)として利用されている。
なお英語でカキを指す「oyster」(オイスター)は日本語の「カキ」よりも広い範囲に使われ、岩などに着生する二枚貝のうち、形がやや不定形で表面が滑らかでないものは全て含まれる。日本ではカキとは呼ばないアコヤガイ類を「pearl oyster」と言うほか、ウミギク科やかなり縁遠いキクザル科の貝類も「oyster」と呼ばれることがある。
特徴
[編集]主に炭酸塩鉱物の方解石からなる殻を持つ[2]。食用にされるマガキやイワガキなどの大型種がよく知られるが、食用にされない中型から小型の種も多い。どの種類も岩や他の貝の殻など硬質の基盤に着生するのが普通であるが、付着する物質は必ずしも岩である必要は無く小さな岩片や他の貝殻も利用される。 泥底にも対応する[2]。船にとって船底に着生して抵抗となる付着生物は大敵であるが、カキもその代表的な生物である[注 1]。マガキは干潮時には水面上に露出する場所に住む場合も多く、体内にグリコーゲンを多く蓄えているため、他の貝と違って水が無い所でも1週間程度は生存する。また、着生してからはほとんど動かないため、筋肉が退化して内臓がほとんどを占めている。
生物学特徴
[編集]約2億9500万年前から始まるペルム紀には出現し[4]、三畳紀には生息範囲を広げた。浅い海に多く、極地を除き全世界に分布する[2]。時に大規模に密集した漏斗状のカキ礁の化石が出土することもある[4]。着生した基盤に従って成長するために殻の形が一定せず、波の当たり具合などの環境によっても形が変化するために外見による分類が難しく、野外では属さえも判別できないこともあって未だに分類が混乱しているため、DNA解析による分類がなされつつある。
雌雄同体の種と雌雄異体の種があり、マガキでは雌雄異体であるが生殖時期が終了すると一度中性になり、その後の栄養状態が良いとメスになり、悪いとオスになるとされている[5][6]。殻から年齢を推定する信頼できる方法が無いため[2]、年間の成長速度は不明。
産卵後に親貝のエラの中で卵 (0.05mm) がとどまる種(例えば、Lophaや)Ostrea)とすぐに海中を漂う種 (Crassostrea) があるが、受精から1日で殻が作られる。受精卵はすぐに分割が始まり、トロコフォア幼生、ベリジャー幼生、D型幼生期、アンボ期、成熟幼生期の間の2週間から5週間程度海中を漂い、0.3mm 程度の大きさになると左殻を下にして付着(固着)する[7]。なお、海中浮遊期の長さは種と水温によって異なる。
分類
[編集]カキ上科
[編集]ベッコウガキ科 (Gryphaeidae)
[編集]- オオベッコウガキ属 (Pycnodonte)
- オオベッコウガキ (Pycnodonte taniguchii)
- ベッコウガキ属 (Neopycnodonte)
- ベッコウガキ (Neopycnodonte cohlear)
- シャコガキ属 (Hyotissa)
- シャコガキ (Hyotissa hyotis)
- カキツバタガキ (Hyotissa imbricata)
- ベニガキ (Hyotissa chemnitzi)
- ヒラガキ (Hyotissa numisma')
- イタボガキ属 (Ostrea)
- トサカガキ属 (Lopha)
- トサカガキ (Lopha cristagalli)
- マガキ属(Crassostrea)
- オハグロガキ属(Saccostrea)
- オハグロガキ (Saccostrea mordax)
- ケガキ (Saccostrea kegaki)
- ニセマガキ (Saccostrea echinata)
養殖
[編集]カキの中でもマガキ属(Crassosrea)は世界的に食用目的での養殖が最も多い二枚貝である[8]。主な養殖方法は海中にぶら下げる方法(筏垂下)とある程度育った貝を海底に撒く方法(地蒔き)があり、ヨーロッパにおける古代ローマ時代は地蒔きによる方法で行われたが[9]、現在の日本では海中にぶら下げる方法が主流となっている[10]。
現在の養殖の方法は、カキの幼生が浮遊し始める夏の初めにホタテガイなどの貝殻を吊り下げた採苗を行うための採苗連を海中に吊るし、幼生を採苗連の貝殻に付着させ[11]、後は餌が豊富な場所に放っておくだけというものである。欧米では種ガキを原盤(フランス語ではクペール)という網状の円盤で採取するが、ある程度大きくなるとそれから外して網籠に入れて干満の差が大きい場所の棚に置くか干潟にばら撒いて育成する。この方式はホタテガイで種ガキを海中につけっぱなしにしておく日本の方式よりも身が大きくなりやすい。
天然イワガキでは岩盤やコンクリート製消波ブロックなどの人工構造物に付着した貝を漁獲することもあるが、貝の産卵最盛期を過ぎた後に海中の岩盤やブロックの表面を清掃することで稚貝の付着を増加させ漁獲量を増加させる方法も行われる[12]。
カキの餌となる植物プランクトンを増やすため、栄養塩が湾に流れ込む川の上流の植林なども行われている[13]。
養殖法
[編集]- 石蒔式
- 干潟に石を並べ、自然に付着した貝を育てる方法。生産性は高くないが容易に出来る。
