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元祖 むらさき/大館(秋田)

秋田名物と言えば「きりたんぽ」と答える方は多いと思いますが、食べたことってあります?私はこれまで食べた記憶が無く、「踊る~」で室井さんがきりたんぽがどうのこうの言ってたなあ、というのが私の知識レベルです。

さてこの日は秋田県大館市におけるきりたんぽ料理(?)の雄として名を馳せる「元祖 むらさき」へとお邪魔しました。「ブラタモリ」でも取り上げられた名店です。
建屋は3階建てでなのですが、私が見た限りでは1階しか稼働していないようでした。1階は小上がり席がいくつかにカウンター席・個室とトータルで30席ほどでしょうか。ネット上の情報では「土日は予約不可」と記されていましたが、実際のところ予約をしたほうが好ましい(入店時に予約名を聞かれる運用)ように感じました。
もちろんスペシャリテの「きりたんぽ鍋」を注文。お通しとしてなます(?)的なものが供されるのですが、まあ、なますはなますです。ナマステ。
注文から10分ほどで「きりたんぽ鍋」が到着。1人前2,280円で、この鍋は2人前なので4,500円ほどという計算です。食べる前から「え?きりたんぽって棒状の焼きおにぎりでしょ?それで4,500円ってやばくない?」というお気持ちです。
具材は比内地鶏、ネギ、セリ、マイタケ、ささがきゴボウといったところ。うーん、もちろん美味しいのですが家庭料理の域を出ない味わいあり、職人が繰り出す唯一無二の味覚といった印象は全くありません。焼きおにぎりの鶏出汁茶漬けですなこれは。ちなみに比内地鶏はひとりあたり3粒ほどであり悲しくなりました。
念のために「比内地鶏の唐揚げ」も注文。当然に分かりやすく美味しいのですが、この量で1,480円っていうのはちょっとなあ。東京の居酒屋なら880円ぐらいが妥当なんとちゃうの。
色々と割高に感じたお店でした。地元の食材を用いたベーシックな郷土料理であるため、不味いということはありませんが、直接材料費に比べて値付けが高すぎる来ました。

とは言え女将のわざとらしい堂に入った秋田弁はチャーミングなので、観光名所の観光料理といったつもりで訪れると良いでしょう。

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海の駅ふかうら 深浦まるごと市場/深浦(秋田)

世のサウナ―の聖地とえいば「サウナしきじ」ですが、温泉フリークのエベレストと言えばココ「黄金崎不老不死温泉」。場所は青森県の西海岸、大館能代空港から車で2時間の秘境です。
波打ち際の露天風呂が幻想的で何とも冒険心を刺激するのですが、とにかく東京からのアクセスが悪いのがキツいですね。加えて私は温泉について特に詳しくはないので、泉質がどうといった価値も良くわかりませんでした(以上、写真は公式ウェブサイトより)。
外来の日帰り入浴が認められているのは助かりますが、露天風呂へのアクセスは難解。なるべく経験者の誰かに連れて来てもらったほうが良いでしょう。また混浴と女湯しか用意されておらず、私がお邪魔した際は先客に女性がいたので居心地が悪く、全く楽しめませんでした。何で女湯が空いている(音声的にたぶん)のにわざわざ混浴エリアに来るかなあ。
気まずい時間を耐え抜くと腹が減る。黄金崎不老不死温泉」から北に車で10分ほどの場所にある深浦漁港併設の「海の駅ふかうら 深浦まるごと市場」へと向かいます。
日曜日のランチタイムに訪れてこの空きよう。先日、宮崎の「港の駅 めいつ」を訪れ50組2時間待ちの洗礼を受けた身としては、天国にでも来た気分です。
メニューはシンプルで、海鮮丼と天ぷらにそば・うどん程度です。目の前の漁港で揚がったばかりの魚介類を用いるため鮮度の良さは折り紙付き。絵的に「舟盛りお刺身定食」一択だろうと心に決めたのですが、残念ながらこの日は提供がありませんでした。
海鮮丼は1,600円と格安。築地場外あたりで食べれば3千円は超えそうなボリューム感です。また「つるつるわかめ」という、深浦産のワカメで作られた謎の麺(?)も磯の風味がきいて興味深い味わいです。。
この日の海鮮丼。デカいエビ1本に小さいエビが2本も付いており、エビへの愛情が感じられます。イクラも普通にダバダバ入っており、これで1,600円とはちょっと信じがたい費用対効果です。ちなみに青森でマグロと言えば大間が有名ですが、実は深浦漁港のほうが水揚げ高が大きいそうです。
こちらは海鮮天丼。価格は1,300円とひっくり返りそうに安い。それでも巨大なエビにイカ、キスにキノコやお野菜などがテンコ盛りであり、味濃いめのタレと相俟ってまさに小確幸な味わいです。
ちなみに物販エリアでは生き生きとした魚介類が直販されており、プロの料理人と思しき方々が普通に買いに来ているのが印象的。もちろん当店だけを目的に遠くから訪れるのはナンセンスですが、不老不死温泉を訪れる機会があれば是非立ち寄ってみましょう。オススメです。

