ラベル 新潟 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 新潟 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

小木屋(おぎや)/佐渡(新潟)

上越市と佐渡市を結ぶ航路の小木港に直結するレストラン「小木屋(おぎや)」。佐渡島の左下らへんにあり、船からのゲストだけでなく佐渡島を巡るゲストがが車で立ち寄ったりもします。
我々は観光客ど真ん中なので、「佐渡御膳」なる郷土料理の美味しいところをピックアップするセットを頂くことに。食べ物だけでなく、佐渡の地酒である真野鶴まで味見できるのがいいですね。
観光客向けの定食と思いきや、刺身の質はしっかりしていて、マダイにイカにサーモンに何だっけ。いずれにせよいずれも美味なる体験です。
ご当地名物のブリカツは期待を裏切らない味わい。サザエのつぼ焼きにイカの一夜干しも観光客向けセットとしては悪くありません。この他、サザエを味噌で和えたものやイカの塩辛まで用意されており、ランチというよりも酒盛りに向いたランナップです。
佐渡産の紅ズワイガニを固形燃料でグツグツやります。脚の肉だけでなく味噌なのか何なのか、セメント色のドロドロしたやつを炊き立てのご飯(後述)にぶっかけて至福のひと時。
煮しめもどうやら佐渡の名物らしいのですが、これはまあ、一般的な煮しめといったところでしょう。もちろん間違いなく美味しいです。
ゴハンは佐渡産のコシヒカリ。ご丁寧にゲストひとりひとりに対してお釜で炊いてくださっており、米とゲストに対する愛情を感じました。ちなみに我々は1泊7-8万円の宿に泊まっていたのですが、そこでのベチャベチャな朝ごはんよりも余程レベルが高かったことを申し添えておきます。
デザートも名物の「みかん餅」なのですが、これは全然美味しくないですね。生焼けの餅を缶詰のミカンと一緒に食べるようなコンセプトであり、私の口には合いませんでした。

いずれにせよ、ドライブイン的なポジションのレストランでこのクオリティの食事を楽しめるのは嬉しい。このあたりは飲食店が少ないので、割り切って当店で食事を摂るのも悪くない作戦でしょう。

食べログ グルメブログランキング

関連ランキング:定食・食堂 | 佐渡市その他


人気の記事
「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。

いしはら寿司/佐渡(新潟)

佐渡の主要港、両津の町にある「いしはら寿司」。両津港から歩いて10分ほどの場所にあります。2019年に移転リニューアルしたそうで、鮨屋というよりもカフェっぽい内外装が特徴的。

結論から述べると一見客・観光客に対する客あしらいは最悪ですね。新潟の中でも佐渡の民は排他的な性格で有名ですが、まさにそれを地で行く接客姿勢です。着席しても大将を含めた従業員たちは地元の常連客とくっちゃべっており、こちらが声をかけるまで注文を取りに来てくれる気配はありません。
店内が妙に暑くパウチされた飲み物メニューで軽く仰いでいたら(軽くですよ軽く)、大将から「それは団扇じゃないから!」と鋭い声が飛んできます。いや、そこ叱るエネルギーあるならさっさと注文取りに来いよ。

また大将の衛生観念が欠落しており、ノーマスクでの従業はデフォ。生魚を触っている手でそのままボールペンに触れたりどこかに電話をかけたり(電話すんなよ)と、色々と無敵なのかもしれません。
「地魚のおすすめ」的な10貫セットを注文。2,750円です。にぎりが並べられたゲタを手渡された後は、まさにゲタを預けたとばかりに大将は常連客の方に戻っていき、つまらないネイリストのようなトークを再開します。
「何のお魚か教えて貰えますか?」と声掛けすると、舌打ちでもしそうな、まさに渋々といった表情で我々の元に戻って来、マグロ、甘海老、〇〇貝(忘れた)、エンガワ、アジ、スルメイカ、アラ、イクラ、マダイ、カンパチと単語だけ告げ、やはり常連客の方に戻っていきました。
にぎりのクオリティにつき、不味くはないが旨くもないといった程度であり、これが回転寿司であればまあこんなもんかと諦めるのですが、目の前の鮨職人が人の手でにぎったにぎりとしては低レベル。これなら「佐渡 廻転寿司 弁慶 佐渡本店」に行った方が安くて美味しい。お椀も単なる透明な液体であり味わいに骨格がありません。
一見の観光客など養分程度にしか捉えていないスタイルの寿司屋なので私が責任を持ってオススメしませんが、それでも訪れてみたいという奇特な方は、地元の常連客にギャラを払って連れて行ってもらうのが良いでしょう。