- 垂下方式
- 日本で最も多く行われている筏方式は、1926年から広島県で養殖試験が始まり、ひび(後述)を使用した養殖法と比べ2倍以上の生育を見せたこと[14]から、1950年代以降急速に普及拡大した技法である。ロープや針金に等間隔で付着基材となるホタテガイの貝殻を固定し、貝殻に付着したカキを潮通しの良い海域に設置した筏に吊す方法。季節毎に筏の設置場所を移動し、湾内の広い水域を養殖場として利用できる。このため効率が良く成長が早く、1年で出荷可能な大きさにまで育ち、大量生産が可能になった。しかし、筏垂下では成長に伴うロスのほか台風や時化により付着基材からカキが脱落したり、波浪のため筏が損傷したりする事がある。一方、延縄(はえなわ)方式の養殖法を用いると脱落を減少させる事が可能であると報告されている[15]。
- 篭方式は主に「殻付きカキ」として流通させるカキを養殖する方法として行われる。ある程度の大きさに育った稚貝を網や篭に入れ、筏から吊す方法[16]。貝の成長に伴い脱落するロスを減少させられるが、網内の貝密度が高いと成長が悪くなる。この方法による生産品のいくつかは「一粒かき」として地域ブランド化され流通している[17]。
- 杭打式の方式は、干潟に立てた竹杭に設置した横置きの竿や棚からロープや針金を吊す技法で、1930年代から1950年代まで行われ、筏方式の普及に伴い衰退した。
- 地蒔
- 干潟の泥砂底にある程度の大きさに育った稚貝を蒔いて育てる方法。古代ローマ時代から行われていた[9]とされ、日本では1950年代後半まで有明海沿岸などで行われたが、ノリ養殖が盛んになり衰退した[18]。
- ひび建養殖法
- 広葉樹雑木の枝や竹を干潟に差し養殖する方法。江戸時代から1940年代まで行われた。広島県における、ひび建養殖から筏方式への移行は軍艦の船体に付くカキがヒントになった。呉海軍工廠で船底塗料を研究していた青年から「停泊中より航海中、それも水面すれすれの所で大きく育つ」という話を聞き、竹ひびを筏に組んで船で引き回し、潮流の早い海域に浮かべるなどの試みが始まりである[19]。
- 浮体養殖法[20]
- 海底に鋼製の魚礁を設置し、魚礁と、浮体となるブイの間をロープでつなぎ、ロープの数カ所に、種となる稚貝の付いた基材を取り付ける方法。ブイと海面間の距離を4〜5m とすることで「養殖場の上を船舶が航行できる」「ムラサキイガイなどの付着が垂下方式と比べ少ない」「海面下にあるため波浪の影響を受けにくく、波の強い外海に面した水域が使用できる」「魚礁としての集魚効果が高い」などの利点があると報告されている[21]。
- 陸上養殖
- 食中毒(後述)の原因となる寄生虫や病原微生物が少ない地下水や海洋深層水[22]を使う陸上養殖も、日本では行われている。JR西日本は大崎上島(広島県)で育てた陸上養殖カキを「オイスターぼんぼん」の商品名で出荷している[23]。
主な食用種
[編集]マガキ属 Crassostrea
[編集]多くの種は東アジアに生息し、ヨーロッパと北アメリカ大陸に生息するのは1種である[8]。なお、ヨーロッパに生息するマガキ属は、16世紀貿易船による人為移入と考えられている[24]。
- マガキ(真牡蠣、真牡蛎) Crassostrea gigas (Thunberg, 1793)
- 最も一般的な種で、潮線上にも生息し比較的大きな礁を形成する[2]。日本でカキといえば本種。本来は冬が旬であるが、大型で夏でも生殖巣が発達しない「3倍体牡蠣」も開発され、市場に出ている。北海道、岩手県、宮城県、兵庫県、岡山県、広島県産が有名。
- イワガキ(岩牡蠣、岩牡蛎) Crassostrea nippona (Seki, 1934)
- 潮線下から水深20mまでに生息[20]し大きな礁を作らない[2]。マガキと対照的に夏が旬であり、「夏ガキ」とも言われる。殻の色が茶色っぽく、マガキに比べて大きいものが流通する。天然物と養殖物[25]の両方がある。
- スミノエガキ(住之江牡蠣、住之江牡蛎) Crassostrea ariakesis (Fujita, 1913)
- 有明海沿岸に生息[26]し食用にされるが、他所へはほとんど出回らない。マガキにごく近縁な種で、殻の表面はやや滑らか。産卵は、6-7月[26]。
- シカメガキ Crassostrea sikamea (Amemiya,1928)
- 八代海や有明海、福井県久々子湖に分布するカキ[27]。
- 八代海周辺で食用にされたが、1946年頃に熊本県八代市鏡町からアメリカ合衆国に種ガキが輸出され、現地で養殖が進むと八代海では生産されなくなった。輸出されたシカメガキは現在もアメリカ合衆国西海岸ワシントン州沿岸を中心に「クマモト」の名で養殖されている。小振りながらクリーミーで濃い味が特徴。
イタボガキ属 Ostrea
[編集]- イタボガキ(板甫牡蠣、板甫牡蛎) Ostrea denselamellosa (Lischke, 1869)
