「経験したことのないような暴風や記録的な大雨などが予想され、最大級の警戒が必要」と、気象庁が呼びかけていた台風10号の接近。その影響で全国的に激しい雨が降り続き、記録的な大雨となり、各地でさまざまな被害が相次いだ。風の強い領域は少なくなったものの、現在も日本列島を縦断しているため、引き続き大雨への警戒が必要な地域もある。

このように大きな台風や大雨を目の当たりにし、日頃から「もしも」の備えをしておくことの大切さを改めて感じた人も多いだろう。地震や集中豪雨なども数多く発生している近年。これらの自然災害によって、停電が急に起こることもあるが、電気がストップしてしまうと多くの支障やリスクが発生する。そこで今回は、停電への備えや電気にまつわる役立つ情報をお伝えする。本日9月1日は「防災の日」、そして9月全体は「防災月間」。災害への備えの重要性をいま一度考えたい。

●情報は、『FRaU SDGs MOOK防災』発売時点のものです(2023年8月)。

安価で汎用性のある乾電池か、大容量ポータブル電源かの2択

停電の復旧には数日を要する。新潟県中越沖地震では約2日、阪神・淡路大震災では約7日。昨年の記録的な大雨でも各地で停電が起きている。

「電気がないと、在宅避難でもトイレが真っ暗になったりと困ることが多い。携帯電話の充電が切れると、最新情報をキャッチすることも難しくなります」と防災プロデューサーの永田宏和さん。

 

安価で用意できるのは乾電池。携帯電話用の充電器やLEDランタンを乾電池式で揃えておけば、活用できる場面が増える。さらに心強いのは、大容量のポータブル電源。

「おすすめは、ソーラーパネルとセットになっているモデル。1500W以上の出力があれば電気ケトルや電子レンジを使えます。非常時に温かいご飯を食べられるのはとても重要ですから」

発電力が期待できないのは手回し充電器や小型のソーラー充電器。充電に相当の時間や労力が必要なのでよく確認してから導入しよう。

乾電池

使用推奨期限の長いアルカリ電池と電池式アイテムをセットで準備

非常用電源を乾電池にするなら、非常用アイテムも電池式を選ばなくては意味がない。携帯電話の充電器やライト、ラジオなどは、できるだけ同一乾電池(できれば入手しやすい単3電池)で揃えておくといい。必要本数の目安は、電池式アイテムを3回交換できる程度(1週間分=およそ48本)。防災用品に必要な電池の数を調べるところから始めよう。

ポイント1
電池は保管しているだけで1年間に3~5%放電してしまう。放電を極力抑えるには高温を避け、涼しい場所で保管することが大切。また長期保管に向いた防災用乾電池も販売されている。

ポイント2
アルカリ電池、マンガン電池、リチウム電池の中で、防災用にオススメなのは長期保管に向いたアルカリ電池。100円ショップなどの電池はマンガン電池の場合があるので注意!

ポータブル電源

高出力でAC出力ポートありを選べば携帯電話のほかにPCや家電にも使える!

ポータブル電源はモバイルバッテリーに比べ、充電容量が大きく出力が高い。コンセントプラグを直接差せるAC出力ポートがあるものを選べば、PCや家電も使用できる。容量1000Whで携帯電話は約50回充電可能。容量1500Whなら電子レンジが約1時間使用できる。価格は20万円前後だが、災害時の強い味方に。

ポイント1
出力方法も充電方法もバリエーションが重要。出力はAC(いわゆるコンセント)の他にUSBもあると便利。充電も、ACコンセントのほかに車走行充電ができると車中泊で活躍する。

ポイント2
最新のポータブル電源には、ソーラーパネルとセットのものも多い。太陽光充電ができれば、長引く停電にも安心。パネルの大きさが発電量に直結するので折りたたみ式の大型を選びたい。

Illustration:Satoshi Ogawa Text & Edit:Yuka Uchida Supervisor:Hirokazu Nagata