「佐渡に行かぬ馬鹿、二度行く馬鹿」という新潟の諺が身に沁みたランチでした。

食べログ グルメブログランキング

関連ランキング:寿司 | 佐渡市その他


人気の記事
「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。

古民家イタリアンarmonia(アルモニア)/古町(新潟)

新潟市の繁華街「古町(ふるまち)」エリアの外れにある「armonia(アルモニア)」。大正時代に建てられた歴史ある古民家をリノベしたイタリアンレストランです。
靴を脱いで座敷に上がるスタイル。私は建築というジャンルについて全くの素人なのですが、それでもこの建物は立派であると感じられ、かつ、親戚の家に遊びに来たかのような居心地の良さも感じられました。カトラリーなどの小物を含め新潟産を用いており店主の拘りが感じられます。

真保元成シェフは新潟県三条市出身。フランス料理とイタリア料理を学び、湘南でイタリア料理店の料理長を務めました。日本のいいとこ巡りをしたのちに新潟へUターン。当店だけでなくキッチンカーでの営業も手掛けるなど活動範囲は幅広い。
酒が安い。グラスワインやビールが千円を切る価格帯から始まります。クラフトビールも充実していたので、私は新潟産のクラフトビールを中心にアルコールを楽しみました。良く飲むグループであれば飲み放題のプランもあるようです。
さっそくスペシャリテの「armoniaサラダ」。県産のオーガニック野菜がたっぷり。底には豆腐のディップソースが敷かれており、フレッシュチーズのような風味が感じられ、何ともヘルシーな幕開けです。
フォカッチャは自家製の焼きたて。お野菜がトッピングされているのが可愛らしく、また味噌の風味も感じられるのが面白い。
冷製スープはカブ。実に凝縮感のある味わいであり、カブよりもカブの味がします。クルトンでなくお麩を用いているのも興味深い試みです。
佐渡産のヒラマサ。旨味たっぷりの魚を厚切りにし、岩海苔を駆使したクリーム系のソースで頂きます。コッテリとした味覚ながら不思議と爽やかにも感じられ、夢中で食べ切ってしまいました。ちなみに我々は当店を訪れる前に佐渡に3日間滞在していたのですが、その期間に口にしたどの料理よりも美味しかったです。
白桃の冷製パスタ。一般的に甘めに仕上げることの多い料理ですが、当店は桃の甘味に加えトマトの酸味や旨味も起用しており、ありそうでないひと皿です。
パスタ2皿目はタリアテッレをイノシシのラグーで頂きます。イノシシながら実に綺麗な味わいであり、ジビエが苦手な方でも楽しむことができるでしょう。麺は自家製の手打ちであり、新潟県産の地粉「ゆきちから」を用いているそうです。
メインは県産の地鶏のロースト。鶏の生命力を感じる旨さであり、シンプルな調理ならびに調味ですが必要にして十分で、示唆に富んだひと皿です。付け合わせの夏野菜も野菜そのものの味が濃い。
デザートは越後のブルーベリーを用いたもの。派手さはありませんがスっと身体に染み込んでいく優しい甘味です。

以上、7千円のコースにそこそこ飲んでお会計はひとりあたり1万円チョイ。イタリアンではあるものの、不思議との和のニュアンスが感じられる、何とも形容が難しい唯一無二の心地よい食事でした。ランチは2千円台から始まり実にお値打ち。オススメです。

食べログ グルメブログランキング


関連記事
イタリア料理屋ではあっと驚く独創的な料理に出遭うことは少ないですが、安定して美味しくそんなに高くないことが多いのが嬉しい。

日本のイタリア料理の歴史から現代イタリアンの魅力まで余すこと無く紹介されており、情報量が異常なほど多く、馬鹿ではちょっと読み切れないほどの魅力に溢れた1冊です。外食好きの方は絶対買っておきましょう。

はつね寿司 本店/古町(新潟)