- かつては多く食用にされ、能登半島や淡路島周辺が有名な産地であったが、現在は瀬戸内海地方で僅かに市場に出回る程度で、絶滅危惧種状態[28]。食用のみならず貝殻が最上質の胡粉の原料となる点でも重要であり、本種の復活と養殖技術開発の努力がなされている。
- ヨーロッパヒラガキ Ostrea edulis (Linnaeus, 1758)
- ヨーロッパ原産で、イタボガキに似た外観で輪郭が丸く平たい貝。別名:ヨーロッパガキ。市場ではフランス牡蠣、ブロン、フラットなどとも呼ばれる。日本では宮城県気仙沼市の舞根(もうね)などで僅かに養殖され、高級食材としてフランス料理店などに卸される。
- かつてのヨーロッパ、特にフランスでカキと言えば本種のことであったが、1970年代以降、寄生虫などにより激減。需要を賄うために日本産のマガキを輸入して養殖するようになった。それ以来フランスなどで流通するカキの相当部分は日本由来のマガキであるという[29]。
- 2011年、東日本大震災の津波により宮城県のカキ養殖施設が壊滅状態に陥った時には、フランスのカキ養殖業者達がかつて日本に助けてもらった恩返しとして、養殖施設の復旧を支援した[30]。
利用
[編集]食材
[編集]食用としての歴史は非常に長く、世界中で食され、人類が親しんできた貝の一つである。グリコーゲンのほか、必須アミノ酸全てを含む。タンパク質やカルシウム、亜鉛などのミネラル類をはじめ、様々な栄養素が多量に含まれるため、「海のミルク」と呼ばれる[31]。カキフライのような揚げものや、鍋物の具にして食べたり、新鮮なものは網焼きや生で食す。
実際の栄養価は、生育環境、生育海域、品種などで異なるため記載されている値は代表値である。
100 gあたりの栄養価 | |
---|---|
エネルギー | 339 kJ (81 kcal) |
4.95 g | |
食物繊維 | 0 g |
2.3 g | |
飽和脂肪酸 | 0.51 g |
一価不飽和 | 0.358 g |
多価不飽和 | 0.894 g |
9.45 g | |
トリプトファン | 0.106 g |
トレオニン | 0.407 g |
イソロイシン | 0.411 g |
ロイシン | 0.665 g |
リシン | 0.706 g |
メチオニン | 0.213 g |
シスチン | 0.124 g |
フェニルアラニン | 0.339 g |
チロシン | 0.302 g |
バリン | 0.413 g |
アルギニン | 0.689 g |
ヒスチジン | 0.181 g |
アラニン | 0.572 g |
アスパラギン酸 | 0.912 g |
グルタミン酸 | 1.285 g |
グリシン | 0.591 g |
プロリン | 0.386 g |
セリン | 0.423 g |
ビタミン | |
ビタミンA相当量 |
(10%) 81 µg |
チアミン (B1) |
(6%) 0.067 mg |
リボフラビン (B2) |
(19%) 0.233 mg |
ナイアシン (B3) |
(13%) 2.01 mg |
パントテン酸 (B5) |
(10%) 0.5 mg |
ビタミンB6 |
(4%) 0.05 mg |
葉酸 (B9) |
(3%) 10 µg |
ビタミンB12 |
(667%) 16 µg |
ビタミンC |
(10%) 8 mg |
ミネラル | |
ナトリウム |
(7%) 106 mg |
カリウム |
(4%) 168 mg |
カルシウム |
(1%) 8 mg |
マグネシウム |
(6%) 22 mg |
リン |
(23%) 162 mg |
鉄分 |
(39%) 5.11 mg |
亜鉛 |
(175%) 16.62 mg |
銅 |
(79%) 1.576 mg |
マンガン |
(31%) 0.643 mg |
セレン |
(110%) 77 µg |
他の成分 | |
水分 | 82.06 g |
| |
%はアメリカ合衆国における 成人栄養摂取目標 (RDI) の割合。 出典: USDA栄養データベース |
カキの食べられない月
[編集]産卵期にはカキは精巣と卵巣が非常に増大し、食用とはならない。一般にカキとして認識されているマガキの場合は、グリコーゲン含量が増える秋から冬にかけてが旬とされており、英名に「R」のつかない月、すなわちMay(5月), June(6月), July(7月), August(8月)は産卵期であり食用には適さないとされている[31]。ただし、春から夏に旬を迎えるイワガキと呼ばれる種類のカキもあり、それぞれ養殖も盛んであることからマガキに限らないならば通年食べることができる。また、産地によっては、水温などの条件により旬が変わることもある。本来は冬が旬であるが、大型で夏でも生殖巣が発達しない「3倍体牡蠣」も開発され、市場に出ている。イギリスで開催されるカキのお祭り(Whitstable Oyster Festival)に使われるカキもイギリスで養殖された日本のマガキで、開催されるのも夏である。カキの養殖により通年カキが手に入るため、「R」のつかない月はカキを食べないという習慣は英語圏で消えつつある。[独自研究?]
