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鬼わそと/白金高輪

白金高輪駅から歩いて数分の焼鳥屋「鬼わそと」。今をときめく鮨店「島津」などあのあたりです。ちなみにすぐ近くに「福わうち」という名前の姉妹店もあり、そちらは割烹スタイルの和食店だそう。
店内はカウンターのみで10席強。われわれは予約してお邪魔しましたが、当日飛び込みでのゲストも多く、地元に愛されている感が伝わります。やっぱ焼鳥ってこうだよな。数年待ちってのはいくらなんでもアレな気がする。
生ビールは880円で、日本酒も1合で千円を切るという良心的な価格設定。季節の酒が実に豊富で、当店のもうひとつの名物と言えるでしょう。
お通しにきちんとしたお漬物が出てくるのが嬉しい。大根おろしにはチョロっと醤油を垂らして、これだけで立派なツマミです。ちなみに当店は串焼きのセットを最初に注文するのが基本で、われわれは11本で2,800円ほどのプランでお願いしました。
セットとは別にアラカルトで注文したサラダ。ラーメン二郎もかくやというタワー盛りであり、2-3人で食べるにちょうど良いサイズ感です。
こちらは酒のアテとしたクリームチーズで、刻んだ奈良漬けが組み込まれています。プンとする酒の香りが蠱惑的で、これはちょっと家でも真似してみようかしら。
鳥皮ポン酢。クニクニとソフトな質感で、ひんやりとしつつも程よくジューシー。ポン酢の酸味も心地よく、前菜として最適な味覚です。
串焼きはサビ焼きから。ドッシリとしたサイズ感でムッシャムッシャと食べ応えがあります。
げんこつ。いわゆる膝の軟骨部分であり、コリコリとした歯触りが食欲をそそります。
丸ハツ。心臓を丸ごと頂く残酷な仕様ですが旨いものは旨い。
おび。外モモの部分であり、ゴリゴリと筋肉質で迫力のある味わいです。濃いめのタレをたっぷりつけて至福のひと時。
ミニトマトはアッツアツ。熱を加えることで甘味が増し、コース内のイメチェンに程よいポジショニングです。
うずらの卵は事前に燻製をかけており、鼻腔に広がる薫香が堪りません。日本酒が進むのなんのって。
手羽先は程よく脂がのっており、バリっと焼いた皮目の部分がバリ旨い。
レバーが絶品で、キレイすぎるわけでもなく、臭みがあるでもなく、ちょうど良いバランス感覚です。こちらも特大ポーションで、口いっぱいに広がる鉄っぽさがたまりません。
しいたけ。ズバっと思い切りよく焼いており旨味が凝縮しています。しいたけって凄いよな焼くだけでどうしてこんなに複雑な味わいになるんだろう。
これは何だっけな。白いお肉でサッパリとしつつも、少しもパサつくことがありません。
〆はラム。ぷんと漂うミルキーな香りに複雑な旨味が爆発。脂もたっぷり実にジューシーで、レバーと並んで本日いちばんの串焼きです。スパイシーな赤ワインが欲しくなる。
〆に「鶏飯(けいはん)」を注文。奄美群島を代表する郷土料理であり、長時間かけて煮だした白濁スープが特長的。天下一品の「こってり」を上品にしたような味覚であり、とろりとした口当たりが後を引く美味しさです。
以上を食べ、そこそこ飲んでお会計はひとりあたらい7千円ほど。高級化が進む都心の焼鳥店を横目に実に良心的な価格設定であり、月に何度でも通いたくなる親しみ易さ。地に足がついており、やっぱ焼鳥はこうでなくっちゃね。次回は姉妹店の「福わうち」にお邪魔したいと思います。

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白金高輪は粒揃いの佳店が多いです。ちょっと不便な立地も良いんでしょうね、若い子たちを寄せ付けることが無くて。

HEIJU+ (ヘイジュウ)/白金高輪

大阪の人気イタリアン「Ristorante Heiju」が2020年夏に、東京は白金北里通りに「HEIJU+ (ヘイジュウ)」として移転リニューアルオープン。白金高輪駅から歩いて10分ほどに位置し、北里大学の白金キャンパスのお向かいにあります。
店内はゆったりとしたカウンター席が8席ほどに個室がひとつ。内装や調度品、照明の具合などがカッコよく、色気のあるインテリアです。