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花善(はなぜん)/大館(秋田)

秋田の駅弁と言えば「花善の鶏めし」。1899年創業の老舗であり、大館と言えば鶏めし、鶏めしと言えば大館です。JR東日本が主宰する駅弁総選挙で何度も最高評価を得ており、テレビや雑誌などにも数多く鶏上げられています。本社・工場・レストランの全てが大館駅目の前のビルに詰まっており、ややもすると駅舎よりも立派かもしれません。
レストランはランチタイムのみの営業であり、また花善の本質は弁当であるとも思うのでテイクアウトの弁当を購入。ちなみに県内のキヨスクやニューデイズ、百貨店など至る所に売られていますが、全て当工場で手作りされているので、どこで買っても品質は同じです。
スタンダードナンバーの「鶏めし弁当」と高級ライン「比内地鶏の鶏めし」を購入。前者が900円で、後者が1,200円です。パッケージがノスタルジックでクールですね。ちなみに昔は列車に乗り込んで手売りしたり、駅ホームで立ち売りしていたそうです。
主題の「鶏めし弁当」。鶏肉の煮汁や醤油・砂糖で炊き込んだライスに鶏肉の甘辛煮をトッピングしたお弁当です。いま貴方が想像している味と大きな差は無いでしょう。オカズもゴハンも同じ味で単調に感じました。
「比内地鶏の鶏めし」は、「鶏めし弁当」のゴハンをそのまま用いつつ比内地鶏をトッピングしたひと品。シンプルに塩焼きした鶏肉と甘辛く煮たそぼろが味覚にメリハリを持たせてあり、前述の「同じ味で単調」という課題を解決しています。副菜の「茄子の田楽みそ」も地味に美味しい。
「比内地鶏の鶏めし」は300円高いですがその金額差以上の価値が感じられたので、お求めになる際は「比内地鶏の鶏めし」を強く推奨します。一方で、1,200円の食事としては割高。とは言え駅弁とはそういうジャンルの食べ物なので、そういうものだと割り切って臨むと良いでしょう。美食の追求というよりは観光の一環です。

ところで「花善の鶏めし」は基本的には秋田県内でしか購入できないのですが(昔は東京駅などでも販売されていたが撤退)、謎にパリには進出しており、これは結構良いアイデアかもしれません。基本的にヨーロッパ人は移動中の食事に愛着を持っておらず、駅ではパンに何かを挟んだモノぐらいしか売られていないので、そのオリエンタルな神秘性とも相俟ってウケそうな気がします。

日本では秋田でしか食べることができない弁当がパリで「EKIBEN」として販売されているのは何とも痛快。陰ながら応援しています。

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オステリア・エノテカ・ダ・サスィーノ (OSTERIA ENOTECA DA SASINO)/弘前

カンパニリズモを標榜し、地産地消を通り越して自給自足100%を目指す「オステリア・エノテカ・ダ・サスィーノ (OSTERIA ENOTECA DA SASINO)」。その取り組み姿勢が脚光を浴び「情熱大陸」でも取り上げられ、食べログでは百名店に選出されています。
店内はテーブル席が20席ほど。この手のレストランで子連れOKというのはかなり珍しいほうでしょう。

笹森通彰シェフは弘前出身。東京やイタリアの名店で腕を磨いたのち、2003年に当店を開業。当店だけでなくピッツェリアやガレッテリア(ガレット専門店)も順次オープンし、現在は鶏を飼い野菜を育てチーズやワインまで造り、もはや料理人という枠組みを超えて活躍しています。
せっかくなので自家製ワインのペアリングでお願いしました。日本産のワインとしては中々の出来栄えですが、1万円というのは割高に感じました。例えばカーブドッチの「TRAVIGNE」ではワインペアリングが4千円であり、いち消費者としては色々と考え込んでしまいます。
アミューズは焼き茄子のタルトにトウモロコシのスープ、自家製の生ハム。焼いた茄子特有の香りがとても良い。トウモロコシも驚くほど糖度が高く、生ハムの穏やかな塩味も日本人の味覚にフィットします。
自家製のブッラータ風チーズを用いたカプレーゼ。チーズが美味しいのはもちろんのこと、トマトの鮮やかな甘味にバジルの爽やかな香りが心に残ります。
真イカ。透き通るような甘味が味蕾に心地よく、生クリームのコクやムール貝由来の旨味も食欲をそそります。ラルド(脂身の生ハム)のコッテリ感溢れるアクセントも楽しい。
シェフが釣ってきたブリをスモークしたひと品。これはもう、文句なしに美味しいですね。脂が乗りつつも身の味わいはしっかりとしており、このまま丼にしてガツガツ食べたいくらいです。
アマダイに白ナス。一転して上品な料理であり、タイのエレガントな風味に白ナスのトロっとした舌触りが良く合います。美味しいだけにもう少し量を食べたかった。
サザエは冷製のパスタで頂きます。冷製にしては珍しく麺太目であり、冷製パスタとしての新機軸を見た気がしました。サザエのコリっとした食感も楽しい。
牛頬肉と舞茸を用いたリゾット。米よりも肉のゴロっと感が強く、上質なビーフシチューを食べているかのような気分です。
メインは馬肉のカイノミ。馬肉と言えば熊本の専売特許と考えられがちですが、青森県も古くから馬産地として発展してきた経緯があって、馬肉を口にする機会が多い。馬肉特有のガッシリとした風味があって、なんとも頼もしい逸品です。
デザートは和栗を用いたモンブラン。中にはアーモンドを用いたアイスが組み込まれて品の良い甘さに思わず笑みがこぼれます。名産の白イチヂクも添えられており、本日一番のお皿でした。
しっかりとしたお茶菓子とお茶を楽しんでフィニッシュ。ごちそうさまでした。