料理
[編集]カキの殻の表面は剃刀の刃のように薄いものが重なっており、生食の際には軍手などの手袋を用いないと手のひらに無数の傷がつく。網焼きや生食では身だけでなく汁もともに吸う。多くの人はカキの身にのみ栄養があると考えているが、身が浸されている殻の中の海水を含む汁にも多くの栄養素が含まれていることが知られている。カキの独特の風味は貝類の内臓の味であるということを日本テレビの科学番組『所さんの目がテン!』で検証しており、ここではハマグリの内臓を寄せ集めて作ったカキフライもどきが本物と区別が付かないことを、20人中18人が騙されたという結果で示した[32]。
冷めたカキの調理品を電子レンジで温める際は、温めている途中で破裂するおそれがあるため、あらかじめラップでくるんだり、カキに切れ込みを入れたりした方が良い。
- 生食
- 生ガキ(生牡蠣、なまがき)とも呼ぶ。
- 一般的に魚介の生食を嫌う欧米食文化圏において、カキは例外的に生食文化が発達した食材であり、古代ローマ時代から珍重され、養殖も行われていた。生ガキはフランス料理におけるオードブルとなっている。ナポレオン、バルザック、ビスマルクなどがカキの愛好家であったことが知られている[31]。また、北アメリカのフランス系カナダ人やケイジャンの食文化でも生食される。ニューオーリンズなどのケイジャン文化圏の観光地では生ガキが名物料理の一つであり、生ガキをメニューの中心に据える「オイスターバー」と呼ばれるレストランもそれらの土地では珍しくない。
- 日本では縄文時代頃から食用されていたとされ、多くの貝塚から殻が発見されており、ハマグリに次いで多く食べられていたと考えられている[31]。室町時代頃には養殖も行われるようになったという。大坂では明治時代まで広島からのかき船が土佐堀、堂島、道頓堀などで船上での行商に訪れ、晩秋の風物詩となっていた。
- かつては広島や東北地方などの産地から消費地まで輸送するのに時間がかかったため、日本ではカキの生食は産地以外では一般化せず、もっぱら酢締めや加熱調理で食された。日本人では武田信玄や頼山陽などがカキの愛好家であったことが知られている[31]。
- 日本人がカキを生で食べるようになったのは、欧米の食文化が流入した明治時代以降[33]であり、生食文化が欧米から輸入された珍しい食材である。
- カキの殻を合わせ目からナイフ状のヘラを差し込み、貝柱を切断してこじ開け、身をつまみ出して食べる。レモン汁、食酢、タバスコ等を使った酸味のある調味ダレを添えることもある。
- 焼きガキ
- 殻のままのカキを網の上で焼き、殻が開いたら食べる。焼く際、平らな面をまず焼くことで、貝の汁を残しつつうまく開けることができる。
- カキフライ
- カツレツの手法によって、生のカキに小麦粉をまぶし、溶き卵をくぐらせてからパン粉をつけて、油で揚げる。
- カキの天ぷら
- 中国広東省などでは、厚めの衣をつけた天ぷらが好まれている。
- 牡蠣の土手鍋
- 土鍋の内側の周囲全体に味噌を厚く塗った中に、カキ、ネギやその他の具材を入れて加熱し、味噌が溶け出したら食べる。広島県の郷土料理。
- かきめし
- カキの煮汁で米飯を炊き、炊き上がったところでカキを混ぜ数分ほど蒸らして作る。厚岸駅(北海道厚岸町)や広島駅では駅弁にもなっている。
- カキ鍋
- 季節の具材とともに煮る鍋料理の一つ。土手鍋とは異なる。
- カキカレー
- カレーライスの具にカキを使ったもので、広島などで供されたり、レトルト食品として売られたりしている。
- 牡蠣シチュー
- カキを使ったシチューで、アメリカ合衆国やガンビアで食される。
- お好み焼き
- 広島風お好み焼きの具材としてポピュラーである。また、お好み焼きの具にカキを使ったものでは岡山県備前市日生地区のカキオコが有名。
- カキの燻製
- 缶詰や真空パックで流通している。
- カキ入り卵焼き(蚵仔煎、オーアチエン)
- 台湾や中国福建省、広東省の一部で一般的な料理で、お好み焼きのように平たく焼いてから、甘い味のタレをかけて食べる。タイでは(オースワン、ออส่วน)と呼ばれスイートチリソースをつけて食べる。
- カキ粥(台湾語:蚵仔粥、オーアティオッ)
- 台湾、広東省(特に汕頭市)、香港などで好まれる料理の一つ。カキのむき身を米の粥に入れ、揚げたネギ、広東セロリ、コリアンダーなどを添えたもの。
