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台湾花布

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

台湾花布(タイワンファーブー)とは、台湾の伝統模様が描かれた綿製ののことであり、台湾原住民中国日本オランダポルトガル由来の要素が融合している。台湾で最も頻繁に使われる布の一種であり、主にテーブルクロスカーテン包装キルト衣類などに使われる。

呼称

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漢字表記が多く、印花布被単布花仔布と書いても正しい。

台湾で最も一般的に使われている呼称は「客家花布」である。主に客家人が使い、客家文化に深く根ざしており、台湾式客家文化を象徴する要素になっていたからである[1]。しかし、閩南人台湾原住民外省人も同じの種の布を広く使っており、台湾人全体に広く知られている。そのため、「客家花布」という名前は誤解を招く可能性が高い。客家人のみに使う布はコバルトブルーネイビー、青玉色、ミッドナイトブルーの青系一色の布であり、台湾花布のように柄を中心にデザインする布とは異なる。

歴史

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台湾花布は日本統治時代に初めて登場した[2]。台湾は古くから中国、日本、琉球東南アジアの文化が交わる立地にあり、各地から工芸品が伝わっていた。台湾総督府はこの事実に気づき、台湾に存在する工芸品に描かれた美しい模様を商品化することを思いついた。

当時、日本の織物産業は労働力や新しいデザインを緊急に必要としていたため、台湾総督府は台湾で「台湾花布」という布を大量に生産していた。台湾花布の柄や模様は日本の影響を強く受けており、台湾人自身が使うだけでなく、日本本土や満洲国にも輸出していた。以前は「布荘(ブーズアン)」という小型の工場で布を生産していたが、日本の統治下で劇的に近代化・工業化され、和服洋服の作り方も取り入れ、「綿」を原材料として進化を遂げた。明治期から昭和前期にかけて、日本本土の成熟した技術は台湾にも浸透し、布荘も近代的な織物工場に変化した[3]

1945年、日本はアメリカに降伏し、台湾は中華民国の領土になった。1950から1960年代にかけて、中華民国政府は台湾の織物産業の強さを活かし、欧米向けの台湾花布を大量生産していた。しかし、中華民国の「中国化」政策により、台湾花布の柄は次第に中国風、特に清朝風や中華民国風が主流になり、他の柄は大幅に減少した[4]。現在よく知られている台湾花布の柄はこの時に誕生した。中国風の台湾花布は朱色または水色の生地に、牡丹鳳凰蓮の花、八宝などの紋様が描かれていた。

1970年代以降、台湾花布はその生産量の多さ、価格の安さ、柄の派手さなどから、台湾人から「安物」と見なされるようになった。多くの台湾人は台湾花布を「俗っぽい、見にくい」として批判し、台湾花布の生産量は大幅に減少した。1980~1990年代に入り、戒厳令の解除や民主化を経て、台湾のアーティストたちは民主主義の為に台湾花布を再創造しようとした。彼らは現代社会に流行しているデザインを台湾花布に取り入れ、さまざまな新商品を開発した[5]。2000年代から2010年代には、台湾客家人は台湾人の中で特にこの台湾花布を上手く使い、「台湾客家人ならでは工芸品」としてアピールし、その影響で台湾花布の生産量は急速に復活した。

2020年代以降の台湾では台湾本土化運動や文青設計風格が発生し、台湾に存在する全てのものを再開発する運動が隆盛している。客家人やアーティスト達の大規模宣伝に伴い、台湾花布は西洋、日本、台湾原住民の模様を多く使用する傾向が強まり、本来の中華風なデザインは下火になった。しかも中華風の模様も変化を遂げており、以前の派手で俗っぽい雰囲気を払拭するために、台湾花布を作る会社は国立故宮博物院に所蔵されている時代のの模様を積極的に取り入れ、より壮厳豪華な中華風を表現している。現在の台湾花布は、数百種の柄を自由に組み合わせることが可能となり、デザイナーはこれらを使って、簡単に台湾風の雰囲気を作り出すことができるようになった[6]

台湾花布の模様の例

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出典

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引用資料

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  1. ^ 客家委員會全球資訊網. “客家花布的符號消費與族群認同” (中国語). www.hakka.gov.tw. 2023年5月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年5月1日閲覧。
  2. ^ 別再叫我客家花布-台灣花布歷史3分鐘搞懂!” (中国語). www.laihao.com.tw. 2023年11月1日閲覧。
  3. ^ 花布時代─漫談臺灣花布的圖騰與美學”. www.sshcf.org.tw. 2023年5月1日閲覧。
  4. ^ 中華傳統民俗技藝團-客家花布”. www.mfa.org.tw. 2023年11月1日閲覧。
  5. ^ 客家花布產業發展之研究:以資源基礎的觀點”. 臺灣博碩士論文知識加值系統. 2023年5月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年5月1日閲覧。
  6. ^ 史上最多台灣傳統花布708款式蒐羅、最有系統的紋樣分類、最具脈絡的文化解讀!《花樣時代:台灣花布美學新視界》”. www.books.com.tw. 2023年5月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年5月1日閲覧。

関連書物

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  • 陳宗萍 (2012年10月). 花樣時代:台灣花布美學新視界. 臺灣: 遠流出版社. ISBN 9789573270645 
  • 吳清桂 (2010年3月). 台灣花布:收藏台灣最美麗的情感與記憶. 臺灣: 大塊文化出版股份有限公司. ISBN 9789862131718