以上のコースにワインのペアリングと炭酸水をお願いしてひとりあたり3万円弱。うーん、ちょっと高いなあ。味については申し分ないのですが、現在に至る経緯や自給自足を目指しているストーリーなどを知らないまま臨むと割高に感じるかもしれません。

もちろん私はこういった世界観や取り組み姿勢に価値を認める人種なので楽しめましたが、あまり食に興味がないものの何かの機会でたまたま弘前を訪れ、せっかくだから街いちばんのレストランを、みたいな方には割高に感じるでしょう。情報も食事の一部として捉え、しっかりと予習してから臨むとより楽しめるお店です。グルメに理解のあるお友達と共にどうぞ。

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炭火焼肉 久(きゅう)/秋田駅

秋田駅から歩いて5-6分の場所にある「炭火焼肉 久(きゅう)」。2019年にオープンしたばかりなのですが、拘り抜いた焼肉スタイルが耳目を集め、あっという間に食べログではブロンズメダルを獲得し、百名店への入選を果たしました。
我々は上記の情報を全く知らずグーグルマップで適当に見つけて予約ナシで訪れたのですが、土曜日のランチタイムであっても店内は予約でいっぱい。テラス席であれば案内可能とのことだったのでそれに応じると、何だ、君、一体、素晴らしい状況じゃないですか。
ランチセットにはソフトドリンクが1杯付いてきます。お冷もジャンジャン注いでくれ、あまり酒で儲けようという気は無いのかもしれません。なお、ディナータイムであればコースメニューにプラス3千円で飲み放題を付けることができるそうです。
ランチセットとは別にアラカルトで追加注文したキムチ。韓国人直伝の自家製のものであり、それほど辛くはなく、その代わりに深い旨味が支配的です。味は良いだけに、もう少し量が多いと尚うれしい。
こちらはランチセットに付随するサラダ。キャベツの千切りをチョレギ風のドレッシングで頂きます。
小鉢は茄子の煮びたしをキムチ風味にしたものでしょうか。普段お目にかかることのない、ありそうで無い料理です。
肉がやってきました。一番人気の「上久ランチ」の肉1人前であり、なんと2,300円です。先のサラダや小鉢、ライスやスープなどが付いてこの値段とはちょっと信じがたい。お肉は日替わりで、この日は鹿角ポーク(地元のブランド豚)に比内地鶏、秋田牛のハツにカイノミにカルビだったっけな。都心のふざけた焼肉屋であればこれ1皿で1万円は超えそうな質および量です。
火元は備長炭で、柔らかい熱でじっくりと火を通していきます。牛肉の美味しさは期待通りですが、豚肉や鶏肉までバリ旨い。タレも程よく甘くフルーティーで、何でも地元の老舗の酒屋から仕入れる醤油を用いているそうです。
お米は美郷町のあきたこまち。程よい弾力と粘りがあり、焼肉屋のライスとしては完璧な美味しさです。スタッフの方々のテーブルウォッチも丁寧で、「おかわりいかがですか?どうですか?」とテラス席まで何度も足を運んで下さいました。
こちらは「ハラミランチ」で3,300円。なるほど先の「上久ランチ」に比べると相対的に高価に映りますが、それは「上久ランチ」の値付けが異常に安いだけであり、これでも大そうお値打ちです。
「ハラミランチ」は卵黄と合わせてすき焼き風に頂きます。これはもう悪魔的な美味しさですね。あまりの旨さに随喜の涙を流してしまいます。
ランチセット2種類にキムチを付けて、合計で6,200円。ひとりあたり3千円強という奇跡の支払い金額でした。量もひとりあたり200グラム以上は食べてるんじゃないかなあ、しっかり食べて満腹じゃという食後感です。

これはもう、土曜の昼から予約でいっぱいというのも納得のお店です。「ろばたやき山ろく」を惹起させる高揚感。次回は夜に訪れて、ハチャメチャに注文しまくって飲み放題まで付けちゃおうっと。それでもひとり1万円かそこらで済んじゃうんだろうな。

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