- カキスープ(台湾語:蚵仔湯、オーアトゥン)
- 台湾などではショウガの味を利かせたカキのすまし汁にも人気がある。
- 蚵仔麺線(オーアミースァ)
- 台湾の麺料理の一種で、カキをのせた麺線(素麵状の麺類)料理。
- オイスター・カークパトリック(Oysters Kirkpatrick)
- チーズなどを使ったイギリス料理。
調味料
[編集]- カキ醤油
- 広島県や北海道厚岸町で水揚げされるカキの出汁を調合した醤油が製造される。
- カキ油
- カキ油(オイスターソース)は中華料理の重要な調味料。中国マカオのものが著名。
- 干しガキ
- 干しガキ(蠔豉、蚝豉、ハオチー)は中国広東省で製造・使用されている調味用食材。カキのむき身を塩ゆでしてから日干しにしたもので、うま味を出すのに使われる。
薬用
[編集]貝殻はボレイといい、焼成してから粉砕した粉は『日本薬局方』に「ボレイ」および「ボレイ末」として記載の生薬である[34]。ボレイの歴史は古く梁の陶弘景が『神農本草経』を修訂した『神農本草経集注』に収載されている。現在市販されているものはマガキの左殻が普通である。
「ボレイ末」は炭酸カルシウム(CaCO3)が主成分で、リン酸塩のほかマグネシウム、アルミニウム、ケイ酸塩、酸化鉄などを含有する。処方例として、安中散、桂枝加竜骨牡蛎湯、柴胡加竜骨牡蛎湯などに使われる。また、農薬として長期的に使用すると除草効果(雑草の根張りが悪くなる)があるとされる。薬理作用として、かき肉には血糖低下(カキ身エキス)、免疫増強作用(中性多糖類)、牡蛎制酸などの作用があるとされる。薬用以外には天然炭酸カルシウムとして、あるいは1000℃程度に焼成すると、カキ灰などとも呼ばれる酸化カルシウム(CaO)が主成分のものとなり、消しゴムの添加剤などの工業用や食品添加物、砂糖精製用助剤などにも利用されている。
餌
[編集]「ぼれい粉」の名前で鳥類の餌として供給される。カキ殻は、鳥や卵殻に必要なカルシウム分が豊富である。
その他
[編集]- 海苔の養殖などにおいて、海苔の糸状体が蛎殻に付着することを利用し、採苗に貝殻が利用される場合もある。
- 海水の浄化
- 二枚貝は水中の懸濁態物質やプランクトンを取り込むため、カキを収穫することで、水中の栄養塩の回収につながる。特にカキは濾過量が他の2枚貝に比べて多い。アメリカ合衆国東海岸のチェサピーク湾では、オイスターガーデニングと呼ばれる水質浄化活動も行われている。カキの擬糞はゴカイなどの底生生物の餌となり、底生生物は魚類の餌となる。しかし、過剰なカキ養殖などにより底生生物による分解能力を超えて擬糞が発生すると、低層が貧酸素水塊化し、底泥もヘドロ化することがある。
- 胡粉
- 日本画によく使われる白色の顔料。岩絵具の一つにも分類される。
- 肥料
- 粉砕された殻が「かき殻石灰」などの名前で有機石灰の一種として供給される。消石灰と異なり、作物に有効な微量元素を多く含んでいる[35][36]。
- 屋根材
- 江戸時代の日本では、牡蠣殻で屋根を葺く牡蠣殻葺[37](牡蠣殻屋根[38])が行われていた。飛び火による延焼を防ぐ効果があり[37]、瓦葺きの代用として江戸幕府も板葺きに牡蠣殻を葺くよう奨励していた[39]。
カキと食中毒
[編集]古くから食べられてきたカキであるが、その一方で「あたる」食品(食材)としても知られている。カキの食中毒が注目されるのは非加熱状態で食べられる機会が多いことと関係している。英語やフランス語では、月の名前にRがない5-8月の暑い時期のカキは危険であるとされていた[40]。
貝の身を食べることに関して、アサリやハマグリ、シジミ、サザエなどは加熱してから丸のまま、ホタテは貝柱で生で食べることはあるにしても、丸ごとでは焼いたり茹でたりしてから食べ、アオヤギの小柱は軍艦巻などにして、舌の部分は湯振りしてから食べるのが基本である。これに対して、カキは生食されることも多く、十分注意する必要がある。
現代の日本国内で流通している生食用のカキは、食中毒を極力回避するために生産・流通段階でいくつかの対策がとられている[41]。例えば、生食用カキには加工基準が設けられ、カキそのものを対象として規格基準が設けられている。さらに、保存基準、表示基準も規定されている[42]。具体的には、加工基準としては、食品衛生法或いは厚生労働省通知に基づき