吉野平十シェフは本当にヘイジュウという名前。BGMにビートルズがエンドレスで流れているのですが、「ヘイ・ジュード(Hey Jude)」が流れる瞬間が一番盛り上がります。ナー ナーナー ナナナナー ナナナナー ヘイジュード。
ワインはフランチャコルタが1万円~。やや高めではありますが、場所柄仕方ないかもしれません。ペアリングは8千円~1万円にまとめてくれるそうなので、予算に決まりがある場合はそうした方が良いでしょう。
まずは冷製のコーンスープ。シルクコーンという、その名の通り実が白く絹のような光沢を放つトウモロコシを楽しみます。糖度が抜群に高く曖昧さがありません。中には根室のバフウンウニも潜んでおり、ロケットスタートを切りました。
続いて明石のタイ。昆布締めにしたのち、ホワイトアスパラガスと共に頂きます。全体を取りまとめるのはコンソメジュレ。悪くはないのですが、やや魚の生臭さが目立った気がします。連れに感想を求めると、「そお?あたしは美味しいけどね。意味わかんない」とのことでした。
パンは食べるタイミングを見計らい、その都度温めて頂けます。シンプルな仕様ながらしみじみ旨い。
このパスタはバリ旨いですねえ。自家製の手打ち麺をモンゴイカと九条ネギと合わせてさらいっと頂くのですが、イカの食感にネギの清冽な香り、パスタのふくよかな味わいと、単に旨いを通り越して尊くさえあります。
長崎のクエをブイヤベース風に頂きます。ムッチムチに弾力のある個体であり、食事とは舌だけでなく口腔内の触覚も含めて楽しむものだと再認識。ちなみにシェフは鮮魚店で働いていたこともあり、そこのお店とズッ友らしく、魚介は全てそこから仕入れているそうです。「豊洲に行ったことが無い」なんて一周まわってバリかっこええやんか。先ほどのタイの生臭さはグロタンディーク素数みたいなものかもしれません。
お肉料理は熊本県産の赤牛。ガサっと潔い調理であり肉喰った感に満ちたひと皿です。小さなジャガイモのローストも、大地の味覚が凝縮されており、脳裏に焼き付く美味しさです。
〆のパスタの用意もあり、ボリュームアップもリクエストできます。モチモチと弾力のあるうどんのような噛み応えで、甘味と酸味のバランスがパーフェクトなトマトソースに良く合います。
デザート1皿目は奄美のパッションフルーツを用いたジェラート。空気をたっぷり含んで滑らかな口当たり。ちなみにシェフはこの業界に入った際、最初はパティシエを志向していたそうです。
続いて和歌山のイチヂクを用いたケーキ。果物の気配を濃密に感じる仕上がりです。このあとお茶にハーブティーをお願いし、お茶菓子も頂きました。
以上のコース料理が2.2万円で、1万円のワインを2人で1本飲んでお会計はひとりあたり2.7万円。水代は取らず税サも込料金であり、本当にお品書き通りと潔い。ちなみに昼も夜も同一コースの同一料金と実にシンプルです。

お金の話はさておき、いずれの料理も素材の良さを存分に活かした調理であり、ひと皿ひと皿ボリュームもあって、記憶に強く刻まれました。型にはまったイタリア料理ではないものの、地に足のついた逞しさを感じさせる料理。港区のチャラチャラした店とは一線を画す誠実さが見て取れたディナーでした。

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TRATTORIA Fragranza (トラットリア フラグランツァ)/白金高輪

白金高輪駅から歩いて5分ほど、三光坂の少し手前に2021年秋にオープンした「TRATTORIA Fragranza (トラットリア フラグランツァ)」。私の推しのフレンチ「テチュ クラシック エ ナチュール (Têtue. ~classique et nature~)」の並びにあります。
アイボリーを基調とした柔らかい雰囲気の店内。奥に細長くテーブル席のみで20席弱といったところ。軒先にはちょっとしたテラス席もあります。

露木裕史シェフは漁師からイタリア料理の世界へ入った興味深い経歴で、イタリアでも経験を積んだそうです。
ランチセットには食後のお茶が付くのですが、500円の追加料金でワインへと変更可能。こういう思想の持ち主のお店は良いことが多いです。
まずはミネストローネ。野菜たっぷり滋味あふれる味わいで内臓が休まります。ところで最近、我が家にはシャープの「ヘルシオ ホットクック」が導入され、上質な具沢山スープへのアクセスが格段に良くなりました。とても丁寧な生活を送っています。こんにちわ。
前菜盛り合わせ。ランチコースのそれとしてはリッチなラインナップであり、この時点でワインの2杯目を注文するか真剣に悩みました。
ショートパスタは赤海老とフキノトウで頂きます。赤海老が昨今類を見ないほど気前よく投入されており、甲殻類の旨味に淫します。パスタのクニクニした食感と合わせて屈託のない美味しさです。
メインは仔羊。しっとりと熱が入れられミルキーな甘味がふんわりと増します。3,500円のランチコースできちんとしたラムをお出し頂けるとは嬉しい限りです。
デザートはミルクのジェラートにクラシックなプリン。豊潤な乳脂肪が艶っぽい甘味を湛え、またプリンからは卵のコクがリッチに感じられ骨太な味わい。
以上のコース料理が3,500円で、飲み物をスパークリングワインに変更してもらって合計4,000円。料理の質ならびに量を考えれば見事な費用対効果であり、次回は夜にお邪魔しようと期待させる食後感。ランチにサクっとパスタだけ食べに来るのも良さそうだ。

