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相鉄ED10形電気機関車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ED10形は、かつて相模鉄道に在籍していた直流電気機関車である。

概要

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ED10形13・14号

貨物列車牽引に使用されていたモワ1形電動貨車を本来の旅客電車に復元し、その後継車として1952年昭和27年)にED11が東洋電機製造によって製造された。その後1953年(昭和28年)にED12が、1954年(昭和29年)にED13が、1965年(昭和40年)にED14が製造された。 なお、書類上はED14のみ東洋工機製である。

外観は箱型のデッキ付きの新製された車体だが、台車主電動機電車の部品が流用された。4両とも車体は基本的に同じスタイルだが、製造時期によって運転席窓、側窓、通風口などに違いがみられる。ED11・ED12の二両は、いわゆる「東洋電機スタイル」と称される同社の私鉄向け電気機関車の元祖とも言われる。ED13までは落成時点での塗装が灰色であった。 なお、ED11は瀬谷駅構内における列車衝突事故により中破している。

最盛期はセメント砂利、一般雑貨輸送の他に在日米軍の燃料輸送などもあったが、1970年代後半から順次廃止が進み、1986年(昭和61年)にセメント輸送が廃止されてからは燃料輸送のみとなった[1]。老朽化に伴うオーバーホールまたは新車の購入が必要になり、その費用が見合わず燃料輸送はタンクローリーによる道路輸送に転換したため[2]1998年平成10年)9月30日限りで米軍基地への燃料輸送が休止され、貨物輸送の運用はなくなった。その後、工事列車や新規製造車両の車両基地への回送に使用されたが、モヤ700形の登場に伴い、2007年(平成19年)に全車が廃車された。その4両の内、最初期に登場したED11(1952年製造)の1両がかしわ台車両センター神奈川県海老名市柏ケ谷)で静態保存されることになり、他の3両は同年1月17日18日に、同センターより業者へ陸送された後に解体処分された。

神奈川新聞によると、今後保存車のED11は見学用などに利用されるとのことで、2007年9月に同センターにて再塗装も含めた修繕が行われている。

主要諸元

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  • 全長:13,000 mm
  • 全幅:2,440 mm
  • 全高:4,190 mm
  • 運転整備重量:45.0 t
  • 電気方式:直流1,500 V(架空電車線方式
  • 軸配置:B-B
  • 台車形式:DT13
  • 主電動機:MT30形(128 kW)×4基(ED14はMT40)
    • 歯車比:20:69=1:3.45
    • 1時間定格出力:512 kW
    • 1時間定格引張力:5,000 kg
    • 1時間定格速度:36.5 km/h
  • 動力伝達方式:歯車1段減速、吊り掛け式
  • 制御方式:重連総括制御、抵抗制御、直並列2段組み合わせ制御
  • 制御装置:電動カム軸接触器式
  • ブレーキ方式:EL14A空気ブレーキ、手動ブレーキ

脚注

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  1. ^ 渡辺一策「相模鉄道の貨物輸送」『鉄道ピクトリアル臨時増刊号』第672号、電気車研究会、1999年7月、102 - 107頁。 
  2. ^ 峯岸昇、今城光英「相模鉄道の鉄道事業を語る」『鉄道ピクトリアル臨時増刊号』第672号、電気車研究会、1999年7月、15 - 19頁。 

関連項目

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外部リンク

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