- 定期的な貝毒検査の実施[43]
- 大腸菌群最確数が一定以下の海域で採取されたもの
- それ以外の海域で採取されたものであって、大腸菌群最確数が一定以下の海水、または塩分濃度3%の人工塩水を用い、かつ、当該海水若しくは人工塩水を随時換え、浄化したもの
のどちらかであることが規定されている[44]。また、規格基準としては、細菌数E.coli(大腸菌)最確数、V. parahaemolyticus(腸炎ビブリオ)最確数も規定されている。これらに加えさらに厳しい指導基準を各生産地域が設けている場合もある[45]。なお、生食用カキの上記加工基準を満たすために、紫外線殺菌された海水中や人工海水などを充分に循環させた環境下にて絶食状態として数日間飼育される場合がある。この場合、貝表面や貝内部に取り込まれた細菌の大部分を貝内から排出させほぼ無菌状態になることとは引き替えに、同様の処理がされていないものに比べ身が痩せてしまうこともあるので、加熱処理用のものよりも味が劣ることがある[46]。
現代において、食中毒症状を引き起こす原因としては貝毒、細菌(腸炎ビブリオや大腸菌など)とウイルス(特にノロウイルス)がよく知られている。どの原因も生育環境(海水)に由来するものであり、二枚貝特有の摂餌行動などによって貝内部、特に消化器官(中腸腺など)に取り込まれ生物濃縮されるものである。
貝毒以外の食中毒の予防のために留意すべきことは、
- 十分に加熱することで食中毒を回避できる
- カキを含むいずれの二枚貝も、同様の処理で食用にする限り食中毒の危険度に関しては変わらない
という点である。
貝毒
[編集]貝毒は貝が捕食する海水中の有毒プランクトン中の毒性物質を蓄積したものである。対策として、生育海水中の植物プランクトンの種類および貝に含まれる毒が定期的に検査されている[43](参照:マウスユニット)。有毒プランクトンの発生し易い時期は3月から5月。広島県立総合技術研究所の研究によれば、濾過海水中で一定期間飼育することで、毒の量を規制値以下に減毒できるとしている[47]。
細菌
[編集]細菌は海水中に常時一定数存在するものであり、ごく少量であれば食中毒症状を引き起こすことはない。しかし、気候や水質、保存方法などによっては細菌が大量に増殖することもあり、生食する際には注意が必要である。なお、現代の日本国内の生食用カキの場合は上述のように流通段階では十分な対策が取られているが、実際には、食中毒原因菌である腸炎ビブリオ(Vibrio parahaemolyticus)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)[48]、糞便性大腸菌群(Escherichia coli)[49]が検出される事があり[50]、残った少量の細菌を増殖させてしまうような環境で保存することの方が危険であると指摘されている[50]。
- 腸炎ビブリオ
- 20℃付近でおよそ10分間に1回と活発に分裂・増殖するが、15℃以下では増殖は抑制される。また、経口摂取によって感染症状を引き起こす際には生菌100万個程度が必要であるとされる。
- これらのことから、20℃以上の環境に数時間置いておくだけで食中毒を引き起こす可能性があると言えるので、家庭で調理する際には十分に注意されたい。夏期に海水温が20℃を超えるような時期はやはり食中毒の原因となりやすい。70度以上1分間の加熱でほぼ死滅するとされている。
- 大腸菌
- 一般的には37℃付近でおよそ30分に1回と活発に分裂・増殖する。紫外線照射海水や清浄海水などの循環によって同菌への対策がなされている。75度以上1分間の加熱でほぼ死滅するとされている。
- 赤痢菌
- 日本国内産についてはまず問題になることはないが、韓国では2001年にカキが原因で1,000人規模の罹患者を出した。この際、韓国産のカキが日本国内において、国内産として産地偽装され流通されていることが発覚した。
- 黄色ブドウ球菌
- 食品中で増殖し加熱しても分解されない耐熱性の毒素(エンテロトキシン)を産生する。
ウイルス
[編集]- ノロウイルス