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三和(さんわ)/白金台

中目黒「RODEO」の渡邉シェフが独立開業し、デビューした瞬間から予約困難が続く「三和(さんわ)」。食べログではシルバーメダルを受賞し、百名店にも選出されています。最寄り駅は白金台で、プラチナ通りの裏手をチョイチョイ行った地下にあります。
店内はグレー主体で薄暗く今っぽい雰囲気。厨房に面したカウンター5-6席が特等席で、他に2人掛けの小さなテーブルに奥に半個室っぽい空間があります。

渡邉大祐シェフは中目黒「RODEO」の料理長を務めたほか、フレンチの「シェ イノ」でも経験を積んだそう。食品スーパーみたいな店名ですが、生産者・料理人・客の3つの和を表しているそうです。
ペアリングのコースというわけではありませんが、ワインはお料理に合わせてソムリエールにお任せしました。彼女の接客は天下一品ですねえ。ここ数年でお邪魔したレストランの中ではトップクラスのサービスであり、現時点で2024年ベストソムリエ賞の最有力候補です。
泡を楽しみながらオリーブとドライトマトをつまみます。オイルに漬け込まれておりジットリとした旨味が感じられ、食前酒のお供にピッタリです。
グリーンピースのスープで内臓を温めます。濃厚な緑の味わいがドッシリと胃袋へと落ちて行く。
立派なスライサーから薄く薄く切り出された生ハムをニョッコフリット(薄い揚げパン)にトッピングします。舌先で生ハムの脂がハラリと溶け、その旨味と塩気が酒を呼びます。
本マグロのカルパッチョ。濃厚で存在感のあるマグロはまるで肉のようであり、カルパッチョ本来の意味に寄せています。
自家製のフォカッチャは一見シンプルですが、噛みしめるごとに油がジュワっと滲み出て実にジューシー。このパンでさっきの生ハムを挟めばそれだけで立派なごちそうでしょう。
ホワイトアスパラに卵とトリュフという王道の掛け合わせ。これはもう、文句なしに美味しいですね。ご近所の「ロマンティコ(Romantico)」にせよ、このあたりはホワイトアスパラガスに係る風水が良いのかもしれません。
アマダイに衣を付けてカラっと揚げました。これが今あなたが想像している3倍ぐらいカラっとした歯ざわりであり、身は中々にドッシリとしているのに口当たりが実に心地よい。底に敷かれたカブについても日本人の琴線に触れる仕上がりです。
エビのリゾット。旨味の強い個体であり、エビそのものだけでなくお出汁を吸ったお米がパンパンに膨らんでバリ旨い。このお米は何と言うお米なんだろう、とても美味しい。中央のブッラータと掛け合わせて至福のひととき。
お口直しにグラニテ。単なる氷菓でなく伊予柑の果肉も程よく組み込まれています。
旬の野菜炭火焼き。要は焼いただけの野菜なのですが、不思議なほど濃厚で奥行きのある味わい。こういう食事を毎日摂りたい私は。
お肉はエゾ鹿をチョイス。ガガっとバリっと思いきり良く焼き上げられており、肉そのものの美味しさがギュっと凝縮されています。こんなにどぎついビジュなのに思いのほかサッパリと食べ進めることができました。
基本はパスタ1種なのですが、追加料金で2種でお願いしました。こちらは「牛ホホ肉の煮込みのタリアテッレ」で、肉が山のように放り込まれており、ややもするとパスタ料理というよりも肉料理と捉えたほうが良いかもしれません。チーズもジャンジャン削ってくれてとっても楽しい。
パスタ2皿目はピチ。小麦粉と水だけから作られる、丸くこねた太麺パスタです。讃岐うどんのようにコシがあり食べ応え抜群。ソースはフレッシュトマトと聞いていたのですが、このトマトが実に芳醇で、先の牛ホホ肉の気迫に負けない存在感を示しています。
デザートは6種から選べて私は「生チョコテリーヌ」をチョイス。まことにリッチなチョコの風味にカカオニブのサクサクとした食感が良く合います。
連れは「パンナコッタ」を選択。一般的にパンナコッタは白く軽やかな印象ですが、当店のそれはカラメルソースがどす黒くヘビー級。ひとくち頂きましたが生チョコテリーヌに勝るとも劣らない強い印象を放っています。
カモミールでフィニッシュ。ごちそうさまでした。基本のコース17,920円にパスタを追加しワインをジャンジャン飲んでお会計はひとりあたり3万円強。港区でこのクオリティの食事を腹いっぱい楽しんでこの支払い金額はリーズナブル。何より料理が直球勝負で分かり易く美味しいのが良いですね。何を食べたのかハッキリと記憶に残り、同時期にデビューした「merachi (メラキ)」とはまた違った楽しみ方があるイタリアン。

大変な人気でお邪魔する機会は少ないでしょうから、お誘いがあれば最優先で予定を調整しましょう。

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