新潟の歓楽街、古町エリアから少し外れた場所にある「はつね寿司」。食べログの百名店に選出され、ミシュランでは1ツ星を獲得しています。カウンター8席のみの1回転で、東京のビジネスライクな鮨屋とは目指す方向性が全く異なります。
渡辺裕一シェフは2代目で、東京で腕を磨きつつ実家にUターン就職し、寿司居酒屋的なスタイルから現在の本格志向へと業態を変えたそうです。同じ古町の「兄弟寿し」にせよ新発田の「登喜和(ときわ)」にせよ、ここのところ地方の名店で似たようなストーリーを良く聞きます。
酒が安く生ビールは700円、エビスの瓶ビールは800円、地元の日本酒も1合千円前後です。ワインについてはケンゾーの「あさつゆ」など酒屋で買うのと大して変わらない価格でオンリストされていました。
新潟と言えば「南蛮えび」。いわゆる甘海老を昆布締めし、心地よい旨味と甘味で乾杯します。
続いてカツオのヅケ。逞しい鉄分にカラシの刺すような辛味がよく合う。
佐渡のアワビは4時間しっかりと蒸して頂きます。アワビそのものの磯の風味がたっぷり。
マダイはムッチリとした歯ごたえながらも適度な脂が感じられます。
イワシはたっぷりの薬味と共に海苔で巻き込みます。脂ジュブジュブジュブナイル。シャクシャクとした生姜や芽ネギの食感も心地よい。
にぎりに入ります。まずはマコガレイ。これが夏の魚かと思うほど脂がのっています。
ガリが印象的。桃のような丸のままのブツをその場でスライスし、げにあらまほしき味わいです。シャリは一粒一粒の芯が感じられつつもその周囲はボッテリと太ったスタイルであり、酸味は穏やかでありつつも記憶に残るものでした。
アカイカ。いわゆる剣先イカであり、程よい歯ごたえに清澄な味わい。
アジが美味しい。しっかりと脂は感じつつもメタリックな旨味も感じられ、地味にキョーイチかもしれません。
中トロは赤身の上品な酸味が心地よく、トロの部分で全体を取りまとめます。
コハダもいいですね。思いきりの良い〆が功を奏してクッキリとした味わいが感じられました。
キスは穏やかな味わいで全体として綺麗な味覚です。
一転、キンメダイはパワフルな味わい。煮ても焼いても鮨でも旨い。なんとも最強な魚です。
カツオは藁焼きにして頂きます。スモーキーな香りが食欲を刺激し、身のストレートな味覚に舌鼓を打つ。
ノドグロ。日本海の代名詞ともいうべきタネであり、もはやバブルな感じがしないでもないですが、だがしかし悔しいが旨い。それがノドグロ。
ウニはシャリ小さめながらタネは気前よく盛ってくれ、口腔内でウニのリゾットと化し眩い美味しさを奏でます。
アナゴはふんわりフワフワとした食感で規範的な美味しさです。
冒頭の南蛮海老のエキスを凝縮した味噌汁。これはもう文句なしの味わい。美味しいだけにもっと量が欲しかった。
追加でカンピョウ。カンピョウ数本をねじり鉢巻きのようにねじってから巻き込むという面白い試み。調味のハッキリしたカンピョウで私好みです。
海老のすり身を組み込んだギョクでフィニッシュ。ごちそうさまでした。

16,000円のコース料理にそこそこ飲んでお会計は2万円弱。東京のちょづいた鮨屋に比べると慈善事業とも言える価格設定です。ツマミよりもにぎりに軸足を置いており、食後にああ!鮨くったぁ!とハートに深く刻みまれる食体験。「兄弟寿し」「登喜和(ときわ)」とはまた違った、王道の味わいの鮨屋でした。

食べログ グルメブログランキング

関連ランキング:寿司 | 新潟駅白山駅


関連記事
鮨は大好きなのですが、そんなに詳しくないです。居合い抜きのような真剣勝負のお店よりも、気楽でダラダラだべりながら酒を飲むようなお店を好みます。
この本は素晴らしいです。築地で働く方が著者であり、読んでるうちに寿司を食べたくなる魔力があります。鮮魚の旬や時々刻々と漁場が変わる産地についても地図入りでわかりやすい。Kindleとしてタブレットに忍ばせて鮨屋に行くのもいいですね。