- 2000年頃より特に注目されている。ノロウイルス感染力は85℃以上で1分間以上加熱されることにより不活化するとされており、中心部まで十分に加熱することが重要とされる。沸騰した湯で最低でも1 - 2分程度、約180度前後の油で4分以上揚げることで食中毒の危険性は大幅に軽減する。
- 2001年-2003年の調査では、生食用カキの12.9%、加熱加工用カキの24.4%がノロウイルスで汚染されていた[51]。
- 厚生労働省や保健所は二枚貝を内臓も含めて、食す際には内部まで十分に加熱調理するように、また調理の際に使用した器具の十分な洗浄を呼びかけている。下水処理場では感染者の排泄物に含まれるウイルスを十分に除去できないため、排水が流入する養殖海域で養殖される貝類などから検出されることが多い。免疫のない者(1年以内に感染していない者や、先天的に免疫ができない者)、抵抗力が弱い老人や子供などはウイルス感染を起こし、激しい感染性胃腸炎を引き起こす。通常1-2日で治癒するが、乳児・高齢者は重症となることがある[52]。
- なお、ノロウイルスに関する情報として厚生労働省の公式サイト内にノロウイルスに関するQ&A[53]が用意されているので、こちらも参照されたい。
- 日本では報道により「ノロウイルスと言えばカキ」という印象が広まり、特に2006年から2007年にかけてノロウイルス感染報道があるごとにカキの売上が減少した。
日本における漁獲量
[編集]道県 | 生産量 (単位=1万トン) | |
---|---|---|
全国 | 16.41 | |
1 | 広島県 | 10.68 |
2 | 宮城県 | 1.87 |
3 | 岡山県 | 1.07 |
4 | 兵庫県 | .62 |
5 | 岩手県 | .58 |
6 | 北海道 | .41 |
7 | 三重県 | .32 |
8 | 福岡県 | .17 |
9 | 石川県 | .14 |
10 | 長崎県 | .12 |
- 生産量年次推移 (1956-2012年) 単位 1万トン
年次推移出典:総務省統計局 海面漁業生産統計調査 長期累年(昭和31年〜平成24年)[55]
- 1988年に記録した最大量は約27万トン。2012年は約16万トンだった。
流通に係わる法制度
[編集]東京都庁では、食品として安全に流通させるために、生食用かきを取り扱う場合、保健所長への届出を必要とさせている。届け出を行うと「生食用かき取扱い届済」ステッカーが交付される[56]。
同時に、大腸菌、腸炎ビブリオ、腸管出血性大腸菌(O157など)、ノロウイルス、貝毒等の項目の検査と履歴の保存を指導している。また、生食用カキが原因となる食中毒が発生した際に、速やかな調査と食中毒事故の拡大を防止する目的で、採取海域の表示を義務付けている。
日本の産地
[編集]日本の2014年におけるカキの水揚げ量は183,685トン。内訳は広島県が116,672トンでシェア約64%、宮城県が20,865トンでシェア約11%、岡山県が16,825トンでシェア約9%、以下兵庫県、岩手県、三重県、北海道、石川県、福岡県、長崎県、香川県、新潟県、愛媛県、京都府…と広島産(広島かき)が全国の過半数を占める。また、同年の輸入量は14,892トンであり、輸入量の93%を韓国からのものが占めていた。
日本全国の主な産地は次の通り。これらの産地ではシーズンを迎えると、観光客向けの大規模なツアーやイベントを企画したりして、観光振興に一役買っている。
- 北海道(サロマ湖畔、釧路町、厚岸町、知内町)
- 岩手県(山田湾、大船渡湾)
- 宮城県(志津川湾、牡鹿半島、松島沿岸)
- 新潟県(加茂湖、真野湾)
- 富山県(新湊)
- 石川県(能登半島)
- 三重県(鳥羽市、志摩市)
- 京都府(久美浜湾)
- 兵庫県(播磨灘(相生市、赤穂市、姫路市(家島諸島)など))
- 岡山県(瀬戸内海、備前市日生諸島、瀬戸内市虫明湾、浅口市寄島町)
- 広島県(瀬戸内海、広島湾一帯)
- 香川県(瀬戸内海、高松市牟礼町、さぬき市)
- 愛媛県(瀬戸内海、宇和島市)
- 福岡県(糸島半島、豊前海)
- 佐賀県(太良町)
- 長崎県(九十九島、有明海、大村湾)
北海道厚岸町のシングルシード(蛎殻を砕いたものに各一匹の幼生を付着させて育てたもの)のカキ「カキえもん」ここは一年中出荷できる。仙鳳趾の牡蠣は大型で身が締り高級品、三重県の「的矢かき」「浦村かき」「渡利かき」、広島県の3倍体のカキ「カキ小町」、北海道寿都町の「寿(ことぶき)カキ」など、各産地ごとにブランド化したカキを売り出すなど、新しい動きもみられる。
海外では香港郊外の流浮山はカキの焼き物などの料理が有名な養殖地であったが、近くの深圳の工業化によって海水の汚染が酷くなり、衰退している。
日本でも、大正時代まで東京湾は牡蠣の一大養殖地として著名だったが、水質の悪化によって姿を消した。東京都中央区の日本橋蛎殻町に地名として残っている。
2012年に「かき日本一決定戦」が開催され、長崎県諫早市小長井町の小長井牡蠣(有明海産)「華蓮」が初代チャンピオンに輝いた。
言語
[編集]語源
[編集]古来の和名は「おかきのかい」あるいは「かき」であり、密集している貝を掻き取ることが語源と考えられている[57]。
派生義
[編集]- 広東語で「蠔豉 / 蚝豉」(干しガキ)は「ホウシー(拼音: )」といい、「好市」(拼音: 、良い市況)と似た発音なので、旧正月に好んで食べられる。
- 英語のoysterは孤独を好む性質や寡黙さの代名詞[31]。成句としては、「カキのように口が堅い(as close as an oyster)」、日本語の「月とスッポン」に近い「リンゴとカキのように似ても似つかない(as like as an apple to an oyster)」、シェイクスピア作品に由来する「世界は儲けの種である(The world's one's oyster)」、アメリカ英語の口語では「泥中のカキのようにこの上もなく満足して(like an oyster in the mud)」「カキのようにぴったり固く締める(tight as oyster)」などがある。
日本語のアクセント
[編集]植物のカキ(柿)とは同音だが、共通語ではアクセントの位置が異なる。カキ(貝)の場合はカキであり、これは「夏季」「夏期」「下記」「火気」「花器」「火器」「花卉」等の熟語などとも同じ。他方、カキ(柿)はカキである(それぞれ太字にアクセント)。
漢字
[編集]「蠣」「蛎」だけでカキの意味を表し、「牡」の文字を用いて「牡蠣」「牡蛎」の表記が一般的である。これは一般に貝は雌雄で色の異なる部分[注 2]があり、白い物が雄と考えられていたのに対し、カキは全身が白い[注 3]ことから「牡しかいない貝」と誤解されたことに由来する。実際にカキの生殖巣においては精巣と卵巣が入り混じっていることもあり、その区別は肉眼では不可能で、顕微鏡を使用しなければならない。
しかし「蛎」「蠣」ともに常用漢字ではないため、商品名および地名など表記の指定がない限りは、漢字が使われることは少ない。
中国語では「牡蛎」「牡蠣」(ムーリー、拼音: [58])も使われるが、専門用語的であり、口語では「蠔」、簡体字で「蚝」(ハオ、拼音: )が用いられる。
閩南語や台湾語では「オーアー、台湾語仮名 ヲヲアア」と別の語が使われる。中国では「蚝仔(蠔仔、拼音: )」と表記し、台湾では同音の旁を使った「蚵仔(拼音: )」という漢字表記が作成された。
色
[編集]カキの身のような色として、生牡蠣色がある。
参考画像
[編集]-
ヨーロッパヒラガキ
-
岩に付着した貝殻
-
海辺のコンクリートに付着したカキ(夏)
-
海辺のコンクリートに付着したカキ(冬)
-
かき打ち(牡蠣を貝から剥がす作業)
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ カキ/牡蠣/かきの意味・語源・由来を解説 語源由来辞典
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関連項目
[編集]- メルテンシア・マリティマ:オイスターリーフとも呼ばれる牡蠣の味がする野菜。
- Whitstable Oyster Festival
- グリコ (菓子):牡蠣のエキスに含まれるグリコーゲンが入っている菓子。
- 掻剥漁
- 多倍数性:三倍体かき、二倍体かき。
外部リンク
[編集]- カキ肉 - 素材情報データベース<有効性情報>(国立健康・栄養研究所)
- 生かきの衛生的な取扱い 東京都福祉保健局 健康安全室食品監視課
- 小長井牡蠣「華蓮」:初代かき日本一決定戦チャンピオンに輝いた牡蠣の紹介ページ(こなガイド内)